国鉄スハ43系客車

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国鉄スハ43系客車 (こくてつすは43けいきゃくしゃ)とは、日本国有鉄道が設計、開発した客車である。

名称[編集]

「スハ43系」は、日本国有鉄道の正式名称ではなく、主要形式であるスハ43に類似した車両を現場やファンが名付けた名称である。

概要[編集]

スハ42の改良型として1951年に登場した。車体構造は国鉄オハ61系客車に類似するが、急行列車への使用を前提に置いた室内構造となった。室内灯は白熱灯が2列となり、中央に扇風機が設置された。座席は背もたれが二段となり、肘掛けに傾斜が付いた。窓際には小机が設置され、その下には栓抜きが設置された。車体裾は完全な切妻構造となり、三等車のシートピッチは1470mmとなった。台車は新設計のウイングバネのTR47である。

新製形式[編集]

スロネ30[編集]

マロネ39の室内構造をほぼ踏襲した二等寝台車である。台車はTR47である。室内は4人個室が8室ある。1955年に一等寝台車がすべて二等寝台車に格下げされた際、非冷房の本形式はC寝台に分類された。オロネ10の登場により、団体列車に使用されるようになり、昭和43年10月1日日本国有鉄道ダイヤ改正によって1等C寝台の営業が廃止され、国鉄マニ36形客車に改造されて形式消滅した。

スロ51[編集]

スロ50とほぼ同じ車体構造を持つ特別二等車である。冷房化改造を前提にしていないので冷房配電盤の設置する場所の確保はしておらず定員は60名である。急行列車の使用を考え、シートピッチはスロ50と同様の1100mmでリクライニングシートが並んでいる。後に近代化改造を受け、客用扉は国鉄10系客車と同様なものに取り替え、蛍光灯の設置、アルミサッシへの取り替えを行った。緩急車スロフ51や北海道用のスロ52に改造されたほか、冷房化改造対象から外され、通勤型客車や職用車に改造された

スロ53[編集]

スロ51のシートピッチ1100mmは狭すぎたので1160mmとしたのが本形式である。この間隔は以後、日本国有鉄道グリーン車に踏襲される。後に全車がスロフ53に改造された。

スロ54[編集]

スロ53と同様な車体構造ながら、車掌室と荷物保管室の位置を入れ替え、客室照明に蛍光灯を採用した。後に全車が冷房化改造されたが、車重を増加させないために台車をTR23に振り替えられた。ただし、最初に冷房化改造された車両は台車の振り替えはされずにマロ55となった。この車両は低屋根化されずに国鉄20系客車と同様な床下冷房化を行い、冷房ダクトで屋根から冷風を送ることにしたため屋根が深くなった。後にこの車両も台車を振り替えてスロ54に戻った。一部の車両は北海道での使用に客用窓の二重化、車軸発電機の歯車化といった耐寒耐雪装備を行い、500番台を名乗った。

スハ43[編集]

定員88名の三等車である。シートピッチが1470mmとなった。

スハフ42[編集]

定員80名の三等車で、緩急車である。スハ43からの改造車もあり、その車両は客用扉の内側に車掌室を設けた。

スハ44[編集]

特別急行列車用に製造された車両である。片側1扉で内部は一方向固定式のクロスシートである。後の近代化改造の際に回転クロスシートに改造された。オハネ17に改造された1両以外はすべてスハフ43に改造された。

スハフ43[編集]

スハ44の緩急車である。3両のみ製造されたが、後にスハ44から改造された車両がある。

スハ45[編集]

北海道での使用に耐寒耐雪装備を行った車両である。客用窓の二重化、車軸発電機の歯車化が行われた。

スハフ44[編集]

北海道での使用に耐寒耐雪装備を行った車両である。客用窓の二重化、車軸発電機の歯車化が行われた。

オハ46[編集]

スハ43を軽量化した車両である。屋根が鋼板になっており、妻面の屋根部にキャンバス折り返しがない。このほか、スハ43を計量した車両を本形式に編入した車両がある。

オハフ45[編集]

オハ46の緩急車である。やはり、オハ46からの改造車もある。

オハ47[編集]

