能登半島地震 (2024年)

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令和6年能登半島地震
本震
発生日2024年令和6年)1月1日
発生時刻16時10分22.5秒(JST
震央日本国旗.png日本 石川県 能登地方
震源の深さ16.0km
規模   気象庁マグニチュード(Mj)7.6
最大震度   震度7:石川県輪島市
石川県羽咋郡志賀町
津波最大観測高 80 cm:石川県金沢、0.8 m:山形県酒田[注 1][1]
最大痕跡高 4.7 m:石川県鳳珠郡能登町白丸[1]
最大遡上高 5.8 m:新潟県上越市船見公園[1]
地震の種類内陸地殻内型地震(逆断層型)
地すべりあり
前震
回数震度5強:1回
最大前震2024年1月1日16時06分(JST)、Mj5.5、最大震度5強
余震
回数震度5弱以上:17回
震度1以上:1,664回
(2024年2月2日現在)[2]
最大余震2024年1月1日16時18分(JST)、Mj6.1、最大震度5強
被害
被害地域北陸地方新潟県
出典:特に注記がない場合は気象庁の報道発表資料による。
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能登半島地震(のとはんとうじしん)は、2024年令和6年)1月1日16時10分22.5秒(日本標準時)に発生した、日本石川県能登半島震央とする気象庁マグニチュード(Mj)7.6(暫定値)の地震である[3][4]

気象庁は同日の夕方、本地震ならびに一連の能登半島における地震活動について「令和6年能登半島地震」と命名した[5][6][7]。地震に個別の名称が付与されるのは2018年平成30年)の北海道胆振東部地震以来となる[8]

概要[編集]

2024年令和6年)1月1日16時06分、石川県能登地方を震央とする最大震度5強の地震(以下「前震」と記述する)が発生した。その直後となる同日16時10分に同じく能登地方を震央とする地震(以下「本震」と記述する)が発生し、この本震では最大震度となる震度7を石川県輪島市羽咋郡志賀町で観測している[注 2]。日本国内で震度7を観測するのは2018年平成30年)の北海道胆振東部地震以来となり、観測史上7回目となる[注 3]。この本震では、北海道から九州までの広範囲にわたり震度1以上の揺れを観測し、震源地から離れた大阪や東京でも長周期地震動による長時間の揺れが観測された。

前震発生後の速報では「津波の心配はない」とされたが、間髪入れず発生した本震により能登半島を中心に津波が発生。気象庁は本震発生直後の16時12分に日本海沿岸に津波注意報津波警報を発令し、続く16時22分には大津波警報を石川県能登へ発出し、津波警報・津波注意報も北海道から九州までの日本海沿岸へと拡大された。特に、大津波警報の発表は、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震以来、日本海沿岸に限って見れば1993年(平成5年)7月12日発生の北海道南西沖地震以来30年ぶりとなり、累計6回目となった[9]

日本国外でも、ロシア極東や北朝鮮で津波注意報が発表され、韓国気象庁も慶尚北道と江原道の沿岸に津波の注意情報を発信した。

能登半島では2020年ごろから地震活動が活発な地域であり、2022年2023年マグニチュード(M)6クラスの地震が立て続けに発生していた。今回の地震が発生したことで、2023年5月の地震については本地震の前兆であった可能性が指摘されている[10]

地震[編集]

前震[編集]

最大震度7を観測した本震の4分前、16時06分ごろに最大震度5強の揺れを観測する地震が能登地方で発生した。この地震で、16時06分8.1秒の地震波検知から6.0秒後の16時06分14.1秒に、石川県に緊急地震速報(警報)が発表されている[11]

  • 発震:2024年(令和6年)1月1日 月曜日 16時06分 6.1秒(日本標準時、気象庁基準)[4]
  • 震央:石川県能登地方
  • 震源の深さ:10キロメートル
  • 地震の規模:マグニチュード(M)5.5[4]

本震[編集]

前震の4分後、16時10分ごろに本震が発生。地震波検知から6.0秒後の16時10分16.0秒に、前震と同様に石川県に緊急地震速報(警報)が発表された。地震波検知から33.1秒後の第20報警報では、対象範囲が富山県新潟県長野県岐阜県群馬県に拡大、さらに57.1秒後の第30報警報では、北陸・新潟・甲信・東北・関東・東海・近畿に拡大された[12]。また、長周期地震動階級3の予測を石川県能登に発表した[12]

  • 発震:2024年(令和6年)1月1日 月曜日 16時10分 22.5秒(日本標準時、気象庁基準)[4]
  • 震央:石川県能登地方 輪島の東北東30km付近[3]
  • 震源の深さ:16キロメートル(気象庁暫定値)[4][13]
  • 地震の規模:マグニチュード(M)7.6[3]

震度[編集]

地震発生時は最大震度を6強としていたが、間もなく震度7に繰り上げられた。このとき最大震度である震度7を観測した地域は志賀町香能(のみ)と発表していたが、強い揺れの影響で1日に地震計のデータが届いていなかった箇所の分析を実施したことにより、発生から約3週間後の1月25日には輪島市の地震計(輪島市門前町走出)でも震度7(計測震度6.5)を観測していたことが判明した[14][15][16][17]。1度の地震で震度7を2地点の地震計で観測した地震は、熊本地震本震以来で観測史上2例目となる[18]。このほかにも同調査によって能登町松波では震度6強(計測震度6.2)、能登町柳田では震度6弱(計測震度5.8)を観測していたことが判明している[14]

また、防災科学技術研究所の公表している推計震度分布によると、実際の地震計で震度7を観測した志賀町・輪島市の他にも、珠洲市・能登町・穴水町・七尾市でも震度7相当の揺れが生じていたと推定される地域がある[19]

震度5弱以上が観測された気象庁の発表地点[3][20][21]
震度 都道府県 観測点名
7 石川県 輪島市門前町走出 志賀町香能
6強 石川県 七尾市垣吉町 七尾市能登島向田町 輪島市鳳至町 輪島市河井町 珠洲市三崎町 珠洲市正院町 珠洲市大谷町 穴水町大町 能登町松波
6弱 新潟県 長岡市中之島
石川県 七尾市本府中町 七尾市袖ヶ江町 志賀町富来領家町 志賀町末吉千古 中能登町末坂 中能登町能登部下 能登町宇出津 能登町柳田
5強 新潟県 新潟市中央区美咲町 新潟市南区白根 新潟市西区寺尾東 新潟市西蒲区役所 長岡市小国町法坂 長岡市山古志竹沢 長岡市寺泊敦ケ曽根 三条市西裏館 三条市新堀 柏崎市西山町池浦 柏崎市日石町 見附市昭和町 燕市分水桜町 糸魚川市一の宮 糸魚川市能生 妙高市田口 上越市大手町 上越市木田 上越市柿崎区柿崎 上越市頸城区百間町 上越市吉川区原之町 上越市三和区井ノ口 佐渡市相川三町目 佐渡市岩谷口 佐渡市千種 佐渡市河原田本町 佐渡市赤泊 佐渡市小木町 南魚沼市六日町 阿賀町鹿瀬中学校 刈羽村割町新田
富山県 富山市新桜町 高岡市伏木 氷見市加納 小矢部市泉町 小矢部市水牧 南砺市蛇喰 射水市久々湊 射水市小島 射水市本町 射水市橋下条 射水市二口 射水市加茂中部 舟橋村仏生寺
石川県 金沢市西念 小松市小馬出町 小松市向本折町 加賀市大聖寺南町 羽咋市柳田町 羽咋市旭町 かほく市浜北 かほく市宇野気 能美市中町 能美市来丸町 能美市寺井町 宝達志水町水町子浦 宝達志水町今浜 中能登町井田
福井県 あわら市市姫 あわら市国影
5弱 新潟県 新潟市北区東栄町 新潟空港 新潟市中央区関屋 新潟市江南区泉町 新潟市秋葉区程島 新潟市秋葉区新津東町 新潟市西蒲区巻甲 長岡市浦 長岡市上岩井 長岡市小島谷 長岡市金町 長岡市寺泊烏帽子平 長岡市与板町与板 小千谷市城内 小千谷市旭町 加茂市幸町 十日町市千歳町 十日町市松代 十日町市松之山 燕市秋葉町 燕市吉田西太田 燕市糸魚川市大野 燕市青海 妙高市田町 妙高市関山 五泉市太田 上越市中ノ俣 上越市安塚区安塚 上越市牧区柳島 上越市大潟区土底浜 上越市中郷区藤沢 上越市板倉区針 上越市名立区名立大町 阿賀野市岡山町 阿賀野市姥ヶ橋 佐渡市畑野 佐渡市羽茂本郷 佐渡市真野新町 佐渡市相川栄町 佐渡市両津支所 佐渡市新穂瓜生屋 出雲崎町米田 出雲崎町川西
富山県 富山市石坂 富山市八尾町福島 富山市婦中町笹倉 高岡市広小路 高岡市福岡町 滑川市寺家町 黒部市植木 砺波市栄町 砺波市庄川町 南砺市天池 南砺市荒木 南砺市城端 南砺市下梨 南砺市上平細島 南砺市井波 南砺市苗島 上市町稗田 立山町吉峰 立山町芦峅寺 朝日町道下
石川県 金沢市弥生 輪島市舳倉島 加賀市直下町 加賀市山中温泉本町 かほく市高松 白山市美川浜町 白山市鶴来本町 津幡町加賀爪 内灘町大学
福井県 福井市豊島 坂井市三国町中央 坂井市丸岡町西里丸岡 坂井市坂井町下新庄 坂井市春江町随応寺
長野県 長野市豊野町豊野 信濃町柏原東裏 栄村北信
岐阜県 高山市上宝町本郷 飛騨市河合町元田

長周期地震動[編集]

長周期地震動については、最大階級である階級4を石川県七尾市で観測した[22][23]。階級4の揺れを観測したのは2022年(令和4年)3月16日福島県沖地震以来となる[24]。また、震度3~2を観測した関東地方でも階級2を観測しており、酔うような揺れが長く続いた。

