電圧

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電圧(でんあつ、英:voltage)とは、電気の強さ、電流を流す力のことである。

概要[編集]

が高い所から低い所に流れるように、電気の場合、+の電荷であれば、+の電荷に近い所から遠い所へ、-の電荷まで遠い所から近い所へ流れる。水の場合は高さ=流出しやすさと言えるが、電気についても同様でこれを電位と呼ぶ。2点間の電位の差のことを、電位差、あるいは電圧と呼ぶ。通常、電気回路には基準点があるので、基準点に対する電位の高低を電圧と呼ぶことも多い。

単位[編集]

ボルト[V]が使われる。ボルトはアレッサンドロ・ボルタに因んだ単位で、英語ではvoltageである。2点間に1[A]の電流を流すのに必要な仕事が毎秒1ジュール=1[J/s]である時、2点間の電位が1[V]=[J/(A・s)]であるとする。

電力[編集]

なお仕事1[J]とは、質量1[kg]の物体を、毎秒1[m/s]ずつ加速させながら、1[m]動かす時の仕事量に相当する。ということで、電圧1[V]の電池が1[A]の電流を流している時は、毎秒1[J]の仕事量に相当する化学反応が電池内で起きているということであるし、1[Ω]の抵抗に1[V]の電圧をかけて1[A]の電流が流れた時は、毎秒1[J]の仕事が抵抗を構成する分子に与えられる(=熱エネルギーに変換され、1[W]発熱する)ということである。なお、1秒あたり1[J]の仕事がなされている時、仕事率1[W](電気の場合は電力1[W])であると言う。

性質[編集]

金属など導体の内部では、電圧はほぼ一定とみなせる。高い電圧と低い電圧を直接抵抗率の低い導体(水を含む)でつなぐと、過大な電流が流れて発火等につながる。これをショート(短絡)と呼ぶ。

抵抗の場合、両端子間の電圧は電流に比例する。この比例係数を抵抗値と言う(オームの法則)。抵抗値の低い抵抗に大きな電圧をかけると、大電流が流れるが、一方で大きな電流を流しても両端に大きな電圧は発生しない。逆に、抵抗値の高い抵抗に大きな電圧をかけても大きな電流は流れないが、大きな電流を無理に流そうとすると両端の電圧が大きくなる。

コンデンサーの場合、電流を流すと流す元側の電圧が増え、電流を止めても保持される。逆向きに電流を流すと電圧が下がる。電流が激しく変動しても、コンデンサーの電圧は大きく変化しないという特徴がある。

コイルの場合、電圧をかけると電流が増え、電圧が0[V]になっても電流が保持される。逆向きに電圧を流すと電流が下がる。コイルにかける電圧が激しく変動しても、コイル電流にはあまり影響が無い一方で、一定の電圧をかけ続けるとコイル電流が次々上がっていくので注意が必要。

種類[編集]

直流電圧[編集]

直流電化」も参照

正負の極間の電位の差が常に一定、あるいは若干上下するぐらいの電圧のことを、直流電圧と呼ぶ。以下の電圧値が用いられる。

  • 1500V   –   大手私鉄、および関東・中部・近畿・中国・四国のJR在来線に使用される。
  • 600V, 750V   –   路面電車や一部地下鉄の架線・第三軌条に使用される。
  • 5V   –   USBの電圧
  • 3V, 1.5V   –   乾電池の電圧

交流電圧[編集]

交流電化」も参照

電圧値の符号がプラスとマイナスで頻繁に変化する電圧のことを、交流電圧と呼ぶ。正負極がプラス→マイナス→プラスと単位時間当たりに変化する回数のことを周波数といい、単位は[Hz]である。

  • 25kV, 50Hz   –   東北・上越・北海道新幹線、および北陸新幹線の一部に使用される。
  • 25kV, 60Hz   –   東海道・山陽・九州新幹線、および北陸新幹線の一部に使用される。
  • 20kV, 50Hz   –   北海道、東北、茨城県のJR在来線に使用される。
  • 20kV, 60Hz   –   北陸、九州のJR在来線に使用される。
  • 100V, 50Hz   –   東日本の家庭用コンセント電源。
  • 100V, 60Hz   –   西日本の家庭用コンセント電源。

危険性[編集]

高電圧ほど危険というのが一般論だが、電圧の高さと危険性は、直接は比例しない。危険性は、例えば、家庭用コンセントの電圧は100[V]であるが、長時間感電すると危険である。一方、冬に発生する「静電気」の場合、数千ボルトに及ぶ高電圧だが、感電するのが一瞬であるので無事で済むことが多い。

関連項目[編集]