霊柩車

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

霊柩車』(れいきゅうしゃ)とは、遺体を葬儀会場から火葬場、墓地へと運ぶ自動車。

概要[編集]

霊柩車の起源はイギリスの霊柩馬車とされる。霊柩馬車は2頭の黒い馬が引っ張るもので、自動車の普及で著しく衰退した時期があったものの現在も葬儀社が霊柩馬車を用意している場合がある。

日本における霊柩車の源流にあたるのは棺車とされる。棺車は大八車に二方破風の屋根を取り付け、側面に花鳥などの彫刻が彫られていた。棺車が出る前は棺を入れた輿を人が担いで運んでいた。

輿、棺車が自動車の登場により、霊柩車へと発展した。現在日本で運用されている霊柩車には宮型洋型の2種類に大別される。

霊柩車の種類[編集]

カラーリングは宮型であれば黒が多い。洋型は黒が主流だが、パールホワイトやシルバーも少なくない。

宮型霊柩車[編集]

高級セダン型乗用車をベースに、神社や寺院を模した装飾を施した棺室を載せた車。良くも悪くも目立つため、周囲との調和を前提に設計された火葬場への乗り入れが出来ない、葬儀の多様化で仏式・神式以外の葬儀の時に使用が難しいなどの理由により減少傾向にある。

洋型霊柩車[編集]

高級セダンやステーションワゴン、バンなどをベースに、特に装飾のない棺室を載せた車。あまり目立たないため斎場へ入れないという例はゼロに等しい。仏式・神式の葬儀でも利用される。

洋型霊柩車の派生としてバス型霊柩車というのもある。これは観光バスやマイクロバスをベースに棺の収容スペースを設けたもので、棺と一緒に葬儀の参列者・遺族も移動できる。観光バスベースの場合、床下のトランクルームの一角に棺室を設け、マイクロバスの場合は車両後部に棺室を設ける。いずれの場合も棺室の上に座席は設置されない。

霊柩車と法律[編集]

霊柩車は日本の法令上、「法令等で特定される事業を遂行するための[1]」特種用途自動車として扱われ、ナンバープレートは8ナンバーとなる。

霊柩車として登録を受けるためには、100kgの棺または担架を収容する、1.8m×0.5m×0.5m以上のスペースが必要である。[2]

法律上、遺体は人間ではなく貨物であるため、霊柩車の運行には貨物営業事業許可が必要であり、車体には営業車を示す緑ナンバーが装着される。葬儀社へ支払う料金や斎場の使用料に遺体の輸送代金が含まれていると考えられるため、白ナンバーでの運行はできない。

貨物運送のため、ドライバーに二種免許は不要ではあるものの、葬儀社の内規でドライバーに二種免許の取得を義務付けていることが多い。これは宮型・洋型の場合喪主を、バス型の場合遺族・参列者を乗せて葬儀会場から火葬場・墓地へ向かうことがあるためである。

霊柩車と親指を隠す風習[編集]

霊柩車を見かけたら親指を隠さないと親の死に目に会えなくなる、親が早死にするなどの言い伝えがある。

霊柩車が登場したのは明治時代以降だが、それ以前から葬列を見かけた時に親指を隠すという言い伝えはあったようである。

かつて死亡直後の遺体にはまだ成仏していない魂が残っており、親指の爪の間から魂が出入りすると信じられていた。つまり、親指を隠すことで成仏していない魂の侵入を防いでいたのが、時代の流れで霊柩車を見かけたら親指を隠すようになり、その過程で親指と親が結びついたということ。

脚注[編集]

  1. 自動車の用途等の区分について(依命通達)自車第452号、昭和35年9月6日付依命通達、国自技第202号 平成19年1月4日付改正時点
  2. 「「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の細部取扱いについて」国自技第50号 平成13年4月6日付通達、国自整第410号 平成28年3月22日付改正時点

関連項目[編集]

種類 国葬 - 直葬 - 生前葬
方法 土葬 - 火葬 - 鳥葬 - 水葬
関連 霊柩車 - 広域火葬計画