JR東日本209系電車
JR東日本209系電車(JRひがしにほん209けいでんしゃ)とは、JR東日本に所属している電車である。
概要[編集]
首都圏を抱えるJR東日本は国鉄から大量の車両を継承した。その多くは103系・113系・115系などの老朽化した車両で経営を行っていた。しかし1998年に103系の故障で乗客が負傷。運輸省にお叱りを受けそれらを排除し、本系列の後継となるE231系を開発。
1992年に試作車、901系が誕生した。重量半分・寿命半分・コスト半分のコンセプトで製造された。
また統一しなければいけない部分以外は自由に作っても良いと言う従来の常識を覆すものであり、後年の「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」制定に繋がっている。
短寿命・低コストであることから当時多く使用された使い捨てカメラ写ルンですにもじって走ルンですの愛称で呼ばれる。
車両[編集]
- 車体には大きな一枚の窓が付けられた。
- 前面デザインはミラノ地下鉄8000系電車ものをベースとした。
- 台車はボルスタレス台車で軽量の物が新たに開発された。
- モーターは交流モーターで定格は95kWと従来の電車より低いが、これは短時間の過負荷使用を前提としている。
- 制御装置は試験的に使われてきたGTOサイリスタ素子駆動のVVVFインバータを本格採用した。
- 大きな一枚窓は後に換気のため開閉可能な窓に改装された。
- 500番台・950番台および500番台からの改造車である3500番台は幅広車体を採用しているが、それ以外はストレート車体を採用。
番台別[編集]
901系(900番台・910番台・920番台)[編集]
詳細は「JR東日本901系電車」を参照
1992年に製造された試作車。
A編成・B編成・C編成の3編成製造され床下機器結果からB編成は255系、C編成は量産車に反映された。
試験後旅客営業改造が施されA編成は900番台、B編成は910番台、C編成は920番台に改番され209系に編入された。0番台と共通運用が組まれたが、500番台に置き換えられる形でいち早く引退した。
0番台[編集]
京浜東北線は78本780両が浦和電車区に導入、南武線は2本12両が中原電車区に導入され運用された。しかしE233系による置き換えが開始され、2010年までに後述の2000番台・2100番台・2200番台、および訓練車に転用された300両程度を残して2015年までに0番台は全滅した。
500番台[編集]
3500番台は500番台を転用改造を施した番台である。
前面は他の209系と異なり、E231系や209系950番台と同一の前面となっている。
なお、209系950番台は後に改番され、現在はE231系900番台となっている。
17本170両が総武緩行線に導入、習志野電車区に配置された。
- 京浜東北・京葉線転属編成
京浜東北線や京葉線にも転属し、その後全4編成武蔵野線へ転属される予定であったが、E331系を残存させE233系の製造本数を一本削減していたがE331系が廃車。必要編成が不足したため現在でもケヨ34を名乗る1編成が京葉線にて運用されている。
- 武蔵野線転用編成
いずれも既存の205系の置き換えや増発用としての転属である。旧6号車と旧7号車の付随車を脱車・解体したうえで旧2号車の付随車を旧5号車と旧8号車の間、つまり新たな5号車に連結されていて、2010年から2011年にかけて京葉線から武蔵野線に転属した3編成と同様の改造が施されている。
- 総武緩行線残存編成
山手線にE235系が導入、E231系500番台が置き換えられ総武緩行線に転属。同路線に配置されていた209系500番台が置き換え対象となり、八高・川越線、武蔵野線に転属することになった。
950番台[編集]
詳細は「JR東日本E231系電車#900番台」を参照
1000番台[編集]
1999年の常磐緩行線のダイヤ改正により2本導入された。運行区間は取手駅から千代田線・代々木上原駅までで、小田急線には乗り入れなかった。
2019年から中央快速線へ転属。運行番号97T・99Tが所定の東京~高尾間の運用である。青梅線・五日市線や高尾以西での定期運用はない。
2024年9月6日までに2編成とも運用を離脱、9月15日には撮影会まで行われており、今後の動向が注目される。
2000番台・2100番台[編集]
京浜東北線にE233系電車が導入されたことにより、これによって置き換えられた209系に改造を施し、2009年以降幕張車両センターに導入された。
房総の海沿いを走るため車体が茶色に変色しており、鉄道ファンから「暴走⑨」というあだ名をつけられている。この区分も置き換え計画があり、既に一部がE131系に置き換えられ廃車されている。
