競合路線

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競合路線 (きょうごうろせん)とは、2つ以上の交通事業者の路線の利用圏が重なっている状態である。

概要[編集]

利用者が多い区間では世界的規模で見られる。完全に路線が同一(バス路線に多い)もしくは並行している「完全競合」と、起点と終点が同一で、中間地での競合は少ない「部分競合」の路線がある。事業者があまりに多いと共倒れになるので、戦時中に政府や自治体主導で事業統合や公営化が行われたり、民間放送のように監督官庁が免許申請の調整を行うことが多い。

歴史[編集]

古くから馬車が複数の事業者によって競合関係になっていた例は多い。19世紀に入ると鉄道が競合関係になり、20世紀になると馬車は消えてバスが競合関係になった。20世紀後半から飛行機の高性能化によって、それまでの長距離の旅客船は終焉を迎えたが、自動車を載せるフェリーは各地で運行しており、自動車族に重宝されている。

鉄道同士の競合も多い。かつては、広域輸送目的で国鉄(あるいは後に国鉄に買収される私鉄)が、地域の都市間輸送目的で私営の電気鉄道、地域の都市内狭域輸送で路面電車が作られ、同じ区間を通っていても棲み分けがなされていた。その後、従来の路線に並行して、近畿地方の大阪〜神戸・京都・和歌山や津〜伊勢[注 1]で都市間高速直行輸送に特化した「急行電鉄」が、多摩地域で五日市鉄道[注 2]多摩湖鉄道が既存の私鉄に並行して作られ、私鉄同士の競争が始まった。急行電鉄は、その高速性を生かして広域輸送目的で作られる路線(近鉄・小田急・名鉄)も現れた。一方で国鉄も都市部の地域輸送に進出したため、国鉄・私鉄間の競合区間が全国で生まれ、国鉄分割民営化後は、地域輸送を強化した私鉄競合のJR線も現れている。

競合路線の功罪[編集]

複数の運輸事業者が競合すると運賃や旅客設備の向上によって旅客は低廉な運賃と立派な旅客設備で快適な移動ができる反面、事業者側はそれに対する支出増やコスト低減の努力が必要になる。あまりにも競争が激しいとダンピングによる共倒れになる可能性もあり、また、高速バスや飛行機のように直行系交通が優位に立ち、鉄道で中間通過地がサービスダウンする事例も生じている。

なお、鉄道の場合は、一方の路線が運転見合わせとなった際に他方の路線を振替輸送に利用することが可能になるという利点もある。

日本国内での例[編集]

完全競合[編集]

広域[編集]

東京都内と大阪市内
日本国内で最も人、物の流れが多い区間である。旅客輸送については飛行機東海道新幹線高速バスによる競合が激しい。但し、高速バスは速さよりも運賃の安さで勝負している。また、夜行の大阪方面への往来はJRが半ば競争放棄状態で、高速バスの独壇場となっている。
大阪市内と福岡市内
山陽鉄道が開業した頃より瀬戸内海を運航する貨客船との競争が激しかった区間である。飛行機と山陽新幹線、高速バスによる競争が激しい。この区間も高速バスは速さよりも運賃の安さで勝負している。フェリーの運航もあるが、こちらは旅客輸送は従で主役は貨物輸送である。また夜行輸送は「あかつき・なは」の廃止で、鉄道は競争放棄した。
大阪市内と徳島市
日本最初の航空路線が開設された区間であるが、高速バスの運行を始めると、運賃の安さと頻発運転によって廃止に追い込まれた。かつては日本国有鉄道通過連絡運輸の対象にもなっていた南海本線南海フェリーの乗り継ぎは健在だが、乗り換えの不便さと速度に勝てずに減便に追い込まれ、大阪府泉南および和歌山県徳島県の地域輸送に甘んじている。現在は、「西日本JRバス・本四海峡バス・JR四国バス」と「阪急・阪神・神姫・山陽・徳島バス」の高速バス2グループ間の競合路線となっている。
東京都内と甲府市内
中央本線東京駅から甲府駅まで営業キロ134.1km、運賃は2310円。所要時間は中央特快と普通列車の乗り継ぎで3時間。中央自動車道の高速バスは運賃が2500円で所要時間は2時間。中央本線には特急「あずさ」「かいじ」が運転されているが、特急料金を追加すると高速バスの方が安くなる。
首都圏と香川(夜行)
寝台特急「サンライズ瀬戸」のB寝台「シングル」利用で片道22540円(通常期)、3・4列シートの夜行バスで片道6000~12000円。夜行バスの方が安いが、リクライニングシートで10時間以上耐えなければいけない。サンライズは値段は張るが、その分快適な移動が保証される。
新潟市中心部と会津若松
磐越西線と会津バスによりほぼ完全競合している。いずれも直通便は1日1往復しかなく、昼間の移動は磐越西線利用・新津乗り換えを強いられる。直通便のみで比較した場合、運賃と輸送力はJRが優勢だが、時間は高速バスの圧勝である。かつては快速あがのが走っていたが、2021年に全滅した。
名古屋市と奈良市
奈良交通、名鉄バスによる高速バスが競合。鉄道では新幹線京都、みやこ路快速経由が最も早い。かつては急行かすがが走っていたが、先述の高速バスにより2006年をもって消された。