長周期地震動に関する観測情報[25]
階級 都道府県 観測点名
階級4 石川県 七尾市本府中町、志賀町富来領家町
階級3 新潟県 上越市大手町、小千谷市城内南魚沼市六日町新潟空港新潟市中央区美咲町 、新潟市秋葉区程島、新潟市西蒲区役所
富山県 魚津市釈迦堂朝日町道下、高岡市伏木、小矢部市泉町
石川県 羽咋市柳田町、金沢市西念、津幡町加賀爪
長野県 諏訪市湖岸通り
階級2 秋田県 能代市緑町
山形県 酒田市亀ケ崎、遊佐町遊佐・小原田、河北町吉田、米沢市駅前
茨城県 坂東市岩井、筑西市舟生
埼玉県 熊谷市桜町、久喜市下早見、さいたま市浦和区高砂
千葉県 多古町多古、一宮町一宮、千葉市中央区中央港、千葉市美浜区ひび野、成田国際空港柏市旭町浦安市日の出
東京都 千代田区大手町港区海岸新宿区西新宿墨田区横川江東区青海東京国際空港杉並区阿佐谷江戸川区中央
神奈川県 横浜市鶴見区大黒ふ頭川崎市中原区小杉陣屋町
新潟県 上越市中ノ俣、長岡市幸町、出雲崎町米田、五泉市村松乙、胎内市新和町、佐渡市相川金山・相川三町目
富山県 富山市石坂・八尾町福島立山町吉峰、南砺市天池
石川県 輪島市舳倉島・鳳至町、能登町宇出津、小松市小馬出町、加賀市直下町
福井県 福井市豊島
長野県 長野市箱清水、軽井沢町追分、安曇野市穂高支所
愛知県 名古屋市千種区日和町愛西市稲葉町
三重県 四日市市日永、鈴鹿市西条
大阪府 関西国際空港
兵庫県 西宮市宮前町
和歌山県 紀の川市粉河

このほか、階級1を青森県から徳島県までの広いエリアで観測した[22][24]

一連の地震活動・余震[編集]

一連の地震活動において、1月1日16時06分から2月19日14時までに震度5弱以上を17回、震度1以上の地震を1,664回観測している[2]。余震活動は能登・北陸地方に留まらず、近畿地方でも兵庫県で9回の震度1以上の地震[26][27]滋賀県では16回の震度1以上を観測している[28]。特に兵庫県では1月に観測された震度1以上の揺れはすべて能登地震関連であった。

最大震度5弱以上の地震[2][4][29][30][31][32][33]
発生年 発生日 発生時刻 震央 震源の深さ 地震の規模 最大震度 最大震度観測地 出典 備考
2024年 1月1日 16時06分 能登地方 12 km M5.5 震度5強 珠洲市 [34] 前震
16時10分 能登地方 16 km M7.6 震度7 輪島市・志賀町 [3] 本震
16時18分 能登地方 11 km M6.1 震度5強 七尾市・穴水町 [35] 余震
16時56分 能登地方 14 km M5.8 震度5強 穴水町 [36]
17時22分 能登地方 12 km M4.9 震度5弱 珠洲市 [37]
18時03分 能登半島沖 14 km M5.5 震度5弱 珠洲市 [38]
18時08分 能登半島沖 14 km M5.8 震度5弱 珠洲市 [39]
18時39分 能登半島沖 10 km M4.8 震度5弱 志賀町 [40]
20時35分 能登半島沖 2 km M4.5 震度5弱 志賀町 [41]
1月2日 10時17分 能登地方 10 km M5.6 震度5弱 穴水町 [42]
17時13分 能登半島沖 6 km M4.6 震度5強 志賀町 [43]
1月3日 2時21分 能登地方 12 km M4.9 震度5強 珠洲市 [44]
10時54分 能登地方 13 km M5.6 震度5強 輪島市 [45]
1月6日 5時26分 能登地方 10 km M5.3 震度5強 穴水町 [46]
23時20分 能登半島沖 5 km M4.3 震度6弱 志賀町 [注 4] [47]
1月9日 17時59分 佐渡付近 10 km M6.0 震度5弱 長岡市 [54]
1月16日 18時42分 能登地方 10 km M4.8 震度5弱 志賀町 [55]
6月3日 6時31分 能登地方 14 km M6.0 震度5強 輪島市・珠洲市 [注 5] [57]

誤報[編集]

1日23時3分ごろ、新潟県佐渡を震源とする余震が発生。気象庁はこの地震について石川県能登で最大震度7を観測したと震度速報を発表したが、緊急地震速報の警報がないまま速報が流れたことを不審に思った気象庁の職員が観測地を調べた結果、実際には震度3の地震であったと判明し、地震発生から9分後に取り消された[58]。誤報として発表された震度7の震度速報は、同日16時10分に観測された本震と全く同じ内容であった。原因については気象庁で精査中としている[59]。その後3月に「1日16時の本震と一繋がりの地震、とシステム内で誤って処理されていたため」と発表した[60]

津波[編集]

本震により津波も発生した。本震発生から3分後の16時13分には気象庁より各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報が通達され、富山県、石川県、新潟県の沿岸部に津波警報が、北海道日本海沿岸から山口県日本海沿岸までに津波注意報が発出された[61][62]。さらに16時23分の各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報2報では、大津波警報が石川県能登に追加され、併せて日本列島の日本海沿岸の広範囲に津波注意報・津波警報が拡大された[63]。その後、津波注意報は2日10時に津波予報(津波による海面変動に留意)に変更という形で解除された[64][65][66]

16時21分、輪島港において1.2mの津波が観測されたが、それ以降のデータが入って来ずにさらに高い津波が押し寄せた可能性があるため、気象庁は「1.2m以上」として観測地を発表した[13][67][68]。気象庁が7日に調査した結果、輪島港では地震による海底の隆起により設備に不具合が生じていたことが判明した。このため気象庁は2月8日に当該津波観測データを「欠測」扱いとし、精査後の津波の観測値は金沢市と山形県酒田市の80cmが最も高い値となった。なお、気象庁による輪島港の現地調査では高さ5.8mまで津波が押し寄せたとする推定値が報告されている[69]。同様の潮位計の不具合は、4日午後の時点で輪島市輪島、珠洲市長橋の観測点でも発生していたが[70]、このうち珠洲市長橋の津波観測点では、地震により海底が隆起した影響で発災直後より津波の観測そのものが不可能となっていたことが判明している[71]。津波のおそれがある大規模地震では、地震計のデータを用いて「各地の満潮時刻・津波到達予想時刻に関する情報」を発表しているため、津波警報発表への影響はない[72][73]

気象庁の機動調査班(JMA-MOT)は、土木学会海岸工学委員会などで組織された「能登半島地震津波調査グループ」に参画し、11日から20日までの間に、津波が陸地を駆け上がった最高地点を示す遡上高や痕跡高を計測・推定した。遡上高が最も高い数値であったのは新潟県上越市船見公園で、5.8m(速報値)の高さであったと推定している。その他に同市の直江津海水浴場で4.5mに達していたことが判明している。痕跡高は石川県能登町白丸で4.7m、珠洲市飯田港で4.3mにそれぞれ達していたことが判明している。津波観測値において最大の1.2m以上を観測した輪島港では[注 6]、浸水の痕跡が確認できず、遡上高などの推定が不可能であった[74][75][76]

日本国外でも、韓国江原道で最大67cmの津波[77]を、ロシア極東のウラジオストクやmナホトカでは最大30cmの津波を観測した[78]

津波警報の発表範囲および津波観測結果[79][13]
警報・注意報 津波予報区の名称 予想高さ 観測点 観測時刻 津波の高さ(最大)
大津波警報 石川県能登 5 m 輪島港 1日16時21分 1.2 m以上[注 6]
七尾港 1日18時59分 0.5 m
津波警報 山形県 3 m 飛島 1日17時52分 0.4 m
酒田 1日19時8分 0.8 m
新潟県上中下越 新潟 1日17時9分 0.3 m
柏崎市鯨波 1日16時36分 0.4 m
佐渡 佐渡市鷲崎 1日21時15分 0.3 m
富山県 富山 1日16時35分 0.8 m
石川県加賀 金沢 1日19時9分 0.9 m
福井県 敦賀港 1日20時28分 0.5 m
兵庫県北部 豊岡市津居山 1日19時20分 0.4 m
津波注意報 北海道日本海沿岸北部 1 m 留萌 2日7時19分 0.3 m
石狩湾新港 2日1時35分 0.3 m
利尻島沓形港 1日23時45分 0.3 m
小樽市忍路 2日8時36分 0.2 m
北海道日本海沿岸南部 江差 1日19時45分 0.3 m
瀬棚港 1日18時26分 0.6 m
岩内港 2日0時26分 0.5 m
奥尻島奥尻港 1日18時7分 0.5 m
奥尻島松江 1日18時1分 微弱
北海道太平洋沿岸西部 観測なし
青森県日本海沿岸 深浦 1日18時4分 0.3 m
秋田県 秋田 1日23時36分 0.3 m
京都府 舞鶴 2日0時43分 0.4 m
鳥取県 岩美町田後 1日19時18分 0.2 m
境港市 1日22時30分 0.6 m
島根県出雲・石見 浜田 1日21時46分 0.3 m
隠岐 隠岐西郷 1日17時50分 0.3 m
山口県日本海沿岸 観測なし
福岡県日本海沿岸 観測なし
佐賀県北部 唐津港 2日6時55分 0.1 m
玄海町仮屋 2日6時23分 0.3 m
壱岐・対馬 対馬比田勝 2日0時1分 0.3 m
壱岐島郷ノ浦港 2日6時15分 0.2 m

被害[編集]

石川、福井、富山、新潟、岐阜の5県で被災があった。

石川県[編集]

輪島市で老舗の漆器店のビルが倒壊して隣の家屋を押し潰して2名が逃げ遅れた。この他に家屋がおよそ8,000軒で倒壊、市の中心部で朝市通りの家屋約200軒が火災、県内各地で停電輪島市珠洲市で8000戸以上、七尾市で2300戸、断水も各地で発生。金沢大学近くの住宅で法面が崩壊。珠洲市馬緤町の赤神海岸にある観光名所「ゴジラ岩」は、地盤の隆起の影響で完全に陸続きとなった[80]。同じく珠洲市に位置する天然記念物・名勝「見附島」では強い揺れの影響で崩落が拡大した。珠洲市飯田町の春日神社では2022年の地震から3年連続で鳥居が崩壊した[81]

警察庁は1月1日午後9時半現在の情報として、石川県七尾市で男女2人が心肺停止の状態であると明らかにした[82]。消防は後に死亡が確認されたことを明らかにした[83]

1月2日12時現在の消防庁のまとめでは、6人が死亡、3人が重傷、30人が軽傷となっていた。これ以降も増加し、12時時点では共同通信によると24人[84]、読売新聞によると21人[85]が死亡となり、負傷者も50人以上にふくれ上がった。さらに、輪島市は2日午前11時の時点で市内での死者が15人確認されたことを発表した[86]日本テレビ放送網は1月2日14時、「輪島市、七尾市、珠洲市、羽咋市、志賀町、穴水町であわせて30人以上の死亡が確認されている」と発表し、輪島市内にて生き埋めが14件発生していることが報告された[87]。2日16時時点の消防庁のまとめでは死者30人、重傷者17人、軽傷者90人となっている[88]。また、2日午後9時半現在の石川県のまとめでは、石川県内の死者が57人、重傷者は22人が確認されている[89]。4日には石川県内の死者数は84人にまで増加し、さらに行方不明者が6人、安否不明者が179人存在することが判明した[90]。1月6日には確認された死者数が100人に達し、さらに10日には200人に達した[91]。1月26日時点では236人が死亡、1,285人が負傷と判明している[92]。さらに地震発生から1ヶ月以上が経過した2月19日時点では、死者241人、1,296人が負傷と判明している[93]

富山県[編集]

氷見市北大町で住宅倒壊多数 (富山県道373号薮田下田子線沿線、上庄川ユースホステル唐島荘近く)。県内全体では156軒の住宅全壊・461軒の住宅半壊が発生した[93]富山市で道路陥没。停電も富山県内で10戸以下。氷見市で約10000世帯、高岡市伏木駅周辺で5000世帯が断水

新潟県[編集]

県内で住宅95軒が全壊・2,427軒が半壊した[93]新潟市液状化現象地割れ道路が陥没。原油が噴き出す。糸魚川市市振漁港漁船が1隻沈没。

福井県[編集]

県内で住宅11軒が半壊した[93]。合計6人が軽傷を負った[94]罹災証明書は合計で235件発行され、うち8割が県内北部に位置し震源に近いあわら市でのものであった[95]

墓地[編集]

この地震では寺院や自治体が運営する墓地に倒壊などの被害が相次いだ。中には墓石が転倒したことにより遺骨が露わになったものや、それまでの群発地震により被害を受けて再建したものもあった。珠洲市の公営墓地では通路が通れない状態になり、復旧の目途が立たなくなった。能登半島に留まらず、金沢市、富山県、福井県などの公営墓地でも被害が出た[96]。被災地にある石材店の中には例年の同じ時期の数十倍もの修理依頼が殺到したが、墓の建て方や材料となる石の種類が地域によって異なり地元以外の石材店では建て直しが難しい事例もある上、持ち主や被害状況が不詳な墓もあるなどして作業が追い付かない状況となった[97]。当初は修理を行って墓を残したいという意見も多かったが[96]、修理費用などの兼ね合いから墓じまいを選択する所有者も増えてきている[98]

香川大学地元孝輔による調査では、おおむね震度6弱以上の地域から墓石に被害が出始めていたが、震源となった断層からの距離がやや近い地域では震度5弱程度の揺れでも竿石の若干の移動や転倒などの軽微な被害が見られた。墓石が転倒している割合とその墓石のある集落、またはその墓石の近くの集落において発生した被害の大きさとの間にはおおむね正の相関関係があったが、距離が比較的近い墓地の間でも被害の状況がかなり異なった事例も数件確認されている。また、集落の中心部と墓地が離れているために被害状況に差が見られた事例もあった。墓石が転倒した割合は輪島市町野町広江や同市河合町、七尾市能登島町野崎町などで90 %を超えた一方、穴水町中心部から能登町宇出津地区にかけての沿岸部、輪島市門前町から志賀町富来までの沿岸部などでは揺れが激しかった割に墓石の転倒率が低く、10 %未満であった地区もある。金沢市北町や内灘町では転倒した墓石はなかったが、富山県内でも氷見市阿尾では半数の墓石が転倒した[99]

冠婚葬祭[編集]

奥能登にある火葬場である輪島市のやすらぎの杜、珠洲市の珠洲市営斎場は地震により全ての火葬炉が被害を受け使用できなくなった[100]。特に珠洲市営斎場では棺を運ぶ台車が脱線しただけではなく、ケーブルが外れ、分電盤が倒れ、火葬に必要な燃料や空気が配管の損傷により火葬炉に送れない状態となったため、再開の見込みは立たなくなった[101]。能登町の能登三郷斎場も、3台の火葬炉のうち2台が使用できない状態になり、残り1台についても1日に火葬できる遺体は2体までとなったため、4日に火葬の受け付けを停止した。七尾市のななか斎場も損傷を受けたが1月4日には復帰し、通常の火葬を再開できた[102]。このような状況から、石川県葬祭業協同組合は、金沢市と小松市の各2か所、小松市、能美市、内灘町の各1か所の合計7か所の火葬場に対し広域火葬の受け入れを要請したが、交通事情が非常に悪く霊柩車を用いた遺体の搬送が難しい上、受け入れ先の火葬場でも受け入れ可能な遺体の数を超える場合があったため、火葬されるのに死亡から1週間以上かかる遺体も出ている。さらに、も不足し、他県の寝台車も用いた輸送が必要となった[100]ため、12日からは全国から寝台車15台の支援を受けた[103]。中には自ら遺体を金沢市などまで運ばなければならない人もいたが、法令上、警察による検視が行われなければ遺体は移動できないため、遺体を運びたくても運べない事例もあった[104]。遺体を保存するためのドライアイスも不足したために市外から調達する必要が生じた[101]。遺体の腐敗を防ぐために遺族の了承を得た上でエンバーミングも行われたが、遺体の数が多いことから納棺に費やせる時間も通常は遺体1体あたり1時間ほどであるところ30分ほどに縮まり、生命の尊厳にも関わる事態となった[105]

被災したカップルに対し無料で結婚式を執り行う取り組みもあった[106]

集団避難[編集]

1月17日輪島市の市立中学校3校の生徒401人のうち保護者が同意した258人が白山市の県立施設に集団避難した。輪島市の教員25人が施設内で授業を行う。また、珠洲市能登町は1月17日、同意した中学生144人が保護者の元を離れて1月21日金沢市1月21日に集団避難すると明らかにした。両市町の校舎が避難所として使われていることから学習機会の確保を目的に実施する。[107]予定は2か月。

詳細は「疎開」を参照

交通への影響[編集]

鉄道[編集]

新幹線[編集]

本震発生直後、緊急地震速報の警報対象範囲を走る東北北海道山形秋田北陸上越の各新幹線全区間と、東海道新幹線山陽新幹線東京 - 小田原間、豊橋 - 新神戸間)において一時運転を見合わせた。このうち上越新幹線越後湯沢 - 新潟間・北陸新幹線長野 - 金沢間では安全確認のため終日運転を見合わせた[108]。特に震源地に近い北陸新幹線では、1月2日未明になっても富山 - 金沢間で4本の列車が動けずにいたが、3時ごろより順次運転を再開した。4時過ぎまでに富山駅・金沢駅にそれぞれ2本ずつ列車が到着し、車両は運転再開まで「列車ホテル」として休憩用に開放された[109]。その後安全確認が完了し、同日14時38分ごろに上越新幹線が、15時20分ごろに北陸新幹線が全線で運転を再開した[110]。なお、北陸新幹線のグランクラス車両では、地震発生の影響により一部の列車で車内サービスが中止されている[111]

地震発生時が「最繁忙期」に当たる年始シーズンの帰省ラッシュであったことに加え、能登空港の被災や、2日に発生した日本航空516便衝突炎上事故による相次ぐ羽田空港発着便の欠航を鑑み、東海道新幹線や東北新幹線、そして北陸新幹線では旅客の救済として3日~4日に臨時列車を急遽増発した[112][113][114][111]

増発された新幹線列車[111]
路線 列車名 始発駅 終着駅 途中停車駅 備考
北海道新幹線
東北新幹線
はやて546号 新函館北斗駅 (19時4分発)[注 7] 東京駅 (23時36分着) 新青森駅盛岡駅仙台駅大宮駅上野駅 10両編成
普通車全席自由席
北陸新幹線 はくたか696号 金沢駅 (19時38分発) 東京駅 (22時20分着) 新高岡駅富山駅上越妙高駅長野駅、大宮駅、上野駅 12両編成
普通車全席自由席
東海道新幹線 のぞみ835号 東京駅 (9時24分発) 新大阪駅 (11時54分着) 品川駅新横浜駅名古屋駅京都駅 16両編成
普通車全席自由席
3日のみ運行
のぞみ847号 東京駅 (10時24分発) 新大阪駅 (12時54分着)
のぞみ883号 東京駅 (11時42分発) 新大阪駅 (14時12分着)
のぞみ895号 東京駅 (12時42分発) 新大阪駅 (15時12分着)

JR在来線[編集]

JR在来線では、大糸線羽越本線信越本線篠ノ井 - 長野間、直江津 - 新潟間)、上越線篠ノ井線中央本線白新線磐越西線飯山線越後線小海線只見線弥彦線米坂線城端線北陸本線高山本線七尾線小浜線越美北線(九頭竜線)、氷見線の各線が一時運転を見合わせた。その後、北陸本線をはじめとした石川県内・富山県内の在来線を中心に終日運転見合わせとなり、特急サンダーバード」「しらさぎ」「能登かがり火」「ダイナスター」などについても終日運休となった[115][116]。高山本線の特急「ひだ」についても高山 - 富山間で一部が運休となった。2日から3日以降、安全確認が完了した路線から順次運転が再開されたが、越後線では地震による内野 - 新潟大学前間での線路道床陥没発生の影響で、6日13時ごろまで関屋 - 越後赤塚間で運転を見合わせた[117][118][119][120]東日本旅客鉄道(JR東日本)は、本地震の発生によって旅行を見合わせる場合、越後線の同区間を経由する1月1日の使用前の切符については無料で払い戻しを可能とする特例を設けた[121]。また、大糸線糸魚川 - 南小谷間)、氷見線では、レール損傷被害のため6日14時30分頃まで運転を取りやめた[118][120][122]

七尾線では羽咋駅でのホーム損傷や、和倉温泉 - 七尾間での特急「能登かがり火」用のJR西日本681系電車パンタグラフ架線が絡まることによる破損・車両孤立など[123][124][注 8]、多数の被害が認められた。七尾線の羽咋 - 七尾間は22日に復旧し、始発から運転を開始した[125]。同線を走る特急「能登かがり火」は2月3日より金沢 - 七尾間で運転を再開[126]。七尾 - 和倉温泉間は2月15日に復旧された[127]。また、当分の間は、七尾〜和倉温泉間の1駅間において乗車券のみで特急自由席に乗れる特例も設けた。

地震発災前に開催が予定されていた、北陸三県誘客促進連携協議会・JR西日本が主催するイベント「デジタルスタンプラリー 北陸周遊物語 2024」は地震発生の影響を受けて中止となった[128]

JR西日本は「能登半島地震を踏まえた北陸を応援する取り組み」と題し、2月16日から3月15日までの期間限定での「北陸おでかけtabiwaパス」(北陸地方の鉄道周遊パス)の大幅値下げ(大人2,450円→980円[注 9])や、北陸発着のe5489を利用した場合に利用金額の10%のWESTERポイントの還元を行うキャンペーン、売り上げの一部を災害義援金へ寄付する旅行商品の発売などの施策を打ち出した[129][130]。JR東日本は新たに「北陸応援フリーきっぷ」を設定し、2月16日から3月15日までの期間限定で、東京都区内から北陸フリーエリア間の北陸新幹線1往復分[注 10]とフリーエリア内乗り放題がセットになった企画乗車券(大人20,000円、小児運賃設定なし)が販売される[131][132][133]。フリーエリアには北陸地方3県(福井県・石川県・富山県)のJR新幹線・JR在来線・IRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線(倶利伽羅 - 黒部間)が設定された。

日本貨物鉄道(JR貨物)の氷見線・新湊線高岡 - 高岡貨物間については6日に運転を再開した[134]。但し、JR貨物では2023年12月28日より2024年1月5日まで年末年始輸送と称した貨物列車の減便期間に入っており[135]、発災当初から運休期間中の列車の運行予定本数は僅少であった。

石川・富山の私鉄等[編集]

日本海縦貫線を構成する第三セクター鉄道えちごトキめき鉄道後述〉・あいの風とやま鉄道IRいしかわ鉄道)については、軌道破損などが見られたものの3日までに運転を再開している。このうちIRいしかわ鉄道では、22日の七尾線の羽咋 - 七尾間の復旧に伴う七尾線とIRいしかわ鉄道線の直通列車が再開されるまで、津幡駅7時59分発普通金沢行の臨時列車を設定していた[136]富山地方鉄道は、鉄道線を2日まで全線終日運休、富山港線及び環状線を含む市内電車については点検が完了した2日午前10時まで運休とした[137]

震源地に近く甚大な被害を受けたのと鉄道では、復旧工事についてはJR西日本の連携を交えて「速やかに施工を進める」とし、七尾 - 能登中島間では2月中旬の運転再開を目標としていた[138]。七尾 - 能登中島間については、2月15日に七尾線の七尾 - 和倉温泉間と同時に運転を再開し、また1ヶ月以上にわたり「運転再開の見通しが立っていない」とされていた能登中島 - 穴水間は4月上旬の運転再開予定とされた[139][140][141]。七尾 - 穴水間では1月29日より、石川県バス協会の協力により朝夕ラッシュ時を中心に1日7往復の代行バスの運行を開始した[142][143][138][144]。区間運転再開後の2月15日以降の代行バスについては能登中島 - 穴水間に変更の上で運行が行われる[140]

えちごトキめき鉄道[編集]

路線がある新潟県糸魚川市、新潟県妙高市、新潟県上越市では震度5強の地震を観測した。物的被害はなかったものの、連続して緊急地震速報が発令されているため列車を動かすことができない状況であった。また、津波警報が発令されているほか、国道や高速道路も崩落や道路陥没、土砂災害で通行できず、運行のための安全確認も困難であった。

地震発生時に走行していた列車[編集]

地震発生時に、走行していた列車・走行区間は次のとおりである。[145]

妙高はねうまライン
日本海ひすいライン
  • 8642M 親不知手前で停車 乗客22名乗務員2名
避難誘導・運転打切判断[編集]
  • 春日山直江津間に緊急停車中の2330M列車は、バスを向かわせ、乗客を救助した。
  • 1641D列車は頸城トンネル内に停車したため、携帯の電波が届かず、列車指令から無線で乗務員経由で情報を当時の乗客8名に提供した。列車指令の指示で、次の名立駅まで運転士の目視による時速15kmで運転し、20時過ぎに名立で運転を打ち切った。
  • 413系455系で運転されていた急行列車の8642M列車は、親不知駅数メートル手前で緊急停車した。[146]地震発生時、乗客22名乗務員2名が乗車していた。親不知駅は津波の危険があるため、全員、高台の公民館に避難した。急行に使われている413系455系に被害はなかった。地震発生時、413系には、「元旦」のヘッドマークを掲げられていた[147]
  • 19:20頃、2358M列車、2357M列車は、列車指令の指示で二本木駅まで最徐行で運転し、二本木で運転を打ち切った。これにより、駅間停車は20時過ぎにはすべて解消した。
  • 津波の危険がある親不知駅に緊急停車した8642M列車をのぞき、列車ホテルとして乗客を案内するか、避難所の近隣公民館を案内した。架線などに被害はなく、電力供給に問題はなかった。また、日本海ひすいラインの列車は気動車であるが、列車ホテルが稼働できるだけの燃料を十分に積んでいた[148]
運転再開[編集]

この地震に伴い、地震が発生した妙高はねうまライン日本海ひすいラインの全列車の元旦の終日運休を発表した。日没に近い時間に発生した地震であったことや、津波警報が発令されていたことから、線路点検・安全確認が取れなかったためである。また、日本海ひすいラインは、親不知駅付近に長大トンネルを有しており、安全確認に多くの時間を要した。この運休は翌日2日にも続いた。

道路[編集]

高速道路では、最大で日本海東北自動車道新潟中央IC - 荒川胎内IC間、北陸自動車道丸岡IC - 新潟中央JCT間、関越自動車道小出IC - 長岡JCT間、上信越自動車道信濃町IC - 上越JCT間、東海北陸自動車道小矢部砺波JCT - 白川郷IC間、能越自動車道の小矢部砺波JCT - 七尾IC間および穴水IC-のと三井IC区間、磐越自動車道津川IC - 新潟中央IC間で通行止めとなった[149][150][151]。のと里山海道では、複数の箇所で道路の陥没や土砂崩れなどが発生し、全線で上下線が通行止めとなった[152]。また、陥没によって道路を通行していた自動車の孤立も発生した。能越自動車道・のと里山海道は、発災から1ヶ月が経過した2月1日時点で横田IC - 穴水IC間の上下線および横田IC - 徳田大津IC間の上り線で通行止めが続けられ、柳田IC - 横田IC間の下り線では緊急車両を除いた一般車両の通行が不可となっていた。横田IC - 越の原IC間の下り線は2月下旬に、それ以外の区間は3月中旬までに1車線通行を確保し順次通行止めが解除される(予定)[153][154][155]

能登半島という山間部の多い地形条件上、道路復旧には時間が掛かっており、地震発生から3週間が経過した22日時点でも、石川県内に於いて補助国道は3路線20区間(国道249号国道359号国道471号)、都道府県道では65区間で通行止めが継続された[156]

国道8号新潟県柏崎市上越市内で土石流によって27日まで通行止めとなり、復旧までの間は代替路として北陸自動車道上信越自動車道の一部区間無料化を実施した[157]。国道8号の寸断により石川県富山県新潟県コンビニエンスストアでは臨時休業が相次いだ。国道359号は石川県と富山県の県境付近での崩落事故によって不通。富山県道373号薮田下田子線が北大町の住宅倒壊のため不通。

トヨタ自動車は、地震発生から約50分後の1日16時57分に「通れた道マップ」を公開。名称通り、通行可能な道路を地図上で確認できるサービスで、トヨタの「T-Connect」を利用する自動車から得られた交通情報データや、VICSによる最新情報などを組み合わせたマップである[158][159][160]。公開直後はアクセスが集中したため、必要な人のみマップを利用するようアナウンスも行われた。

航空[編集]

小松空港能登空港(のと里山空港)、新潟空港を発着する便は1月1日の地震発生から、深夜まですべて欠航した。

能登空港[編集]

能登空港(のと里山空港)では、周辺の道路が寸断されたことから2日時点で約500人が孤立した[161]。揺れの影響でターミナルビルに設置されている天井パネルが落下した[162]。また滑走路も長さ10m・深さ12cmほどの亀裂が4~5ヶ所に生じており、2日以降も発着便が欠航を続けた[163]。ひび割れの中で最大の段差となった深さ12cmのものを補修したことで11日に仮復旧がなされ、翌12日より自衛隊機を中心に供用を再開し、援助物資の輸送や被災者の「二次避難所」への移送が可能になった[164][165]

民間旅客機の運航は27日より再開。地震以前より唯一能登空港に定期就航していた全日本空輸(ANA)では、羽田空港と能登空港を結ぶ臨時便を2月末まで週に3便・1日1往復(火曜日木曜日土曜日運航)設定した[注 11]。臨時便の初便では石川県在住の家族や災害ボランティア、取材メディアらの62名が搭乗した[162][166][167]。当初は25日からの再開予定だったが、同期間にかけて暴風雪が発生した影響で運航再開が27日に変更となった[168]

羽田 - 能登間の臨時便[166]
区間 便名 出発時刻 到着時刻 使用機材
羽田→能登 NH1451 10時30分 11時30分 ボーイング737-800
能登→羽田 NH1452 13時50分 14時55分

バス[編集]

地震発生時より、路線バス高速バス共に軒並み終日運転を見合わせた。

日本海観光バスの夜行高速バス「ブルーライナー北陸便」(大阪 - 金沢)は、1月2日の試運転で異常が無いことを確認したことから同日発の夜行便より運転を再開している[169]。また、地震の影響で金沢駅西口バスターミナルの路面の一部に道路陥没が発生したため、1月7日まで高速バス乗り場を西口4番のりばから西口1番のりばへと変更した[170]

