複線
複線(ふくせん)とは、鉄道路線において、上り列車用の線路と下り列車用の線路が別々に敷設されてあることである。
特徴[編集]
基本的に上下線で別々の線路を使用しているため、駅等で対向列車の待ち合わせを行う必要がない。そのため、単線よりはるかに多くの列車を運行することができ、専用軌道による鉄道の場合、上下線とも最大で毎時30本程度走らせることが可能である。
加えて、列車交換可能駅では、線路の分岐を作る必要がないため、通過列車の駅通過速度を大きく向上させることができる。さらには数分程度遅延した際にも単線とは違い、反対方向の列車には遅れが波及しにくい。
主に列車本数の多い都市部や特急列車・貨物列車が多数走行する大幹線区で用いられていることが多いが、羽越本線などの亜幹線区でも速達列車の対向列車の待ち合わせを減らすため、部分的に複線化することがある。
配置[編集]
複々線[編集]
詳細は「複々線」を参照
単線並列[編集]
線路が2本並んでいるように見えても、軌間・電圧・車両規格の違いや分岐駅の構造から、単線を2本並べた状態であることを単線並列という。
双単線[編集]
単線並列の別形態で、ニューヨーク市地下鉄のように同一経路かつ同一規格で、工事中に片側を閉鎖して、もう一方の線路を単線運用できる状態を双単線と呼ぶことがある。
ケーブルカーではあるが、近鉄生駒鋼索線の鳥居前 - 宝山寺間で双単線の運用がされていて、それぞれの線路に交換設備がある。
複線化[編集]
単線の線路を複線にすることを複線化という。
基本的には既設の線路に横付けされることがほとんどだが、山間部等では、従前の線路を放棄して路線全体のスピードアップのために新たに複線分の線路を敷設したり、既設線路と別ルートで線路を敷設して駅間を複線化することもある。
列車本数の増大等で必要になると複線化の措置が取られることとなるが、複線用地捻出が不可欠のため、青梅線の東青梅 - 青梅間や湖畔沿いの中央本線の普門寺信号場 - 岡谷間のように、複線区間並みに列車本数が多くても、家屋の密集のために横付けの複線化が困難な区間もある。
なお、山陰、四国(大阪からは近いが国は基本的に東京志向)や東海地方の高山本線や関西本線の弥富以東は、全国レベルの幹線筋から外れていたり、国鉄再建法施行後、狭軌新線の凍結と共に在来線の部分的な複線化による速達列車の時間短縮に国が冷淡[注 1]なこと、東京から遠い地域ではアクセスに飛行機が有利であることから、複線化がほとんど進んでいない。