関東[編集]

関東北部[編集]
小川町駅寄居駅
JR八高線東武東上線が競合。東武東上線とて末端区間だが、八高線はさらに輪をかけて本数が少ないため、東武側が競争力を持つ。
東京対多摩方面[編集]
新宿駅橋本駅 (神奈川県)
東日本旅客鉄道京王電鉄競合路線である。運賃に関しては京王電鉄の方が安く、さらに乗り換えがないので圧倒的に有利である。JRよりも並行する大手私鉄の方が有利なのは同名駅である橋本駅 (和歌山県)(後述)でも同じである。
東日本旅客鉄道と京王電鉄・新宿駅-橋本駅
営業キロ 運賃 所要時間 備考
東日本旅客鉄道 45.9km 820円 48分 乗車時間のみ
京王電鉄 38.1km 390円 54分 普通列車
JR中央快速線京王線(新宿 - 八王子・高尾)
JR東日本と京王電鉄の競合路線。全国的に有名な競合路線で、新宿駅 - 八王子駅京王八王子駅)・高尾駅間で競合している。速さのJR、安さの京王と棲み分けされている。両者ともに終日通して非常に混雑する路線として有名のため、新宿 - 八王子間では有料座席指定列車も運行されており、JR側は通勤特急「はちおうじ」をはじめ、特急「かいじ」「あずさ」「富士回遊」が設定されており、対する京王は「京王ライナー」を設定している。また、JRは中央快速線へのグリーン車サービス開始を予定しており、対高尾の着席需要に於いて優勢となりそうである。
JR東日本 VS 京王電鉄
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 新宿駅 - 八王子駅 37.1km 500円 37分 中央特快(追加料金なし)利用
1260円 33分 特急「はちおうじ」「かいじ」「あずさ」「富士回遊」(追加料金あり)利用
京王電鉄 新宿駅 - 京王八王子駅 37.9km 370円 42分 特急(追加料金なし)利用
780円 38分 京王ライナー(追加料金あり)利用
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 新宿駅 - 高尾駅 42.8km 580円 44分 中央特快(追加料金なし)利用
京王電鉄 43.0km 370円 53分 特急(追加料金なし)利用
JR中央快速線青梅線西武新宿線西武拝島線(新宿 - 拝島)
JR東日本と西武鉄道の競合路線。新宿駅(西武新宿駅) - 拝島駅間で競合している。速さのJR、安さの西武と棲み分けされているが、京王とJRのラウンドとは違い、西武陣営は線形が非常に悪くスピードダウンを強いられるため、西武新宿駅の立地の悪さも目立って速度差がより顕著になる。しかし、拝島駅は西武拝島線の始発駅でもあるため、座って通勤できるという点で好評となっている(無論JRは殺人ラッシュ)。同区間では有料座席指定列車も運行されており、JR側は通勤特急「おうめ」、西武側は「拝島ライナー」を設定している。
JR東日本 VS 西武鉄道
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 新宿駅 - 拝島駅 34.1km 490円 40分 青梅特快(追加料金なし)利用
1250円 38分 特急「おうめ」(追加料金あり)利用
西武鉄道 西武新宿駅 - 拝島駅 36.9km 450円 52分 急行(追加料金なし)利用
750円 52分 拝島ライナー(追加料金あり)利用
京王線・京王相模原線小田急小田原線小田急多摩線(新宿 - 永山・多摩センター)
京王電鉄と小田急電鉄の競合路線。新宿駅 - 永山駅多摩センター駅間で競合している。開業以来、運賃の安さと速達性で長らく京王電鉄の独壇場であったが、2018年平成30年)の小田急小田原線複々線化工事完了によって小田急線の利便性が向上。これに対して京王線は同区間に座席指定列車「京王ライナー」(追加の座席指定料金410円)を新設し、さらに翌年には相模原線の加算運賃を引き下げる形で迎え撃つ。京王ライナーは堅実な価格設定と高頻度運転などによって客足が好調であり、2024年のダイヤ改正でも朝夕に1本ずつ増便される。
料金面・速達面では京王が優れているが、混雑度については小田急線に軍配が上がる。
京王電鉄 VS 小田急電鉄
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
京王電鉄 新宿駅 - 京王多摩センター駅 29.2km 330円 30分 特急(追加料金なし)利用
740円 26分 京王ライナー(追加料金あり)利用
小田急電鉄 新宿駅 - 小田急多摩センター駅 30.6km 390円 38分 急行(追加料金なし)利用
890円 35分 小田急ロマンスカー(追加料金あり、新百合ヶ丘乗り換え)利用
東京対神奈川方面[編集]
JR東海道線・京急本線(品川 - 川崎・横浜
両線は品川 - 横浜間で完全に並行しており、かつての国鉄時代のころにはともに旅客獲得競争に業を煮やしていた。2000年代以降、輸送量が横ばい傾向になったことや京急が羽田空港への乗り入れを開始したこと、湘南新宿ラインの新設などによりかつてのような過激な競争は見られないが、関東では数少ないJRと私鉄が完全に並行している区間として知られている。JR側では運行本数の多さや直通運転の区間が広いことを長所とし、京急側では遅れにくいことや2100形のように乗車券のみで特急型のような車両を利用できる快適性をアピールしている。
路線名 区間 営業キロ 運賃 日中時間帯の
所要時間
日中時間帯の
運行本数
朝ラッシュ帯の
運行本数[注 3]
