国鉄381系電車

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国鉄381系電車は、日本国有鉄道が設計した日本初の振り子式特急型電車。

概要[編集]

591系試作車をもとに、コロ式で自然振り子作動する台車を設けた。
なお、当列車が速度向上して運行するには、架線に偏倚対策を施すことが必要で、運行線区は新規電化区間中心となった。

番台[編集]

0番台[編集]

木曽路特急しなのの電車による運行開始に伴い、1973年から運転を開始した。特急しなの(等の中央西線優等列車)向けに製造された車両。貫通扉を備えている。

100番台[編集]

紀伊半島特急くろしお・陰陽連絡特急やくも向けに製造された非貫通の番台。一部は特急しなのにも使用された。

運用[編集]

国鉄時代[編集]

1973年の中央西線篠ノ井線電化に伴い、貫通型の0番台が、長野運転所に配置[注 1]された。投入に際し、架線に偏倚対策が施された。

一方、特急くろしお」は「特急げろしお」、「特急やくも」は「特急はくも」と揶揄されたように、乗客によって「車酔い」状態になり、振り子作動[注 2]だけに悪評が生じるようになって[注 3]、打開のため1編成に「制御付き振り子装置」が取り付けられ、湖西線で試験が実施された。後にJR四国がTSEを開発する際にこのデータを活用している。

伯備線電化以降も福知山線高山本線への投入が検討されたようだが、国鉄財政難で、コストの高いアルミ車体は避けられたのと、高山本線の電化事業中止で「やくも」投入で打ち止めとなった。

JR化後[編集]

架線に偏倚対策が施されない電化時期が早い曲線の多い線区への381系の投入ができないことが国鉄末期からの課題として残ったが、国鉄分割民営化後に中央東線に投入されたE351系JR四国8000系まで、欠点の克服が見送られた格好となった。

国鉄分割民営化で、381系はJR東海とJR西日本に引き継がれた。JR東海では1996年に定期列車から撤退し、波動用車両で「伊那路」などでも運用されたが1998年に廃車となった。JR西日本では「くろしお」で2015年に定期運用から撤退し、北近畿地域に転属したが、2017年に廃車となり、残るは伯備線の「やくも」のみとなった。

このやくもからも、2024年頃を目処に273系での置き換えが決定しており、本系列の完全引退で国鉄型特急電車の運用は完全になくなることになる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 1982年11月に神領電車区に転属。
  2. 振り子機能のために遠心力が生じる誤解があるが、正確には振り子作動しない通常の車両に遠心力が働き(このためにカーブで必要以上の減速が必要)、振り子車両は車体傾斜させているのだが、振り子作動がカーブの始点より遅れる時間差やカーブ終点から直線に戻る時の振り戻しが原因で、S字カーブ区間を中心に乗り心地の悪化が生じる[1]
  3. 最初に投入された中央西線「しなの」では、少々ながら伯備線や紀勢本線より路盤改良を施しており、車酔いは皆無でないものの、少なかったとされる。
出典
  1. 新型特急車両「385系」量産先行車の新製について - PDF・東海旅客鉄道(2023年7月20日)


東海旅客鉄道のロゴ.png JR東海の鉄道車両
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特急型 14系*
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急行型 キハ58・キハ28*・キハ65*
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電車
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急行型 165系・167系*
近郊型 111系・113系* - 115系* - 117系* - 119系* - 123系* - 211系0番台*0番台のみ廃車 - 213系 - 311系 - 313系
通勤型 103系* - 315系
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新幹線
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検測車 923系(ドクターイエロー)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東海には書類上存在しない。なお、JR東海内が保有する国鉄車は全廃している。385系は製造予定。
データは2022年9月1日現在のもの。