JR西日本285系電車

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Prize blueribbon 2023.jpg 1999年ブルーリボン賞受賞車両
岡山駅で発車を待つ285系。

285系電車(285けいでんしゃ)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)および東海旅客鉄道(JR東海)が設計・開発し所有する直流特急形寝台電車である。

登場[編集]

1990年代、北海道方面の北斗星トワイライトエクスプレスといった豪華寝台列車が勢いを増していた。
その一方で、従前、特に山陽・九州方面のブルートレインは、新幹線の高速化で当日着可能な最終列車の大幅繰り下げ[注 1]高速バスや価格競争で値下げが進んだ航空機に敗北して衰退の一途を辿っていた。
そんな状況を打開するためにサービス面で陳腐化した国鉄型客車を置き換える583系以来の寝台電車を製造することとなった。ここで登場したのが285系である。285系は後藤総合車両所所属の0番台3本と大垣車両区所属の3000番台2本が製造され[注 2]1998年7月10日より岡山駅東京駅で併結する「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」として運行を開始した。電車化による加減速力の向上や停車駅の見直しにより前身の客車特急「出雲2・3号」「瀬戸」に比べて1時間近い所要時間短縮を達成した[注 3]

運用[編集]

基本的には4本が運用につき、日中は東車セ田町センター高松運転所・後藤総合車両所に留置されて清掃・整備が行われ、夜間に寝台特急の運用につく。残りの1本は波動用・予備編成となっている。0番台と3000番台は共通運用で、3000番代のメンテナンスなどは全てJR西日本に委託されている。

客室仕様[編集]

開放型が中心の24系客車とは違い個室中心の編成構成となっている。車内デザインはミサワホームが手掛けており、ブルートレインとは一線を画した温かい雰囲気となっている。また、シャワー室やラウンジも備えている。

シングル[編集]

寝台料金7700円で利用できるB寝台個室で、1編成あたりの室数が最も多い部屋である。285系唯一の個室設定でもある。大きな窓を一人で独占できる「階上席」、揺れが少ない「階下席」、スペースが広い「平屋席」の3つのタイプがある。室内では余裕で立つことができ、段差はない。また、足元と窓下にそれぞれテーブルがあり、起き上がる際には頭をぶつけないよう注意する必要がある。

ソロ[編集]

寝台料金6600円のB寝台個室で、1編成中に20席存在する。シングルより1000円安いがその分狭く、室内で完全に立ち上がることはほぼ不可能である[注 4]。また、階上室には急な階段があり、下段にはその階段用スペースとなる大きな出っ張りがありスペースを圧迫している。それでも、他人に邪魔されないかつ安く利用できるということも合間って人気が高い。

シングルツイン[編集]

一人・二人両方で利用できるように設計されたB寝台個室。上段ベッドと下段ベッドの2段式となっており、下段ベッドはソファに変形できる。寝台料金は9800円であるが、2人で利用する場合は追加で5500円が必要となる。「シングルツイン」は先にデビューしたトワイライトエクスプレスにも存在した個室だが、こちらは上段に窓がないため、285系の方が上位互換と言える。

サンライズツイン[編集]

シングルツインのパワーアップバージョンで、1編成あたり4部屋設置されている。2台のベッドが並べて設置されており、かつてブルトレ「なは」「北斗星」に連結されていた「デュエット」に近いデザインとなっている。寝台料金は1人・2人利用関係なく15400円となっている。

シングルデラックス[編集]

あさかぜ号」から受け継がれてきた東海道ブルトレ伝統のA寝台個室。1編成に4部屋設置されていて、寝台料金は13980円で一人分で発売する。シングルに比べてベッドの大きさが850mmと一回り大きく、洗面台や椅子付きの机も設置されている。また、アメニティグッズも配布され、特製の石鹸やタオル、A寝台専用のシャワーカードが同封されている。かつては液晶テレビも備えていたそうだが、現在はなくなっている。

ノビノビ座席[編集]

座席移動のニーズに応えた設備。「はまなす」や青函連絡船などに連結されていた所謂「カーペットカー」の進化版で座席と言いつつも寝転ぶことができる(簡易寝台)。カーペットなのでむろん床は固く、特に横向きで寝るタイプの人は注意が必要である。寝台券不要で特急券のみで乗車可能である。なお、コンセントはなく窓側に設置された共用の物を使用することとなる。席同士は最低限の壁があるが、完全に仕切られているわけではない。このため、いびきがうるさい人や体臭が強い人と隣になると詰みである[Jokeこの一文には冗談が含まれています。真に受けるかどうかはあなた次第です。]