能登地域に路線網を広げている北鉄バスでは、北鉄奥能登バスについては1月26日現在も全便が運休、北鉄能登バスについては減便や一部バス停の通過措置を講じている。金沢 - 能登間を結ぶ北鉄特急バスでは、1月25日より運行を再開[171][172]。輪島特急線2往復、珠洲特急線1往復、珠洲宇出津特急線1往復の運行をそれぞれ再開し、運賃は1ヶ月間無料、利用は被災者とその親族を優先させる[173]

避難施設[編集]

富山県富山市高岡市ですべての小学校中学校に避難施設を開設。

  • 富山市-74か所
  • 高岡市-56か所

救援・支援活動[編集]

政府・都道府県・市区町村・行政機関[編集]

災害対策本部の設置[編集]

都道府県ごとの災害対策本部の設置状況[93]
  • 石川県:1月1日16時06分 設置
  • 新潟県:1月1日16時10分 設置
  • 富山県:1月1日16時10分 設置 → 1月26日17時00分 廃止
  • 愛知県:1月1日16時10分 設置 → 1月1日20時45分 廃止
  • 山形県:1月1日16時22分 設置 → 1月9日12時00分 廃止
  • 福井県:1月1日16時22分 設置 → 1月4日13時00分 廃止

民間企業・団体・個人[編集]

企業・業界団体[編集]

ファイル:Noto earthquake donation box - Kanagawa - 2024 jan 12.jpeg
神奈川県内の商店に設置された募金箱
  • LINEヤフーYahoo!基金にて、1月1日から3月31日18:00までを期間として募金の受付を開始した[177]。また、LINEヤフーが3月11日に実施する「3.11 これからも、できること。」(東日本大震災復興応援プロジェクト)では、Yahoo!検索LINEで「3.11」と検索することで10円が寄付されるプロジェクト「検索は、チカラになる。」の検索数の一部を能登半島を支援する団体にも寄付する予定[178]
  • イオンは1月3日より、1月31日までを期間として全国のイオンのグループ店舗約1万カ所やキャッシュレスなどを活用して募金の受付を開始した[179]。この寄付金5億8226万円に、イオン並びに関連会社からの寄付を加えた総額11億6452万5132円が2月26日から3月6日にかけて新潟県、富山県、石川県に贈呈された[180]
  • 楽天グループは1月4日から、2月5日までの期間で支援のための募金受け付けを開始した[181]。寄せられた寄付金の総額は3億3329万4198円であった[182]
  • アークスは1月4日、グループ各店舗の店頭に募金箱を設置したことを発表した[183]
  • テレビ朝日は1月4日、ドラえもん募金を開始した[184]。同月23日、2億1000万円を石川県に寄託したと発表した[185]
  • 日本テレビは1月5日、『24時間テレビチャリティー基金』から石川県に1000万円、新潟県、富山県、福井県にそれぞれ500万円の義援金の拠出を決定した[186]。一方、今回の地震に対する募金活動は昨年発覚した系列局の日本海テレビ社員の寄付金着服の事案を受け再発防止策などを公表できるまで募金活動は見合わせていたため、同局の報道・情報番組では、日本赤十字社ジャパン・プラットフォーム(JPF)に寄付するよう案内していた[187]。その後、7月16日から約1か月間にわたって、通常の番組募金活動と並行する形で24時間テレビの能登半島地震復興応援募金を行った[188]
  • イトーヨーカドーヨークマートなどは1月5日、1月21日までの期間で全国の店舗で募金の受付を行うことを発表した[189]。結果、2億7598万9129円の寄付金が寄せられ、石川県・新潟県・富山県の口座へ送金された[190]。さらに、1月22日から2月18日までの期間で第2次募金が受け付けられ、1億9928万4245円の寄付金が2月29日に石川県・新潟県・富山県の口座に寄託された[191]
  • 江差町の江差旅館組合は1月6日、友好都市である珠洲市に義援金を送るため町内4つの宿泊施設で募金箱を設置した[192]
  • 吉本興業ホールディングスは1月7日、同日より全国の直営劇場や同社主催の公演会場等に募金箱を設置し支援金の受付を開始することを発表した[193]
  • 全国FM放送協議会は1月9日、7月9日18:00までの期間で募金の受付を開始した[194]
  • 弘前桜まつり協賛会(弘前さくらまつりに出店しているおよそ200店が加盟)は、弘前市に100万円の義援金を贈った。弘前市は、社会福祉協議会を通じて、日本赤十字社に全額を届けることにしている。(1月9日報道)[195]
  • 沖縄県の石油供給会社りゅうせき副社長らの根路銘剛宏が10日沖縄県庁を訪れ、知事の玉城デニーに災害義援金500万円を手渡した[196]
  • 石川県を舞台とするアニメ『花咲くいろは』シリーズ(TV版全26話と劇場版)の、震災からの復興を目的としたチャリティー配信が発表された(1月11日報道)。1月12日18時からYouTubeでプレミア配信し、配信からの収益を湯涌温泉を通じて震災からの復興に充てる[197]
  • アミューズは1月15日、2月29日18:00までの期間で募金の受付を開始した。その結果、78万3692円の支援が寄せられた[198]
  • ヤマト運輸は1月23日、石川県へ1億円を寄付することを公表した[199]
  • TBSテレビTBSラジオJNNJRN共同災害募金で受付中。2月5日現在434,747,395円が寄せられ全額日本赤十字社の該当口座に振り込まれた[200]
  • フジテレビサザエさん募金で2月15日まで受け付けた[201]。その結果、5億2386万0566円の寄付金が集まり、2月29日に日本赤十字社に寄託された[202]
  • テレビ東京TXNチャリティ募金で義援金を受け付けた[203]
  • 武蔵野銀行は1月23日、義援金500万円を寄付した。これには1月11日から17日まで行員約2,500人から寄せられた緊急募金約129万円が含まれる[204]
  • 西武ホールディングスは1月26日、日本赤十字社を通じて災害義援金として3,000万円の寄付を発表した。また、石川県内の避難所数カ所にプライバシー確保のための紙管間仕切りユニットと段ボールベッドを設営するNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークに支援金として、同社連結子会社の西武リアルティソリューションズが300万円を支払った[205]
  • 愛しとーとは1月29日、フジネットワークが受け付けている「サザエさん募金」へ100万円を寄付した[206]
  • 東京東信用金庫城南信用金庫は1月31日、東京東信金両国本部で被災者を応援するためチャリティーコンサートを開催。約150人が会場を訪れた。バイオリニストの澤田智恵の呼びかけで実現。参加費は無料だが、義援金箱を設置。1人1,000円の寄付協力を呼び掛けた。義援金は能登地域の信金を通じて被災者に届けられる。2月7日には城南信金本店で開催するとしている[207]
  • TVアニメ『スキップとローファー』全12話が、2月3日18時から2月4日23時59分までフル☆アニメTVで無料公開される。期間限定チャリティ配信における収益の全額は、石川県に寄付される。珠洲市は、本作の主人公の故郷のモデル[208]
  • 三重交通グループホールディングスは2月7日、日本赤十字社三重県支部に災害義援金として1000万円を寄付した。1月24日から2月1日までに三重交通グループ26社の役員と従業員に募った募金と同社の拠出金を加えた。このほか、全国15店舗のビジネスホテル三交インで宿泊客とホテルが100円ずつ負担する「義援金プラン」を展開している[209]
  • 山陽新聞社会事業団は1月9日から2月14日まで主に岡山県内の個人、企業、団体から1970件304,068,044円の義援金が寄せられ2月15日、日本赤十字社岡山県支部に寄託した[210]

アステリアは1月3日、義援金として300万円を寄付するとともに、被災した地域の自治体、企業・団体等の早期復旧と今後の復興活動の支援を目的として、モバイルアプリ作成ツール「Platio」とデジタルコンテンツプラットフォーム「Handbook X」の無償提供を実施することを発表した[211]

  • ふなっしーは公式Xで4日、珠洲市に対しふなっしーカレンダー2024の版権料など100万円を寄付したと発表された[212]

+株式会社ポケモンは1月5日、日本赤十字社への義援金及び支援団体への寄付金として5,000万円を拠出する決定をした[213]

  • キッコーマングループは1月5日、石川県に対し義捐金として1,000万円を拠出したことを発表した[214]

非営利組織[編集]

著名人[編集]

  • ロサンゼルス・ドジャース大谷翔平は1月5日、球団などと共同で100万ドル(およそ1億4000万円)を寄付すると発表した[238]
  • お笑い芸人粗品は、1月8日、趣味の競馬3連単が的中、払戻金2412万円2370円を獲得したことを受け、全額、災害義援金として寄付したことを発表した[239][240]
  • 魔裟斗は1月18日、自身のSNSで義援金500万円を寄付したと報告した[241]
  • 大阪府羽曳野市出身のダルビッシュ有が1月19日、被災地に5000万円を寄附した。母親と弟が家族が代理で大阪府庁を訪れ、吉村知事に目録を手渡した。寄付金は大阪府を通じて被災した自治体に送られる[242]
  • 石川県輪島市出身の永井豪は1月24日、永井個人と所属プロダクションから、市と県にそれぞれ1千万円を寄付することを発表した[243]
  • 新山響平は1月24日、石川県に義援金200万円を寄付した[244]
  • ゆず北川悠仁岩沢厚治)が1月25日、1月のライブでファンから募った「石川県令和6年能登半島地震災害義援金」の募金65万3,977円、およびゆず、所属事務所セーニャの合同の寄付を併せて行った[245]
  • DISH//北村匠海は1月21日に自身のインスタグラムで被災地に義援金を寄付したと明らかにした[246]
  • 西島隆弘が1月5日、石川県が募集をしている石川県災害義援金配分委員会に1,000万円寄付したことを明らかにした[247]

物的・人的支援[編集]

3月19日までに経済産業庁が関与した上で支援物資の提供を行ったのは152社である[248]。また、複数の外食チェーンはキッチンカーを使用した炊き出しを行なった[249]

企業・業界団体[編集]

