JR中央快速線
東日本旅客鉄道(JR東日本) JC 中央快速線 | |
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阿佐ヶ谷駅付近を走るE233系。 | |
基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 東京都 |
種類 | 通勤列車 |
起点 | 東京駅 |
終点 | 高尾駅 |
駅数 | 24駅 |
電報略号 | チウホセ |
路線記号 | JC |
開業 | 1889年4月11日 |
所有者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
運営者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
使用車両 | E233系0番台 10両 209系1000番台10両 |
路線諸元 | |
路線距離 | 53.1 km |
軌間 | 1,067 mm |
線路数 | 複線 |
電化方式 | 直流1500 V 架空電車線方式 |
閉塞方式 | 複線自動閉塞式 |
保安装置 | ATS-P |
最高速度 | 100km/h 130 km/h (八王子 - 高尾間の特急列車) |
中央快速線(ちゅうおうかいそくせん)は、中央本線のうち、東京駅から高尾駅の間をオレンジ色の車両で運行する路線のこと。
三鷹以東の名称については「中央急行線」が正式名称であるが、この名称が使われることはほぼ皆無である。
公式が使用する一般的な呼び方として「中央線快速」・「中央快速線」・「中央線快速電車」・「中央線(快速)」など様々あり、[1]急行緩行分離路線の中では一番表記ゆれがある路線の一つである。このように表記ゆれが多いことについては後述する。
概要[編集]
主に東京出身者に人気があるといわれ吉祥寺から国立の間は質の高い住宅エリアとして所得が高い家庭が多い。2024年グリーン車が登場し利便性が向上。グリーン車は50kmまで平日780円・土休日580円[2]。
御茶ノ水駅 - 三鷹駅間では複々線区間となっており、快速系電車は急行線を走行し、並行する緩行線は各駅停車の電車(黄色の帯の電車)が走行する。御茶ノ水駅付近では緩行線と方向別複々線をなすが、以西では線路別複々線となる。中央線は貨客分離を優先とした大改修を行った上で旅客化されていることや、改修に際して渡り線を複々線区間の出入口に当たる地点にのみ設けた関係で、各駅停車以外は快速も特急もすべて急行線で運行されている。このため通常快速系と各駅停車は別ホーム乗換えとなり、たとえば東海道・山陽本線の京都駅 - 兵庫駅間では同一ホームで快速系と各駅停車が相互に乗り継げるが、そのような意味での緩急接続は、中央線では御茶ノ水駅のみで、首都圏の多くのJR複々線区間同様に行われていない[3]。
当該区間のうち、御茶ノ水駅 - 中野駅間は日本国有鉄道(国鉄)時代には早くから複々線化されたことや、複々線の両方に旅客列車が走行し急行運転を行ってきたことから、現在も、快速電車や長距離列車などが走る本線は正式には「中央本線(急行線)」と呼ばれている。今でも駅構内の出発信号機などの表示などで用いられていて、急行線に「急」のマークがある。これに対し、各駅停車の走る側を「緩行線」とし、「緩」のマークがある。
旅客輸送量は、中野駅 - 新宿駅間が最大である。快速系電車はごく一部をのぞいて東京駅を始発駅とし、武蔵小金井、立川、豊田、八王子、高尾等で折り返すことで、西に行くほど輸送力が減る輸送形態であり、緩行系も含めると三鷹以東の輸送力が最大となっている(三鷹からの緩行系電車は約半数が東京地下鉄東西線に乗り入れるが、その余裕で中野折り返しが運行されている)。
東京圏で単に「中央線」という場合は、中央線快速電車を指す場合が多い。この運転系統の駅構内での案内方法は、東京駅 - 神田駅間と武蔵境駅 - 高尾駅間(複線区間)では「中央線」、御茶ノ水駅 - 三鷹駅間(複々線区間)では「中央線(快速)」と案内される。また案内放送などで用いられる英語名は "Chūō Line Rapid Service" である。
国鉄時代より高尾駅で運行系統が分断されているが、中央本線普通列車(中距離列車)の新宿駅への乗り入れ縮小(その後廃止)と引き換えに1986年11月1日の改正より大月駅までの直通運転が増えている。高尾駅を越えて大月方面に直通運転する列車は、高尾駅 - 大月駅・河口湖駅間では末尾が「M」の列車番号となり、高尾駅以東の種別に関係なくすべて「普通」(中距離列車)である。冊子の時刻表でも「東京・高尾間快速」などと注記されている。ただし、旅客案内上は利用実態に合わせた運用を行っており、河口湖(富士急行線)・大月発の上り列車は高尾駅以東の種別で案内している。
日本の鉄道の中では定時性はあまり良くない路線として知られており、ラッシュ時には5分程度の遅れが頻繁に発生し、長時間列車停止の事象が一旦生じると回復に時間がかかる傾向がある。これは利用客の多さにより、10両でラッシュ時最短2分間隔運転と、すでに複線での輸送力のほぼ限界一杯に達しており、混雑の緩和が困難であることが大きな原因である[4]。また、始発着駅である東京駅では、1面2線のホームにほぼすべての列車が発着するため、定時運行が難しい。他にも、人身事故の多さや、30分に1本走る特急や特別快速、通勤特急(旧:ライナー)など多種多様な列車種別があること、青梅線などの支線が多く運行形態が複雑である、方向別複々線なら可能な空きの線路に融通を効かして逃すことができない等の理由もある。
国鉄が制定した通勤五方面作戦の中では一番快速・緩行の分裂が短く、快速の混雑緩和のために作られた中央・総武線(各駅停車・緩行線)側のほうが空いているということも少なくない。
