震度7
震度 | 計測震度 |
---|---|
0 | 0.5未満 |
1 | 0.5 - 1.0 1.0 - 1.5 |
2 | 1.5 - 2.0 2.0 - 2.5 |
3 | 2.5 - 3.0 3.0 - 3.5 |
4 | 3.5 - 4.0 4.0 - 4.5 |
5弱 | 4.5 - 5.0 |
5強 | 5.0 - 5.5 |
6弱 | 5.5 - 6.0 |
6強 | 6.0 - 6.5 |
7 | 6.5以上 |
震度7(しんどなな)は、気象庁が定めた10段階の震度階級のうち、最大の揺れの強さである。計測震度6.5以上。
人間は揺れに翻弄されてほとんど動くことができず、固定していない家具のほとんどは移動したり倒れたり、飛ぶこともある。耐震性の高い木造の建物でも壁などのひび割れ、亀裂が多くなる。鉄筋コンクリートの建物も1階や中間の階が変形したり、稀に傾いたりする。
経緯[編集]
日本で初めて震度階級が定められたのは1884年のことであり、「微震」「弱震」「強震」「烈震」の4段階であった。1898年には「微震(感覚ナシ)」「弱震(震度弱キ方)」「強震(震度弱キ方)」が追加され7段階となり、それぞれ震度0から6の数字が振られた。1936年には「地震観測法」が定められ、震度0から6まで順に「無感」「微震」「軽震」「弱震」「中震」「強震」「烈震」と改められた。
ところが、1948年6月28日に発生した福井地震では、甚大な被害を受けた福井市の震度について「震度6では適切に表現できない」とする声が上がった。これを機に、1949年の地震観測法改正により震度7「激震」が追加され、日本の震度階級は8段階となった。なお、震度7は観測員による観測ではなく、後日の現地調査により「家屋の倒壊が30%以上におよび山くずれ、地割れ、断層などを生ずる」という基準で適用されることとなっていた。観測員による震度判定には主観による精度不足や震度発表までの時間がかかるなど多くの問題があったため、1988年から震度計による機械計測に移行し1994年に全観測点への地震計の設置が完了したものの、震度7の判定は現地調査のまま変更されなかった。
日本で初めて震度7が適用されたのは、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震である。震度7の適用発表まで3日かかり、さらに詳細な調査が行われて震度7の分布が発表されるまで半月以上かかったことから、震度情報のより早い情報提供を求める声も高まっていた。
1996年の震度階級改定により、観測員の主観による震度判定基準は全廃され地震計による観測に一本化し、震度7についても現地調査による「適用」から地震計による「観測」に改められた。兵庫県南部地震で震度7と判定された地域の波形データから計測震度を算出すると6.5前後となることから、計測震度6.5以上が震度7の新しい定義となった。なお、このとき同時に震度5と6がそれぞれ弱と強に分割され震度階級が10段階となったほか、「微震」「激震」などの別名は廃止されている。さらに、気象庁の観測点に加えて防災科学技術研究所や地方自治体に設置された地震計も気象庁の情報として発表されることとなり、観測点の数が約7倍に増加した。観測点の密度が上昇したことにより大きな震度が報告されやすくなったことから、1996年3月31日以前と4月1日以降の地震における最大震度を単純に比較するのは不適切といえる。
震度7が記録された地震の一覧[編集]
現地調査による適用[編集]
観測[編集]
- 新潟県中越地震 - 2004年10月23日発生。発生当時は最大震度6強とされていたが、地震発生直後の停電でデータが届いていなかった新潟県川口町が計測震度6.5であったことが1週間後に判明し、初めて震度7を観測した地震となった。
- 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) - 2011年3月11日発生。宮城県栗原市で計測震度6.6を観測、初めて速報段階で震度7が報じられた地震となった。
- 熊本地震 (前震) - 2016年4月14日発生。熊本県益城町で計測震度6.6を観測。
- 熊本地震 (本震) - 2016年4月16日発生。発生当時は最大震度6強とされていたが、前震の影響でデータが届いていなかった熊本県益城町が計測震度6.7、西原村が計測震度6.6であったことが4日後に判明した。
- 北海道胆振東部地震 - 2018年9月6日発生。発生当時は最大震度6強とされていたが、データが届いていなかった北海道厚真町が計測震度6.5であったことが当日中に判明し、初めて気象庁の観測点で震度7を観測した地震となった。
- 能登半島地震 - 2024年1月1日発生。石川県志賀町で計測震度6.69を観測。またデータが届いていなかった石川県輪島市が計測震度6.5であったことが24日後に判明した。
震度7に相当すると考えられているもの[編集]
- 推古地震(599年5月26日) - 近畿地方大和国、現在の奈良県で発生した大地震。『日本書紀』巻第二十二において、地震が発生し建造物が悉く倒壊したと記載がある。
- 筑紫地震(679年) - 九州北部の筑紫国、現在の福岡県で発生した大地震。『日本書紀』巻第二十九において、巾2丈(約6m)、長さ3000丈余(約10km)の地割れが生成し村々の民家が多数破壊されたと記載がある。
- 白鳳地震(684年11月26日) - 南海トラフ巨大地震と推定される最古の地震。『日本書紀』巻第二十九において、諸国の郡の官舎、百姓の倉屋、寺塔、神社が多く倒壊したとの記載がある。
- 貞観地震(869年7月9日) - 陸奥国、現在の岩手県沖を震源とする地震。東北地方太平洋沖地震がこの地震の再来ではないかとされている。日本三代実録には人々は叫び声を挙げて身を伏せ、立つことができなかった。と記載がある。
- 華県地震(1556年1月23日) - 明の陝西省(現在の中華人民共和国陝西省)で発生した地震。
- リスボン地震(1755年11月1日) - ポルトガルのリスボンでは85%の建物が地震動で崩落し、その後の津波と火災旋風により市街地が壊滅した。
- 長野県西部地震(1984年9月14日) - 水資源開発公団の牧尾ダムに設置されていた地震計において上限の300ガルを超える強振動を観測。
- 北海道南西沖地震(1993年7月12日) - 北海道奥尻町沖を震源とする地震。当時奥尻町には震度計は無く、推定震度6とされているが、青苗地区において震度7となっていた可能性が高いと指摘されている。
最大震度として[編集]
震度 | 計測震度 |
---|---|
6弱 | 5.5 - 6.0 |
6強 | 6.0 - 6.5 |
7 | 6.5 - 7.0 7.0 - 7.5 7.5 - 8.0 8.0 - … |
現在の震度階級で最大となる震度7は、大災害としての一つの目安としても扱われている。もっとも、震度の情報は観測点の位置関係や密度に依存する(震央近くに地震計が設置されていれば大きい震度が出やすい)ほか、震度と実際の被害の度合いは完全には一致しないため、地震の規模を示すマグニチュードなど他の尺度も考慮して判断する必要がある。
なお、「震度8」や「震度7弱」「震度7強」は存在しない。1996年の震度階級改定に向けた検討委員会では、震度7を観測した時点で最大級の防災対応がとられることから防災上の意味を持たないこと、計測震度7.0以上の観測事例が当時まだなく被害状況が想定できない点などから、これらの導入が見送られている。実際、計測震度7.0以上の観測事例は現在も存在しない。