  • 1月2日早朝に国から日本パン工業会に緊急の食糧支援要請が入った。山崎製パン敷島製パンフジパンの3社が急きょ対応し、もともと能登方面に出荷予定だった分に加えて、名古屋にある工場で追加生産し、菓子パンや総菜パンを中心に、計11万5000食を届けた[250]
  • セブン―イレブン・ジャパンは1月3日、石川県七尾市と富山県氷見市にペットボトル入り飲料水計1,200本を無償提供。ローソンもパンや飲料水、カイロなどを順次配送し、医療従事者向けには石川県七尾市内の総合病院に栄養調整食品「カロリーメイト」を5,400個届ける、とした。ファミリーマートは同県内の避難所にパンを配達し、1月4日にはおにぎりを送るとした[251]。また各社とも、店頭での募金も開始した[252]
  • 中部関西東京の各電力は1月3日までの累計で社員274人の派遣を決定。電力を供給する高圧発電機車や高所作業車なども現地に送り込んで、対応に当たることとした[251]
  • 日清医療食品は1月4日より、陸路が封鎖されて配送が不可能な石川県鳳珠郡能登町の介護施設へ、ヘリコプターによる緊急物資搬入を行った[253]
  • アサヒグループ各社は1月5日、支援物資としてミネラルウォーター24万本、スポーツドリンク13万4064本、食品2,000万円相当分の提供を決定した[254]
  • イオンは石川県からの依頼に応じ1月5日までに、おにぎり1万4000、パン1万、毛布(着るタイプ)1万、紙おむつ6万、生理用品1万5000、粉ミルク5,584、哺乳瓶250、ブルーシート100を発送した[179]。10日までに寄贈は物資約137万点(約2億円相当)に達した(その後も支援を継続)。飲料水やパックご飯などの食料品のほか、簡易トイレや携帯カイロ、毛布などを贈った。被災地にある店舗も発災翌日の2日から食料品などの販売を再開しており、応援の社員を派遣している[255]
  • NTTドコモKDDIは1月6日、被災地での携帯電話の復旧を目指して、船を使った基地局の運用を共同で開始した[256]。この地震において移動体通信事業者(キャリア)は各種通信回線を復旧するために、通話とデータ通信の要となる光ファイバーケーブルの損傷確認や復旧作業を行ないつつ、移動基地局車や中継車を被災地へ派遣した。ドコモ、KDDIはそれぞれ90台前後、ソフトバンクや楽天モバイルも自社の車両を能登半島に集中させた[257]
  • モンベルは、登山用の寝袋や簡易トイレを配った。また、「アウトドア義援隊」を発足、被災者支援のための物資の配布や援助金の受け付け、現地へ支援活動に向かう団体へのサポートなどを行うとした[258]
  • 岩谷産業は、カセットこんろ1万台とカセットボンベ15万本を提供することとした[259]
  • ドローンなど無人航空機の活用を推進している日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は石川県輪島市からの要請を受けドローンを手がける4社と合同で、8日から11日までドローンを活用して医療用医薬品を被災地に届けた(こうした試みは国内初という)。医薬品は避難所で市の担当者らが被災者から聞き取った情報を基に、災害派遣医療チーム(DMAT)と薬局が協力して調達した[260][261]
  • 和倉温泉(石川県七尾市)にあるホテル「はまづる」が、客間の一部を被災者や復旧に携わる工事業者に提供することとした(10日報道)[262]
  • 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は1月10日、被災地にOTC医薬品や衛生用品など計31品目、約2万個の支援物資を提供した[263]
  • ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイは1月18日、包括連携協定先である大阪府からの要請に基づき被災地支援のため、緊急支援物資を無償提供することを発表した。パークのオリジナル商品の防寒ジャケット(中綿)200着、リゾット(インスタント食品)1,000食、クッキー/ミルククランチ(缶入りアソート菓子)500缶を寄付する[264]
  • 兵庫県養父市の運送会社山本運輸が所有する移動式ランドリー車が1月22日、石川県珠洲市の上戸小学校へ向けて出発した。ランドリー車にはコイン式洗濯乾燥機9台を搭載する。避難所で被災者の衣類洗濯などに役立てられる。同社は養父市と協定を結び、災害時に市の要請があれば、被災地へランドリー車を派遣することになっており、今回は関西広域連合で決めた支援の役割分担「カウンターパート方式」により、県の指示を受けて派遣した[265]
  • 日本RV協会が、全国から集めたキャンピングカー計39台(1月11日から珠洲市に19台、輪島市に20台が順次到着)を、全国から応援に駆けつけた自治体職員向けの宿泊場所として貸し出している。さらに11台が追加投入される見通し。1月4日に現地入りした熊本市職員が、2016年の熊本地震でも宿泊場所が不足し応援職員に不便な思いをさせた経験から、「場所を選ばず宿泊できるキャンピングカーは災害拠点で力を発揮する」と発案して協会に働きかけ、協会が全国の加盟販売店に試乗車などの提供を呼びかけたのに応じたもの。バッテリー駆動のヒーターがあり、エンジンを切っても暖かく、窓にはカーテンや覆いがある。(1月24日報道)[266]
  • JAグループ山梨は1月24日、ジュースなどの飲料200ケースを積み込んだ13トントラックが石川県志賀町役場に向けて出発した。被災地からは「飲料や甘いものが欲しい」とした要請があり、南部茶のペットボトルやモモジュースを届ける。 被災地では物資の保管場所がないため、「輸送を繰り返して必要な量を届けたい」としている[267]
  • JAグループ宮崎は、金沢市からの要請を受けて石川県に支援物資を送ることになり1月26日に出発式が行われた。支援物資は、お茶やジュースなどの飲料1,300ケースと簡易トイレ1万2000回分[268]
  • WASHハウスは、トラックの荷台部分に洗濯乾燥機6台を載せたランドリー車を輪島市に派遣、1月28日から稼働している。1日に36世帯分の洗濯と乾燥を無料で行っている。ランドリー車は同社が被災者支援に役立てようと開発。2019年の台風19号で長野市、2020年の九州豪雨で熊本県人吉市に派遣した。今回は3回目の派遣[269]
  • 日本RV・トレーラーハウス協会が派遣したトレーラーハウス10台が2月4日、石川県志賀町に到着した。仮設住宅として使用するため石川県が同協会に要請したもので、すでに第一陣として10台が到着していて合わせて20台となる。広さは37平方メートルあり、断熱性や防音性にも優れているという[270]

医療機関[編集]

  • 静岡赤十字病院は1月5日、医師や看護師、薬剤師、事務職員計7人を診療などのため派遣した。七尾市を拠点に救護所や避難所で診療にあたる[271]
  • 沖縄県医師会は1月7日、医療救護班(JMAT沖縄)の第1陣6人(医師2人、看護師2人、薬剤師1人、業務調整員1人)を石川県に派遣した。同県穴水町の穴水総合病院対策本部を拠点に、12日までの6日間、避難所などで医療活動を行うこととしている[272]
  • 八戸赤十字病院の救護班第1班が1月8日から10日までの3日間、石川県珠洲市に派遣され、被災者の救護活動に当たった。第2班は、同月15日から17日までの3日間、石川県能登町の避難所で、巡回診療に当たるとした[273]
  • 仙台赤十字病院は1月18日、医師や看護師など8人の医療チームを石川県能登町へ派遣した。活動期間は22日までで、避難所の巡回診療などの医療支援にあたる[274]
  • 高松赤十字病院が1月22日、被災者の支援を行うため、災害派遣医療チーム(DMAT)として医師1人と看護師2人、そして臨床工学技士の1人を石川県に派遣した[275]
  • 奄美市県立大島病院の災害派遣医療チーム(DMAT)は1月22日、被災地の石川県穴水町に向けて出発した。派遣されたのは、医師1名、看護師3名、臨床工学技士1名の計5名。県の要請を受け、1月24、25日、現地で医療支援活動に当たる。県は2月4日までに県内のDMAT計9チームを派遣するとしており、今回は第4陣[276]
  • 日本赤十字社山梨県支部は医師や看護師あわせて9人の医療救護班を石川県珠洲市へ派遣。メンバーは1月25日から4日間、避難所などを巡回し、災害関連死の防止も視野に被災者の診察や精神的なケアに当たる[267]
  • 日本赤十字社長崎県支部は1月25日、医師や看護師らの9人チームを医療救護班として派遣した。七尾市などの避難所で巡回診療にあたる。日本赤十字社は石川県の依頼を受けてこれまでに全国の支部から延べおよそ160班の救護班を現地に派遣している[277]
  • 京都府南丹市京都中部総合医療センターが1月24日に、災害派遣医療チーム(DMAT)の第3陣となる医師や看護師ら5人を石川県を派遣した。同センターは府の要請で4-7日と12-16日にも、金沢市にDMATを送っている。地震の負傷者や能登半島の病院からの転院者がいったん搬送される石川県立中央病院で、正式な受け入れ先を決める情報収集や搬送に携わった[278]
  • 日本赤十字社愛媛県支部は1月27日、石川県に松山赤十字病院など県内3施設の医師や看護師ら計8人を派遣した[279]
  • 日本赤十字社香川県支部の災害医療コーディネートチーム(高松赤十字病院の医師や看護師ら4人で構成)が1月28日、高松市を出発した。石川県庁の災害対策本部に入り、救護班が必要な地域の把握や、避難所に送られる支援物資の調整などを行う[280]
  • 日本赤十字社宮崎県支部は1月28日、医師1人と看護師3人から構成する医療救護班を石川県に派遣した。救護班は29日から3日間、避難所の巡回診療や、医療ニーズの調査などを行う[281]
  • 日本赤十字社徳島県支部は1月31日、徳島赤十字病院の医師や看護師ら10人から構成する医療救護班を派遣した[282]
  • 日本医師会の細川秀一常任理事は1月31日の定例記者会見で、能登半島地震への対応として30日時点で日医災害医療チーム(JMAT)を計290隊、延べ3,490人を被災地に派遣したと報告した[283]
  • 長崎災害リハビリテーション推進協議会(長崎JRAT)は2日、避難所で高齢者らが身体を動かさず筋力や認知機能の低下などに陥る生活不活発病を予防しようと、専門チームを被災地の石川県に派遣すると発表した。石川JRATから派遣要請を受けた。第1陣(3日 - 7日)は長崎リハビリテーション病院(長崎市)や長崎北病院(同)の作業療法士理学療法士の4人。避難所で生活環境整備、高齢者の運動・認知機能の低下予防支援などを行う[284]
  • 日本赤十字社山形県支部の医療救護班が2月3日、石川県に向け出発した。医療救護班は公立置賜総合病院の医師と看護師、薬剤師ら7人。この班は2月7日までの5日間、能登地方で避難所の巡回診療を行い、避難者の容態や栄養面の確認のほか、避難所の衛生面の評価などを行う。山形県支部では1月、日本海総合病院北村山公立病院の2つの医療救護班を能登地方へ派遣し、避難所での診療や被災者への声掛けなどを行ってきた。山形県支部では2月17日には山形県立河北病院から第4班となる医療救護班を派遣する予定[285]
  • 日本医師会の災害医療チーム(JMAT)として、宮崎市の古賀総合病院に勤める医師と看護師、精神社会福祉士の合わせて5人が派遣される。5人は2月5日に石川県入りし、同6日から3日間、避難所などで診療や治療にあたる。宮崎県内からJAMTが派遣されるのは3回目[286]

公的機関[編集]

  • 香川県丸亀市と市の観光協会の職員が1月18日、うどんの炊き出しを行うため、親善都市の石川県七尾市に出発した。派遣されたのは、丸亀市の職員5人と市の観光協会の職員3人である[287][288]

教育・研究機関[編集]

  • 1月5日、輪島市の避難所内に名古屋工業大学が開発した段ボール製のインスタントハウスが設営された。開発を行った同大学の教授が持ち込み設営したもの[289]
  • 栃木県鹿沼市鹿沼市立粟野中学校で1月20日、主に保護者などが同校に支援物資を持ち寄り、生徒が仕分けを担当。物資を載せたトラックが石川県七尾、珠洲、羽咋市などに向かった。活動はNPO法人県防災士会などが協力した[290]

非営利組織[編集]

  • ジャパンハートは1月2日に富山県内での物的支援を実施し、今後も継続して物資の支援を行うほか、1月3日より看護師を含む医療チームの現地での調査を開始した[226]
  • 在日中国人の公益団体龍在日華人援助協会は1月2日、毛布、飲料水、食品、おむつ、粉ミルク、薬品、レインコート、食品用ラップ、寝袋、簡易トイレ、女性用生理用品などを車に積んで被災地に出発、輪島市文化会館に届けた[291]。また、1月中旬には珠洲市を訪れ、市役所や小中学校などで炊き出しを行い、約3000食の水餃子、豚骨ラーメンなどを提供した[292]
  • 浄土真宗本願寺派は1月6日、救援物資として飲料水2,100本やアルファ米約1千食分などの食料のほか、大人用と子供用おむつ計824枚や生理用品などの日常品の搬送を開始した[293]
  • NPO法人難民を助ける会は1月6日、輪島市内で東本願寺ボランティアチームと協力して6日終日、炊き出しを実施しカレーライス700食、肉じゃが300食などを提供した。また、珠洲市ではパートナーの認定NPO法人ピースプロジェクト[294]と協力して、全員に行き渡るようにチャーハンと水餃子370人食を提供した[295]
  • 日本カーシェアリング協会は、各被災地域への調査を進め、片付けや支援活動の必要に応じた車の無償貸出支援を行うこととした[223]
  • 日本財団は1月10日から、支援物資の海上輸送支援を、被災した自治体の要請を受けて開始。物資を積んだトラックがそのまま乗船できるRORO船を使用して物資を運搬した。同22日には、能登町の宇出津漁港に、漁船や荷揚げ用のフォークリフトに使う軽油1600リットルを届けた。また、断水による影響で全滅の危機にあった石川県のブランド牛「能登牛」を育てる能登牧場にも、給水用のポンプや酪農機械を動かすための軽油を届けた[296]
  • NPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN / 代表:坂茂)が、能登半島地震の被災者のため金沢市の額谷ふれあい体育館に設置された避難所に、紙管と布を組み合わせた間仕切りを設置した。(1月13日時点で設置済み、同23日報道)[297]
  • 鹿児島県曽於市のNPO法人そお未来協議会の曽於ふれあい食堂は1月15日、被災地支援のため、キャンピングカー1台を福井県の団体(輪島市で弁当や物資提供などの支援活動を展開)に無償提供した。当面同団体スタッフの寝泊まりなどに利用する[298]
  • 石川県の一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)が、市民からの情報を元にまとめたオンライン地図を作成した。地図の名前は「能登半島地震コネクトマップ」。ネットがつながる場所で、自身の携帯キャリアまたはWi-Fiを選ぶだけで、誰でも「つながる地点」を登録できるウェブアプリ接続状況を可視化し、通信環境の改善につなげようとするもので、情報提供への協力を呼びかけている(1月16日報道)[299]
  • 埼玉県のNPO法人市民航空災害支援センターが1月17日、土砂崩れで道路が不通になり孤立状態の能登町の牧場「柳田肉用牛生産組合」に、ドローンによる水の空輸を行い、半日がかりで40往復し約960リットルの水を届けた[300]
  • 福島県郡山市のNPO法人ハートネットふくしまが1月19日、支援物資(衛生用品、炊き出し用の食材や道具など)を載せた車で石川県の被災地へ出発した[301]
  • 兵庫県丹波市市島町のNPO法人いちじま丹波太郎が、被災地で行われる炊き出しの食材、防寒具や調味料などを段ボール箱10箱で発送した[302]
  • 北海道登別市のNPO法人北海道災害救助犬災害救助犬を派遣した。石川県珠洲市で重機の入れない場所も人がいないか探索した[303]
  • 福岡市のNPO法人ウィッグリング・ジャパンが被災したがん患者らにウィッグ(かつら)を無償で提供する取り組みを始めた。現地で活動するボランティア団体を通じて届けることとしている。提供する対象は、能登半島地震で被災し、がんや脱毛症などのためにウィッグを必要としている人。女性用のリユースウィッグのほか、頭皮を保護するケア帽子も用意している[304]
  • 東日本大震災の愛媛県内避難者らでつくるNPO法人えひめ311が2月3日、現地に贈る柑橘類約500キログラムの箱詰め作業をした。防災学習で連携する宇和高等学校三瓶分校や松山学院高等学校の生徒ら13人も参加した。4日にメンバーが石川県に入り、七尾市と輪島市の被災者支援拠点など5か所に届ける[305]

著名人[編集]

  • お笑いコンビ・サンドウィッチマンが東日本大震災の復興支援で宮城県気仙沼市に寄贈したトイレトレーラーが、石川県輪島市に向かうことが公表された[306]
  • 田中将大東北楽天ゴールデンイーグルス投手)は1月13日、石川県にマットレス100本(推定約500万円相当)を寄付した[307]
  • MISIAが1月22日、珠洲市と能登町の避難所を訪れ、炊き出しを行った。炊き出しの実施に向けては、事前に地元の自治体や避難所と調整した。被災地での炊き出し支援実績のあるハンバーガーショップRUCCOS BURGERママ、地元の一般社団法人金沢レインボープライドの協力を得て、避難所として利用されている学校2か所を訪問、計500食分のカレーライスを提供した[308]
  • 格闘家の我龍真吾、プロレスラーの矢野啓太アントニオ小猪木らは1月24日、博愛プロジェクトによるボランティア活動に参加し、約400人の避難所となっている輪島中学校に菓子や野菜などの支援物資と共に届け、炊き出しを行った[309]
  • アルピニストの野口健がNPO法人ピーク・エイドの代表として、1万個を目標に冬用寝袋を募り、企業からの講演依頼の講演料を寝袋に代えてもらうなどしてきた。1月30日現在で6,316個の寝袋を被災地に届けたことを公表し寝袋以外にもニーズにあわせて対応する方針を示した[310]

その他[編集]

  • 石川県は、1月27日から一部の被災地に事前に登録したボランティアを派遣しており、2月3日から珠洲市と中能登町でも始まった。珠洲市では、ボランティア15人が受け入れの窓口となる市の社会福祉協議会の職員から説明を受けたあと、被災した住宅に向かい、傷んだ家具や衣類の片付けを手伝った[311]

マスメディア・インターネット配信[編集]

テレビ報道[編集]

元日

地震発生後各テレビ局は正月番組を打ち切り、緊急警報放送・報道特番に切り替えた。『芸能人格付けチェック!2024お正月スペシャル』など、1日夜に放送予定だった番組は振替放送や放送中止を余儀なくされた。民放各社はCMの放送を一切流していない。

北陸に系列局のないテレビ東京は18時40分から当初予定の40分遅れで『出川哲朗の充電させてもらえませんか? 新春4時間スペシャル』を開始し他局より早く通常編成に復帰した。その後、テレビ東京系以外の民放でも、大津波警報が解除された21時以降に報道特番を終了し、順次通常編成へと戻ったが[312][注 12]TBSテレビは終日報道特番を継続して放送した。

地震発生後、NHK BSプレミアムも夕方頃に一時的にNHK BSへの移行を案内する番組を取りやめ、報道特番を行った。その他、BS在京キー局も一時報道特番を行った。ラジオ放送でも、NHKラジオ第1放送ジャパン・ラジオ・ネットワークで通常番組を打ち切った。

また、NHKでは山内泉アナウンサーが避難を呼び掛ける放送を行っていたが、その際は東日本大震災において優しい口調で避難を呼びかけても避難者が少なかった経験から、今すぐ、逃げること!などの命令口調の文を大声で呼びかけた。この放送はインターネット上で「絶叫アナウンス」として有名になった。

1月2日

NHKは、2日(火)においても、報道特番を継続して放送した[注 13][注 14]。インターネットでも同時配信された[313]。午後9時に、『歴史探偵 光る君へコラボSP』が放送され、通常番組の放送を再開した。3日の深夜帯の放送枠は台風や降雨災害時等での形式の報道特番を行った(珠洲市の中継映像及び30分毎に関連ニュース)。

