サザエさん
サザエさんとは、長谷川町子による漫画作品、およびそのアニメーション作品である。
概要[編集]
アニメーションは現代風のストーリーだが、原作の漫画はかなり古く、戦時中や終戦直後と思われる時代の物語である。
作風[編集]
磯野家の専業主婦フグ田サザエとその家族の物語である。7人の大家族が織りなすホームドラマである。
漫画[編集]
九州の地方紙フクニチ新聞が初連載で、後に朝日新聞の四コマ漫画として登場した。戦後直後の混乱期から高度経済成長の終焉までの世相を反映している。 (1949年~1974年)
第1集(1946年4月から1947年2月まで)では、作画に師の田河水泡の影響が残る。満州引き揚げの話題が出るのは、戦争直後の時代を反映している[1]。第2集(1947年3月から11月まで)では、アジ1切8円とされており物価水準が分かる。サザエさんが結婚し、夫はフグ田マスオであり、男の子(タラちゃん)が生まれたことが告知される[2]。この頃は米の配給があった[3]。第3集(1948年11月から1950年1月まで)では停電の話題が多い[4]。電力が不安定な時代であった。この頃は魚の配給があった[5]。庶民の蛋白源は鮮魚が主であり、週一回一人200グラム程度が配給されていた。
登場人物[編集]
- フグ田サザエ
漫画の主人公である。マスオの妻でフグ田タラオの母。そそっかしい性格。
- フグ田マスオ
サザエの夫。私立大学を卒業している。
- フグ田タラオ
サザエの息子。
- 磯野波平
ときどき料理をするが失敗する。
- 磯野フネ
和服に割烹着の姿である。
- 磯野カツオ
サザエの弟。丸刈りでイタズラ好き。栗御飯のときは、各人の食べた栗の数を数える几帳面さもある[6]。
- 磯野ワカメ
サザエの妹。
- 磯野藻屑源素太皆
磯野家の先祖。明治維新の頃、おはぎを38個食べて大評判になったことがある[7]。
アニメーション[編集]
フジテレビ系のアニメーションの放送は1969年から始まり、40年以上続いているが、これは世界最長である。かつては再放送もされたが、オープニングとエンディングは本放送とは別のものが使用された。
番組開始からの声優は2023年3月現在、加藤みどりだけになった。
テレビドラマ[編集]
同じフジテレビで実写の単発ドラマも製作されている。
問題[編集]
エンディング変更に関して[編集]
サザエさんのエンディングは平成3年(1991年)に変更されている。それまでのエンディングは「来週もまた見てくださいね」と言った後、サザエさんが饅頭を口に放り込んで喉を詰まらせるというものであった。ところがこれを「子供が真似をすると器官を詰まらせる危険がある」という複数の医師からの指摘があり、実際に真似をした小学生の男児が死亡するという事件が発生したためと言われている。そのため、変更後はじゃんけんシーンに変更された。
三谷降板問題[編集]
昭和60年(1985年)8月放送の「タラちゃん成長期」でタラちゃんがプロテインを摂取して筋肉質な身体になるというシーンがあったが、これがサザエさんの作風に合わないとして当時のプロデューサーの逆鱗に触れ、脚本を担当していた三谷幸喜が降板させられることになったという。
ソフト化問題[編集]
実はサザエさんはソフト化がなされていない。これは長年にわたり放送していたものをソフト化すれば何百枚になるかわからない、同じ話を何度も作り直しているためソフト化したらすぐに露見する、著作権料が非常に高額であるなどの理由がある。これに関しては実写化も同じであるが、ソフト化が厳しい理由のひとつに原作者の長谷川町子が「テレビでやっているサザエさんは私のサザエさんとは別のものであり、私はテレビのサザエさんとは何の関係もありません」とコメントしており、漫画以外の表現に対しては懐疑的だったという。さらに観光バスの車体に無断でサザエさんのキャラクターを描いたバス会社に対して長谷川が生前に裁判を起こしており、そのためにサザエさんの版権管理が一層厳しくなっているためだと言われている。
作風問題[編集]
長く放送が続いているため、現在では放送禁止用語が連発させられている問題がある(1969年10月放送の第1回「75点の天才!」におけるカツオの連発発言など)。2000年12月に放送された「サンタとのお約束」では、作中でサンタクロースがマスオであることがわかる表現があり、視聴者から「子供の夢を壊すな」と抗議が殺到した。
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関連項目[編集]
注[編集]
参考文献[編集]
- 『サザエさん』第1巻,1994年9月,朝日新聞出版
- 『サザエさん』第2巻,1994年9月,朝日新聞出版