JR東日本E233系電車3000番台
E233系電車3000番台(イー233けいでんしゃ3000ばんだい)とは、東日本旅客鉄道が保有する直流近郊型電車である。
概説[編集]
国府津初期車[編集]
2007年、鎌倉車両センターに所属するE217系へVVVFインバーターの交換などの機器更新を行うこととなった。このため、2006年に国府津車両センターに転属し、東海道線で活躍していたE217系6本のうち2本(F2編成+F52編成)が横須賀線に戻されることとなった。この分の不足を補うために2007年7月11日にE-01編成+E-51編成が東急車輛製造にて国府津向けに製造され、2008年ダイヤ改正より運行を開始した[注 1]。2010年には横須賀線武蔵小杉駅開業に伴う増発のため、E217系がさらに2本(F1編成+F51編成)鎌倉へ転属することとなった。これにより同年2月19日に追加でE-02編成+E-52編成が落成し、国府津車両センターに配置された。現在は全編成が改番せずに活躍している。
当初はE217系と共通の固定運用が組まれており、分割併合を行わない半固定編成状態となっていた。検査時などにはE231系が代走に入ることもあった。
国府津量産車(旧田町車)[編集]
2011年9月より211系置き換え名目で田町車両センター(当時)へ新製投入が開始。2012年4月までに基本NT1~14編成と付属NT51~64編成がJ-TREC新津にて増備され、211系を東海道線東京口から駆逐した。追い出された211系は、付属編成は丸ごと廃車となり、基本編成も余剰中間車を抜き取った上で長野総合車両センターへ転属することなった。先述の国府津初期車は1・10・11号車のみトイレが設置されていたが、これらの増備編成は6号車にもトイレが設置されている。また集電装置の位置も異なり、初期車は7号車がダブルパンタなのに対し量産車は3号車がダブルパンタとなった。2013年3月改正で田町車両センターが廃止されたため、田町所属のNT編成は全て国府津へ転属し、初期車からの続番であるE-03〜E-16・E-53〜E-66編成に改番された。
小山車(旧高崎車)[編集]
2012年5月からは基本L01〜L17編成・付属D01〜D16編成がJ-TREC新津で落成・高崎車両センターに配備され、211系基本C編成と付属B編成の運用を順次置き換えていった。なお、車番は田町車からの続番となっている。2013年改正にJR宇都宮線上野口から、2014年改正でJR高崎線上野口からそれぞれ211系を追い払った。2015年3月、上野東京ライン開通に伴い高崎車両センターの規模が縮小されたため、L01・D01編成が国府津へ転出してE-17・E-67編成に、L02〜L17・D02〜D16編成が小山車両センターへ転属しU618〜U633・U218〜U232編成へ改番した[注 2]。
その他増備車[編集]
2014年12月から2015年3月にかけて上野東京ライン開業による増発に伴いU233・U234・U235の付属編成3本がJ-TREC横浜で小山向けに増備された。
また、2014年12月〜2015年3月に付属E-71・E-72編成が、2017年5月にE-73・E-74編成が落成している。
設備[編集]
E233系では唯一の近郊タイプで、トイレが設置されている。帯色は80系からの伝統を受け継いだ湘南色となり、E231系1000番台では省略されたドア部分の塗装も施工されている。10両基本編成の4・5号車には2階建てリクライニングシートのグリーン車が組み込まれている。座席は基本ロングシートであるが、1・2・9・10・14・15号車は直角ボックスシートも備えたセミクロスシートである。一方で、トレインビジョンの搭載は見送られ、旧態依然の2段式3色LEDのものが採用されている。理由はE231系と併結運転を行うためという説が有力である。保安装置はATS-Pに加えてJR東海区間乗り入れのためのATS-Snも搭載している。また、E233系では唯一ホーム検知装置が搭載されている編成がない番台でもある。
基本編成は6M4Tとなっており、E231系よりM車が2両多いが起動加速度は変わっていない。
運用[編集]
固定運用の時代が続いたが、2015年3月のJR東日本ダイヤ改正でのJR上野東京ライン開業時よりE231系と共通運用化され、連結運転も始まった。さらに、それまでは定期運用のなかったJR湘南新宿ラインへの営業運転入りも実現した。現在は高崎線・宇都宮線・東海道線に加えてJR伊東線へも直通している。一方で、2022年3月のJR東日本ダイヤ改正では東北本線宇都宮駅~黒磯駅の運用が廃止(E131系へ置き換え)され、2023年3月のJR東日本ダイヤ改正では廃止こそ免れたものの両毛線直通が大きく減らされた。
今後[編集]
E233系3000番台は、
- クロスシートやトイレなど近郊路線用の設備を完備していているため、地方転用に向いている。
- 2025年ごろにE231系1000番台が車齢25年を迎え、置き換え時期に突入する。
- E231系に合わせてダウングレードしている同番台も巻き添え引退する可能性がある。
- この他にまとまった数で転属できそうな車両がいないこと
の3つの点から長野、房総、高崎などの地方路線向け中古車に転用されるのではないかという見方が強かった。実際、コロナ禍前の2018年ごろには24年以降、E235系を上野東京ライン・湘南新宿ラインに投入する構想があったことが判明している。
しかし、電動車に多かれ少なかれ廃車が出てしまうことや、先のE235系導入案がほぼ確実に見直されていること、E231系1000番台でホームドア改造工事・機器更新が進行中で引退の兆しが見えないこともあり、直近ではE131系などの完全新型車両でこれらを代替するという説が有力となっている。
なお、長野地区の211系6連が延命工事を見送っていることや房総地区の209系の一部の伊豆急捻出が迫られていることから向こう数年以内にE233系余剰車で置き換えられると見られているが、ロングシートの4・6・10連の余剰車で全数淘汰が困難な場合、不足分をやや余剰気味な3000番台の初期2編成ずつの編成組み替えで賄うという見方もできる。ただ、これ以上の余剰転用は羽田アクセス線開業時の運用変更あたりで車両不足に陥る可能性が高く、あまり好ましくない。
近い世代の近郊形電車[編集]
注[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |