国鉄EF81形電気機関車
EF81形電気機関車 (EF81がたきかんしゃ)とは、日本国有鉄道が設計・開発した電気機関車。鉄オタの間では「パーイチ」と呼ばれている。
概要[編集]
架線の電源が3電源に分かれる日本海縦貫線の直通運用に備えて、1968年にデビューした。直流電気機関車EF65を設計ベースとし、交流電気機関車の特長を犠牲にしながらも3電源対応[注 1]の使い勝手の良さから1979年まで投入が行われ、JR化後もモデルチェンジ版の500番台、450番台が1992年までJR貨物で投入された。EF71の廃車後は、JRの交流電化線区を走行する国鉄型唯一のF級機関車となった。日本海やトワイライトエクスプレス、北斗星などの寝台列車の牽引機にも抜擢され、ファンの人気も高い。
2000年代に入ると、後継のEF510やEH500により少しづつ淘汰が進み、2016年に日本海縦貫線の貨物列車から撤退した。JR東日本では2010年にはEF510-500番台の登場で「北斗星」「カシオペア」の牽引から外され、多くの釜が廃車となった。一方で、電車とも連結可能な双頭連結器を装備した車両も存在し、配給列車等で活躍している。しかし、JR東日本E493系電車など後継の事業用電車が登場しており、予断を許さない。
カラーバリエーション[編集]
カシオペア色(カシ釜)[編集]
カシオペア登場の際に、専用の牽引機として北斗星色などの塗装変更で登場した。79・92・99号機の3両が該当する。前面は黄色で、側面にオレンジと紫をまとっている。2012年までにEF510で置き換えられ全車廃車となった。
トワイライト色(トワ釜)[編集]
1989年のトワイライトエクスプレスデビューに伴い43・44・103・104・113・114の6両が専用機としてこの配色になった。客車に合わせて濃い緑色に黄色の帯を巻いた配色となった。客車寝台特急の衰退によって同列車の廃止後は工臨や霜取り列車に使用されていたが、老朽化により徐々に廃車が進み2023年3月10日に最後の1機となったEF81 113が松任総合車両所に廃車回送され、トワ釜は終焉を告げた。なお、現在でも103号機が京都鉄道博物館に保存されている。
北斗星色(星釜)[編集]
1988年の北斗星登場に際し、イメージの一新を図るために一部の号機が塗装変更された。側面の寝台特急流星マークが印象的である。かつては大量に存在したが、EF510への置き換え・老朽化・余剰による廃車が進み、現在は80号機のみが尾久車両センターに所属し、臨時列車の牽引や水戸工臨などで使用されている。
レインボー色(虹釜)[編集]
側面に大きな文字でEF81と塗装されている人気の高い車両で、現在も比較的稼働率が高い。スーパーエクスプレスレインボーの牽引機として登場し、同列車の運行終了後もそのままの塗装で残置されている。EF81の中で該当するのは95号機のみである。EF65形も1019号機と1118号機が同様の塗装となったが、すでに廃車されている。
国鉄原色[編集]
赤13号「ローズピンク」を纏った美しい車両で、「ローピン」とも呼ばれる。国鉄分割民営化は急速に数を減らしたが、JR西日本敦賀所属車の一部がこの塗装のまま保たれ、日本海号の牽引機として活躍した。2015年に108号機が除籍されたことで一旦消滅したが、2018年にJR東日本の97号機で復活した。
御召塗装[編集]
ローズピンクに白色の帯を引いたもので、尾久所属の81号機が該当する。
東日本色[編集]
赤2号「えんじ色」の車両。JR東日本に継承された車両の大半がこの塗装となった。2010年代の大量廃車で多くが除籍され、現在残っているのは双頭連結機装備の134・136・139・140・141号機のみである。
300番台(銀釜)[編集]
関門トンネル仕様に登場。EF30からの慣わしで全身がステンレスボディに覆われており、トンネルから染み出る水滴による錆を防御する仕様になっている。東北大震災の際は富山機関区に貸し出され、日本海縦貫線を駆け抜けたという武勇伝も存在する。かつてはローズピンクに塗装された301・302号機と無塗装の304号機もいたがEH500の九州進出により2010年代に廃車され、現在は無塗装303号機のみ現役である。なお、303号機も2023年2月から5月ごろにかけて走行距離調整のためか一時運用から離脱した。
