国鉄EF65形電気機関車
EF65形電気機関車(イーエフ65がたでんききかんしゃ)とは、日本国有鉄道が開発・設計した直流の平坦線区向け電気機関車である。
概要[編集]
EF60形を基に、EF60では不十分だった高速性能を重視して設計された平地向け電気機関車ある。
区分[編集]
0番代(一般型)[編集]
1965年、増加し続ける貨物列車の需要に対応するべく登場。東海道線・山陽本線を中心に135両が活躍した。JR化後もしばらく活躍したが、EF210などの後継機の登場や貨物需要の縮小により、2007年頃までに全車引退した。
一部は、国鉄分民化後にEF67 100番台に改造され、瀬野八補機に使用されたが、EF210・300番台に置き換えられ、2022年2月に全車引退した。
500番代(P型・F型)[編集]
ブルートレインを牽引していたEF60 500番台のパワー不足や電磁自動空気ブレーキ非対応が問題となり、20系客車対応機器を備えたP型が1965年に登場。0番台とは異なる20系客車と揃えた塗色となった。これと同時進行する形で、貨物専用のF型も登場した。
1970年代後半に1000番台に取って代わられ、P型機はEF58運用置き換えではなく、貨物用に転用。分民化でJR東日本などに承継されたが、2011年改正で定期運用がなくなり、廃車が進行。現在はぐんま車両センターの501号機(Pトップ)のみが残存している。
1000・2000番代(PF型)[編集]
貨物・旅客両用として1969年に試作車が落成した、EF65の決定版。寒冷地での運用も考慮して耐寒設備が設置された他、重連に備えて貫通扉が設置した。東北本線から先行投入され、1970年代後半までには東京発着のブルートレインが1000番台に置き換えられた。2000番台は時速100kmを超える貨車牽引対応機を識別するために、元番号に1000を加えたものである。
旅客鉄道では、2006年に特急出雲、2008年に急行銀河が廃止となり定期客車牽引運用がなくなった。
JR貨物でも、後継のEF210形やEF510形に置き換えられる形で運用が減少しており、廃車も発生している。2024年3月改正では、主力であった北関東の運用が全廃された。
主な機関車[編集]
- EF65 1
1965年に製造された、EF65のトップナンバー。EF60の3次車から多くの設計が流用されたため、量産先行車にはならかった。吹田機関区に配置され、国鉄分割民営化直前まで活躍した。現在は京都鉄道博物館に展示されている。
- EF65 57
JR貨物最後のEF65形0番台として注目を集めた。2004年の全般検査でぶどう色に変更され、岡山機関区で活躍したものの、2011年2月に廃車となった。
- EF65 535
JR貨物最後のEF65形500番台。元々は稲沢機関区所属の77号機であったが、1968年に改番のうえ東京機関区に転属し、寝台特急牽引機に昇格した。ところが、1970年代後半に入るとEF65PF形に押し出されて貨物用に戻されてしまった。こうした特殊な経歴もあってかラストランの際には寝台特急をイメージしたヘッドマーク掲出された。現在も東芝工場で大切に保存されている。
- EF65 1001
- 栄光のPF型トップナンバー。新鶴見機関区に所属しており、休車中であるものの現在でも車籍を維持しており、2023年には撮影会が開催された。
- EF65 1019・1118
ジョイフルトレイン「スーパーエクスプレスレインボー」の牽引機として専用塗装に変更された釜である。直流電機とは思えない深紅の配色をしており、初見ではEF81やED75と勘違いしてしまうと思われる。1019号機は1998年まで活躍した初代、1118号機は2015年まで運用された2代目である。
- EF65 2050
最後まで残ったEF65形4次車である。下関・田端・高崎を転々とし、最終的には新鶴見機関区に落ち着いた。具体的な時期は不明であるが、パンタグラフがPS17から先に廃車された1064号機のPS22Bへ移植されたようである。2022年度に廃車となったことが確認された。
- EF65 2085
1977年に落成。至って平凡な貨物機であったが、2022年にJR貨物のEF65形最終全検機の大役を勤めて話題となった。同年夏には、EF66 27と共に「惜別 最終全検」の特製ヘッドマークを掲げて京都鉄道博物館で特別展示された。
- EF65 2101
JR東日本から貨物への譲渡機。貨物機としては珍しくクリームプレートを装備している。2023年の撮影会でプレートが旧番号の「1101」に戻され話題となったが、程なくして運用離脱してしまった。今後復帰するかは不透明である。
- EF65 1124
1979年に落成した、下関生え抜きの車両である。2015年12月に「特別なトワイライトエクスプレス」の牽引機としてトワイライト色に塗り替えられて人気機関車となった。現在もこの塗装を保持しており、2023年4月にEF81 113が解体されたため唯一無二の「トワ釜」となっている。
- EF65 2127
元々はJR西日本・下関車両所に所属していたが、2005年にJR貨物へ譲渡されたという特殊な経歴をもつ。ほかに譲渡されたEF65として2117・2119・2121が存在する(2117・2119・2121は廃車済み)。また、広島更新色を纏う最後の釜でもあり、ファンから特別視されていた。2023年5月上旬を以て検査期限切れのため運用を離脱するも、同年7月に奇跡の復活を遂げるなど、なかなか落ちないカマとして注目を浴び続けてきた。しかし、同年11月7日に大宮車両所に惜しまれつつも廃車回送された。
- EF65 2139
EF65形・栄光のラストナンバー。2016年の全般検査において貨物更新色から国鉄特急色に塗り替えられ、その後の国鉄特急色復刻の先駆けとなった。2022年に運用を終了し、隅田川駅実設訓練機としての運用を経て2023年春に惜しまれつつも大宮に廃車回送された...が、なんと2023年6月にC57-180の伴走車として1139プレートを装着した状態で試運転を行ったのが目撃され、鉄道ファンを大いに盛り上がらせた。
