銀河 (列車)

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朝の東海道を往く銀河。

銀河(ぎんが)とは、東京駅大阪駅の間で運行されていた夜行急行列車の愛称である。

概要[編集]

戦後直後に愛称が付き、東海道新幹線開業前の最盛期には東京 - 大阪間で、「明星」、「彗星」、「あかつき」、「金星」、「すばる」、「月光」、「第2せっつ」と共に夜行列車群の一角を占めていた。
東海道新幹線開業後は、運転区間のほとんどで重複するようになったが、夜行列車が運転できない東阪間の深夜帯を埋めるようにビジネスを主としたニッチニーズを満たし、多客期には座席指定席車のみの臨時列車も運行されていた[注 1]

しかし、1990年代になると、それまではJRのドリーム号しかなかった東阪間で私鉄系の民間夜行高速バスの運転が始まり、「のぞみ」運行開始後は、東阪間の新幹線の最終列車が20分近く繰り下がり、また関西国際空港が開港して最終の航空機の時刻も繰り下がり、加えて航空機の価格競争や高速バスの車内装備の充実化が始まると、往時のニッチニーズが徐々に食われるようになった一方、運行区間の3社で活性化方針が噛み合わず、「北斗星」のようにゆとり・高級ニーズの客層を獲得することはできず、かなり厳しい環境化に晒された。

そんな中で、ブルートレイン「あかつき」、「なは」に倣った定期列車への座席車の連結の要望、一部ファンからはMLながらML九州に倣って、空席が目立ち始めた国鉄14系客車使用の座席車のみの臨時列車(1998年頃までに運行終了)の快速[注 2]が活性化策として要望されたが実現しなかった。
とは言え、定期列車は東京 - 九州間などの寝台特急よりは乗車率が高かったと言われている。2000年代までほぼ国鉄分割民営化時のまま存続していたのは一種の奇跡と言える[注 3]

現在は、上りについては、料金は嵩むものの、客車寝台特急「瀬戸」時代から継続して、大阪から東京までサンライズ瀬戸・出雲が利用できる。下りのサンライズ瀬戸・出雲は浜松から姫路までノンストップだが、姫路から大阪へ新快速で1時間で逆行することを厭わなければ、大阪〜東京の夜行の足は一応確保された格好となっている。

時刻表[編集]

上りの横浜、品川両駅は着時刻

1964年10月改正[編集]

- 東京 品川 横浜 熱海 静岡 浜松 名古屋 岐阜 京都 大阪 三ノ宮 神戸
下り 2040 2111 2241 0024 0144 0340 0625 0712 0741 0745
上り 0736 0725 0705 0532 0404 0243 0051 0012 2201 2120 2047 2040

弘済出版社[1]を元に記載した。
上り東京着が現在では想定できない7時半過ぎとなっている。

1968年10月改正(ヨン・サン・トオ時)[編集]

号\駅 東京 品川 横浜 大船 小田原 熱海 沼津 富士 静岡 浜松 豊橋 岡崎 名古屋
下り1号 2145 2215 2315 2340 0007 0059 0214 0358
下り2号 2240 2250 2310 2328 0001 0039 0145 0310 0344 0411 0453
上り1号 0705 0655 0633 0535 0509 0447 0425 0351 0233 0049
上り2号 0939 0926 0900 0842 0757 0730 0702 0631 0554 0417 0328 0207
号\駅 岐阜 米原 大津 京都 大阪 三ノ宮 神戸 明石 加古川 姫路
下り1号 0428 0522 0622 0638 0717
下り2号 0557 0658 0711 0804 0829 0833 0851 0910 0929
上り1号 0017 2325 2228 2214 2130
上り2号 2340 2327 2240 2205 2200 2142 2122 2105
  • 上り2号は朝東京着の時刻が遅い[注 4]反面、京阪神から静岡県東部の新幹線非停車駅や小田原へのアクセスに便利な時刻での運行であった。
  • 1964年と比較すると、以下の特徴がある。
    • 下りは1号が従来と近い停車駅・時刻であるが、小田原、沼津、岐阜、米原、大津が停車である他、大阪止まりとなった。また、姫路行の下り2号が追加されている。
    • 上りは1号が従来と近い停車駅・時刻であるが、大津、米原、富士、沼津、小田原が停車である他、大阪始発となった。また、姫路発の上り2号が追加されている。
  • 1号にはマロネ40が連結された。最後の一般型一等A寝台車であった。

1978年10月改正[編集]

上下\駅 東京 品川 横浜 大船 小田原 熱海 沼津 富士 静岡 浜松 豊橋 岐阜
下り 2245 2254 2313 2330 0011 0034 0142 0259 0336 0523
上り 0936 0926 0901 0844 0758 0728 0658 0624 0544 0427 0338
上下\駅 米原 大津 京都 新大阪 大阪
下り 0610 0706 0719 0800
上り 0001 2350 2316 2310

JTB時刻表[2]を元に記載した。1968年と比較すると、以下の特徴がある。

  • かつての銀河1号は無くなっていて(1975年に寝台特急「いなば」に格上げ)、銀河2号の東京-大阪間が残った格好。
  • 深夜帯となる岡崎、名古屋はともに通過となった一方、下りは岐阜が、上りは新大阪が停車となっている。