東海道線 品川 - 横浜 22km 310円 16~18分 6本/h 16本/h
京急 22.2km 310円 18~22分 6本/h 10本/h
東海道線 品川 - 川崎京急川崎 11.4km 230円 10分 6本/h 16本/h
京急 11.8km 240円 9~12分 6本/h 11本/h
東海道線 川崎・京急川崎 - 横浜 10.6km 230円 8分 6本/h 16本/h
京急 10.4km 240円 7~10分 9本/h 13本/h
JR湘南新宿ライン東急東横線(渋谷 - 武蔵小杉・横浜)
JR東日本と東急電鉄の競合路線。渋谷駅 - 武蔵小杉駅・横浜駅間で競合している。東急側では「東横特急」のブランドをもつFライナー特急や、有料座席指定サービス「Qシート」連結の急行を、JR側ではグリーン車サービス付きの列車を運転させている。2019年からはJR側に新たに相鉄・JR直通線の列車が、2023年からは相鉄・東急直通線の列車が対小杉においての競合関係を持つ列車として追加された。所要時間では両者ともに大差無いが、料金や本数の面では東急側が勝っている。
東横線は渋谷駅から東京メトロ副都心線に直通しており、池袋 - 横浜間でも競合関係となっている。
JR東日本 VS 東急電鉄
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 渋谷駅 - 武蔵小杉駅 17.2km 320円 15分 快速(追加料金なし)利用
1100円 自由席グリーン車快速(追加料金あり)利用
東急電鉄 10.8km 230円 13分 Fライナー特急(追加料金なし)利用
730円 18分 Qシート急行(追加料金あり)利用
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 渋谷駅 - 横浜駅 32.1km 410円 28分 快速(追加料金なし)利用
1190円 自由席グリーン車快速(追加料金あり)利用
東急電鉄 24.2km 310円 30分 Fライナー特急(追加料金なし)利用
660円 S-TRAIN(追加料金あり)利用
810円 34分 Qシート急行(追加料金あり)利用
JR湘南新宿ライン小田急小田原線小田急江ノ島線(新宿 - 小田原・藤沢)
JR東日本と小田急電鉄の競合路線。新宿駅 - 藤沢駅小田原駅間で競合している。スピードではJRが辛くも勝利を収める(一部列車除く)が、JRが横浜・川崎を経由して迂回する関係上、安さ勝負ではJRが惨敗・小田急が優位に立つ。座席指定サービスにおいても、JRでは特急「湘南」や追加料金ありサービス、小田急では特急ロマンスカー「はこね」「さがみ」「えのしま」「ホームウェイ」と、豊富なラインナップとなっている。
JR東日本 VS 小田急電鉄(東京 - 藤沢間)
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 新宿駅 - 藤沢駅 57.8km 990円 51分 快速(追加料金なし)利用
1990円 自由席グリーン車快速(追加料金あり)利用
2010円 55分 特急「湘南」(追加料金あり)利用
小田急電鉄 55.4km 610円 58分 快速急行(追加料金なし)利用
1360円 57分 特急・小田急ロマンスカー「えのしま」「ホームウェイ」(追加料金あり)利用
東海道新幹線(JR東海)とJR東海道線(JR東日本)と小田急小田原線
東京・新宿~小田原間では、JR東海が事業者として競合に加わる。小田急線の場合、通常運賃は910円で、「ロマンスカー」利用で1910円。東海道線は通常利用で1520円、特急「湘南」指定席を使用すると2540円。また、東京~小田原では東海道新幹線「こだま号」とも競合しており、定期利用だと「湘南」より新幹線の方が安い。
JR東日本 VS JR東海 VS 小田急電鉄(東京 - 小田原間)
区間 営業キロ 片道運賃 所要時間 備考
JR東日本 新宿駅 - 小田原駅 90.6km 1520円 93分 快速(追加料金なし)利用
2520円 自由席グリーン車快速(追加料金あり)利用
2540円 87分 特急「湘南」(追加料金あり)利用
小田急電鉄 82.5km 910円 88分 快速急行(追加料金なし)利用
1910円 59分~80分 特急・小田急ロマンスカー「スーパーはこね」「はこね」「さがみ」「ホームウェイ」(追加料金あり)利用
JR東海 87.7km 3280円 46分 新幹線「こだま」(追加料金あり、品川山手線乗り換え)利用
東京対千葉方面[編集]
JR総武線と京成電鉄本線(京成小岩〜京成津田沼)、千葉線
小岩 - 津田沼 - 千葉間で完全競合。京成が劣勢で、特に京成に速達列車の無い船橋 - 津田沼 - 千葉間はJRが優勢である。千葉の自治体のトップはJRに京葉線のダイヤ改悪のクレームはするが、京成に千葉線の速度向上の期待はしていない
京成電鉄と東日本旅客鉄道の船橋 - 千葉(京成船橋〜京成千葉)間比較(2023年)
運賃計算キロ 運賃 所要時間 備考
京成電鉄 16.9km 330円 約30分 千葉線は各停
東日本旅客鉄道 16.0km 320円 20分 各停
京成本線(京成西船〜京成勝田台)と東葉高速線
こちらは、東葉の運賃が高額なことから、京成の方が優勢。
久留里線とカピーナ号(高速バス)
久留里 - 上総亀山間で完全に競合しており、久留里線については廃止も時間の問題と言えよう。
銚子 - 外川
煎餅屋の電車こと銚子電鉄と京成タクシー成田の路線バスで完全競合。競合バスがある以上、銚子電鉄はぬれ煎餅がないとやっていけないことがわかる。

中部[編集]

静岡 - 清水間
JR東海道本線と静岡鉄道が完全競合。静鉄が劣勢で、日中は急行の運行を終了した。
福井 - 武生間
ハピラインふくい線福井鉄道福武線が完全競合。福武線で急行が運行されているが、速さではJRから引き継いだハピラインが優勢。
岐阜 - 鵜沼間
名鉄各務原線JR高山本線が競合している。立地条件と運賃の面ではJRが優位だが、全線単線で、基本2両であることなどの面で劣っている。名鉄は犬山線直通を止めたことで利便性が低下したが、JRも国鉄時代に着手した電化工事を再開しないことで隙をつけない状態である。
名古屋駅 - 栄町間
名鉄バスと地下鉄東山線が競合している。徒歩でも30分程度なので、徒歩が最も得策な場合もある。
栄(栄町) - 市役所 - 大曽根間
名鉄瀬戸線と地下鉄名城線が完全競合。ただし、春日井や尾張旭に抜ける場合は瀬戸線、金山方面に抜ける場合は名城線に乗ったほうが得策である。
名古屋 - 弥富間
JR関西本線、近鉄名古屋線と名鉄津島・尾西線が競合。後述の関西本線 vs 近鉄名古屋線に含まれるが、JRが弥富駅に快速列車を停めないので、急行停車の近鉄が優位である。関西本線電化前はJRは汽車ダイヤだったので、名鉄も競合に加わっていたが、JRの本数充実で、津島迂回と運賃の高さが弱点となって直通はあるものの競争からは脱落状態である。

