JR東日本255系電車
255系電車(255けいでんしゃ)とは、東日本旅客鉄道が開発した特急型直流電車である。
登場の経緯[編集]
「わかしお」「さざなみ」といった房総特急は国鉄型の183系が使われていたが、登場から20年以上経過しサービスの陳腐化が進んでいたことや東京湾アクアライン開業による乗客流出が懸念された。このため、これらの列車の体質改善を目的に「房総ビューエクスプレス」として誕生した。
仕様[編集]
車体は651系から受け継いだ普通鋼製の白いものとなっており、ビーチをイメージした白・海を思わせる深青・陽光や菜の花をイメージさせる淡黄を使った配色を採用した。これは後に登場するE257系500番台や209系2100・2200番台にも受け継がれている。内装はグリーン車・普通車ともに4列シートである。制御機器は東芝製のGTO-VVVFであったが、2014年から2016年にかけて大宮総合車両センターで機器更新を行いIGBT-VVVFへ換装された。
当初は京葉線経由特急のみに使用されたが、総武地下線経由列車に転用できるようにATC準備工事がされている。しかし、ATS-P採用で、結局装備はされていない。
運用状況[編集]
内房・外房特急[編集]
1993年7月2日より運行開始。255系で運行される列車は「ビューさざなみ」「ビューわかしお」と表記され、183系との差別化が図られた。しかし、JRの努力は実らず房総特急の衰退は着実に進んでいった。1998年に「房総夏ダイヤ」の設定が終了するとともに需要が少ない一部特急列車の末端区間で普通列車変更による無料開放を開始した。
2000年には千倉駅への定期乗り入れが廃止。2005年12月改正でのE257系500番台登場に合わせて255系運転列車での「ビュー」呼称と日中の定期「さざなみ」運用が消滅した。2024年3月改正では、「わかしお」の運用も完全廃止となったが、後述の通り一定期間代走を行なっている。
総武特急[編集]
2005年12月より「しおさい」への充当を開始。2024年3月までメインの使用車両として活躍した。
臨時列車[編集]
「新宿さざなみ」「新宿わかしお」といった多客臨で運用されることがある。かつては「あやめ」の増発便や中央線の「ビューかいじ」にも使用されていた。なお、255系のパンタグラフ自体は中央線の狭小トンネルに非対応だが、集電装置付近の屋根を低く設計しているため通過可能である。
現状[編集]
2024年4月現在、E257系の運用を代走する形で「さざなみ」2本・「わかしお」10本に充当されている。この代走は少なくとも6月28日まで続くことが判明している。
今後[編集]
完全引退は避けられた255系であるが、経年からして一部車両に廃車が発生する可能性は濃厚である。特にBe-05編成は検査期限が最も近く、京葉車両センターに疎開されているため近日中の廃車回送[注 1]が濃厚となっている。一方で、Be-03編成は2023年夏に検査を通過しており、末期車両にありがちなパッチワーク補修も見られないため、当面の残留は確定であろう。その他のBe-01, 02, 04編成については今後の動向が予測不能である[注 2]が、仮に185系の残党2編成を成敗する場合は更にここからもう1本は残留と考えてよいはずである。
また、ATC装備の準備工事がされているため、横浜線経由の対甲州臨時特急復活の要望が相模原や町田から高まりホームドア運用に支障が無ければ、白羽の矢が立つ可能性もある。もっとも、性能上は95kW主電動機の4M5T[注 3]であり、これにいささか不安も残る。
しかし、255系はグリーン車に車掌室・中間サハに車椅子対応トイレを設けていること、JR東日本で特急用車両の短縮が行われた例がE751系のみなことから、編成短縮も現実的ではない。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
近い世代の特急型車両[編集]
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