2007年3月改正[編集]

- 東京 品川 横浜 熱海 名古屋 岐阜 米原 京都 新大阪 大阪
下り 2300 2308 2326 0037 0500 0540 0643 0712 0718
上り 0642 0635 0618 0507 0058 2353 2258 2228 2222

1978年と比較すると、上りの時刻が繰り上がり、ほぼ1968年の上り1号が復活した感じになり、大阪から東京への深夜移動に適した時刻となっている。
繰り上がりにより、上りは名古屋停車となり、上り「紀伊」号(1984年廃止)が利用できなくなった三重県北中部に配慮した格好となった。

歴史[編集]

  • 1949年 - 他の急行列車に先駆けて愛称がつく。
  • 1961年 - 寝台列車になる。
  • 1965年 - 姫路まで延長。夜行再編で東阪間夜行は「明星」との2往復となる。
  • 1968年10月1日 - 「明星」との愛称統合で2往復になる。
  • 1972年 - 1往復が大阪発着に戻り、1往復が「紀伊」と併結となる。
  • 1975年 - 「紀伊」併結の1往復が寝台特急「いなば」に格上げされ、1往復になる。
  • 1976年 - 20系客車に置き替え。普通指定席座席車の連結が無くなる。
  • 1984年2月1日 - 上り102列車で、東京着が従前の9時台から6時台へ時刻繰り上げ。
  • 1985年3月14日 - 国鉄14系客車に置き替え。
  • 1986年11月1日 - 国鉄24系客車に置き替え。
  • 2008年3月15日 - 廃止。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 1974年から約10年間設定された東海道新幹線半日運休日の前日発は全車自由席で運転された。
  2. ワイド・ミニ周遊券利用でも急行料金が必要だったこともあり、並行運転していたムーンライトながらや臨時大垣夜行が満席でも当該列車は空席が目立ち、6両まで減車された時期もあった。
    現に1998年8月中旬でも、品川駅ではムーンライトながらや臨時大垣夜行を待つ長蛇の列ができているのに比べ、臨時銀河は閑古鳥が鳴き、車内で指定券を買って乗車できるほどだった。
  3. 2008年の廃止以降、ニートレイン化が進行した215系を使用した「ムーンライトなにわ」の設定を求める意見も無くは無かった。
  4. 通勤列車に塞がれ、長距離夜行が東京7時半から9時半着にできない事情もあった。なお、当時でも新大阪朝一番の「ひかり」より東京着が遅い。
出典
  1. 大時刻表 '64年10月号, 弘済出版社
  2. 時刻表復刻版 1978年10月号, JTBパブリッシング


☆彡夜行列車☆彡
車両
国鉄型車両 旧型客車 - 国鉄20系客車 - 国鉄583系電車 - 国鉄14系客車 - 国鉄24系客車
JR車両 JR東日本E26系客車 - JR西日本・東海285系電車
東京口
特急
東京対九州・山陽 富士 - さくら - みずほ - はやぶさ - あさかぜ
東京対四国・山陰 紀伊 - サンライズ出雲 - 出雲 - いなば - サンライズ瀬戸 - 瀬戸
上野対東北・北海道 北斗星 - カシオペア - はくつる - 北星 - ゆうづる - あけぼの - 出羽 - 鳥海
上野対北陸 北陸
臨時 サンライズゆめ - 谷川岳山開き
急行
東京対大阪・九州 銀河 - 桜島・高千穂
上野対東北 天の川 - 新星 - 十和田 - 八甲田 - 津軽 - いわて - あづまばんだい
上野対信州・北陸 越前 - 能登 - 妙高
上野対新潟 佐渡
新宿対甲信 アルプス
臨時 シュプール - 尾瀬
快速・普通
東京対大垣 ムーンライトながら - 大垣夜行
新宿対甲信越 ムーンライト信州 - ムーンライトえちご - 山岳夜行 - 上越夜行
京阪・岡山口
特急
京阪・岡山対九州 あかつき - 安芸 - 月光 - なは - 彗星 - 明星
京阪対北陸・北海道 日本海 - トワイライトエクスプレス - つるぎ
急行
京阪対山陰 だいせん
京阪対北陸・長野 きたぐに - 立山 - ちくま
京阪対山陽・九州 雲仙 - 西海 - くにさき - 天草 - 屋久島 - 音戸
京阪神対四国連絡 鷲羽
臨時 シュプール - くろよん - アルペン
快速・普通
大阪対紀伊・名古屋 はやたま
京都対山陰 山陰
臨時 ムーンライト九州 - ムーンライト山陽 - ムーンライト八重垣
名古屋口
特急
名古屋対九州 金星
急行
名古屋対九州 阿蘇
名古屋対信州 きそ
名古屋対高山・北陸 のりくら
名古屋発紀伊方面 紀州
臨時 シュプール
快速
臨時 名古屋発紀伊方面 スターライト
陰陽連絡急行 ちどり
四国内急行 うわじま/いよ
九州口
特急・急行 さんべ - かいもん - ドリームつばめ - 日南 - ドリームにちりん
快速・普通 ながさき
北海道
特急・急行 はまなす - まりも - 利尻 - 大雪
快速・普通 からまつ - ミッドナイト