客車
客車 (きゃくしゃ)とは、電動機やエンジンのついていない旅客を乗せる鉄道車両である。
概要[編集]
広義の客車は、気動車、電車、鉄道馬車、人車鉄道を含め、旅客の乗用に給する設備を持った鉄道車両である。しかし、狭義の客車は、機関車に牽引される、旅客の乗用や荷物輸送に供する設備を持った鉄道車両である。
客車の暖房[編集]
蒸気機関車牽引の場合は、ボイラーで発生する蒸気を蒸気管を備えた客車に送り込む蒸気暖房が行われた。
しかし電気機関車に置き換えられると蒸気発生源を別に備える必要が生じ、冬季に限り電気機関車の後部に暖房車を連結した。暖房車は客車や機関車からの改造で賄われたが、やがて運用や保守に不都合となり、長距離旅客用のEF56で初めて蒸気発生装置(SG)を備え、直流電化区間のEF58や交流電化区間のEF72でも備えられた。SGを備えた機関車に牽引された客車のジャンパ栓から漏れる蒸気スチームの湯気は、客車列車の冬期の風物詩だった。これはディーゼル機関車でも同様であった。
一方、交流電化区間で、変圧器で降圧した電力を暖房源にする電気暖房が開発された。
ちなみに津軽鉄道で名物となっているストーブ列車は、SGなしの機関車で牽引される代わりに暖房用としてストーブを各客車に備えた編成である。
沿革[編集]
イギリスに登場した頃の客車は二軸車で、車体は馬車をレール上に乗せたようなものだった。客車は等級制が採られ、一等車は高級な馬車そのものだったが、二等車は質素な馬車、三等車は無蓋車であり、雨天の際は乗客が傘をさしていた。これに対して行政指導が入り、屋根付きの三等車も登場した。
日本では、非電化や交流電化区間を中心に1980年代前半まで機関車牽引列車が少なからずあったが、1980年代中盤以降、機関車牽引列車が大幅に縮小して、客車のマーケットが減退、JR旅客鉄道が発足して、JR東日本701系電車が登場する頃から、定期列車から機関車牽引列車はさらに縮減された。