そのかわりとして快速の種別が多く、「中央特快(Chūō Line Special Rapid sarvice train)」や「青梅特快(Ōme Line Special Rapid Service train)」という「中央」や「青梅」の文字がついた種別まで設定されていることが特徴である。
駅一覧[編集]
御茶ノ水 - 中野 - 三鷹間の各駅停車については「中央・総武緩行線」を、大月駅以西河口湖方面については「富士山麓電気鉄道富士急行線」を参照
ここでは電車特定区間内(東京駅 - 高尾駅)の快速の設置駅と停車種別・接続路線・所在地と一部列車が乗り入れる中央本線高尾 - 大月間を一覧表形式で記述する。
- 特定都区市内制度適用範囲の駅 : 山=東京山手線内、区=東京都区内
- 停車駅
- 各種別:●印の駅は停車、|↓↑印の駅は通過(↓↑印はその方向のみ運行)
- 各駅停車
- 三鷹以東:三鷹 - 御茶ノ水 - 東京間でのオレンジ色の電車による黄色い文字の「各駅停車」運用は消滅している。詳細は「中央・総武緩行線」を参照。
- (中野・吉祥寺→)立川→高尾 - 大月:オレンジ色の電車で運行される列車は各駅停車と案内される(普通列車と同じ扱い)。
- 御茶ノ水→東京:発車標は全列車が「東京」のみの表示で案内される。
- 快速:▲印の駅は平日のみ停車、土休日は終日通過。三鷹駅以西の下り列車は快速表示が消え、「各駅停車」となる。
- 普通:立川駅以西で運用される「211系」(3ドア・6両)で運行される列車。(そのほかにも、E233系の高尾駅発の大月行き列車は普通と案内される。)多くの列車は高尾以西に直通する。
- 「ホリデー快速おくたま」:立川以東は青梅線直通、▲は上り(青梅→東京)のみ停車。
- むさしの号…国立まで各駅に停車。西国分寺は府中本町発着便のみ停車。
- 高尾駅以西の区間は特急列車以外はいずれの種別も全駅に停車する。
- 各駅停車
- 特急
- 各種別:●印の駅は停車、|↓↑印の駅は通過(↓↑印はその方向のみ運行)
- 接続路線 : 東京駅 - 新宿駅間の東日本旅客鉄道の路線名は運転系統上の名称(正式路線名とは異なる)。駅名が異なる場合は⇒印で駅名を示す。
- 各駅停車との重複区間の御茶ノ水駅 - 三鷹駅間は線路別複々線となっている(御茶ノ水駅構内を除く)。
- 「快速」の駅は全駅東京都内に所在。
- 神田駅は2028年9月30日まで「神田駅(アース製薬本社前)」に駅名標の表記が変更される。
- 駅番号は「JC 」(JR Chūō Line Rapid service)
管理支社 | 駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 停車種別 | 接続路線 | 所在地 | ||||||||||||||||
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駅間 | 累計 | 中央・青梅線 快速 | 中央・青梅線 通勤快速 | 中央線 中央特快 | 青梅線 青梅特快 | 東京行 通勤特快 | 青梅線 おくたま号 | 武蔵野線 むさしの号 | 中央本線 普通 | |||||||||||||
首都圏本部 | TYO JC 01 |
山区 東京駅 | - | 0.0 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | 東海道新幹線 東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線 JY 01 山手線・JK 26 京浜東北線 JT 01 東海道線 JU 01JT 01JJ 上野東京ライン JO 19 横須賀線・総武快速線・JE 01 京葉線 M-17 東京メトロ丸ノ内線 |
東京都 | 千代田区 | |||||||||
KND JC 02 |
山区 神田駅 (アース製薬本社前) |
1.3 | 1.3 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | JY 02 山手線・JK 27 京浜東北線 G-13 東京メトロ銀座線 | ||||||||||||
JC 03 | 山区 御茶ノ水駅 | 1.3 | 2.6 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | JB 18 中央・総武線各駅停車 〈秋葉原・錦糸町方面〉 M-20 地下鉄丸ノ内線 C-12 東京メトロ千代田線 ⇒ 新御茶ノ水駅 | ||||||||||||
水道橋・飯田橋・市ヶ谷(JB 中央線各駅停車) | ||||||||||||||||||||||
JC 04 | 山区 四ツ谷駅 | 4.0 | 6.6 | ● | ● | ● | ● | ● | ▲ | JB 14 中央線各駅停車 M-12 東京メトロ丸ノ内線 N-08 東京メトロ南北線 |
新宿区 | |||||||||||
信濃町(新宿区)・千駄ヶ谷・代々木(渋谷区)(JB 中央線各駅停車) | ||||||||||||||||||||||
渋谷区 | ||||||||||||||||||||||
SJK JC 05 |
山区 新宿駅 | 3.7 | 10.3 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | JB 10 中央線各駅停車・JY 17 山手線 JS 20 湘南新宿ライン・JA 11 埼京線 OH 01 小田急線 KO01 京王線・京王新線(新線新宿駅) S-01 都営新宿線・E-27 都営大江戸線 M-08 東京メトロ丸ノ内線 |
新宿区 | |||||||||||
大久保(新宿区)・東中野(中野区)(JB 中央線各駅停車) | ||||||||||||||||||||||
中野区 | ||||||||||||||||||||||
