JR東海311系電車
JR東海311系電車(ジェイアールとうかい311けいでんしゃ)とは、JR東海の保有する電車の1形式。
概要[編集]
民営化直後、JR東海は省エネ化を掲げたこともあり、既存の古い国鉄型車両を置き換えるため、基本設計は当時新型車両であった211系をベースに、車内は転換クロスシートとなっている311系を設計した。
117系の後継も兼ね、大垣 - 蒲郡間で設定された新快速用に1989年のダイヤ改正に合わせて誕生した。
構造[編集]
車体[編集]
軽量ステンレス鋼製。前面のみ強化プラスチックが採用されたが、高速運転を行うことも考慮されているため、211系と比較して少し曲線状になっている。
また、前照灯と尾灯は車体に埋め込まれており、211系と比較してすっきりとした印象がある。211系と同様、連結の際通り抜けれるよう、幌付きの前面扉を装備している。
転換クロスシートを採用したため側窓は2連窓となっている。
走行機器[編集]
界磁添加励磁制御や120kwの直巻整流子電動機、軽量ボルスタレス台車などほとんど211系5000番台に準じているが、高速運転に対応するためボルスタレス台車にヨーダンパがついていることが挙げられる。ほかにもブレーキの改良など、少し変更点を加えている。
車内[編集]
全体的にグレー色で統一されている。座席は出入口付近・車端部のみ固定とし、それ以外の座席は117系と同じ転換クロスシートとされた。また、並行路線である名鉄との差別化を図るため、転換クロスシートも213系5000番台や117系と比較して少し改良がなされている。車内照明も高級感を出すため、カバー付きのものとされた。また、各車両の車端部にはLED式の案内表示器が取り付けられている点も挙げられる。
クハ310型には211系5000番台4両編成と同じ和式トイレがついているが、その外側壁面にはJRの一般車両としては初となる公衆電話が設置された。しかし、携帯電話の普及に伴い2007年に撤去された。屋根上アンテナも長らく残っていたが、最近になって撤去されている模様。
2003年からバリアフリー化のため、クハ310型に車いすスペースの整備が行われた。
増備[編集]
新快速の運転区間延長及び増発に備え、1991年までに合計4連15本が登場した。途中の増備で列車番号表示器が省略されたり、貫通扉の色や天井の中央部の色が変更されたりなど、細かいところで変更がなされている。
置き換え[編集]
1990年代製造の抵抗制御車の淘汰を目的に311系は置き換えられることになった。中央西線中津川以西の315系の投入により、玉突きで配転される313系に置き換えられ、2022年5月より廃車が進んでいる。廃車された編成の詳細は編成一覧節を参照。
今後[編集]
2025年度までにJRからは姿を消すが、秩父鉄道[注 1]や富山地方鉄道[注 2]への譲渡車が発生するかは気になるところ。
編成一覧[編集]
2024年1月1日時点でのデータ。背景が黄緑色の場合は廃車を、検査期限の文字色が赤色の場合は検査期限が2025年前半までに迫り、廃車が特に危ぶまれていることを示す。
編成番号 | 製造メーカー | 検査期限 | 廃車回送日 |
---|---|---|---|
G1 | 日立 | 8-1 | |
G2 | 日立 | 2024年3月 | |
G3 | 川重 | 7-2 | |
G4 | 川重 | 7-5 | |
G5 | 川重 | 2023年12月 | |
G6 | 近車 | 2023年12月 | |
G7 | 近車 | 2023年4月 | |
G8 | 近車 | 2022年5月 | |
G9 | 近車 | 2023年7月 | |
G10 | 川重 | 2023年12月 | |
G11 | 川重 | 7-11 | |
G12 | 川重 | 2022年5月 | |
G13 | 川重 | 2023年2月 | |
G14 | 川重 | 2024年3月 | |
G15 | 日車 | 7-10 |
近い世代の車両[編集]
- 国鉄211系電車 - 本形式のベースとなった車両
- JR西日本221系電車 - JR西日本車
- JR東日本215系電車 - JR東日本車
- JR東海371系電車 - 特急用
- 新幹線300系電車 - 新幹線用
注[編集]
JR東海の鉄道車両 |