JR東海383系電車

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383系電車(383けいでんしゃ)とは、1994年に登場した振子式直流特急形電車。

概要[編集]

当時中央西線・篠ノ井線・信越本線の特急「しなの」で使用されていた381系の置き換え用として製造された形式であり、JR東海発足以降では371系に続く在来線用特急型電車である。

スピードアップとサービス向上の目的にて開発され、軽量ステンレスを採用し、ランニングコストを削減、省エネ化にも貢献した。

構造[編集]

外観[編集]

先に登場したキハ85系と同様軽量ステンレス鋼製を採用。前面のみは事故時の修繕のしやすさなどの観点から普通鋼製となっている。車体側面は中央部には黒を基調とした帯を、その下にはJR東海おなじみのオレンジ色の帯を配する。非貫通型の車両は前面展望をしやすくするため、前面には大型曲面ガラスを使用し、貫通型の車両は、特急用車両として見栄えを良くするためなのか、貫通扉は両開き式のプラグドアとなっており、その中に貫通幌や渡り板などが収納されている。

車内[編集]

グリーン車は青色を、普通車はグレー色を基調とした配色となっている。それぞれ4列シートが採用されているが、シートピッチは従来の381系よりも拡張されている。一部車両には自販機も設置されている。また、バリアフリー対応のため、2号車に車いす対応座席・大型洋式トイレを備える。

走行機器[編集]

シングルアーム式のパンタグラフや、GTOVVVFインバーター制御東芝GTO)を採用するなど、当時最新の技術を盛り込んでいる。なお、VVVFインバーター制御装置は量産先行車のみ減速時の音がやや異なるらしい。車体傾斜装置は、従来の381系で見られた「振り遅れ」や「振り戻し」を解消することによる乗り心地の向上に加え、曲線通過速度を上げて所要時間を短縮すべく、直線区間の地上子からカーブ開始位置までの距離データを基に車体傾斜を開始する制御付き振子を採用。ただし、櫓型パンタ支持台を用いたE351系やワイヤーを用いた架線追従装置があるJR四国8000系と違い、車体側に架線偏倚対策は施されおらず、中央西線・篠ノ井線以外の線区では振子機能を働かすことができない。

増備[編集]

1994年に量産先行車6連1本を、1996年に量産車6連8本、4連3本、2連5本を増備し、定期列車をすべて383系化した。

運用[編集]

2023年現在、特急しなので名古屋~長野間を走行しているほか、臨時列車としてJR大糸線白馬駅まで顔を出すこともある。ただし、JR東日本管内だけもしくは長野県内だけの運用はない。2022年ダイヤ改正では315系投入で転出した313系8000番台を置き換える形でホームライナー瑞浪にも進出し、結果的に同列車はグレードアップとなった[注 1]

過去[編集]

  • 1997年から2003年の間、12系3000番台+14系寝台車に代わって夜行急行「ちくま」に使用された。
  • 大阪駅発着の「しなの」1往復で大阪~米原~名古屋を運行しJR西日本区間に乗り入れたが、2016年にJR東海区間の米原以東共々廃止された[注 2]。なお、JR西日本一般形車両の大垣駅乗り入れ運用もこの時に全廃された。
  • 黎明期のセントラルライナーで車両(313系)不足に陥ったため一時的に用いられたこともある。

今後[編集]

製造から30年を迎えようとしており老朽化も進んでおり、385系の投入が2026年より、量産が2029年より発表されているため、数年後の全廃は確実と推定される。

また、2024年3月以降、北陸新幹線開業により一部余剰編成を特急しらさぎに転用し681系を置き換える噂も出ているが、本来不要な振り子装置がついているなど、性能過剰なことや、上記のように置き換え確定のため可能性は低いと思われる[注 3]

車両番号[編集]

配置は全て神領。

  • クハ
    • 383-1 ~ 5 : 付属2両編成1両目(7号車)
  • クロ
    • 383-1 ~ 9 : 6両編成1号車
    • 383-101 ~ 103 : 付属4両編成1両目(7号車)
  • クモハ
    • 383-1 ~ 9 : 6両編成6号車
    • 383-10 ~ 12 : 付属4両編成4両目(10号車)
    • 383-13 ~ 17 : 付属2両編成2両目(8号車)
    • 383-101 ~ 109 : 6両編成4号車
  • サハ
    • 383-1 ~ 9 : 6両編成3号車
    • 383-101 ~ 109 : 6両編成5号車
    • 383-110 ~ 112 : 付属4両編成3両目(9号車)
  • モハ
    • 383-1 ~ 9 : 6両編成2号車
    • 383-10 ~ 12 : 付属4両編成2両目(8号車)

近い世代の車両[編集]

[編集]

  1. もっとも過去には中央西線のホームライナーに特急型電車が使われたことがあった。
  2. 廃止時は岐阜県東濃と西美濃を直通する唯一の特急だった。
  3. もっとも、東海道本線に乗り入れた時は振り子作動を止めていたが…


東海旅客鉄道のロゴ.png JR東海の鉄道車両
客車
特急型 14系*
急行型 12系*
近郊客車 50系(救援車)*
気動車
特急型 キハ80 - キハ85 - HC85
急行型 キハ58・キハ28*・キハ65*
一般型 キハ40・キハ47・キハ48*(・2代目*)キハ11 - キハ25 - キハ75 - キハ30*
電車
特急型 381系* - 371系 - 373系 - 383系 - 285系3000番台 - 385系予定
急行型 165系・167系*
近郊型 111系・113系* - 115系* - 117系* - 119系* - 123系* - 211系0番台*0番台のみ廃車 - 213系 - 311系 - 313系
通勤型 103系* - 315系
事業用車
機関車 EF64* - EF65* - DD51*
電車・気動車 145系* - キヤ95(ドクター東海) - キヤ97
新幹線
旅客 0系* - 100系* - 300系 - 700系 - N700系(N700A・N700A・N700S)
検測車 923系(ドクターイエロー)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東海には書類上存在しない。なお、JR東海内が保有する国鉄車は全廃している。385系は製造予定。
データは2022年9月1日現在のもの。