JR四国2700系気動車
JR四国2700系気動車(じぇいあーるしこく2700けいきどうしゃ)は、JR四国にて運用される特急型気動車の1つ。本項では土佐くろしお鉄道保有の30番台についても扱う。
登場の経緯[編集]
世界初の振り子式気動車とも言われた、平成初期登場の2000系は登場から30年近くを経過し老朽化が進んでおり、その代替として空気ばね式の車体傾斜車両2600系が製造されたが、土讃線の急カーブに対応できるほどの空気圧縮機容量を確保できなかったため量産先行車の4両で増備が打ち切られた。
その代わりとして2000系ですでに実績のある振り子式を採用して本系列が登場することになった。
構造[編集]
車体は2600系のものを踏襲した川崎重工業製のefACEを採用。デザインも2600系由来のものだが、裾絞りが大きいほか、区別のために黄緑色の帯が配された。空調機器は窓側の足元のスペース確保のために配置が変更されている。なお、中間車は1両も製造されていない。
台車は2000系リニューアル車にて採用されたS-DT69をベースとしたウイングバネ式ボルスタレス台車S-DT70を採用。エンジンに関しては2600系で実績のある出力450psのコマツ製SA6D140HE-2を1両に2基搭載する。ブレーキ方式は電気指令式ブレーキであり、最高速度はN2000系レベルの130km/hを確保している。なお、システムの差異により2000系列や2600系との総括制御はできない。
編成[編集]
2両編成は2700-2750を基本とし、グリーン車組み込みの3両編成は2700-2750+2800が基本となった。なお、グリーン車を含めて4両編成を組む際は、閑散期の普通車解結を考慮して2700+2700-2750+2800という前代未聞の変態連結を見ることができる。アンパンマン列車もこの4両を基本としている。
運用[編集]
まず2019年8月6日、特急うずしお4往復に先行投入し、続いて9月3日にしまんととあしずり、9月28日以降は南風にも運用を拡大。2020年7月18日付でN2000系をうずしおの運用から撤退させた後、2021年3月の改正までに合計39両を増備。土佐くろしお鉄道にも同型車2両を配置し、南風としまんとを本系列に統一し、あしずりの運用も3.5往復に増加させた。
なお、多客期に南風の一部を5両編成にする際は、あしずりと連結しないしまんとの、所定2700系の運用に2000系を入れ、そこから捻出した2700系を増結して対処する。
2023年9月には車両検査・工事の関係で特急いしづちの代走運用に就いたことがある。
アンパンマン列車[編集]
2703+2701-2751+2803はあかいアンパンマン列車、2704+2702-2752+2804はきいろいアンパンマン列車とされ、外観と天井にアンパンマンのラッピングが配されている。運用は固定されており、1日にそれぞれ2または3往復の南風に充当される。5両以上で運用される際は一般仕様車が中間に増結される。
今後[編集]
土讃線同様に、非電化の山岳線区である予讃線伊予市以南も八幡浜までなら、空気バネ車体傾斜車両が運用できると思われるが、以南は路線環境が厳しいため、同じく本形式での置換えと推察される。
一方、高徳線は2600系でも充分な路線環境であるが、標準化や保守合理化の観点から、本形式の増備で賄う可能性も否めない。徳島線、牟岐線に関しては、本形式はオーバースペックな可能性があるが、振り子非作動の強力気動車で運用の可能性も否めない。
予讃線に残るキハ185系3100番台の置き換えについては流石に2600系も本系列も過剰なはずのため、こちらは新式の一般型電気式気動車での置き換えとなろう。また、キハ185系改造の観光列車の代替は所要数の少ない2600系か一般型に対しての改造が優先され、不足分に特殊構造の本系列を転用するパターンになると思われる。
近い世代の車両[編集]
- JR四国8600系電車 - 特急用電車。空気バネ制御車体傾斜方式。
- JR四国1500形気動車 - 普通列車用。世代は離れているが、普通列車用では最新。
- JR西日本187系気動車 - JR西日本の特急用気動車。早い世代で離れているが、特急用振り子気動車では最新。
- JR西日本273系電車 - JR西日本の特急用電車。特急用振り子電車では最新。