JR東日本E131系電車
E131系電車(イー131けいでんしゃ)とは、2021年より営業運転を開始した東日本旅客鉄道(JR東日本)の電車である。
概要[編集]
2021年以降、JR東日本の各線では列車のワンマン化を行っていくとしており、都市部にはE235系を投入する一方、自動運転などを考慮しない区間についてはこのE131系を導入することとなった。
本系列は房総地区から導入が始まっており、2021年秋からは相模線、2022年春からは宇都宮線(小山~黒磯)・日光線で営業運転が開始されている。
2021年10月1日には労働組合により仙石線への投入[注 1]も示唆された。また、2022年冬の鶴見線205系撮影会にてE131系の導入を仄めかす発言があったとかなかったとか。
中央本線や信越線、両毛線の211系を置き換えるという情報も出ているが、こちらは新潟との関係でE129系になる説、E233系になる説など様々な憶測が飛び交っている。なお、2021年3月の決算資料によるとJR東日本はベスプラを「E233系以降の形式の転属はせず、同じ路線で長く活用」する方向に改訂したと見られ、E129系かE131系が最も有力であると推定される。
また、2023年5月には東洋電機が「E131系1000番台向けの駆動装置」を納入したと発表しており、こちらは後のプレスリリースにより鶴見線向けで確定となった。
構造[編集]
いわゆるE235系の廉価版・短編成化版と言っても過言ではなく、車体もE235系とE129系を折衷したような構造となっており、20m4ドア車体で衝撃吸収構造が採用された。前面形状もE129系にやや似ている。車体幅は鶴見線用を除き2950mm、鶴見線用は2778mm。
主電動機は150kWの三相誘導電動機MT83を電動車に4台搭載し、駆動方式はTD平行カルダン駆動、歯車比は14:99=7.07とし、設計最高速度110km/hを確保している。ただし鶴見線用は最高時速100km/hである。
制御装置はSiCを採用したVVVFインバータ制御として省電力化を実現し、1M方式を採用している。
また、車内設備としては、埼京線に似通ったディスプレイアニメーションを採用した、17インチの大型ワイドLCDが車内に千鳥配置で設置されている。その他、ワンマン運転に対応した監視カメラや半自動ドア、自動放送装置も備える。
E129系は内房線・外房線に投入するには不向きだとJR東日本に判断され、新しく当形式が開発された。
線路モニタリング装置付きは80番台系を名乗る。ただし中間車は80番台を名乗らない。
番台別[編集]
0番台・80番台[編集]
房総地区・成田線・鹿島線の209系の一部置き換えを目的として房総地区に前者を2連10本、後者を2連2本、計24両投入した。車内はセミクロスシートとしている。2021年3月より運用を開始し、最大4両編成で運転される。短くね?
編成番号は「R00」。番台によって区別はされていない。
80番台には線路モニタリング装置を搭載。従来の形式では線路モニタリング装置搭載による番台区分はされなかったが、本形式では機器搭載スペースの都合から座席配置や窓の大きさなどが変更されており、番台でも区別する形をとっている。
500番台・580番台[編集]
相模線の205系500番台の置き換え用に前者を4連10本、後者を4連2本、計48両投入し、2021年11月18日から運用を開始。2022年2月25日の運用をもってすべての205系の運用を置き換えた。現時点ではすべて4両編成で運転されるが、試運転では8両編成で運用された実績がある。
将来的な転属改造を前提としているのか、先頭車の車内にも貫通扉状のドアが設置されている。
前面の一部が、遠くまで広がる湘南の海を表現した青と、ダイナミックな波の水しぶきを表す水玉模様のロゴに塗られているという特徴を持つ。[1]車内は先代の205系と変わらずオールロングシートとなっている。
580番台は線路モニタリング装置を搭載。
2022年3月以降、ワンマン運転開始に伴い橋本 - 八王子間には乗り入れなくなった。
編成番号は「G-00」。
600番台・680番台[編集]
宇都宮線・日光線の205系を置き換えるべく前者を3連13本、後者を3連2本、計45両投入し、2022年春から運用を開始。同時にすべての205系の運用を置き換えた。最大6両編成で運転されるが、日光線内はすべて3両編成で運転される[注 2]。
205系には湘南色が存在したが、E131系には日光線色のみの投入となる。車内はロングシートとなっている。トイレ、および先頭部にスノープラウが設置される。
680番台は線路モニタリング装置を搭載。
編成番号は「TN0」。
1000番台・1080番台[編集]
鶴見線で運用されている205系を置き換えるため、3両編成8本の計24両が投入。これまでの番台とは異なる非拡幅車体であり、貫通扉のダミー・ドア化粧板の省略などでコストカットを図った軽装仕様となっている。T1-7編成が全車1000番台で、T8編成の一部車両が線路モニタリング装置を搭載した1080番台に区分される。なお、同じくJ-TREC製かつSustina車である東急2020系の設計を流用したとの噂もあるが真偽は不明[注 3]。
2023年10月2日に第一編成が落成し、5日に配給輸送で首都圏に到着。12月までに全8編成が出揃い、同24日より営業運転を開始した。2月末ごろに置き換えが完了し、2024年3月改正以降はワンマン運転を行なっている。
編成番号は「T0」。
運用区間[編集]
- 0番台・80番台
- 500番台・580番台
- 600番台・680番台
- 1000番台・1080番台
- 鶴見線:全線
車両番号[編集]
- クハE130
- 1-10:0番台2両編成のうち1号車。千葉県各線用、幕張に配属
- 81-82:80番台2両編成のうち1号車。千葉県各線用、幕張に配属
- 501-510:500番台4両編成のうち1号車。相模線用、国府津に配属
- 581-582:580番台4両編成のうち1号車。相模線用、国府津に配属
- 601-613:600番台3両編成のうち1号車。宇都宮・日光線用、小山に配属
- 614-615:680番台3両編成のうち1号車。宇都宮・日光線用、小山に配属
- 1001-1004:1000番台3両編成のうち1号車。鶴見線用、中原に配属
- クモハE131
- 1-10:0番台2両編成のうち2号車。千葉県各線用、幕張に配属
- 81-82:80番台2両編成のうち2号車。千葉県各線用、幕張に配属
- 501-510:500番台4両編成のうち4号車。相模線用、国府津に配属
- 581-582:580番台4両編成のうち4号車。相模線用、国府津に配属
- 601-613:600番台3両編成のうち3号車。宇都宮・日光線用、小山に配属
- 614-615:680番台3両編成のうち3号車。宇都宮・日光線用、小山に配属
- 1001-1004:1000番台3両編成のうち3号車。鶴見線用、中原に配属
- サハE131
- 501-512:500,580番台4両編成のうち3号車。相模線用、国府津に配属
- モハE130
- 501-512:500,580番台4両編成のうち2号車。相模線用、国府津に配属
- モハE131
- 601-615:600,680番台3両編成のうち2号車。宇都宮・日光線用、小山に配属
- 1001-1004:1000番台3両編成のうち2号車。鶴見線用、中原に配属
不祥事[編集]
パンタグラフを破損したりオーバーランしまくったり故障が頻発しているが、原因は不明。
また、運用開始当初の2021年内にドアに挟まれそうになった、あるいはホームから転倒したという事例もあり、これについては再発防止のためにモニターの設置などで改善が図られている[2]。
2022年4月には日光線にて減車による積み残しが発生し、学校に50名ほど遅刻するという事態が起きた。これについて対応策は2022年4月時点では練られていない[注 4]。
鉄道界隈がツイッター上で大規模に議論しているが「乗車する生徒が鞄を降ろさない」、「前の車両に行かないから乗り方の問題」といった生徒主因論と「オールロング8両から6両はかなりの減量」といった減量失策説で争いが続いている。
なお、この影響により日光線の沿線高校は「終業時間を早くする」という異例の策をとった。
2024年頃からは0番台を中心に空転・滑走・横揺れといった不具合が多数報告されており、これにより一時的に回生ブレーキをオミットして運転している。今後は暫定対策として回生ブレーキを再度導入して運転する見込みである。それくらいなら改造で抑速ブレーキをつけるのが一番の策だと感じるのだが…。
近い世代の車両[編集]
- JR西日本227系電車 - JR西日本車
- JR東日本E235系電車 - 長編成
- JR東日本E261系電車 - 特急用
脚注[編集]
出典[編集]
- ↑ "【お披露目レポ】JR相模線の新型車両「E131系」|話題|鉄道新聞" 2021年12月9日確認。
- ↑ “ワンマン車両「E131系」で男性骨折 JR外房線、導入直後 内房線でもヒヤリ事案”. 千葉日報 (2021年10月7日). 2022年10月15日確認。
注[編集]
関連項目[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |