前震・本震・余震

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前震・本震・余震(ぜんしん・ほんしん・よしん)は、いずれも地震学用語である。一連の地震活動において、最も規模の大きな地震に先立って発生する地震を「前震」、最も規模の大きな地震を「本震」、本震に引き続いて起こる地震を「余震」という。前震を伴う地震は少ないが、基本的に大規模な地震は全て余震を伴う。前震と余震を伴う地震活動を「前震‐本震‐余震型」、余震のみを伴う地震活動を「本震‐余震型」という。

前震[編集]

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本震に先行して発生する地震のこと。規模の大きな前震を伴った地震の例としては、2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)や2016年の熊本地震(M7.3)などをあげることができる。両者はいずれも本震の2日前に大きな前震が発生しており、その規模(マグニチュード)は前者がM7.3、後者がM6.5であった。一般的には、前震の観測される地震は余り多く無いとされている。微小地震の観測は充実しているが、M6〜7程度の浅い地震の場合でも、微小前震がほとんど観測されないことがある。本震と最大前震のマグニチュードの差は、0から6程度と幅広く分布している。また、本震の数分前に前震が初めて発生する場合もあり、地震活動が数か月続いた後に本震が発生することもある。本震の前に前震が起こる確率は、地域により違うとされており、この確率が高い地域は群発地震の起こる地域とおおむね一致している。つまり、火山地帯がそれであるとされ、北海道東部や南部、東北地方の中軸を経て長野県北部に至る地帯、伊豆半島から伊豆諸島に至る地帯、大分県から熊本県に至る地帯などである。また、火山地帯以外でも、近畿地方中国地方に前震を伴う確率の高い地帯が存在する。大地震の前に、その震源域からやや離れた場所で地震活動が活発になることがあり、これを大地震と関係があると考えて、広義の前震ということがあるという。

本震[編集]

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比較的規模が大きい地震は、地震活動が時間的・空間的にまとまっている場合がほとんどである。その地震群のうち、規模が最大の地震を「本震」といい、それよりも前に発生したものを「前震」、後に発生したものを「余震」という。本震のことを「主震」ということもある。なお、本震(規模が特段に大きい地震)が認められないような一連の地震を「群発地震」という。群発地震の場合は小規模な地震が同じ地域に断続的に発生するので、その群れの中に際立って大きい地震はないことが多い。本震の規模は最大余震よりもM1くらい大きい場合が多いが、2004年の新潟県中越地震(本震はM6.8)のように、本震に近い規模の余震が連発した事例もある。中越地震では、本震から約40分後に起きた最大余震はM6.5(本震との差は-0.3)であったほか、M6.0〜6.3くらいの余震も相次いだため、実質的には群発地震に似た地震活動であった。

余震[編集]

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本震に引き続いて起こる地震のこと。規模の大きい浅発地震(震源が浅い地震)のほとんどは余震を伴うが、深発地震(震源が深い地震)の場合は余震がないこともある。余震の規模や数は時間の経過とともに指数関数的に減少する。これを「大森・宇津公式」または「改良大森公式」という。この公式において、本震からの経過時間における単位時間あたりの余震回数 は次のようになる( は減衰に関する指数)。

本震の規模が大きい場合には余震はなかなか終息しない。数多く発生した余震の中で最も規模が大きいものを「最大余震」という。最大余震の規模は、本震よりもM1くらい小さいことが多い。余震の発生区域を「余震域」というが、余震域は本震の「震源域」にほぼ等しい。すなわち、余震は原則として本震の震源域内で発生するので、その余震活動に注目した場合は震源域のことを余震域という。震源域・余震域の面積は地震の規模に比例して大きくなる。1960年のチリ地震や2011年の東北地方太平洋沖地震などの超巨大地震では、余震域の長径が500~1000kmにも及んだ。また、このような巨大地震の場合は、本震の震源域からやや離れた場所で地殻変動に伴う地震活動が活発となることがある。実際、東北地方太平洋沖地震の直後には震源から離れた長野県や静岡県などで震度6以上の内陸地震が発生している。このような地震は「誘発地震」と呼ばれるが、人為的な原因で発生する(自然地震ではない)地震を誘発地震と呼ぶ場合もあるため(この場合「人工地震」との区別も明確ではない)、これと区別するために、巨大地震に引き続いて遠方で発生する誘発地震のことを「広義の余震」とする場合もある。本震の揺れではなんとか倒壊を免れた建物も、耐震性自体は低下しているため、その後の余震で倒壊に至る危険性がある。このように余震は二次災害の一種でもあり、被害を拡大させる厄介な存在である。