JC 06 | 区 中野駅 | 4.4 | 14.7 | ● | ● | ● | ● | ↑ | ● | 武蔵野線直通 | 大月以西一部直通 | JB 07 中央線各駅停車 T-01東京メトロ東西線〈各駅停車は一部が直通〉 | ||||||||||
JC 07 | 区 高円寺駅 | 1.4 | 16.1 | ▲ | ↓ | | | | | ↑ | | | JB 06 中央線各駅停車 ※平日のみ |
杉並区 | |||||||||||
JC 08 | 区 阿佐ケ谷駅 | 1.2 | 17.3 | ▲ | ↓ | | | | | ↑ | | | JB 05 中央線各駅停車 ※平日のみ | ||||||||||||
JC 09 | 区 荻窪駅 | 1.4 | 18.7 | ● | ● | | | | | ↑ | | | JB 04 中央線各駅停車 M-01 東京メトロ丸ノ内線 | ||||||||||||
JC 10 | 区 西荻窪駅 | 1.9 | 20.6 | ▲ | ↓ | | | | | ↑ | | | JB 03 中央線各駅停車 ※平日のみ | ||||||||||||
八王子支社 | JC 11 | 吉祥寺駅 | 1.9 | 22.5 | ● | ● | | | | | ↑ | | | JB 02 中央線各駅停車 IN17 京王井の頭線 |
武蔵野市 | ||||||||||
JC 12 | 三鷹駅 | 1.6 | 24.1 | ● | ● | ● | ● | ↑ | ● | JB 01 中央線各駅停車 | 三鷹市 | |||||||||||
JC 13 | 武蔵境駅 | 1.6 | 25.7 | ● | ↓ | | | | | ↑ | | | SW01 西武多摩川線 | 武蔵野市 | |||||||||||
JC 14 | 東小金井駅 | 1.7 | 27.4 | ● | ↓ | | | | | ↑ | | | 小金井市 | ||||||||||||
JC 15 | 武蔵小金井駅 | 1.7 | 29.1 | ● | ↓ | | | | | ↑ | | | |||||||||||||
JC 16 | 国分寺駅 | 2.3 | 31.4 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | SK01 西武国分寺線・ST01 西武多摩湖線 | 国分寺市 | |||||||||||
JC 17 | 西国分寺駅 | 1.4 | 32.8 | ● | ↓ | | | | | ↑ | | | JM 33 武蔵野線 | ||||||||||||
JC 18 | 国立駅 | 1.7 | 34.5 | ● | ↓ | | | | | ↑ | | | ● | 国立市 | |||||||||||
JC 19 | 立川駅 | 3.0 | 37.5 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | JC 19 青梅線〈青梅方面直通運転〉 JN 26 南武線 多摩都市モノレール ⇒ TT 12 立川北駅・TT 11 立川南駅 |
立川市 | |||||||||
JC 20 | 日野駅 | 3.3 | 40.8 | ● | ● | ● | 青梅線直通 | ↑ | 青梅線直通 | ● | ● | 日野市 | ||||||||||
JC 21 | 豊田駅 | 2.3 | 43.1 | ● | ● | ● | ↑ | ● | ● | |||||||||||||
JC 22 | 八王子駅 | 4.3 | 47.4 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | JH 32 横浜線・■ 八高線 | 八王子市 | |||||||||||
JC 23 | 西八王子駅 | 2.4 | 49.8 | ● | ● | ● | ↑ | ● | ||||||||||||||
JC 24 | 高尾駅 | 3.3 | 53.1 | ● | ● | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:CO 中央本線 〈相模湖・大月方面(一部直通)〉 京王電鉄:KO52 京王高尾線 | |||||||||||||
JC 25 | 相模湖駅 | 9.5 | 62.6 | ● | ● | ● | ● | ● | 神奈川県 相模原市 緑区 | |||||||||||||
JC 26 | 藤野駅 | 3.7 | 66.3 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
JC 27 | 上野原駅 | 3.5 | 69.8 | ● | ● | ● | ● | ● | 山梨県 | 上野原市 | ||||||||||||
JC 28 | 四方津駅 | 4.2 | 74.0 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
JC 29 | 梁川駅 | 3.6 | 77.6 | ● | ● | ● | ● | ● | 大月市 | |||||||||||||
JC 30 | 鳥沢駅 | 3.6 | 81.2 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
JC 31 | 猿橋駅 | 4.1 | 85.3 | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||
JC 32 | 大月駅 | 2.5 | 87.8 | ● | ● | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:CO 中央本線 〈塩山・甲府方面〉 富士山麓電気鉄道:FJ 富士急行線 (高尾方面から河口湖駅まで直通運転) | |||||||||||||
至富士急行線富士山・河口湖方面(朝夕2往復と特急富士回遊が直通) |