近畿[編集]

天王寺(南海新今宮) - 和歌山間
南海本線阪和線が競合。通常運賃では南海本線が安く、阪和線は天王寺〜和歌山間で特定運賃となっている。なお、和歌山市では、市街化が進む和歌山駅への南海電車乗り入れを要望している。
阪和線 (天王寺駅-和歌山駅)と南海本線(新今宮 - 和歌山)の比較・2022年
営業キロ 運賃 所要時間 備考
JR(阪和線) 61.3 820円 (通常運賃1100円) 1時間12分 紀州路快速[注 4]
南海本線+和歌山ループ 62.8 1160円 1時間27分 区間急行[注 5]
南海高野線阪和線 - 新今宮〜三国ケ丘間
通常運賃では特定運賃が設定されている阪和線が安い。かつてはJRは天王寺乗り換え必至で南海優位だったが、JRが大阪環状線乗り入れと三国ケ丘快速停車を行ってからは両者天秤になり得る。
新今宮駅と三国ヶ丘駅との運賃、所要時間対比
営業キロ 運賃 所要時間
JR (大阪環状線、阪和線) 11.2km 230円 快速14分
南海高野線 10.2km 260円 急行(堺東乗り換え)+各停14分
新今宮 - 関西空港間
南海空港線関西空港線が競合。
関西本線・伊勢線・紀勢本線・参宮線と近鉄名古屋線近鉄山田線近鉄鳥羽線
JRが中長距離で完敗している例。近鉄側は全線複線電化だが、JR側は単線区間が大半を占め、かつ河原田より南側が非電化であるなど、設備的に完負けで、運賃優位でも劣勢の区間がある。
近畿日本鉄道と東海旅客鉄道の名古屋駅 - 松阪駅連絡(2022年)
運賃計算キロ 運賃 所要時間 備考
近畿日本鉄道 87.2km 1290円 1時間24分 急行、6両編成
東海旅客鉄道・伊勢鉄道 63.2km+22.3km 1690円 1時間17分 快速、2両または4両編成
松阪 - 大阪市内駅までの運賃と所要時間 (2022年)
運賃計算キロ 運賃 所要時間 備考
近畿日本鉄道 117.3km 1590円 1時間56分 快速急行・大阪上本町駅から、4両または6両編成
東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 156.8km 2640円 3時間47分 快速+普通・JR難波駅から、一部区間で1両の場合あり
近畿日本鉄道と東海旅客鉄道の - 松阪間比較(2022年)
運賃計算キロ 運賃 所要時間 備考
近畿日本鉄道 20.7km 490円 22分 急行、6両編成;3本/時
東海旅客鉄道 19.1km 330円 17分 快速、2両または4両編成;1本/時
東海旅客鉄道 19.1km 330円 26分 普通、1両または2両編成;1本/時
一方、名古屋 - 桑名間は特定運賃採用と速達列車の本数が互角でややJRが善戦している。
近畿日本鉄道と東海旅客鉄道の名古屋 - 桑名間比較(2022年)
運賃計算キロ 運賃 所要時間 備考
近畿日本鉄道 23.7km 530円 20分 急行、6両編成
東海旅客鉄道 23.8km 350円 23分 快速、2両または4両編成
和歌山線・桜井線(関西本線方面)と近鉄大阪線南大阪線御所線
愛知・三重県以上にJRが完敗。桜井、橿原、大和高田、香芝と大阪との往来はほぼ近鉄1択。
阪神本線・山陽電鉄本線と阪急神戸本線とJR神戸線
阪急神戸本線のみ新開地(神戸)で足止めを受けるので劣勢となる。運賃はJRが最も安い。
奈良市 - 神戸市
阪神本線近鉄奈良線はこれまで大阪環状線御堂筋線を介して乗り継ぎできたが、乗降客の多い駅での2回の乗り継ぎに二の足を踏み、両線沿線の結びつきは決して強くはなかった。しかし阪神なんば線の開通によって乗り継ぎがなくなり、運賃も安くなって両線沿線の結びつきは強くなった。これによって受験生の進学希望先の選択が広まった。
奈良市から神戸市への運賃・所要時間比較(2022年)
営業キロ 運賃 所要時間 備考
西日本旅客鉄道 78.8km 1270円 1時間35分* 乗り換え1回[注 6]
阪神電気鉄道+近畿日本鉄道 65.3km 1100円 1時間20分 阪神なんば線経由・乗り換えなし
阪神電気鉄道+近畿日本鉄道 68.1km 1250円 1時間17分* 御堂筋線経由・乗り換え2回