配置表[編集]
基本的には、2023年3月18日発行の「貨物時刻表2023」にて車籍が確認されている機関車のみ記載している。このため廃車回送済みでもまだ車籍のあるものは掲載対象である。また、一部の特別とされる機関車については例外として車籍はないが記載している。色は「貨物ちゃんねる」のイメージカラーを基本とし、背景クリーム色が国鉄原色、背景青色が貨物更新色、緑色がトワイライト色である。
車番 | 製造 | 現状 | 所属会社(最終) | 所属区(最終) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1965/1/14 | 1987/3/2 除籍 京都鉄博保存 |
日本国有鉄道(旧) | 吹田機関区 | 量産試作機 | |
1965/7/5 | 2010/3/31 除籍・広島解体済 |
JR貨物 | 岡山機関区 | ぶどう色 最後のEF65-0番台 | |
1965/6/26 | (運用中) | JR東日本 | ぐんま車両センター | 現役最後のEF65 500番代・トップナンバー 愛称「Pトップ」「ピーワン」 | |
1967/3/28 | 2013/3/31 除籍・府中工場保存 |
JR貨物 | 高崎機関区 | JR貨物最後のEF65 500番代 旧番号:77 | |
1969/10/15 | 2008/1/31 休車 |
新鶴見機関区 | EF65 1000番代トップナンバー 愛称「PFトップ」「セントップ」 | ||
1978/9/27 | 1998/9/1 除籍・大宮解体済 |
JR東日本 | 田端運転所 (旧) | 初代レインボー塗装 愛称「セントーク」 | |
1977/1/13 | 2023/12/4〜 除籍・大宮保管中 |
JR貨物 | 新鶴見機関区 | 旧番号:1065 | |
1977/1/27 | 2024/2/15〜 高崎疎開 |
旧番号:1066 | |||
1977/2/4 | (運用中) | 旧番号:1067 | |||
1977/2/9 | 旧番号:1068 | ||||
1977/5/18 | 旧番号:1070 | ||||
1977/6/15 | 旧番号:1074 | ||||
1977/5/25 | 旧番号:1080 | ||||
1977/6/2 | 旧番号:1081 | ||||
1977/6/23 | 旧番号:1083 | ||||
1977/6/29 | 旧番号:1084 | ||||
1977/7/6 | JR貨物EF65形 最終全検機 旧番号:1085 | ||||
1977/7/20 | 旧番号:1086 | ||||
1977/8/30 | 旧番号:1087 | ||||
1977/9/14 | 旧番号:1088 | ||||
1977/11/30 | 2024/6/21〜 隅田川疎開 |
旧番号:1089 | |||
1977/12/13 | (運用中) | スノープラウ無し 旧番号:1090 | |||
1977/12/20 | 2024/3/5 大宮廃車回送 |
スノープラウ無し 旧番号:1091 | |||
1978/4/8 | (運用中) | スノープラウ無し 旧番号:1092 | |||
1978/4/13 | 2023/2/27 大宮廃車回送 |
スノープラウ無し 旧番号:1093 | |||
1978/5/18 | (運用中) | 旧番号:1096 | |||
1978/6/13 | 旧番号:1097 | ||||
1978/7/26 | 2023/9/6〜 隅田川疎開 |
愛称「ニゲトップ」[注釈 1] 旧番号:1101 | |||
1978/8/9 | (運用中) | JR東日本 | 尾久車両センター | - | |
1978/9/6 | |||||
1978/9/13 | 2021/8/18〜 長野保管中 | ||||
1978/4/20 | 2022/2/3〜 長野保管中 | ||||
1978/8/23 | (運用中) | スノープラウ無し 愛称「ゲゴ」 | |||
1978/9/27 | 2015/11/27 除籍・長野解体済 |
JR東日本 | 田端運転所 (旧) | 2代目レインボー塗装 2015/10/17 電源火災に付き車両故障 愛称「ゲッパ」 | |
1979/4/18 | 2022/9〜 幡生入場中 |
JR西日本 | 下関総合車両所 | スノープラウ無し クリアテール | |
1979/6/20 | (運用中) | スノープラウ無し クリアテール | |||
1979/7/13 | 塗装色落ち機 スノープラウ無し クリアテール | ||||
1979/8/1 | 2024/3/12 大宮廃車回送・除籍 |
JR貨物 | 新鶴見機関区 | スノープラウ無し 愛称「カラシ」「ニゲニーナ」 旧番号:1127 | |
1979/8/8 | (運用中) | JR西日本 | 下関総合車両所 | スノープラウ無し クリアテール | |
1979/5/30 | |||||
1979/6/5 | |||||
1979/6/8 | |||||
1979/6/13 | |||||
1979/6/27 | |||||
1979/7/4 | |||||
1979/8/29 | 2023/3/15 大宮廃車回送 |
JR貨物 | 新鶴見機関区 | スノープラウ無し・JR貨物機国鉄特急色復刻第一号 愛称「ニゲサンク」 旧番号:1139 |
ギャラリー[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ いかにもトップナンバーのような愛称が付けられているが、実際はキリの良い数字というだけでトップナンバーではない。
関連項目[編集]
電気機関車 |
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR西日本の鉄道車両 |