日野市には豊田駅 - 八王子駅間に西豊田駅(仮称)を設置する計画があったが、2019年11月22日に計画を断念したと発表した[5]。そのような計画があったことからかつて同区間の中間に設置を求める看板が設置されていた。
過去の接続路線[編集]
※「廃止区間」としていない理由は、これらは中央線“快速電車”としての扱いではないため。
沿線の様子[編集]
以下、沿線の風景などについて述べる際は特記のない限り快速の下り電車 (東京発高尾行き) 基準で記載する。また、左右は下り電車の進行方向に則り記載している。
東京駅から三鷹駅まで[編集]
東京駅は1995年7月2日の重層化工事により新設された第01ホーム (1・2番線) から発車する。発車直後は下り勾配があり、その後山手線・京浜東北線・上野東京ライン (東北本線) と並走する。神田駅に着くと他の3路線と別れて中央線は左にカーブする。商業施設 「mAAch ecute 神田万世橋」 (旧万世橋駅) を過ぎると右側から中央・総武線各駅停車の高架橋が見え、これと合流すると御茶ノ水駅である。
御茶ノ水駅を出ると、暫くは緩行線 (各駅停車) の線路の両側を急行線 (快速) の線路が挟む形態となり、左から急行線下り・緩行線下り・緩行線上り・急行線上りの順になる。しかし水道橋駅の手前で急行線上りが緩行線2線の下をくぐり、左から急行線下り・急行線上り・緩行線下り・緩行線上りの順になる。そして急行線は緩行線よりも少し高い位置を走行する。ただ、これも水道橋駅を過ぎてから4線とも同じ高さになる。そして市ヶ谷駅を過ぎてからは緩行線2線が急行線2線を跨ぎ、四ッ谷駅に到着する。
四ッ谷駅を出るとすぐに右にカーブし、御所トンネルの中を通る。その後も随所でカーブがあり、代々木駅で左側から山手線・埼京線・湘南新宿ラインが合流する。埼京線・湘南新宿ラインは急行線2線の下をくぐり、2線の右側に抜ける。そして新宿駅に到着する。新宿駅の快速電車は、上りは7・8番線に、下りは11・12番線に発着し、ラッシュ時は2つの線路を使って交互発車が行われる。なお、間の9・10番線は特急列車が発着するホームとなっている。
新宿駅を発車すると山手線が急行線2線の上を跨ぎ、山手線・埼京線・湘南新宿ラインは右方向に抜ける。その後は随所で左に曲がり、大久保駅・東中野駅の隣を通過する。東中野駅を発車し、東京都道317号環状六号線(山手通り)を潜ると、右手に桜並木が見える。桜が満開の春には飯田橋駅 - 市ケ谷駅間と並ぶ絶好の撮影ポイントとなっている[6]。ここから駅の前後を除いてカーブがない区間に突入。そして中野駅に到着する。
中野駅を過ぎると杉並区に入る。高円寺駅・阿佐ケ谷駅にはホームはあるが、土休日は2駅を通過するためホームへの立ち入りが禁止されている。1960年代の中央線複々線化工事の際には杉並区にある高円寺駅・阿佐ケ谷駅・西荻窪駅の3駅に快速(急行線)ホームを建設しない予定であったが、高円寺駅周辺の商店街や沿線住民を中心とした運動により土曜日を含む平日に限り停車することになった。その後、土曜日も通過するようなダイヤに変更する際も反対運動が行われた。荻窪駅を出てから、西荻窪駅も同様に土休日は快速が通過する。その後も引き続きカーブが少ない区間を走行し、左側にキラリナ京王吉祥寺が見えると吉祥寺駅に到着。そして吉祥寺駅を出ると下り勾配で地上に降り、三鷹駅に到着する。三鷹駅は2面4線で、上下線ともに2線ずつホームがある。
三鷹駅から立川駅まで[編集]
この区間は開かずの踏切で問題となっていた区間。今は解消されている。この区間から快速は各駅停車となる。立川駅まで複々線にする計画があるが工事は行われていない。
三鷹駅を出ると左側に三鷹車両センターが見える。快速電車は車両センターの左側を走行し、上り勾配で高架線に上がる。この区間の高架線は2000年代以降に完成したため、比較的新しい。武蔵境駅・東小金井駅と過ぎ、武蔵小金井駅では車庫に向かうために、高尾寄りに線路が設けられている。そして豊田車両センター武蔵小金井派出が右側に見えると地上に降り、国分寺駅に到着する。国分寺駅では、同駅で連絡する西武国分寺線とかつて線路がつながっていたが、現在は撤去されている。
西国分寺駅では掘り割りの中を走行し、駅を過ぎると上下線2本の線路の間に線路が地下から延びてくる。これは武蔵野線とつながる線路である。その後再び高架線に上がり国立駅に到着する。そして立川駅の手前でカーブし、左から南武線の線路が合流すると立川駅に到着する。
立川駅から高尾駅まで[編集]
立川駅から先は通勤特快を除き各駅停車となる。この区間には中距離電車も一部乗り入れる。また地表区間が殆どになる。
立川駅を出ると左にカーブする。カーブの途中に線路が交差する部分があるが、ここは中央線と青梅線の連絡線になっている。多摩川を越えてカーブすると日野駅に到着。日野駅を出ると右にカーブすると踏切があり、踏切が終わると豊田駅に到着する。豊田駅は2面4線になっており、この駅が終着となる列車は車庫に入ったり、車庫に入らずに折り返したりする。豊田駅を発車し、右にカーブすると、左側に豊田車両センターがある。その後左右にカーブし、右側に八高線、左側に横浜線の線路が見えると八王子駅に到着する。
八王子駅では人の流れが大きく、一部時間帯では八王子行きの電車も設定されている。その八王子駅を出ると左にカーブ、踏切を通過する。その後も随所でカーブや踏切があり、西八王子駅に到着する。西八王子駅を発車すると暫く直線区間が続き、その後右側にカーブすると終点の高尾駅に到着する。この高尾駅から先に乗り入れ大月駅、更には4両のみ富士急行の河口湖駅に入る快速列車もある。国鉄時代は、休日に中央線快速車両を使った高尾〜相模湖間一駅間の各駅停車(チョン行)が運行されたこともあった。
車両[編集]
中央線(快速) 青梅線直通 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2023年3月18日現在 ← 東京・新宿 高尾・青梅 →
