国鉄DE10形ディーゼル機関車
DE10形ディーゼル機関車(ディーイー10がたディーゼルきかんしゃ)とは、日本国有鉄道が設計・開発したディーゼル機関車である。鉄道ファンや現場からは「デーテン」と呼ばれることが多い。
概要[編集]
貨物駅・操車場・車両基地での車両の入換やローカル線の貨客列車牽引用として開発された。
国鉄は前記の用途に用いられる液体式ディーゼル機関車としてDD13形を生み出していたが、DD13は
- 蒸気暖房装置がなく、冬期の旅客列車牽引に制約がある
- 軸重が14トンと重く、線路等級の低いローカル線に入線できない
- 軸数が少なく、制動力が不足する
などの弱点を抱えていた。
DE10はDD13の上記の弱点を解消するため
- 蒸気暖房装置(SG)の搭載
- 動軸数を5軸に増やして軸重を13トンに軽減
といった改良を加えて量産された。前後非対称の凸型ボディが特徴である。
関連形式としては冬季にラッセルヘッドを取り付けて除雪に対応したDE15がある。
その使い勝手の良さから、JR7社全てに継承され、山形新幹線着工後の寝台特急「あけぼの」牽引も担ったが、老朽化や客車普通列車の全廃、HD300、DD200といった後継車両の登場で数を大きく減らしている。
番台区分[編集]
900番台[編集]
901号機のみが存在していたが、すでに解体されたようである。1967年に落成し、大宮操車場でしばらくの間重貨物列車の入れ換えに使用された。このときの試験結果を踏まえてDE11が開発されることとなる。
0番台[編集]
1966年から1~158号機の158両が製造された。JR四国にのみ継承され、1989年まで活躍した。
JR各社の状況[編集]
JR北海道[編集]
23両を継承し、各地での入換作業や急行列車、貨物列車牽引に使われたが、近年は入換作業やノロッコ号の牽引がメイン。
JR東日本[編集]
68両を継承し、入換作業や工事臨時列車、工場への入出場回送の牽引機などに使用される。ATS-P導入区間の走行を可能にするため、一部車両はATS-Pの搭載改造を受けている。この関係上、未搭載機とは顔つきが一部異なる。
キヤE195系やGV-E197系などにより代替廃車が進行中。
JR東海[編集]
13両を継承し、入換作業や臨時列車の牽引などに使用された。床下機器をグレーに塗っており、軽快な印象を与えていたが2008年までに全廃された。
JR西日本[編集]
49両を継承し、工事臨時列車や工場への入出場回送の牽引などに使用される。特別色を纏う車両として後藤総合車両所所属の1161号機(奥出雲おろち号色)、梅小路運転区の1156号機(嵯峨野観光鉄道色)がある。
JR四国[編集]
37両を継承し、客車普通列車や臨時列車の牽引などに使用されたが、2023年3月末に最終運用である羽ノ浦工臨をもって全運用を終え、3月31日をもって最後の1機である1139号機の車籍が消滅した。
JR九州[編集]
19両を継承し、臨時列車やマヤ検、廃車回送の牽引、クルーズトレインななつ星 in 九州の牽引などに使用される。なおななつ星と編成イメージを揃えるためか塗装を黒色に変更し、手すりを金色に塗っている。
DD200形やBE220形の導入により廃車が進んでいる。
JR貨物[編集]
151両を継承し、入換作業を中心に一部本線での貨物列車牽引に使用される。除雪主用途のDE15を購入し本形式に編入したこともあったが、後継機のHD300形やDD200形の導入により徐々に数を減らしており、DE10の全般検査は2017年5月に終了している。
同型車・譲受車[編集]
DE15のDE10相当改造車やDE11の同型車もここで扱う。
十勝鉄道[編集]
JR東日本より1543を譲受し、その後DE15 1525もDE10 1250として竣工したが、てんさい糖輸送の終了で秋田臨海鉄道に譲渡された。
八戸臨海鉄道[編集]
JR東日本より1761を譲受。八戸にゆかりのある機体でもある。
秋田臨海鉄道[編集]
新潟臨海鉄道よりDE65の2号機、十勝鉄道より1543と1250を譲受しそのままの番号で運用していたが、2021年の運用終了後にDE10 1543は解体、残りは仙台臨海鉄道に譲渡された。
新潟臨海鉄道[編集]
同型車としてDE65形1・2号機を新製し、後にDE10 1144を改造して3号機としたが、輸送終了後に1・3号機は解体、2号機は上記秋田臨海鉄道に譲渡された。
仙台臨海鉄道[編集]
全車がDE65形となっており、秋田臨海鉄道より譲り受けた2号機、同社のDE10 1250を改番した5号機、JR東日本のDE10 1536を改番した3号機、同社のDE15 1538を改番した1号機が在籍する。
過去には89・133・134・141号機を国鉄から購入したがSD55の導入が決定し運用に就くことなく解体されている。
真岡鐵道[編集]
JR東日本から1535を譲受。同社50系やSLもおか号の牽引・回送に使用される。
わたらせ渓谷鐵道[編集]
JR東日本から1537と1678を譲受。トロッコわたらせ渓谷号および、今は亡きサロン・ド・わたらせの牽引に使用。
東武鉄道[編集]
JR東日本から1099と1109を譲受。SL大樹の後部補機と、秩父鉄道三ヶ尻線廃止に伴う栗橋駅での車両授受に使用される。
衣浦臨海鉄道[編集]
全車がKE65形となっており、同型機の1・3号機と、国鉄清算事業団から購入した2・5号機が存在。後者は2代目で、初代は同型機であったが輸送需要減退により樽見鉄道に譲渡された。
樽見鉄道[編集]
全車がTDE10形・TDE11形で揃えられており、101が自社発注、102と103が元KE65 2・5(いずれも初代)、105が元国鉄のDE10 149、113が元西濃鉄道のDE10 502となっていた。113の導入時に103が高崎運輸に転出し、残りもセメント輸送廃止により2007年までに全車両が廃車され現存しない。
神岡鉄道[編集]
貨物輸送用に1005を四国から譲受しKMDE101としたが2002年に廃車された。
西濃鉄道[編集]
DD401の置き換えを目的に0番台を2両購入し501・502号機としたが、502号機はまもなく樽見鉄道に譲渡。501も2021年に元・秋田臨海鉄道の1251と入れ替わりで解体された。
注[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |
JR東海の鉄道車両 |
JR西日本の鉄道車両 |