国鉄113系電車
所属事業者 | 国鉄(後に) JR東日本 JR東海 JR西日本 JR四国 |
製造年 | 1963年初製造 |
主な走行路線 | 東海道本線 横須賀線 草津線等 |
両数 | 2977両 |
電源方式 | 直流 |
制御装置 | CS12G形 |
保安装置 | 各路線ごと |
塗装 | 主なものとして 湘南色(かぼちゃ) 横須賀色(スカ色) 地域ごと塗装(JR西) |
国鉄113系電車(こくてつ113けいでんしゃ)とは、日本国有鉄道が設計、製造した直流近郊型電車である。なお、113系と115系を見分ける方法は「無い」と言われるほどこの2形式は似ている。
概要[編集]
1963年に登場した「111系」をもとに、MT46型電動機を搭載し、出力100kWだった111系のモーターを先行登場した115系同様のMT54型に変更し、120kWに出力増強を図ったのが113系である。主に東海道線、横須賀線、内房線などに使用され、旧型国電の80系、70系や房総地区の気動車を置き換えた。
それ以外についてはDT21形台車、CS12系制御器など111系に準ずる。
115系との主な違いとしては制御器のみ異なり、113系には抑速ブレーキを持たない。当初は115系もCS12系を搭載する予定であったが165系に準じたCS15系を搭載する方針となった。(改造車に一部例外があるが、ここで触れると極めて複雑化してしまうので触れない。)
構造[編集]
両開き3扉セミクロスシートの近郊型直流電車である。111系として登場時はMT46電動機を用いたものとなっていた。MT54電動機にパワーアップし、出力増強を図ったのが113系となる。後に短編成での運転もできるよう、制御電動車も(改造して)登場した。便所は一部制御車と一部付随車に設置した。
なお、優等車も作られた。113系の優等車には様々な物があり、153・165系のサハ、サロから改造されたもの、485・489系サロから改造されたものなどがある。
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形式[編集]
付随車は415系や485系等のように新製車はすべて111形に統一されている。
新造車[編集]
- クハ111形
- 111系のそれに準ずる。このため、クハ113やクハ112は国鉄分割民営化後まで登場しなかった。300番台はコンプレッサーを搭載。
- サハ111形
- これも111系に準拠し、サハ113は存在しない。2022年現在は形式消滅済み。
- モハ113形
- モハ111の主電動機をMT54に変更し出力強化したもの。モハ112とユニットを組む。
- モハ112形
- モハ110の主電動機をMT54に変更し出力強化したもの。モハ113とユニットを組む。
- サロ110形
- サロ111形
- サロ113形
- グリーン車の詳細は#グリーン車を参照
番台区分[編集]
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111系[編集]
詳細は「国鉄111系電車」を参照
1963年に東海道線用として大船電車区と静岡運転所に投入された。
0番台[編集]
111系の出力増強版として東海道線東京地区、横須賀線に投入。後(1964年)に京阪神地区へも投入された。
0'番台[編集]
0番台のモデルチェンジ車。0番台と異なる点はユニット窓、シールドビーム、新製時から冷房装置を搭載しているなど。
1000番台[編集]
横須賀線に投入。ATC装置を取り付けた関係で制御車乗務員室右後ろの窓は機器室となっている。
1000'番台[編集]
こちらのグループは基本は先述の1000番台と変わらない。だが、ATC非対応となっている。
1500番台[編集]
横須賀線向けシートピッチ拡大車。横須賀線に投入され、1000番台との混結運用などについた。
2000番台[編集]
東海道線等向けシートピッチ拡大車。大垣、国府津、宮原など各地に投入された。
700番台[編集]
湖西線投入のために1974年に登場した113系寒冷地対策車。押し込み式通風器、半自動扉など、この番台の耐寒装備は115系に準ずるものとなる。
2700番台[編集]
1980年に700番台シートピッチ拡大車として登場。耐寒装備等は700番台と変わらない。