注釈[編集]

  1. 例えば、1988年時点では「あさかぜ1号」は東京発19時5分・博多着10時57分、「あさかぜ3号」は東京発19時20分・広島着6時35分で、東京駅からの新幹線最終発は博多が17時8分、広島が18時36分だったが、2023年3月改正時点では博多が18時51分、広島が20時が新幹線最終である。ちなみに、東京発初発新幹線で博多に10時52分に着く。
  2. なお、両者は共通設計で違いはVVVFインバーターの種類くらいである。
  3. これらの列車は九州ブルトレと同じく需要が低迷していたが、将来的な新幹線延伸計画が無かったことや航空機に対する競争力が残っていたため電車化される運びとなった。
  4. それでも、20系客車のA寝台「カルテット」個室と同じ規格である。
☆彡夜行列車☆彡
車両
国鉄型車両 旧型客車 - 国鉄20系客車 - 国鉄583系電車 - 国鉄14系客車 - 国鉄24系客車
JR車両 JR東日本E26系客車 - JR西日本・東海285系電車
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特急
東京対九州・山陽 富士 - さくら - みずほ - はやぶさ - あさかぜ
東京対四国・山陰 紀伊 - サンライズ出雲 - 出雲 - いなば - サンライズ瀬戸 - 瀬戸
上野対東北・北海道 北斗星 - カシオペア - はくつる - 北星 - ゆうづる - あけぼの - 出羽 - 鳥海
上野対北陸 北陸
臨時 サンライズゆめ - 谷川岳山開き
急行
東京対大阪・九州 銀河 - 桜島・高千穂
上野対東北 天の川 - 新星 - 十和田 - 八甲田 - 津軽 - いわて - あづまばんだい
上野対信州・北陸 越前 - 能登 - 妙高
上野対新潟 佐渡
新宿対甲信 アルプス
臨時 シュプール - 尾瀬
快速・普通
東京対大垣 ムーンライトながら - 大垣夜行
新宿対甲信越 ムーンライト信州 - ムーンライトえちご - 山岳夜行 - 上越夜行
京阪・岡山口
特急
京阪・岡山対九州 あかつき - 安芸 - 月光 - なは - 彗星 - 明星
京阪対北陸・北海道 日本海 - トワイライトエクスプレス - つるぎ
急行
京阪対山陰 だいせん
京阪対北陸・長野 きたぐに - 立山 - ちくま
京阪対山陽・九州 雲仙 - 西海 - くにさき - 天草 - 屋久島 - 音戸
京阪神対四国連絡 鷲羽
臨時 シュプール - くろよん - アルペン
快速・普通
大阪対紀伊・名古屋 はやたま
京都対山陰 山陰
臨時 ムーンライト九州 - ムーンライト山陽 - ムーンライト八重垣
名古屋口
特急
名古屋対九州 金星
急行
名古屋対九州 阿蘇
名古屋対信州 きそ
名古屋対高山・北陸 のりくら
名古屋発紀伊方面 紀州
臨時 シュプール
快速
臨時 名古屋発紀伊方面 スターライト
陰陽連絡急行 ちどり
四国内急行 うわじま/いよ
九州口
特急・急行 さんべ - かいもん - ドリームつばめ - 日南 - ドリームにちりん
快速・普通 ながさき
北海道
特急・急行 はまなす - まりも - 利尻 - 大雪
快速・普通 からまつ - ミッドナイト
東海旅客鉄道のロゴ.png JR東海の鉄道車両
客車
特急型 14系*
急行型 12系*
近郊客車 50系(救援車)*
気動車
特急型 キハ80 - キハ85 - HC85
急行型 キハ58・キハ28*・キハ65*
一般型 キハ40・キハ47・キハ48*(・2代目*)キハ11 - キハ25 - キハ75 - キハ30*
電車
特急型 381系* - 371系 - 373系 - 383系 - 285系3000番台 - 385系予定
急行型 165系・167系*
近郊型 111系・113系* - 115系* - 117系* - 119系* - 123系* - 211系0番台*0番台のみ廃車 - 213系 - 311系 - 313系
通勤型 103系* - 315系
事業用車
機関車 EF64* - EF65* - DD51*
電車・気動車 145系* - キヤ95(ドクター東海) - キヤ97
新幹線
旅客 0系* - 100系* - 300系 - 700系 - N700系(N700A・N700A・N700S)
検測車 923系(ドクターイエロー)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東海には書類上存在しない。なお、JR東海内が保有する国鉄車は全廃している。385系は製造予定。
データは2022年9月1日現在のもの。