スハ43のTR47台車をオハネ17のTR23と交換した車両である。軽量化が実現できたので牽引定数の厳しい信越本線といった山岳路線の夜行急行列車で使用された。

オハフ46[編集]

スハ43の台車をTR23に交換したうえ、緩急車に改造された車両である。全車が車掌室を客用扉の内側に設けた。

マシ35[編集]

TR47台車を履いた冷房付きの食堂車である。車内は硬質化粧板を貼った全金属製車両となった。一部の車両は電気レンジと電気冷蔵庫を搭載して「カシ36」となったが、ほどなく石炭レンジ、氷冷蔵庫の本形式に戻された。

スユ42[編集]

取扱便を行う郵便車 (鉄道車両)である。 台車はTR23である。

スユ43[編集]

護送便を行う郵便車 (鉄道車両)である。台車はTR23である。

改造車[編集]

スロフ51[編集]

スロ51に緩急設備を設置した車両である。

スロ52[編集]

スロ51に耐寒耐雪装備を施した車両である。客用窓の二重化、車軸発電機の歯車化を行った。

スロフ52[編集]

スロ51に緩急設備を設置し、耐寒耐雪装備を施した車両である。

スロフ53[編集]

スロ53に緩急設備を設置した車両である。スロ53全車を改造して登場した。

マロ55[編集]

スロ54の冷房化改造車である。後に台車をTR23に振り替えてスロ54に戻された。

関連項目[編集]

JR西日本の鉄道車両
客車
一般用 オハフ33形* - オハ46形* - マイテ49形* - 50系* - 60系* - 35系
急行形・特急形 12系* - 14系* - 20系* - 24系*
貨車
ヨ8000形* - チ1000形* - チキ5200形* - チキ5500形* - チキ6000形* - チキ7000形* - ホキ800形* - トラ45000形* - トラ70000形* - ワム80000形* - ワキ5000形* - ワキ10000形*
気動車
急行型 キハ58系* - キハ65形*
特急型 - 87系 - キハ181系* - キハ187系 - キハ189系
一般型 キハ20系* - キハ33形 - キハ35系* - キハ37形* - キハ40系 - キハ45系* - キハ120形 - キハ121系 - キハ122系 - キハ126系 - キハ127系
電車
直流用
特急型 - 183系 - 271系 - 273系 - 281系 - 283系 - 285系 - 287系 - 289系 - 381系*(定期運用終了)
急行型 165系 - 167系* -
近郊型 クモハ84形 -111系*・113系* - 115系* - 117系* - 123系* - 125系 - 211系 - 213系 - 221系 - 223系 - 225系 - 227系
通勤型 直流用クモハ42系* - クモニ83形* - 101系* - 103系* - 105系* - 201系 - 205系 - 207系 - - 321系 - 323系
交直流
特急型 485系* - 489系* - 583系* - 681系 - 683系
急行型 457系 - 471系 - 475系*
近郊型 413系* - 415系* - 419系* - 521系
通勤型 なし
ハイブリット車 DEC700形
その他車両
事業用車
機関車
電気機関車
直流 EF15形* - EF58形* - EF59形* - EF60形* - EF64形* - EF65形* - EF66形*
交直流 EF81形*
交流 なし
ディーゼル機関車 DD14形* - DD15形* - DD16形* - 912形* - DD51形* - DE10形* - DE15形*
蒸気機関車 C56形160号機、展示用) - C57形1号機) - C61形(2号機、展示用) - C62形(2号機、展示用) - D51形200号機
電車
直流 クモヤ90形* - クモヤ91形* - 145系*
交直流 441系* - 443系*
交流 なし
客車 マヤ34形* - オヤ31形*
貨車 ケ10形* - ソ80形* - 923形* - 931形* - 935形*
気動車 キヤ141系 - キヤ143形 - キヤ191系* -
ハイブリッド車 DEC741形
新幹線 500系 - 921形 - 922形* - 923形
新幹線 0系* - 100系* - 300系 - 500系 - 700系 - N700系 - N700S - W7系
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR西日本には書類上存在しない。
データは2024年10月1日現在のもの。