グリーン車[編集]
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グリーン車にはサロ111、サロ110、サロ112、サロ113、サロ124、サロ125があった。
新造車(グリーン車)[編集]
サロ110形1200番台[編集]
定員60名のグリーン車。新造から難燃構造を持っているので1200番台とされた。
サロ111形0番台[編集]
新造された回転クロスシートを装備した定員64名のグリーン車である。1-34は111系時代に製造され、35-45は113系時代に製造されたもの。一部は難燃化を行い1000番台に改番された。
サロ113形[編集]
リクライニングシートを装備した定員48名のグリーン車。サロ111を難燃化して改良したもの。
サロ124形・サロ125形[編集]
ダブルデッカー車で、211系と同様のステンレス車体である。廃車後は211系に改造された。
改造車(グリーン車)[編集]
サロ110形0・900・1000番台[編集]
サロ153形を改造したものである。0番台の一部は難燃化を行い1000番台に改番された。
サロ110形300番台・1300番台[編集]
サロ181形・サロ183形を改造したものである。編成を組む113系と明らかに高さが違うのでゲテモノ車両として知られている。
サロ110形350番台・1350番台[編集]
サロ481形・サロ489形を改造したものである。やっぱり高さが違うゲテモノ車両である。
サロ110形400番台[編集]
サロ165-130を改造したもので、401のみ存在する。
サロ110形500番台[編集]
サハ165-7を格上げ改造したもの。普通車から格上げされたのは500番台のみである。501のみ。
サロ112形[編集]
サロ152形とサロ163形を改造したもの。
改造車[編集]
300番台(サハ)[編集]
中央本線115系300番台の付随車(サハ115-300)の余剰車を改造したもの。元115系のため、ドアの大きさが違う。クハの300番台や後述の5300番台(元300番台)とは無関係である。
400番台[編集]
113系モハユニット(273,1058)から改造。電装解除をした後サハとして改造された。
800番台[編集]
福知山線向けに耐寒設備を700,2700番台とほぼ同等のものに改造。種者は0番台。4両編成と2両編成がある。この番台は各地からの寄せ集めが多かったため、白熱灯前照灯のシールドビーム化の際に台座をそのまま使用した4灯化改造など様々な先頭車がいたため、名-迷列車として取り上げることが多い。後に追加改造され、3両編成ができた。この編成は485系が福知山線特急「北近畿(現こうのとり)」として運用されるに当たり交流機器取り外しを行った。この機器がこの3両編成のうちクモハ113を含む編成に搭載され、415系800番台(全廃)として七尾線へ転属された。改造の対象から外れた車両は後述の3800番台の改造種車となった。
1200番台[編集]
モハ1027番ユニットのうち、モハ112-1027が脱線事故で廃車となった。残されたモハ113-1027番は制御車として改造。クハ111-1201となった。なお、1200番台はこの1両のみ。ここでの1200番台は先述のサロ111-1200とは関係がない。
きのくに線113系2000番台[編集]
モハユニットを切妻非貫通の先頭車に仕立てたいわゆるのっぺらぼう。2ユニットの登場となった。サンパチくんでつけられた鉄板は取りやめられ、どちらかというと拡幅車体の103系という印象になった。同様の改造はクモハ114形1000番台でも施工された。ちなみにこちらは前照灯がブタ鼻で登場しており、クモハ114-1000よりもさらに103系に近い見た目になっている。クモハ114-1000や1500と同じく40N車の見た目をしているが車内はボックスシートのままである。
老朽化の進行により227系に置き換えられて消滅した。
制御車-2000番台→2700番台[編集]
700番台、2700番台が単編成化になる際、制御車が足りないことにより起きた改造。高槻所属のクハ111-2000形8両が改造された。
3800番台[編集]
