国鉄105系電車
国鉄105系電車とは、国鉄が設計・製造した通勤型電車である。
登場背景[編集]
宇部線や福塩線といった戦前戦時に私鉄を買収した路線では、72系や70系などの旧型国電が1980年頃まで幅を効かせており、利用者からの評判が悪くメンテナンスの点でも問題があり、置き換えが急務とされていた。
概要[編集]
しかし、先に山陽地区に投入された111・113系電車は電動車の2両ユニットと制御車が不可欠で、ホーム長が短く、駅間距離が短くて、111系ベースでは最高速度での走行距離が短い私鉄買収路線ではオーバースペックで不向き[1]とされていた。
そこで、国鉄は103系をベースに経済性を考慮して、旧型国電のように電動車を1両に収め、201系のデザインを取り入れた[2]ローカル線向けの車両を完成させた。それがこの105系である。2両編成単位でコストを考慮し、主に利用客が少ない路線を走るため、扉は片側3か所とし、きめ細かい編成を組めるように電動車はユニット構成でない1両(1M電車)で、電動発電機(MG)等のパーツは101系などの廃車発生品を再利用した。
投入当初は非冷房だったが、JR化後に空調機器の設置がされた。
なお、後述の119系投入と同時期に、郵便車や荷物車でも1M電車のクモニ143、クモユニ147などが新造されたが、すぐに用済みとなり、郵便車は短期廃車され、不遇車両となり、荷物車はローカル単行電車用の123系電車に改造された。
改造[編集]
103系編入車[編集]
上記の宇部線・福塩線へは、コストを考慮した新製車両を投入したが、旧型国電が幅を利かせた可部線や新規に関西で電化路線となった桜井線・和歌山線に向けては、国鉄の財政がローカル線向けに車両を新造するほどの余裕が当時無かったことから、営団地下鉄千代田線など首都圏で「熱源電車」として嫌われて、転用が進んでいた103系1000番台の電動車を105系の制御電動車として改造し、引き通し等を105系対応にした制御車と共に運用されることとなった。
500番台・クハ105形0番台[編集]
103系1000番台より改造。元から先頭車の車両と元中間車が存在し、先頭車は連結時に貫通できるよう、貫通幌の設置や貫通扉の改造が行われた。元中間車の車両は先頭車化改造され、105系と同じ顔になった。また、103系からの編入車で先頭車化改造車されていないものはクハ105形を名乗る。
100番台[編集]
0番台の先頭車から改造された105系。改造後も103系顔のままである。クモハ105は101のみの存在。仙台と広島に配置されていた。
600番台(仙台)[編集]
0番台の中間車に103系の顔を接合して先頭車化改造した車両。仙台に配置されていた。クハ105、クモハ105共に601のみ存在。
600番台(広島)[編集]
サハ103-66を先頭車化改造した車両。クハ104-601のみ存在。
クハ104-551[編集]
事故廃車となってしまったクハ105-7の代わりに改造された車両。この車両は元モハ102-385で、電装解除したうえでクハ105-7の顔を接合した。
クハ104-26~29、クモハ105-28~31[編集]
前者はサハ105-1~4、後者はモハ105-1~4から改造された車両。新製からわずか3年程度で先頭車に改造されてしまった。
体質改善工事[編集]
0番台に行われ、トイレの設置、張り上げ屋根化、窓枠の交換が行われた。ただし、トイレ向かい側の座席はロングシートのまま。
型式[編集]
クハ104形[編集]
0番台の全てと、103系編入車で105系顔による先頭車化改造を受けた車両が名乗る。
クハ105形[編集]
103系編入車で103系顔による先頭車化改造を受けた車両が名乗る。
クモハ105形[編集]
制御電動車で、すべての車両がクモハ105を名乗る。
サハ105形[編集]
付随車で、国鉄時代に全ての車両がクハ104形に改造された。
モハ105形[編集]
電動車で、国鉄時代に全ての車両がクモハ105形に改造された。
国鉄119系電車[編集]
詳細は「国鉄119系電車」を参照
1983年に飯田線に投入された国鉄119系電車はセミクロスシートの内装や勾配抑速ブレーキを備える構成は異なるが、基本的な設計は同一で、既存車からの部品流用も同じである。
近い世代の車両[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 当時は、制御電動車2両での1編成の組成や大手私鉄のように短い駅間を短時間で加速させる考えは無かった。なお、国鉄分割民営化前に駅間距離を詰めた札幌圏では711系電車(これも1M電車である)で大して加速しないまま、次駅停車のためにブレーキが早々にかかるのが常だった。
- ↑ 前面デザインは201系と違い貫通型だが、ほぼ同時期の103系1500番台にも塗色を変えて採用された。
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