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快速電車の運用には豊田車両センター所属のE233系0番台10両編成が用いられる。10両貫通編成のT編成と、6両と4両に切り離せるH編成の2種類があり、大月駅で切り離しを行う列車には必ずH編成が用いられる。基本的にT編成・H編成は中央線快速・青梅線直通(東京 - 立川 - 青梅)の運用に入り、青梅線完結型列車・五日市線・青梅線(青梅 - 奥多摩)の運用は行わない。
なお、向こう5年以内にグリーン車を連結しトイレを設置するための改造工事を行う予定で、この際の不足分を埋め合わせるために松戸車両センターから209系1000番台2編成が転属し、2019年3月より営業運転を開始した。基本的に97T・99T運用の専属で、短~中期間の離脱を挟みつつも5年にわたって活躍していたが、TASC導入により2024年9月までに2編成とも完全に運用から退いた。
かつては、1957年から1985年まで101系、1973年から1983年まで103系、1979年から2010年まで201系が使用されていた。E233系投入は2006年である。
高尾駅から立川駅までの一部列車には長野総合車両センター所属の211系6連が使用される。これは、中央本線(甲府・小淵沢)や篠ノ井線(松本)、信越本線(長野)まで直通する列車の間合い運用として運用しているものが多く、殆どは立川⇔高尾⇔大月間のピストン運用で使用される。それ以外は中央本線(甲府・篠ノ井線松本方面)に直通する列車である。
特急運用には松本車両センター所属のE353系を使用。あずさ、かいじ、富士回遊、はちおうじ、おうめに順当される。詳細は後述。成田エクスプレスにはE259系が、新宿さざなみには255系・E257系がそれぞれ使用される。
グリーン車[編集]
中央快速線は東京駅から高尾駅までが53キロ、高尾駅から大月駅が34キロと合計で約90キロとなっている。そのため、JR東日本は中央快速線へグリーン車を導入する計画を2015年に発表した。当初は2020年度のサービス開始を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う半導体不足やホーム工事の難航によって延期を重ね、現在は2025年春のサービス開始を予定している。先ず2022年度に量産先行グリーン車4両が落成。2024年度からは本格的な増備も始まり、2024年10月よりグリーン車組み込み編成が営業運転を開始する予定である。
2025年春のサービス開始までは普通車扱いでグリーン料金無しで利用できるが、一般・鉄道ファン問わず多くの客が殺到しているため現状では普通車のほうが快適である。。
サービス対象区間はJR中央快速線の東京から高尾、中央本線の高尾から大月、JR青梅線の立川駅から青梅駅となっている[7]。
運行系統・種別[編集]
特記のない限り、車両の項目で述べた通りE233系0番台が用いられる。
中央線特急[編集]
篠ノ井線松本駅または大糸線南小谷駅を発着駅とする 「あずさ」 、及び甲府駅もしくは竜王駅を発着駅とする 「かいじ」 が通常運行されている。これらは殆どが新宿駅までの運行だが、数本は東京駅まで直通する。また、あずさは1往復のみ総武快速線千葉駅発着の列車もある。また新宿駅から大月駅までかいじ号と併結運行し、大月駅で分割/併結されて富士急行線河口湖駅に発着する 「富士回遊」 も運行されている。
いずれの列車も全車指定席で、指定席券がない場合は座席未指定券で乗車することとなる。なお、車内で特急券を購入すると割高の車内料金が適用される。
2019年3月ダイヤ改正までは、あずさよりも停車駅が少なく、振り子車両を使用した 「スーパーあずさ」 が設定されていたほか、夜のかいじ号は1本のみ四ツ谷駅にも停車していた。また臨時列車として松本駅発着で八王子駅から横浜線に入り横浜駅まで運行される 「はまかいじ」 も運行されていた。
車両は松本車両センター所属で車体傾斜装置装備のE353系電車 (基本9両+付属3両) が主体となっているほか、臨時列車には幕張車両センター所属のE257系500番台 (5両) も使用されている。なお、2019年ダイヤ改正までは松本車両センター所属のE257系0番台が一部のあずさ・かいじで使用され、またはまかいじは大宮総合車両センター所属の185系電車が使用されていた。
特急はちおうじ・おうめ[編集]
2019年3月ダイヤ改正から、従前の「中央ライナー」、「青梅ライナー」に代わり、平日の朝上りと夜下りに全席指定制特急で、E353系による東京 - 八王子間の 「はちおうじ」 、東京 - 青梅間の「おうめ」 が運行されている。
通勤特快[編集]
平日ダイヤの朝に、上り列車のみ運行される。高尾駅を発車すると、後述の特別快速も止まる西八王子駅・豊田駅・日野駅も通過する。そして大きな特徴は、国分寺駅を出ると三鷹駅や中野駅にも止まらず新宿駅までノンストップ運転を行うことである。そのため車内放送でも、「国分寺の次は、新宿まで止まりません。」と案内することで区別している。
高尾駅 - 立川駅間でも快速運転(西八王子駅・豊田駅・日野駅は通過)を行い、国分寺駅 - 新宿駅間でも中央特快・青梅特快の停車する三鷹駅・中野駅を通過してノンストップで走行するなど、料金不要の列車では最も停車駅が少ない。しかし、ダイヤが最も過密になるラッシュ時間帯を走っている上、快速も2分間隔と多いため所要時間はかなり長く、通常の快速とあまり変わらない。特に、武蔵小金井駅 - 新宿駅間の過密ダイヤ区間では列車が詰まり、スピードが遅くなりやすい。
フルカラーLED式行先表示器では赤紫色で通勤特快、201系の方向幕では紫色、同系の停車駅案内では赤紫色で表示される。