先述の800番台のモハ113をワンマン化+先頭車化改造したもの。福知山線や山陰本線で活躍していた。クモハ113側は他の113系とは一風異なる顔を持っている。同じく福知山線や山陰本線で活躍しているワンマン化+先頭車化改造された5800番台や5300番台と異なり高速化改造はされておらず、電気連結器もない。嵯峨野線にも入らない。この番台は通称「サンパチくん」。
詳細は「サンパチくん」を参照
5300番台(クモハ)[編集]
福知山に所属。0'番台のモハに廃車になった0番台初期車の顔を接合し、ワンマン運転のためにドアをずらしたグループ。ドアをずらしたため、戸袋窓が二つ連続するという奇妙な見た目となっている。福知山線や山陰本線で活躍している。かつては嵯峨野線でも活躍していた。40N車もいるが車内はボックスシートのままである。高速化改造前は300番台を名乗っていたが、同じく300番台を名乗るクハ111形300番台・サハ111形300番台とは無関係である。
5800番台(クモハ)[編集]
福知山に所属していた。5300番台が予定よりも少なくなってしまったため、それを補うため800番台のモハに運転台をつけて先頭車化改造したグループ。5300番台とは異なりドアの移設は行われていない。5300番台と同じく福知山線と山陰本線、嵯峨野線で活躍していた。初期車からの改造ということもあり、5300番台より先に廃車された。
8000番台[編集]
名古屋所属の113系2000番台が中央西線塩尻ー中津川間で臨時列車として運行される事になり、同区間の低床トンネルに対応するために同所所属モハ112-2000形4両が改造された。元番台に6000を付け加え、8000番台としている。
冷房化改造車[編集]
一部番台、編成は非冷房で落成したため冷房化が行われている。国鉄時代は集中式のみだったが、民営化後には集約分散式を搭載する車両も現れた。
JR東日本オールロングシート改造車[編集]
JR東日本では混雑緩和のため、付随車のトイレ前座席、グリーン車、シートピッチ拡大車を除く東海道線用113系の座席をロングシート化改造した。
鉄仮面車[編集]
JR東日本成田線内での踏切事故(運転士1名殉職)を受け、前面の強化を施し、運転士の安全を取る改造がなされた。
なお、この改造は115系、165・167・169系にも施工された。
高速化改造[編集]
221系の登場により、網干、向日町、宮原、日根野所属113系の最高時速を100㌔から110㌔へ改造した。元番号+5000となっている。
種車 | 高速化改造後 | てこ比改造 | 脚注 |
---|---|---|---|
0番台 | 5000番台 | 6000番台 | 111系のクハの一部も高速化改造を実施。 |
1000番台 | 6000番台 | - | クハ111-6310のみ |
300番台 | 5300番台 | - | てこ比改造は行われていない |
700番台 | 5700番台 | 5750番台 | |
800番台 | 5800番台 | - | てこ比改造は行われていない |
2000番台 | 7000番台 | 7500番台 | |
2700番台 | 7700番台 | 7750番台 |
N施工改造[編集]
JR西日本では113系電車に延命工事(N施工)がなされた。 窓枠、室内化粧板の取り替え、転換クロスシートへの置き換えが行われた。
その他の先頭車改造[編集]
- クモハ113形
- モハ113に運転台を取り付けたもの。
- クモハ112形
- モハ112に運転台を取り付けたもの。
四国車[編集]
- クハ113形
- クハ111の0番台をJR四国で改造して登場。2022年現在は形式消滅済み。
- クハ112形
- クハ111の300番台をJR四国で改造して登場。2022年現在は形式消滅済み。
他系列への改造[編集]
クハ115形600番台[編集]
京阪神地区のクハ111の一部が岡山地区におけるクハ115形600番台の改造種車となった。だが、この改造を受けたクハが編成に入ることにより面倒くさいことになったと言われている。
詳細は「国鉄115系電車#クハ115形600番台」を参照
クハ115形2500・2600番台[編集]
いわゆるボロクハや上記のクハ115形600番台を置き換えるために2000番台クハから改造された車両。115系なのにお椀タイフォンなのが特徴。