民放ではフジテレビが8時32分から9時30分まで報道特番を放送したほかテレビ東京でも9時00分から14時00分まで『温泉タオル集め旅 群馬~長野&大分へ!』の再放送(関東ローカル)の途中、一時中断して報道特番を放送した。日本テレビは7時からの『まもなく箱根駅伝 往路』を体裁上放送したものの、本来送るべき直前情報は大幅に縮小しその大半を報道フロアからの地震情報に割り当て、続く『★SAPPORO新春スポーツスペシャル 第100回東京箱根間往復大学駅伝競走』でも2018年以来6年ぶりにニュース中断の設定を行った。18時30分からの『笑ってコラえて 新春スペシャル 第1部』の途中には一時中断して「日本航空516便衝突炎上事故」に関する報道特番を放送した。テレビ朝日でも17時00分からの『夢対決2024 とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』で一時、番組を中断して同事故に関する報道特番を放送、TBSも『バナナマンのせっかくグルメ!!』を一時中断し、同事故の報道特番を報道した。

1月3日

ほぼ平常編成に戻る。NHKで元日放送予定の番組の振替放送があった。

1月4日以降
NHKは、12時台のニュースを延長して、地震関連報道を行い、14時台にライフライン情報を放送している。
なお、輪島市内で中継局が被災したため、衛星で石川県向け地上波とサイマル放送を実施している。
その他
  • サンテレビでは、日本語、英語以外でも地震情報を伝えた[314]
  • 韓国KBSでも、NHKの報道を引用して、地震発生を東京特派員発の速報で伝えた[315]

インターネット配信[編集]

X[編集]

地震発生直後より、X(旧:Twitter)では混乱が相次いだ。

地震発生前よりX内において収益確保目的で横行していたスパム投稿、通称「インプ稼ぎ」「インプレゾンビ」が本災害においても頻繁に目撃された。地震発生直後より、住所や氏名を記して倒壊した家屋から救助を求めるポスト(投稿)がみられたが、インプ稼ぎアカウントでは存在しない住所や偽の人間を演じて救助ポストを騙り、リポスト(拡散)などで閲覧数を増やすことで収益を上げようとしていた[316][317]。インプ稼ぎアカウントは海外からの日本語投稿が多く、NHKの分析では閲覧数の合計は1,100万回以上に上っていた[318]。また、「外国人による窃盗団が集まった」などの熊本地震でも見られたようなデマ投稿や、過去に発生した災害の動画像を用いた投稿、生成的人工知能(生成AI)を用いて作成された虚偽の災害画像、被災地の住民を誹謗中傷する投稿も散見された[319][320]。これについて林芳正内閣官房長官は、5日の記者会見にて「災害時における偽情報は、迅速かつ円滑な救命・救助活動の妨げになりかねないもので、主要な事業者に対して、明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招くおそれのある情報の削除などを総務省を通じて要請した」としたうえで「偽情報の投稿の背景には、多数の閲覧やフォロワーを集めたユーザーが収益を得られる仕組みが関連しているとの意見がある。国際的な動向や表現の自由を確保する観点も考慮したうえで、幅広い関係者の意見を踏まえて必要な対応を検討したい」とコメントした[321]

変電所爆発に関する誤情報も出回った。地震発生の前日、北陸放送が「『3回爆発音』変電所でトラブルか 石川・能登町で160世帯が停電」という記事をYahoo!ニュースなどにて配信した。地元消防には確かにその旨の通報があったが、しかしながら原因は倒木によるものであり変電所本体にトラブルはなかったため、記事公開から3時間後には北陸電力の公式発表により全ての媒体の記事を削除した。ところが、その翌日に地震が発生したことにより、爆発音がしたという記事が削除されている件が広く知られるようになり、「メディアによる隠蔽」という名目で人工地震であるとの誤解が広まった[322][注 15]。このデマはまとめサイトやXなどを通じて地震発生直後の24時間ほどで大きく拡散され、Xでは人工地震を疑う投稿が190万回以上閲覧された[322]

ゲヒルンが開発・提供するX(旧:Twitter)アカウント「特務機関NERV」では、地震発生直後より緊急地震速報や大津波警報などの緊急情報を配信していたが、1日18時06分ごろよりXのAPI使用回数が上限に達したため、緊急情報の自動投稿が利用できなくなる[323][316][324]。同アカウントの系列アプリ「特務機関NERV防災アプリ」では引き続き情報発信が出来たため、同アカウントはアプリを利用するように呼びかけを行った。しかし災害時に緊急情報が配信できないとあり、Xのユーザーからは運営や元CEOであるイーロン・マスクに対する不満が相次いだ。だがその後1日21時ごろ、X Corp.本社から特務機関NERVのアカウント宛に連絡があり、同アカウントをPublic Utilities App(公共アプリ)に指定することによってAPI制限を緩和させる緊急的措置を行ったとし、21時13分より同アカウントによる自動ポストが再開された[325]

YouTube[編集]

株式会社インフィニットは、YouTubeで「凪のあすから」の全話一挙放送を1日18時より放送予定であったが、地震を受けて無期限の放送延期を決定。後日、新たな放送日を検討し、「凪のあすから」公式X(旧Twitter)上で告知するとYouTubeのコメント上で発表した[326]

七尾市内を舞台にしたアニメ映画漫画作品「君は放課後インソムニア」では、『「君は放課後インソムニア」特別映像〜ひとりじゃない〜』を制作し、被災した各自治体の義援金受付窓口の告知を添えてYouTube上においてチャリティー公開を行った[144][327][328]

自販機破壊に関する誤報[編集]

読売新聞は避難所になっている穴水町の石川県立穴水高等学校自動販売機が壊され金銭が盗まれていたという証言のもとに記事を出したが[329]、その後の北國新聞の記事によると、その破壊は管理者に対して許可を取った上で、避難者のためであったとしている。石川県警も事件性はないとの見方を示しており、両者の報道に乖離が生じた[330]

後の1月22日に自販機を破壊したうちの1人から、3つあった自販機のうち1台を管理する北陸コカ・コーラボトリング宛てに謝罪の旨の連絡があったが、同社は非常事態の状況下であったとして被害弁済を求めず刑事告訴を行わない方針を示している。それ以外の2台を管理する会社(明治雪印メグミルク)については被害状況を確認中としている[331]

ウィキペディアにおける「令和6年能登半島地震」[編集]

ウィキペディア日本語版では地震発生直後の16時42分16秒(日本標準時)に記事が立項されたが、立項時より記事名が「令和6年能登半島地震」という名称であった。また初版執筆者は荒らしユーザーと目され後に無期限ブロックとなる人物だった。その後、18時ごろに行われた気象庁の記者会見により正式名称が「令和6年能登半島地震」に定まったが、何たる偶然なのか、ウィキペディアと一語一句名称が一致した。それも気象庁の公式発表より2時間ほど前のタイミングであったため、インターネット上では年始であるにも関わらず仕事の早さに驚くユーザーが続出した。しかし、ウィキペディアのプロジェクト規定により、「気象庁命名称から『西暦年』または『元号年(西暦年)』、『元号年』を省く」とあるため、正式名称が「令和6年能登半島地震」に決定されたすぐ後に「能登半島地震 (2024年)」に改名依頼が提出されており、8日19時03分52秒には「能登半島地震 (2024年)」へ改名が実施されている。えぇ…。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. 酒田は巨大津波観測計による観測のため観測単位は0.1 m。
  2. 志賀町では東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に匹敵する揺れを記録した。
  3. 北陸3県での震度7の観測は観測史上初めてであり、中部地方(東海地方・北陸3県・甲信越地方)内での震度7の観測は新潟県中越地震に続き2例目となる(参考:新潟県中越地震の震度分布図東日本大震災の震度分布図)。
  4. 発生当初は最大震度3と速報されていたが、発生から16分後の23時36分に最大震度が6弱へ更新[47][48][49]。志賀町の震度計(志賀町香能)では震度6弱の揺れを観測したが、その1箇所以外は軒並み震度3~2の揺れの観測にとどまるというもので、震度6弱を観測したのは震源地から近い非常に局地的な範囲のみであった[50]。地震の揺れの強さを示す加速度は1,492ガルを記録し、これは阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の891ガルを上回る数値である[51]。この地震を受けて気象庁は7日に当該の地震計の調査を行ったが、地震計に異常は見られなかった[52][53]。ちなみにこの地震は、過去にM5未満で震度6以上を観測した唯一の地震であり、M4.3という小地震であったにもかかわらず、震度6弱という激しい揺れとなった意味で、謎で奇妙な地震である。
  5. この地震では最大震度5強を観測したが、6時31分47.5秒(地震波検知から5.3秒後)に発出された緊急地震速報第5報に於いて石川県能登で最大震度7を予測したため、同報において東北から近畿まで非常に広い範囲に続報が追加された[56]。しかし続報で追加された地域ではおおむね震度2前後の揺れであったため、一部の報道などでは続報発出に対する批判がみられた。
  6. a b 海底隆起に伴う潮位計の不具合により、後に気象庁により「欠測」扱いとして削除済み。
  7. 函館 - 札幌間で設定する臨時特急(4両編成・キハ261系ラベンダー編成使用)と接続を実施。
  8. 当該編成となる681系サワW08編成は、26日夜から27日にかけてDE10 1541の救援牽引で和倉温泉・七尾間から金沢総合車両所運用検修センターに配給輸送された。その後いったんは営業運用へ復帰したが、同年3月16日の北陸新幹線金沢 - 敦賀間開業に伴って余剰廃車となる見込み。
  9. 小人運賃(980円)については変更なし。
  10. 東京都区内から北陸フリーエリアまでは普通車指定席に乗車できるが、北陸フリーエリアから東京都区内までの場合は普通車自由席の利用となる。このため、全車両が普通車指定席で運転されるかがやきについては、北陸フリーエリアから東京都区内への本乗車券を使った乗車は利用できない。
  11. 発災以前は羽田 - 能登間は1日2往復が定期便として設定されていた。
  12. ただし、23時過ぎに震度7の誤発表があった際にも各局とも一度編成の中断を行った。
  13. 2日は、日本航空516便衝突炎上事故の速報・報道・ニュース解説、NHKニュース7のその他ニュース枠の報道も行った。
  14. 2日午後に総合で放送予定だった『第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準決勝』についてはEテレに振り替え。
  15. そもそも今回のような地震を人工的に発生させることは、発生当時の技術では少なくとも不可能であり、このことは日本ファクトチェックセンター過去に何度も証明している

出典[編集]

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参考文献[編集]

関連項目[編集]