*乗車時間のみ

紀州鉄道線と熊野御坊南海バス印南線(路線バス)
こちらも紀州鉄道線が惨敗で大赤字となっている。もっとも、紀州鉄道の赤字額は広告費扱いのため廃止は考えられない。

中国・四国[編集]

広島 - 西広島 - 宮島口
JR山陽本線と広島電鉄で完全競合。輸送力や所要時間の面では通常の鉄道車両タイプのJRの圧勝だが、広島電鉄も広島市一番の繁華街の紙屋町・八丁堀に乗り換え無しで往来できる強みを持ち、その強みを生かすべく西広島以西で運用されていた通常の鉄道タイプ車両を全廃している。
高松 - 栗林(瓦町)- 志度
JR高徳線と琴電志度線が並行競合。JR化前は志度線が国鉄高松駅近くの高松築港駅に直通し、本数的にも琴電優勢だったが、JR化後高徳線がスピード勝負して、志度線も高松築港乗り入れを廃止して、地域輸送に徹している。ただし、現在でも琴電の方が本数が多い上に、瓦町駅が高松市の中心部に近いことから、特に屋島エリアでは琴電が優勢。
牟岐線・阿佐海岸鉄道と室戸・生見・阿南大阪線(高速バス)
こちらも競争力としては、対大阪の輸送で鉄道側の惨敗。阿南以南は「共同運営」の名で、大阪への直行路線を持たない鉄道がバスの軍門に降っている。阿佐海岸鉄道に至ってはDMVを楽しむだけのアトラクションと化してしまった。
軍門に降る前は、高速バスがクローズドドアシステムを採用していて、人口の少ない地域に「近畿圏に行けない鉄道」と「県内で使えない高速バス」が共存するという、非効率な状態であった。

部分競合[編集]

東北[編集]

福島 - 槻木
阿武隈急行線とJR東北本線が「はからずも」部分競合。阿武隈急行が単線で通しの所要時間では全然歯が立たないので、地域輸送に徹している。

関東[編集]

前橋 - 桐生
JR両毛線と上毛電気鉄道線が部分競合。両毛線の方が列車のスピードが速く、有力都市の伊勢崎を経由するため、上毛電鉄線は短絡しているにも関わらず劣勢気味である。
東京駅 - 新宿
JR中央東線・山手線の他、東京メトロ丸ノ内線が競合しており、山手線以外は四ツ谷でも競合している。輸送力、時間、運賃ともに中央東線の快速が圧勝している。
品川・浜松町 - 羽田空港
JR東日本系列の東京モノレールと、京浜急行電鉄で競合。もっとも、お台場方面から羽田空港への顧客は東京モノレールが、大田区蒲田から羽田空港への顧客は京浜急行電鉄が役割分担している。

中部[編集]

立山黒部アルペンルートと北陸新幹線&高速バス
富山から信濃大町までで競合。最も早いのは北陸新幹線だが、観光輸送の観点から立山黒部アルペンルートは残るものと考えて良い。2024年からは宇奈月温泉駅・欅平駅経由の黒部宇奈月キャニオンルートも競合対象に加わる予定。
JR東海道本線と名鉄名古屋本線
豊橋 - 岐阜間で大府・刈谷市北部・知立一帯、蒲郡、須ヶ口、国府宮、笠松を除き競合しているが、名鉄は地域輸送の一面も担い、ある意味役割分担を果たしているようにも思える。