青梅線青梅駅から直通してくる通勤特快は立川まで、中央本線大月駅から直通してくる通勤特快は高尾駅まで各駅に停車する。
通勤快速[編集]
平日ダイヤの夕方から夜に、下り列車のみ運行される。後述の特別快速の停車駅に加えて荻窪駅と吉祥寺駅にも停車し、立川駅からは終点まで各駅に止まる。
フルカラーLED式行先表示器では紫色で通勤快速、201系の字幕式行先表示器は赤色で種別名が表示され、同系の停車駅案内では水色で表示される。
特別快速[編集]
上下線ともに運行される。立川駅から中央線高尾・大月方面に運行される列車は「中央特快」、青梅線に直通する列車は「青梅特快」と呼ばれる。停車駅は東京・神田・御茶ノ水・四ツ谷・新宿・中野・三鷹・国分寺・立川で、立川駅からは終点まで各駅に止まる。なお、中央特快では少数ながら富士急行線の河口湖駅を発着する列車も運行されている(快速・通勤快速も同様。)。
一部の中央特快は豊田駅・高尾駅(下りのみ)・相模湖駅・四方津駅のいずれかで特急の通過待ちを行うことがある。特に大月駅発着の電車はそのほとんどが途中で特急に追い抜かれる。青梅特快が特急の通過待ちを行うことはない。
フルカラーLED式行先表示器では青色で中央特快、緑色で青梅特快、201系の字幕式行先表示器でも中央特快が青色、青梅特快が緑色で表されるが、同系の停車駅案内ではどちらも青色で表示される。
1986年3月改正で201系先頭車への特別快速の種別ヘッドマーク掲出を廃止したが、1987年のJR化後5月21日に復活し、差込式の種別板差しを先頭車に取り付けた。1993年通勤特快を設定するときに、電動式種別表示器とした。ただし6両、4両編成で10両編成時中間に入る車両についてはこの改造は行われなかったが[8][9]、クハ200-87に限り電動式種別表示器を装備していた[10]。
2022年3月ダイヤ改正前までは、青梅特快で八高線の高麗川駅を発着する列車も運行されたが、八高線ワンマン化で廃止となった。(快速は箱根ヶ崎駅発着列車も運行されていた。)
平日日中は、中央特快が毎時3本、青梅特快が毎時1本運行する。
快速[編集]
上下線ともに運行される。中央線で最も多く運行されている。停車駅は東京・神田・御茶ノ水・四ツ谷・新宿・中野で、中野駅からは終点まで各駅に止まる。なお、土休日ダイヤでは西荻窪駅・阿佐ヶ谷駅・高円寺駅も通過し、駅の案内放送でも広く周知徹底されている。
平日は中野駅、土曜・休日は吉祥寺駅から種別無表示に切り替わり、駅の発車案内でも「各駅停車」と表示されるが、正式な運転種別は「快速」のままで[11]、後述する緩行線直通の各駅停車とは異なる。ただし、並行する中央線各駅停車が、トラブルで大幅な遅延や運転見合わせとなった場合は、土休日でも快速電車が救済措置として高円寺駅・阿佐ケ谷駅・西荻窪駅に停車することがある。その際、「黄色い文字の各駅停車」の表示・案内となることがあるが、その際の車内放送の駅番号は中央・総武線の「JB 」が使われる。
フルカラーLED式行先表示器では、ラインカラーであるオレンジ色で快速と表示される。中央快速線の基本種別であることから201系の字幕式行先表示器には「快速」という種別表記はなく、単に終点の駅名のみが表記されていたが、E233系のLED式行先表示器では上りの全区間と平日下りの中野駅まで、土曜・休日の吉祥寺駅まではオレンジ色で「快速」と表示されるようになった。
平日日中は毎時9本運行するが、概ね2-3本が青梅線直通、0-1本が立川発着、2本が豊田発着で、高尾まで運行するのは4本前後となる。
各駅停車[編集]
2020年3月13日まで早朝と深夜のみ運行されていた。正式な種別として「各駅停車」であるのは御茶ノ水駅 - 三鷹駅間で緩行線を走行する電車のみで、武蔵小金井駅・立川駅始発の下り電車や高尾駅発三鷹駅・武蔵小金井駅・国分寺駅行き最終電車など、快速運転区間外のみを走行する通過駅のない電車であっても、正式な運転種別は「快速」である[12]。また、下り快速・特別快速の通過駅がなくなる区間及び中距離列車でも駅の表示や車内放送では「各駅停車」と案内されるが、これらについても旅客案内上の便宜を図っているに過ぎない。
三鷹駅から御茶ノ水駅までは各駅停車が通る線路を走行していた。そのため、各駅停車と快速で発着するホームが違う駅では注意が必要であった。
E233系のフルカラーLED式行先表示器では、緩行線のラインカラーである黄色で各駅停車と表示されていた。201系の字幕式行先表示器では方向幕に「各駅停車」の種別名が表示されていた。
普通列車[編集]
立川駅以西には中央本線の中距離列車である普通列車も運転されている。1933年(昭和8年)7月15日以前は、飯田町駅や東京駅へも乗り入れており、1911年(明治44年)5月1日の全線開通時からしばらくは、中央本線全区間を結ぶ列車も存在した。その後普通列車は新宿駅始発となり、新宿駅・立川駅・八王子駅・高尾駅以西各駅に停車していたが、1986年(昭和61年)11月1日から三鷹駅にも(その後さらに西八王子駅も)停車を開始した。1993年(平成5年)12月1日に新宿駅発着が廃止され新宿駅 - 立川駅間での運転がなくなり、さらに1996年(平成8年)12月1日に日野駅・豊田駅にも停車するようになってからは通過駅がなくなった。現在は全列車立川駅・豊田駅・八王子駅・高尾駅発着で、ほぼ半数以上が高尾駅での折り返し運転となっており、昼間は高尾駅で中央特快との相互接続が行われている。
新宿駅発着列車が廃止されても、JR東日本が車内に掲載している東京近郊路線図(路線ネットワーク)には中央本線普通列車は新宿発着として掲載されていたが(逆に、現在大月駅まで表記されている快速電車が高尾駅までしか表記されていなかった)、2001年のダイヤ改正時からは立川駅以西のみの表記となった。また現在でも、市販されている路線図のなかには、新宿駅発着として掲載されているものがある。
