JR東海キハ75形気動車
JR東海キハ75形気動車(JRとうかいキハ75がたきどうしゃ)は、東海旅客鉄道の保有する一般型気動車の1形式。
登場の経緯[編集]
快速みえ用キハ58の置き換えを目的に1993年に登場した。以降急行かすがや武豊線車両の置き換えのために1999年まで増備され、最終的に2連20本の計40両が登場している。
構造[編集]
21.3m級、片側3ドアの、311系に準じたオールステンレス車体を持ち、車内は車端部・ドア付近固定の転換クロスシートとされた。
トイレは0・200・400番台側に、車いす対応のものが設置される。
出力350psのカミンズ製ディーゼルエンジンNTA855-R(C-DMF14HZB)を1両に2基搭載。新潟コンバータ製の液体変速機のC-DW14系を介して台車を駆動する。
台車は円錐積層ゴム式・1軸駆動用ボルスタレス台車のC-DT60系を採用し、ヨーダンパも備える。
ブレーキ方式もキハ85で実績のある電気指令式ブレーキを採用したが、連結器はJR東海の気動車初となる電気連結器付きの密着連結器を採用している。また、編成間についても電気連結器付となっており、1両ずつ分割した上での増結も可能となっている。このため、編成番号は持たない。
番台別解説[編集]
0番台[編集]
1993年、快速みえ向けに2連6本が製造された。シートピッチは311系と比べて3cmほど拡大されている。当初はドアチャイムを持たず、後年になって設置された。
200・1200・3200番台[編集]
1999年、快速みえの増発および急行かすが向けに2連8本が製造された。シートピッチは313系レベルに戻したほか、当初から前照灯4灯、かつドアチャイム付とされた。
2015年に武豊線電化が完了すると、3本が耐寒仕様の1200番台、3本が耐寒&ワンマン仕様の3200番台に改造され、原型の200番台は現在2本のみ存在する。
400・3400番台[編集]
200番台に並行して2連6本が製造された。基本仕様は200番台に準ずるが、この区分は武豊線におけるワンマン運転に対応すべく運賃表示器、運賃箱などが当初から設置されている。
武豊線電化後は耐寒仕様の3400番台へと全車が改造され400番台自体は区分消滅している。
配置と運用[編集]
2022年現在、0・200番台の2連8本が名古屋車両区に、それ以外の2連12本が美濃太田車両区に配置され、前者は主に快速みえで、後者は主に高山本線の岐阜 - 下呂間および太多線で使用される。後者の運用には3連も存在する。なお、一度だけ2017年から1200番台2連1本が名古屋にやってきたこともあるが、2019年に美濃太田に戻ってきている。また、システムの相違からキハ25との併結は行わない。
2006年3月の急行かすが廃止以降は、快速みえの他に東海道本線名古屋 - 大府間、および武豊線全線でも運用され全車が名古屋所属だった。2010年の快速みえ全4連化の際はキハ25を武豊線に投入し、代わりに捻出された本系列を増結することで対処した。後に2014年頃に一部2連の状態に戻され、2015年の武豊線電化の後に美濃太田への転属が行われた。
また、過去には臨時列車として飯田線中部天竜駅まで乗り入れた実績もある。「さわやかウォーキング」にも運用されていた。
今後[編集]
2023年には初期車12両が、2029年には後期車28両が車齢30年を迎え、かつ313系に設置される見込みの車内防犯カメラの設置対象からも外れているが、車両交代に関するプレスリリースはまだ発表されていない。
HC85系の実績を踏まえるとシリーズハイブリッド式の気動車が後継車両になると予想される。
しかし、後継車両を紀勢本線に集中投入し、美濃太田向けはキハ25で玉突き代替する手や、高山本線の一部と太多線を電化し、美濃太田向けは大垣に315系を増備、または静岡に315系を入れて余剰となった313系を大垣に玉突き転用するという手も不可能ではないことや、単線区間が混在する関西本線のために電車併結対応となるかなど、謎はまだ多い。
もっとも、ハイブリッド気動車の投入自体がJR東日本と比較しても大幅に遅れているため、環境面からクレームが飛ぶのも想像に難くない。
関連項目[編集]
JR東海の鉄道車両 |