国鉄119系電車

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国鉄119系電車とは、日本国有鉄道により設計、開発された近郊型電車である。国鉄105系電車を基本に作られた。

登場の経緯[編集]

飯田線では大量の旧型国電が1980年代に入ってもまだ残っており、80系などの長編成運用[注 1]については165系の余剰車で置き換えを実施したが、残る旧型国電については2両での運行が求められることや、駅間距離が短いことから105系をベースに新形式を開発されることになった。そこで、105系に本長篠以北向けに勾配抑速ブレーキを設置したような格好で登場したのが本系列である。

1982年から1984年にかけて2連15本、3連9本の計57両が製造され、さらには弥彦線電化に伴い119系の耐寒耐雪仕様の投入も計画されたが、弥彦線については結局なかったことにされ、115系の余剰車で賄われた。
なお、当時はアコモ改造の62系が余剰だったが、105系1000番台のような編入改造は行われていない。

構造[編集]

車体は105系のものを踏襲した20m級両開き3ドア全鋼製車体を備えるが、窓配置が異なり、半自動ドアを備えるなど105系とことなる点も多数存在する。

車内はセミクロスシートとされ、Tc車にはトイレも設けられた。当初は垂れ流し式であったが、後にタンク式に改造されている。

機器類については主電動機が105系と同じMT55系で、出力は端子電圧375V時110kWとされた。制御装置はCS51形をベースに抑速ブレーキに対応したCS54で、永久直列制御を行う。台車については電動車が105系と同一のDT33Aだが、付随車については101系の廃車発生品であるDT21T形とされた。

電動発電機は113系などの冷房化で発生したものを、空気圧縮機は新造品あるいは101系からの発生品がクモハ119に搭載された。
塗色は青色22号、いわゆる水色にライトグレーの帯である。

改造[編集]

するがシャトル向け改造[編集]

1986年11月のダイヤ改正でするがシャトルを増発するために当系列2連8本を対象に冷房化、塗色変更の上で転用した。

塗装は白地に赤とし、正面には富士山を模した赤帯が配された。ただし、後に登場したクモハ123形40番台と印象は異なる。

冷房化の際は485系の廃車発生品の電動発電機をクハ118に搭載し、クモハ119のMGは存置された。

しかし、103系性能であったことから高速性能に劣り、運用は短期間にとどまった。1989年までに改造時のまま飯田線に戻り、冷房化による飯田線のサービス向上や、165系の老朽車廃車や波動用途への転属が進んだ。

両運転台化[編集]

1987年度後期の飯田線豊橋 - 豊川間の増発のために、3連9本のうちクモハ各1両に両運転台化改造が行われ、100番台に区分された。

窓配置は前後非対称となっている。

豊橋 - 豊川間の機織り運用の他、増結車として2両編成に連結される場合もあった。トイレは設置されていなかったが、豊橋発中部天竜行き、中部天竜発飯田行きや駒ケ根行きといった長距離運用に入ることもあった。

残りの車両の冷房化[編集]

1989年以降、JR東海お得意のインバータークーラーでの冷房化が残る41両にも施工された。改造車は原番号+5000されて区分されている。

ワンマン化[編集]

1999年以降、飯田線天竜峡以北でのワンマン運転のために5000番台2連7本がワンマン運転対応に改造され、5300番台となった。運用中に2連1本が事故廃車となったため、途中でさらに1本が追加改造されている。

沿革[編集]

1983年冬に飯田線に投入されて以降、事実上飯田線固有形式として常駐した。
1986 - 89年にはするがシャトルとして2連8本が東海道線静岡地区で運用されたものの、2004年に2連1本が台風に煽られ脱線し事故廃車となった以外は2011年まで現役であった。1988年以降は豊橋運輸区の静岡への統合で静岡配置、2002年には大垣配置とされたが、基本は豊橋に常駐し続けた。

しかし、2011年以降、313系の増投入による玉突き転属配置により廃車やえちぜん鉄道への譲渡が進められ、2013年の時点で5300番台6両のみが在籍していたが、これらも同年6月にえちぜん鉄道に譲渡されJR東海からは形式消滅した。

えちぜん鉄道への譲渡[編集]

詳細は「えちぜん鉄道MC7000形電車」を参照

廃車後、えちぜん鉄道には2連6本が譲渡され、同車のMC7000形となった。入線の際に低運転台化やトイレの撤去、VVVF化などが行われているが、ブレーキ方式は電磁直通ブレーキ、台車もコイルばね台車のままとなっている。

その他[編集]

119系は80系置き換えの3扉車としてオーソドックスであるものの、沿線では80系の評判が良く、当初非冷房だった119系よりも同時期に普通列車に導入された冷房付きの165系や当時東海道線名古屋地区で運用された117系に高い評価がされた。これと共に、119系ではテープ貼付けだった白帯が剥がされる損傷が続出して静鉄局が手を焼き、1985年頃には165系を飯田線に集約させ、新規電化される福知山線に119系を転属させる構想も持ち上がったが、113系2連改造の目処が立ったためボツとなった。

関連項目[編集]

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  1. 4両編成が基本だったが、中部天竜以南では通勤通学時に6両編成の運用もあった。
東海旅客鉄道のロゴ.png JR東海の鉄道車両
客車
特急型 14系*
急行型 12系*
近郊客車 50系(救援車)*
気動車
特急型 キハ80 - キハ85 - HC85
急行型 キハ58・キハ28*・キハ65*
一般型 キハ40・キハ47・キハ48*(・2代目*)キハ11 - キハ25 - キハ75 - キハ30*
電車
特急型 381系* - 371系 - 373系 - 383系 - 285系3000番台 - 385系予定
急行型 165系・167系*
近郊型 111系・113系* - 115系* - 117系* - 119系* - 123系* - 211系0番台*0番台のみ廃車 - 213系 - 311系 - 313系
通勤型 103系* - 315系
事業用車
機関車 EF64* - EF65* - DD51*
電車・気動車 145系* - キヤ95(ドクター東海) - キヤ97
新幹線
旅客 0系* - 100系* - 300系 - 700系 - N700系(N700A・N700A・N700S)
検測車 923系(ドクターイエロー)
「*」がある形式は国鉄から継承。右上に「廃」と書かれた形式はJR東海には書類上存在しない。なお、JR東海内が保有する国鉄車は全廃している。385系は製造予定。
データは2022年9月1日現在のもの。