国鉄111系電車
国鉄111系電車とは、日本国有鉄道により設計、開発された鉄道車両。本形式は、直流専用の最初の新性能近郊形電車と言える。後に国鉄113系電車、国鉄115系電車の基礎となった。
概要[編集]
国鉄東海道本線では当時、2扉の80系、いわゆる旧型国電が客車列車を置き換えていったが、2扉では混雑を招くので先行投入された交直両用の401系に倣った近郊型電車として投入されたのが本形式。
形式[編集]
クハ111[編集]
動力のない制御車で、111系にあたる車両は、番号が1 - 45および301 - 330の75両となっている。以降の車両は113系に区分する。
モハ111[編集]
MT46系主電動機とCS12系制御装置を積んだ中間電動車で、64両製造された。モハ110とユニットを組む。
モハ110[編集]
MT46系主電動機と補機類を積んだ中間電動車で、64両製造された。モハ111とユニットを組む。
サハ111[編集]
運転台も動力も持たない付随車だが、111系時代に製造された車両は1両も存在しない。
サロ111[編集]
動力を持たない中間グリーン車で、45両が製造されたが、うち初期の34両を111系に区分する。
改造車[編集]
冷房化改造[編集]
国鉄時代の冷房化改造とJR四国の冷房化改造が存在する。国鉄の冷房化改造ではAU75が搭載された。JR四国の冷房化改造ではAU101が搭載された。
クハ111形3000番台[編集]
クハ111を方向転換してCPを搭載し、クハ111形300番台と同様に使えるように改造された車両。改造された車両は以下の通り。
- クハ111-10→クハ111-3001
- クハ111-11→クハ111-3002
高速化改造[編集]
JR西日本に継承されたクハ111の一部は高速化改造を受けクハ111形5000番台となった。改造された車両は以下の通り。
- クハ111-20→クハ111-5020
- クハ111-21→クハ111-5021
- クハ111-22→クハ111-5022
- クハ111-43→クハ111-5043
- クハ111-305→クハ111-5305
- クハ111-309→クハ111-5309
- クハ111-311→クハ111-5311
- クハ111-314→クハ111-5314
- クハ111-322→クハ111-5322
運用と廃車[編集]
当初は東海道本線東京口、のちに横須賀線、さらには広島地区や阪和線・紀勢本線にも運用を拡大した。
国鉄分割民営化前にほとんどが廃車され、まとまった両数が後年まで存在したのはJR四国のみであった。JR四国ではさらに8両を購入し20両体制となったが、2000年までに113系に置き換えられ全廃。また、JR東日本に一部のサロが、JR西日本とJR東海に一部のクハが継承・113系と混用されたが、全て2006年5月までに廃車となり、111系時代に製造された車両は消滅した。
国鉄時代に廃車されたクハ111-1は2022年現在リニア・鉄道館にて静態保存されている。
関連項目[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR東海の鉄道車両 |