関西[編集]

名古屋市 - 大阪市内
近鉄名古屋線・大阪線と東海道新幹線、高速バスとが競合。もはや日本全体を懸けるほどの競合路線。通常運賃では未だに近鉄の圧勝だが、最も安いのは、近鉄の運賃値上げによりぷらっとこだま利用となってしまった。
米原 - 彦根 - 近江八幡
JR琵琶湖線と近江鉄道本線が部分競合だが、JRが完全優勢である。
難波〜橋本間
JR難波駅・新今宮駅と橋本駅の2点間及び周辺地域で南海高野線西日本旅客鉄道が競合。JR西日本は三角形の2辺を繋ぐ遠回りなルートのため、南海高野線に対し運賃所要時間ともに勝ち目はない。
JR難波駅から橋本駅までの西日本旅客鉄道運賃計算キロは75.3kmで、運賃は1340円、JR難波発0723王寺駅着0751王寺駅発0806橋本駅着0926で所要時間2時間3分、対して、南海高野線は難波駅発0600橋本駅着0650で、運賃計算キロは43.8kmで運賃は700円、所要時間50分。運賃、所要時間共に南海高野線に軍配が上がる。このため、大阪市内 - 橋本間でJRはまず選択肢に上らない。さらに、西日本旅客鉄道は近畿地方広域で南海電気鉄道と連絡運輸を行っており、南海高野線沿線区域外の地域でも南海高野線の乗車券が自動券売機で購入できる。
難波駅と橋本駅との運賃、所要時間対比
運賃計算キロ 運賃 所要時間
JR (関西本線、和歌山線) 75.3km 1340円 2時間3分
南海高野線 43.8km 700円 50分

/連絡運輸

京都市内 - 大阪市内
阪急京都本線東海道本線京阪本線。ここでは3社まとめて扱う。太平洋戦争前からの競合区間であり、いずれも専用車両を投入した。

詳細は「国鉄117系電車」を参照

阪急京都本線と東海道本線は完全競合状態だが、京阪本線は、これら2線の通る高槻を通らず、代わりに寝屋川市枚方市を通り部分競合となる。輸送力は20m車12両の、速度もJRが圧勝となる。

中四国[編集]

高松 - 琴平
JR予讃・土讃線と琴電琴平線が起終点のみで競合。JRが遠回りの丸亀・善通寺経由であり快速「サンポート」も運行している一方、琴電は各駅停車しか無いが、所要時間面でのデメリットが少ない上に、瓦町や片原町といった高松都心を通ることから、比較的善戦している。
新白島 - 大町
JRの新白島駅新設で、アストラムラインとJR可部線が両駅間のみ部分競合状態となった。太田川の両岸に路線が分けられていることから、ある程度棲み分けされていると思われる。

九州[編集]

新宮中央(西鉄新宮)- 千早
JR鹿児島本線JAと西鉄貝塚線。西鉄貝塚線が海寄りに和白を迂回するので、部分競合になる。なお、2027年目処で、西鉄貝塚駅東寄りにJR駅が新設される予定で、競合状態も変わると思われる。

競合の結果、一方が撤退[編集]

関東[編集]

土浦 - 岩瀬
両駅間で筑波鉄道と国鉄常磐・水戸線が競合状態だったが、国鉄が友部経由の遠廻りにも関わらず筑波鉄道より運賃が安く、筑波鉄道は通し客の獲得が出来ずに集客不振で廃線となった。

北陸[編集]

高岡 - 伏木
旅客輸送について、日本国有鉄道の氷見線と、加越能鉄道伏木線で競合していたが、国鉄は氷見側で、加越能鉄道は新湊側で1本化することになり、加越能鉄道伏木線が廃止になり、加越能鉄道の万葉線移管後もこの形態は維持されている。なお、新湊側にも国鉄の旅客線があったが、加越能鉄道高岡軌道線の延伸開業の際に廃止となっている。
一時期は氷見線LRT化にあたり、伏木線一部復活という方法も不可能ではないと考えられたが、結局鉄道線維持が決まりボツになった。
富山 - 笹津
国鉄高山本線と富山地鉄笹津線が競合。地鉄笹津線が短絡するにも関わらず、大型車両の高山本線に対し劣勢だった。
石動 - 福野
加越能鉄道加越線と国鉄北陸本線・城端線が競合。加越能鉄道が短絡するものの、長所が生かせずに廃線。
金沢駅 - 輪島駅珠洲駅
日本国有鉄道七尾線能登線急行列車を運転していたが、北陸鉄道能登有料道路長距離バスの運行を始め、設備の良さや穴水〜羽咋間で半島西側を短絡することからバスが優位となった。
国鉄・JR線も能登線が1988年に第三セクター化し、1991年9月1日七尾駅以北も第三セクターのと鉄道七尾線に転換されると共に急行列車が大幅に削減された。後に急行列車は廃止され、後年、鉄道路線自体も穴水駅以北が廃止された。

東海[編集]

名古屋 - 刈谷
国鉄が列車ダイヤだった頃は、名鉄優位だったが、名鉄事情で一時直通列車を廃止。国鉄分割民営化後に、三河線直通急行30分間隔という強気のダイヤを名鉄が組んだこともあったが、高浜、碧南からも刈谷乗り換えでのJR利用の多さという現実を見せつけられ、名鉄が撤退した。
名鉄岐阜 - 新可児
名鉄が朝間に犬山経由の直通を設定していたのみだったが、キハ11を投入したJRがワンマン運行に最適の美濃太田経由太多線直通列車を日中に頻発させ、名鉄の裏をかいた格好となった。そして2023年に各務原線ワンマン化によって名鉄が直通運行から撤退した。
もっとも、2024年春に広見線もワンマン化され、犬山を通した運用の支障が少なくなるため、2025年以降の復活の可能性は否定できない。
新関 - 美濃
名鉄美濃町線と長良川鉄道越美南線で競合していたが、いずれもモータリゼーションの影響で振るわず、2001年に名鉄美濃町線のほうが廃止されて一時的に越美南線関駅乗り入れとなった。一方、長良川鉄道越美南線は現在も残っている。
松阪 - 射和(相可)間
三重交通松阪線と国鉄紀勢本線が競合。開業は三交松阪線が早かったが、軽便規格で鈍足であり、スピードでは国鉄に対抗できず、集客不振で三交が廃線となった。

九州[編集]

黒崎 - 折尾
専用軌道区間が多かったため、西鉄北九州線最後の区間となったが、八幡中央町や小倉に直通されない不便さは否めず、並行するJR鹿児島本線に陣原駅を新設する補償を得たことで廃止。
三苫 - 西鉄福間
西鉄貝塚線はかつて津屋崎まで通じる宮地岳線で、三苫 - 西鉄福間間で、鹿児島本線の筑前新宮(現・福工大前)- 福間間と並行競合したが、博多に乗り換えなしで通じるJRに対して劣勢で、2007年に西鉄新宮以北が廃線となった。なお、旧西鉄宮地岳線と入れ替わりのように、2010年新宮中央駅が西鉄新宮駅、2009年ししぶ駅が旧古賀ゴルフ場前駅近くに新設された。
大分 - 宮崎
2023年現在も日豊本線の特急にちりんが走行するが、2021年3月までは同区間にて宮崎交通が高速バスを運行していた。しかし、コロナ禍で打撃を受け廃止となっている。一方、日豊本線側も佐伯 - 延岡間という大赤字区間を抱えており、いきなり廃止され交通機関が途絶える危険性がある(2023年時点では同区間には貨物列車が走行しているため、突如として廃止になる確率は低いと思われる)。

2路線以上存在したが、すべて撤退[編集]

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関連項目[編集]

[編集]

  1. 津〜伊勢間は過当競争で現在の近鉄路線に集約。
  2. 五日市鉄道は過当競争で現在の青梅線に集約。
  3. 横浜駅・川崎駅の発車時刻が7:30~8:30の間で測定
  4. 天王寺-新今宮間は徒歩14分前提。天王寺 - 和歌山市間のJRは特定運賃非適用で1170円
  5. 南海サザン自由席だと58分。なお新今宮-和歌山市間は830円
  6. 乗換0回(学研都市線経由)の手段もあるが、時間帯限定であり、JR神戸線内も各駅停車なので、まず選択肢に入らない。