「国鉄115系電車#クハ115形2500・2600番台」も参照
クハ115形750番台[編集]
2500・2600番台と同様の理由で750番台クハから改造された車両。115系だが前面補強されて鉄仮面となっている。クハ115-759の1両のみが改造された。2015年に全車廃車。
「国鉄115系電車#クハ115形750番台」も参照
サハ115形7000番台[編集]
7000番台サハを改造した車両。1999年に全車廃車。
訓練車[編集]
- 訓練車としてJR東日本、西日本それぞれに数編成がいたようだ。塗装は湘南色に白文字で「訓練車」と書かれているもの等があった。
譲渡車[編集]
- JR以外では伊豆急行に200系として4連2本が譲渡されたが、数年で東急8000系に置き換えられて2007年に全廃された。
運用[編集]
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国鉄時代[編集]
1962年に111系が運用を開始、1964年から113系も投入されている。その後、京阪神地区や房総地区といった直流電化の平坦路線で幅広く見かけるようになった。
国鉄時代には9両が事故廃車となり、1979年からサロ112が廃車となった。1986年からは老朽廃車も発生していたが、111系はJR四国に、113系はJR東日本、東海、西日本に大量に継承されている。
JR東日本[編集]
1566両を継承。東海道本線、横須賀線、房総地区に配置され、2階建てステンレス製グリーン車も登場した。しかし、E217系やE231系への置き換えが進み、1999年に横須賀線から、2006年に東海道本線から撤退。グリーン車は211系へと転用された。
最後まで房総地区に70両が残っていたが、これらについても2011年までに廃車されて現存しない。
この間に1995年にJR四国へ、2004年に伊豆急行へ譲渡された車両も存在したが、伊豆急では東急車が来るまでの「その場しのぎ」の車両だったのか2007年に全滅、JR四国でも老朽化で2019年までに全滅している。
詳細は「伊豆急行200系電車」を参照
JR東海[編集]
クハ111-2001を始め438両を継承。主に東海道本線静岡口と中央西線で運用されたが、313系の登場により2007年までに全車が廃車されて形式消滅した。また静岡の一部は東京口の増結編成(12~15号車)として東日本の基本編成(1~11号車、うち4・5号車はグリーン車で4号車は2階建てサロ124・125形)と併結していたが、このグループは東日本のE231系に置き換えられた。
JR四国[編集]
継承されたのは111系のみで、113系は購入したものである。
JR東日本より4両編成3本の113系を購入し、雨樋撤去やライトと方向幕の移設など大規模な工事を施したうえで運行していたが、2019年に廃車された。
一見西の40N車のように見えるが、窓枠は未改造。
JR西日本[編集]
772両を継承。ほとんどは高速化改造を施工された車両であった。末期色や抹茶色への塗色変更はそれ以前に廃車された車両がほとんどのため115系や117系に比べればずっと少ない。
2021年現在は岡山、福知山、京都に配置され、115系と共通運用が組まれているタイプも存在する。一時は広島にも配置されていたが、2019年の227系投入により全車撤退済みである。
2023年4月1日に京都地区での運用をすべて終えた他、同年度からは岡山に227系が登場するため、少なからず廃車が再開されるものと思われる。
近い世代の車両[編集]
- 国鉄403系電車・国鉄423系電車 - 交流路線用
- 国鉄103系電車 - 通勤用
- 国鉄165系電車 - 急行用
- 国鉄181系電車 - 特急用
関連事項[編集]
- 111系(113・115統一してのご先祖様)
- 115系(兄弟形式・勾配線区用)
- モハ62(超劣化コピー版)
- 163系(113系の急行版になるはずだった版)
- 211系
- 213系
- 415系(兄弟形式・交直流車)
脚注[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR東海の鉄道車両 |
JR西日本の鉄道車両 |