JR東日本E351系電車
E351系電車(イー351けいでんしゃ)とは、東日本旅客鉄道が保有していた特急型直流電車である。
概説[編集]
1980年代から1990年代にかけて中央東線の特急「あずさ」では並行して新設される高速バスへの乗客流出が深刻となりつつあった。そこで、183系などの従前の国鉄型車両と一線を画し、車体傾斜機能により曲線通過速度を向上する新しい特急列車を開発することとなった。
1993年9月から10月にかけて、量産先行車となるS1・S2・S21・S22編成が日本車輌製造と日立製作所で落成し、中央線で試運転を行った。1993年12月改正より車体傾斜機能の無い183系の運用の一部を停止し、その代替として一部「あずさ」でE351系の運行がスタート。翌1994年改正ではE351系使用の列車が「スーパーあずさ」と呼称されるようになり、スーパー特急としてその存在感を増した。1995年〜1996年に量産車S3・S4・S5・S23・S24・S25編成も登場し、最終的には18往復中8往復が「スーパーあずさ」となった。
なお、一時は間合い運用として東海道線の湘南ライナーにも充当されていた。
設備[編集]
JR東日本の鉄道形式で初めて「E」を冠した車両である。
グリーン車、普通車ともに4列のリクライニングシートを採用。制御機器は量産先行車1000番台が日立製GTO-VVVF、量産車0番台が日立製IGBT-VVVFとなっている。
足回りは振り子装置の搭載で、半径600mのカーブを本則+25km/hで通過できるなど全体的にスピードアップが図られた。
引退[編集]
しかし、振り子装置投入は所要時間こそ短縮したものの、カーブ始点での振り子動作の遅れが解消できないため居住性と乗り心地はそれほどの向上を感じず、奇抜な見た目に反して乗客からの評判は良くなかった。また、振り子装置は櫓を組んで台車と集電装置を連結する構造としたため複雑で維持に莫大な費用がかかるためE351系を増備するメリットも少なくなり増備は基本・付属5本ずつで終了し、以後は車体の重心を下げたE257系が中央線特急に投入されるようになった。
2017年12月より空気バネを用いた車体傾斜装置を採用した新型特急E353系がデビューするとE351系は真っ先に置き換え対象となり、2018年3月改正を持って全編成が運用を離脱。2018年4月までに廃車となった。
廃車後は容赦なく全車解体されたが、これは特急型車両としては157系以来2例目である。
編成表[編集]
編成 | クハ E351 |
モハ E351 |
モハ E350 |
サハ E351 |
サロ E351 |
モハ E351 |
モハ E350 |
クハ E350 |
新製 | 廃車 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
S1 | 1301 | 1002 | 1101 | 1001 | 1001 | 1101 | 1002 | 1001 | 1993/09/16/日車 | 2018/04/04 |
S2 | 1302 | 1004 | 1102 | 1002 | 1002 | 1102 | 1004 | 1002 | 1993/10/16/日立 | 2017/12/24 |
S3 | 103 | 6 | 103 | 3 | 3 | 103 | 6 | 3 | 1995/12/19/日車 | 2018/04/07 |
S4 | 104 | 8 | 104 | 4 | 4 | 104 | 8 | 4 | 1996/01/09/日車 | 2018/04/07 |
S5 | 105 | 10 | 105 | 5 | 5 | 105 | 10 | 5 | 1996/01/17/日立 | 2017/12/24 |
編成 | クハ E351 |
モハ E351 |
モハ E350 |
クハ E351 |
新製 | 廃車 |
---|---|---|---|---|---|---|
S21 | 1101 | 1001 | 1001 | 1201 | 1993/09/16/日車 | 2018/04/04 |
S22 | 1102 | 1003 | 1003 | 1202 | 1993/09/30/日立 | 2017/12/24 |
S23 | 3 | 5 | 5 | 103 | 1995/12/19/日立 | 2018/04/07 |
S24 | 4 | 7 | 7 | 104 | 1996/01/09/日立 | 2018/04/07 |
S25 | 5 | 9 | 9 | 105 | 1996/01/16/日車 | 2017/12/24 |
関連項目[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |