国鉄123系電車
123系電車( - けいでんしゃ)は、日本国有鉄道が設計し、国鉄および東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道で改造を行った1M直流近郊型電車である。改造前の元車両はクモニ143,クモヤ145,クモユニ147系。
登場の経緯[編集]
国鉄分割民営化約半年前の1986年10月の荷物輸送廃止により大量の荷物電車が余剰になり[注 1]、当然のごとく経年の浅い新性能車も含まれていた。しかしこれらは1両単位での運用が可能なことから地方ローカル線区用車両への改造対象となった。
このいきさつで登場したのが本系列であり、1986年に11両が、1988年に2両が登場した。同様の経緯で1988年にはクモハ84も登場したが、こちらは当該項目で解説する。
その後、JR東日本、JR東海からは撤退し、現在はJR西日本の山口地区で運用されている(後述)。
形態別概説[編集]
形式はクモハ123のみが存在する。
1号車[編集]
中央東線の辰野ローカル向けに改造された車両。種車はクモニ143-1で、1986年に登場。主電動機はMT57で、直並列制御を行い、山岳線区のため、抑速ブレーキも搭載する。
乗降扉は新たに片開き2箇所が設けられ、側窓は種車の寸法に準じたものが設置された。
1990年にワンマン化、1995年に冷房化されたが、2013年3月に引退、のち廃車となっている。
2 - 4号車[編集]
1987年のJR西日本発足直前に、クモニ143-2, 3, 6から改造され可部線向けに投入された車両。JR発足直後の國鐵廣島を象徴する車両の一つである。
ドア配置は先述の1号車に準ずるが、側面窓は大型化された。路線バス対抗で改造当初から冷房装置を搭載し、105系と同じタイプのものにジャンパ線も交換している。
1991年には宇部・小野田線系統に転属。1993年には前面貫通扉が設置されている。塗色は末期色に塗り替えられるまで白地に青帯を維持していた。
5号車・6号車[編集]
1987年、阪和線の羽衣線向けにクモニ143-7と8から改造された車両。ドア配置は種車のものを踏襲し、両開き扉が設けられた。冷房装置や前面貫通扉は改造当初から搭載し、ジャンパ線についてはクハ103-194との併結のために103系と同じタイプとされた。塗色は阪和線の103系と同じだが、前面の半分のみ黒塗りにされた。
1995年にはクモハ84の淘汰のために宇野線に転属。この際に前面の黒塗りはやめ、カモメが描かれた。その後、宇野線がワンマン化されると105系と混用され、ジャンパ線を105系タイプに交換された。
2002年にはクモハ42の淘汰のために宇部線・小野田線系統に転属し、相前後して扉位置を左右対称となるように移設されたが、もとのドア位置についてはつり革の位置で判断可能である。塗色は2 - 4号車に準じたものに変更されている。同時に運賃箱などが設置されワンマン化された。
2021年現在は末期色に塗られて現役である。
余談だが、このとき改造対象から外れた2両のクモニ143はクモヤ143の50番台に改造され、クモニ143は形式消滅している。
40番台・5040番台・5140番台[編集]
1987年、身延線向けにクモユニ147全車から改造。扉配置は1号車に準ずるが、戸袋窓はもたない。1989年にはインバータクーラーにより冷房化され、5040番台に変更された。うち1両(クモハ123-45)は前面貫通扉の設置により5140番台に区分された。
600番台[編集]
1988年、身延線向けにクモヤ145形600番台2両全車から改造。種車の関係から発電ブレーキをもたない。扉配置は前中後の3箇所に片開き扉が配置されていた。同年12月に冷房化されている。
運用[編集]
JR東日本[編集]
1号車のみ1両を継承し、終始一貫して辰野 - 塩尻間の区間列車とそれに関連する送り込み運用に使用された。検査代走は115系3連により行われた。
JR東日本は単行用電車の製造を行わない方針を取っていたので、本形式の処遇が注目されていたが、2013年3月のダイヤ改正でE127系に置き換えられる形で運用を離脱。同年4月に廃車され、すでに解体も完了している。
JR東海[編集]
40番台5両を継承し、後に600番台2両を増備、計7両体制となった。先述の冷房化の他、2001年には主電動機をMT54に交換された。
2006年より新型313系の投入が始まったことから5041を皮切りに廃車が進み、2007年6月の602と5042の廃車をもって全滅した。既に解体も完了しており、現存車はない。
JR東海も本形式以降に単行用電車の新規投入を行っていない[注 2]。
JR西日本[編集]
2 - 6号車5両を継承し、以降の増備は行っていない。2003年以降は全車が宇部線・小野田線系統に集結した。2013年にはトイレの設置が行われ、2010年から15年にかけて末期色への塗色変更が行われた。
かつては重連2両の運用もあったが、2022年現在は105系との併結以外連結運転の設定はない。なお、併結の場合、105系と123系間は通り抜けができる。
関連項目[編集]
注[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR東海の鉄道車両 |
JR西日本の鉄道車両 |