貨物色[編集]
JR化後に製造された500番台、450番台が該当。水色と白のツートンカラーで、450番台は下部に水色帯を配する。2022年に入りこのグループからも運用離脱車が発生している。
配置表[編集]
なお、現存するもののみ取り扱う。
車番 | 製造 | 最終配置 | 備考 | 現状 |
---|---|---|---|---|
EF81 78 | 1973/8/22日立 | (東)田端運転所 | 北斗星色 | 2010/12/24/AT入場 |
EF81 79 | 1973/8/25日立 | カシオペア色 | 2011/6/2/AT入場 | |
EF81 80 | 1973/9/5日立 | (東)尾久車両センター | 北斗星色 | 運用中
|
EF81 81 | 1973/9/7日立 | お召塗装 | ||
EF81 82 | 1973/9/14日立 | (東)田端運転所 | 北斗星色 | 2012/1/19/AT入場 |
EF81 83 | 1973/9/18日立 | 2010/1/7/AT入場 | ||
EF81 84 | 1973/9/20日立 | 2009/3/30/AT入場 | ||
EF81 85 | 1973/9/27日立 | 2012/1/15/AT入場 | ||
EF81 86 | 1973/7/25三菱 | 北斗星色 | 2012/3/22/AT入場 | |
EF81 87 | 1973/8/22三菱 | 2011/12/18/AT入場 | ||
EF81 88 | 1973/7/25三菱 | 2011/6/8/AT入場 | ||
EF81 89 | 1973/8/24三菱 | カシオペア色 | 2009/9/25/AT入場 | |
EF81 90 | 1973/9/5三菱 | 2007/9/3?/AT入場 | ||
EF81 91 | 1973/9/7三菱 | 2010/12/6/AT入場 | ||
EF81 92 | 1973/9/19三菱 | カシオペア色 | 2012/1/15/AT入場 | |
EF81 93 | 1973/9/21三菱 | 北斗星色 | 2012/1/12/AT入場 | |
EF81 94 | 1974/3/6日立 | 2010/12/24/AT入場 | ||
EF81 95 | 1974/3/8日立 | (東)尾久車両センター | レインボー色 | 運用中
|
EF81 96 | 1974/3/12日立 | (東)田端運転所 | 北斗星色 | 2012/1/12/AT入場 |
EF81 97 | 1974/3/14日立 | (東)新潟車両センター | 国鉄原色 | 運用中
|
EF81 134 | 1976/9/10日立 | (JR東日本)新潟車両センター | 双頭連結器 | |
EF81 136 | 1977/1/31三菱 | (JR東日本)秋田総合車両センター | ||
EF81 139 | 1979/4/24日立 | (JR東日本)尾久車両センター | ||
EF81 140 | 1979/4/28日立 | (JR東日本)新潟車両センター | ||
EF81 141 | 1979/5/16日立 | |||
EF81 303 | 1974/4/25日立 | (JR貨物)門司機関区 | 銀釜 | |
EF81 403 | 1984/5/2小倉工場(改) | (種車)EF81 130 | ||
EF81 404 | (種車)EF81 131 | |||
EF81 406 | 1984/6/5小倉工場(改) | (種車)EF81 132 | ||
EF81 451 | 1991/3/1日立 | - | ||
EF81 452 | 1991/3/2日立 | |||
EF81 453 | 1992/7/28日立 | |||
EF81 454 | 1992/8/21日立 | |||
EF81 455 | 1992/8/25日立 | |||
EF81 501 | 1989/3/1日立 |
関連項目[編集]
注[編集]
- ↑ 常磐線貨客用のEF80は2電源対応だった。
電気機関車 |
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR西日本の鉄道車両 |