運用離脱車のうち2021年7月6日には6両が、11月23日から24日にかけて4両が伊豆急行へと甲種輸送された。なお、今後運用離脱が進んだ際の、西武のサステナ車両としての候補ともなっていた。
なお、先頭車のモケットはE233系と同レベルのフカフカな物に換装されているほか、ボックスシートも装備しているため車内は209系ファミリーの中で最も快適と思われる。
2200番台[編集]
上述の2000番台とともに機器更新の上で京浜東北線から南武線に転属したグループだが、2100番台と異なりトイレは持たない。こちらもE233系の新造で置き換え廃車が進み、最後に残った元ナハ53、1本のみB.B.BASEに転用されて残っている。
3000番台[編集]
八高線一部区間電化による増発のため、投入された。4両編成で半自動ドアボタンがついており、0番台とは相違点も多い。
E231系3000番台や209系3500番台の登場により、全車両置き換えられ、廃車・解体された。ただし1編成のみ訓練車に改造された。
高麗川駅停車中
3100番台[編集]
東京臨海高速鉄道りんかい線の全列車10両固定化に関連して6両分の70-000系をJR東日本が購入し、2両を新造のうえ、上記3000番台と同記の理由で八高・川越線に投入された。設備は3000番台とほぼほぼ共通であるが、LED幕と言うことと70-000系からの改造跡が残る。機器更新もされず、また八高・川越線ワンマン化に伴う車両改造工事の対象外となっており、2022年春の八高・川越線ワンマン化開始を前に運用終了。2022年1月上旬には盛大なお別れイベントが開催され、2022年3月に引退した。現在は全車両が郡山総合車両センターにて解体済み。
3500番台[編集]
500番台の改造車である。
既存の205系3000番台、209系3000番台、209系3100番台を置き換えるために、2017年から2019年にかけて5編成が4両化されて八高線に転属している。
2~7号車を脱車したうえで、機器更新工事、半自動ドアボタンと半自動ドア回路を追加する工事を行った。
またこの改造により、209系500番台は3500番台に改番された。編成番号はハエ50番台。脱車されて余剰になった車両は廃車解体された。
他会社の形式[編集]
東京臨海高速鉄道70-000形[編集]
詳細は「東京臨海高速鉄道70-000形電車」を参照
東京臨海高速鉄道りんかい線の開通にともない導入。実は設計が209系と共通しており、209系扱いされることが多い。
ちなみに、現在は小規模リニューアルを行い、表示器を横長LCDとしている。そのせいか(209ファミリーでは)珍しくドアチャイムの劣化はあまり見られない。2025年以降の71-000形による置き換えが決定しているが、他社譲渡も検討されており、今後が特に注目される。もっとも、一時期は西武送りという意見もあったが置き換えペースの関係で流れたようである。
伊豆急行3000系[編集]
詳細は「伊豆急行3000系電車」を参照
伊豆急行が2022年に導入した車両。JR東日本から2100番台の4両編成2本を譲り受けている。愛称は「アロハ電車」。
今後[編集]
製造から多くが25年以上を経過している点、川崎製の車両は車体劣化が顕著な点から譲渡は不可能な可能性が高い。それ以外の0番台もかなり老朽化が来ており、車齢40年の前に廃車になるものと予想され、伊豆急行3000系についても数年から十数年後には置き換えが始まるとみられる。
特に房総地区の2000番台は塩害により劣化が著しいため早期に廃車されると思われる。この場合、置き換え車両にはE233系3000番台が予想されている。またE131系継続投入の可能性も否定できないが、E131系で8両運用を行うのは設計路線規格が異なる、かつワンマン運転が不可能となるなため、減車やツーマン運用でもしない限り可能性は低い[1]。あるいは横浜線のE235系がボツになっていなければ、置き換えられたE233系を武蔵野線に転用し、捻出された500番台とE231系を改造する方法もある[2]。E235系自体を直接投入する可能性も否定できない。
500番台は構造にE231系の要素があるため、40年持ってもおかしくはない。
1000番台については機器更新もせずに中央快速線に転属しているため、中央線のグリーン車サービス開始前後で運用離脱し、廃車される可能性が極めて高い。特に既に離脱済みのため、最も先行きが危ない部類である。
関連項目[編集]
- E231系 - 後継車両
- E501系 - 209系の交直流対応版
- E217系 - 同世代近郊型車両
- JR西日本207系電車 - JR西日本の同世代通勤型車両
脚注[編集]
外部リンク[編集]
- JR東日本:車両図鑑>在来線 209系 - 東日本旅客鉄道
- グッドデザイン賞受賞概要
JR JR東日本の鉄道車両 |