なお、高尾駅以西に直通する快速電車の車両で運転する列車は、高尾駅以西では高尾駅以東での運転種別に関係なくすべて各駅停車と案内される。快速電車で普通列車と案内されるのは高尾始発大月行、大月始発高尾行の列車だけである。
その他の列車種別および補足[編集]
定期列車ではほかに優等列車として特急「あずさ」「かいじ」・「成田エクスプレス」がある。
青梅線方面の特快系(通勤特快・青梅特快・通勤快速)の電車は必ず立川駅か国分寺駅で高尾方面の快速・各駅停車に接続して、八王子・高尾方面からも利用できるようになっている。逆に青梅線方面の快速・各駅停車が高尾方面の特快系(通勤特快・中央特快・通勤快速)の電車に接続することも多いが、こちらはすべてではない。
東京駅 - 立川駅間では、快速は主に三鷹駅と国分寺駅で優等列車と接続したり、特急などを待避したりする。そのため、目安として中央特快・青梅特快・通勤快速・特急・ライナーの3本前の快速は途中ほかの速達列車に抜かれずに東京駅 - 立川駅間を走ると見ることができる。ただし、下り3本前の電車は立川駅で青梅線方面の速達列車からの接続待ちを行うこともある。通勤特快はより多くの快速を追い抜くため、5本前からの快速は通勤特快に追い抜かされる(すべて上り立川・下り東京発時点。特急の下りは新宿発時点)。
基本的に当系統路線の下り電車は、終日ほとんどの時間帯で上り電車(東京行き)の折り返しとして運行している。東京駅周辺に中央線の引き上げ線や車庫はなく、ホームも1面2線と設備が乏しい。そのため、平日朝の大量の東京行きの電車はそのまま折り返し下り電車として運行しなければならず、30秒もしないうちに次々に折り返していく。東京駅 - 武蔵小金井駅間では8時台後半 - 9時台に2分おきで大量の下り方面の電車が走っている。また、新宿駅9時台に2本の特急が東京行きとして運行するため、この直後1 - 2本の快速は東京駅手前で信号待ちのため停車することがある。
名称[編集]
※ここの節では表記の変更による誤解を防ぐため、一部を除き「中央快速線」を使用します。
当ページの冒頭でも述べたが、三鷹駅・吉祥寺駅から東京駅の間で使われることが多い「中央線(快速)」。だが、この名称には様々な表記ゆれが多く、特に「中央線快速」と「中央快速線」については多くの人が混用しており、JR東日本自体も混用している。
このような経緯に至っている理由については、中央・総武線各駅停車の延伸計画、快速電車の混雑率の高さ、杉並三駅が関わってくる。
国鉄時代に定められた「通勤五方面作戦」において、当時複線だった中央線(現在の中央快速線に当たる路線)の混雑緩和目的として現在の常磐線のような「緩急分離」が中央本線でも行われることになった。
その時の延伸計画は、関東大震災で被災した総武線の復旧と緩行線(現在の中央・総武線各駅停車)の延伸を兼ねたものであり、「千葉から立川間」に緩行線を敷設することとした。また、その際混雑緩和目的を行うための通過駅として「高円寺・阿佐ヶ谷・西荻窪(現在の杉並三駅)・三鷹以西国分寺以外」を通過すると発表した。
だが、その際に杉並三駅の利用者が快速電車が停車しないことに不満を覚え、国鉄に交渉。結果、現在の運行形態と同じ「平日のみ快速電車を停車させる。」という覚書を残した。この覚書の効果は現代まで続いている。
また、三鷹 - 立川間の用地が法律改正により足りないことが発覚し、結果延伸は三鷹で終了。オレンジの電車が2019年ごろまで朝夜各駅停車運用をしていたことや中央特快・青梅特快が三鷹駅から立川までほぼ停車駅がないのは、用地が足りずに緩行線が伸ばせないことが原因であるといえる。
現在でも計画は残っているが、ほぼ凍結状態となっている。
以上の点から中央本線は通勤五方面作戦のなかで複々線(緩急)の距離が一番短い路線となった。また、利便性もそこまで向上せず、中央快速線の混雑率軽減にはつながっていない。
そのため、大っぴらに「快速線」と呼べる距離ではないのである。(複々線区間としての「中央急行線」と呼べるのは御茶ノ水 - 三鷹間のみ。)
現在でも延伸計画は考えらえており、三鷹駅から立川駅まで地下に中央快速線を通し現在の路線を中央・総武線各駅停車が使う計画など様々な案があるが、これらの案が実現すれば「中央快速線」と正式に呼べるかもしれない。
いずれにせよ、延伸計画がまだすべて終わったわけではないため、様々な表記ゆれがあるのである。
競合交通機関[編集]
中央線の新宿駅 - 高尾駅間は、路線の南側に併走している京王電鉄の京王線、高尾線、井の頭線と競合関係にある。そのため、中央特快や通勤特快といった速達電車の運行や、新宿駅 - 八王子駅間や吉祥寺駅 - 渋谷駅間などを特定運賃として通常のJR運賃より割安に設定するといった対抗策が講じられている。
新宿駅 - 青梅線拝島駅間では西武鉄道の新宿線・拝島線とも競合をしているが、西武新宿駅の立地がよくないこと、また西武線の輸送の重点は所沢・本川越方面であり運行本数に差があることから、大きな競合関係には至っていない。しかし、2008年6月14日の西武鉄道ダイヤ改正で、西武新宿駅 - 拝島駅を43分で結ぶ新種別「拝島快速」が設定されるも短期間で廃止している。但し、2018年には有料着席列車の「拝島ライナー」が登場している。
東京駅 - 荻窪駅間では東京地下鉄丸ノ内線とも競合しており、御茶ノ水駅・四ツ谷駅・新宿駅では両線が接続している。中央線では東京駅・御茶ノ水駅・四ツ谷駅・新宿駅・荻窪駅の順に経由するのに対し丸ノ内線は御茶ノ水駅・東京駅・四ツ谷駅・新宿駅・荻窪駅の順で経由している。東京駅 - 中野駅間では東京地下鉄東西線(飯田橋駅・大手町駅で両線が接続)とも並行しているが、こちらは中央緩行線において相互直通運転を行っており、競合関係にあるとは言い難い。
本項では特に競合が激しい京王線と新宿駅 - 八王子駅間(京王線は新宿駅 - 京王八王子駅間)を例に比較する。
- 運賃
- 前述のようにJRは特定運賃として新宿駅 - 八王子駅間に割安な運賃を設定しているが、通勤6か月定期以外はなお京王が優位である。
- 普通運賃は、京王が350円であるのに対し、JRは特定運賃を適用した上で460円である。
- 定期運賃において、JRの利用が安くなるのは割引率の高い通勤6か月定期のみで、差の大小はあるもののその他の定期券は京王線の方が安くなる。通学定期券もJRの中学生用通学定期券より京王の通学定期券(一律)の方が安い。
- 所要時間
- 京王線(特急および準特急)と中央線(特別快速)を、平日の日中で比較した場合、中央線が約40分、京王線が約37分となり京王線のほうがやや早い(JRと京王の駅が離れている点を考えると、利用者の最終目的地や鉄道・バスへの乗換えの有無によって判断は分かれるところである)。
- 最速は中央線特急列車(有料)の「あずさ」「かいじ」の約33分だが、こちらは760円の特急料金(事前料金)[13]が別途必要である。
- 特急はちおうじ号利用時
- 京王線のライナー列車 「京王ライナー」 の新宿 - 京王八王子間と中央線の事実上のライナー列車である特急 「はちおうじ」 の新宿 - 八王子間を比較した場合、JRは運賃490円にあずさ・かいじ同様に全車指定席の特急券(事前料金)760円を足して1250円、京王は運賃350円に座席指定料金 (事前料金) 400円を足して750円である。運賃と同じく京王ライナーを利用すると割安で八王子まで座席確保で行くことができる。
- 高尾駅へのアクセスは、特急はちおうじはすべて八王子駅止まりで、京王ライナーも高尾山口行きの設定がない[14]。そのため、高尾駅に行く際は、特急はちおうじは八王子駅で各駅停車に、京王ライナーは北野駅で高尾山口行きの電車に乗り換えなければならない。
- 料金は京王ライナー利用時は運賃360円に座席指定料金400円を足して760円、特急はちおうじ利用時は運賃570円に特急券760円を足して1330円で、八王子までと同様に京王ライナーの方が割安である。
- 終電
- 八王子駅(京王八王子駅)への最終電車は、京王線が0:01発の急行高幡不動行(終点より各駅停車京王八王子行)であるのに対し、中央線は0:41発の各駅停車高尾行であり、0:11発の中央特快も運転されているので、深夜帯の運転および最終電車については中央線が優位である。
- 過去
- 2019年3月16日のダイヤ改正以前は、JR東日本でライナー列車 「中央ライナー」 を運行していた。中央ライナー時代のライナー料金は510円で、特急はちおうじ号よりも250円割安な料金だった。なお、中央ライナー時代は高尾行きが設定されていた。
脚注[編集]
- ↑ 常磐線も多いが、常磐線は何気に呼び方が統一されている。
- ↑ JR東日本 中央快速線グリーン車公開 2階建て車両で定員は180人
- ↑ 通勤五方面作戦で線路別複々線の方式がとられたのは、工事のしやすさや、駅ホームのスペースを重視したためと考えられる。(曽根悟「都市鉄道における急行運転の技術」『鉄道ピクトリアル』710号 10-21頁、14頁。)
- ↑ 東海道線などは15両編成で運転しているが、編成が長くなると最小運転時隔も長くなる。古い例ではあるが1964年ごろ、中央快速線が101系で既に10両2分間隔運転で限界とされていたとき、東海道線では15両3分間隔が限界と考えられており、この両者の比較では編成を長くしても輸送力は増大させられない(小沢耕一「東京の通勤輸送の現状と問題点」『鉄道ピクトリアル』156号 4-6頁参照)。一方常磐線については15両で2分30秒間隔が可能という1985年頃の意見もある(曽根悟「理想の通勤車両」『鉄道ピクトリアル』451号 20-24頁参照)。ただし中央快速線ではそれ以外に車両留置線不足も深刻な問題である(向井慧文「1960年台の中央線の輸送状況」『鉄道ピクトリアル』796号 56-62頁参照)。
- ↑ “中央線「西豊田駅」誘致事業断念決まる 日野市説明会開催へ”. 八王子経済新聞. (2019年11月25日) 2020年3月25日閲覧。
- ↑ http://rail.hobidas.com/guide/archives/2008/04/post_629.html
- ↑ なお、グリーン車に関しては諸説あり、中央本線の大月から甲府までの区間は10両ないし12両へ対応しており、導入開始数年後には昔行われていた中央快速線の大月以西への乗り入れ再開も説として有力視されている。
- ↑ 『鉄道ピクトリアル』No.669 電気車研究会 p.102 - p.103
- ↑ 『鉄道ピクトリアル』No.796 電気車研究会 p.30 - p33
- ↑ 『鉄道ファン』No.526 電気車研究会 p.39。
- ↑ 一部列車は途中駅で列車番号が変わり、種別も「普通」に変更になる。大月・河口湖行きは高尾駅にて列車番号・種別が切り替わる。
- ↑ JR東日本:駅の時刻表 - 東日本旅客鉄道(一例)
- ↑ 以前は500円の自由席特急料金だった。
- ↑ 大晦日の終夜運転を除く。
関連項目[編集]
- 中央・総武緩行線
- 青梅線・五日市線 - 本路線と同じくE233系0番台が運用される。
- 山手線 - 新宿駅 - 代々木駅間は山手線所属である。
- 東北本線 - 東京駅 - 神田駅間は東北本線所属である。
- 京王線 - 新宿駅 - 八王子駅・高尾駅間で競合関係にある。
外部リンク[編集]
- 検索結果(中央線快速の駅):JR東日本
- 東日本旅客鉄道八王子支社 - ウェイバックマシン(2020年10月20日アーカイブ分)
- 中央線が好きだ。
- 中央線が好きだ。【公式】(@chuosuki) - X(旧:Twitter)
- 進行中のプロジェクト > 輸送改善プロジェクト - 東日本旅客鉄道
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