東海旅客鉄道
東海旅客鉄道(とうかいりょかくてつどう、英:Central Japan Railway Company)は、愛知県名古屋市に本社を置く日本の鉄道会社。通称JR東海(ジェーアールとうかい)。英語表記では JR Tokai よりも JR Central のほうが好まれる。
創立経緯[編集]
国鉄を分割民営化した際に、東海地方を管轄するために設立された。なお、これについては東海道新幹線をJR東日本とJR西日本のどちらに帰属させるか決めきれなかったがためにJR東海が生まれたという説もまことしやかにささやかれている。ちなみに、NEXCOなどにちなんでJR中日本とグーグルで検索するとJR東海のホームページがトップに躍り出る。
概要[編集]
国鉄民営化にあたり国鉄の線区を地域分割することとなった際、当初北海道、四国、九州の3地域は1地域1社、本州については西日本と東日本への2分割の予定だったが、東西にまたがる東海道新幹線の所属の決定に際して、諸般の事情により急遽東海道新幹線を分離した会社を設立することとなり、その際東日本と西日本の中間にある名古屋を拠点とする地域も分離独立させることになった。
エリアは、主に東海地方4県と長野・山梨両県の南部とされた[注 1]が、東海道新幹線保有の都合上から東京~熱海と米原~新大阪で地図上では他社区間にバリバリ食い込むイビツな形となり、御殿場線などで、実際の流動実態と交通系ICカードの管掌主体が一致しない部分が出ている。
東海道新幹線では、当初30分間隔しかなかった、速達のぞみを長距離拠点間輸送に特化して増発するとともに、速達だったひかりを変動停車させる列車のみとした。東海道新幹線がパンク状態な他、老朽化に伴う大改修を行うため2027年にはJR東海独自でリニア新幹線を東京(品川)〜名古屋を開業させ、2030年代には新大阪まで延伸する見込み。
東海道新幹線を抱えているため、旧国鉄系の会社のなかで最も高い収益性を誇る。また、学生の就職人気においてもJR東日本よりJR東海の方が高い。自動車界における三菱などに対するトヨタなどと同様に、同一業界内で名古屋本社の企業が東京本社の企業に人気で勝る珍しい事例である。だが、2020年度は新型コロナウイルスによる経営難で、10月28日に発表された9月時点での中間決算(単独)での営業利益が1,000億円の赤字(赤字は史上初)だった。
評判[編集]
JR東海は大手鉄道会社の中で一般人のみならず鉄道ファンからも評判が悪いことで有名である[1]。
- 遅延した新幹線の払い戻しに2時間以上待たされ接客態度が悪い。(一般人)
- 似た車両ばかりでバラエティーがない。(鉄道ファン)
- 在来線が各駅停車のみで車両が短く運転区間が細切れである。(一般人・鉄道ファン)
- サービスが悪すぎ静岡県と不仲である[2]。(一般人) などである。
鉄オタの石破茂氏も「他社のグリーン車は素敵と評価し、JR東海はワクワク感がない・非日常性がない」とコメント[3]。
沿革[編集]
- 1987年(昭和62年)4月、東海旅客鉄道株式会社設立
- 1990年(平成2年)2月、運輸大臣より中央新幹線の地形、地質等に関する調査の指示を受け調査開始。同年6月、山梨リニア実験線の建設計画を運輸大臣に申請、承認。
- 1997年(平成9年)4月、山梨リニア実験線における走行試験開始。同年10月、名古屋、東京、大阪(2013年7月に東京証券取引所に統合)の各証券取引所市場第一部及び京都証券取引所(2001年3月に大阪証券取引所に合併)に株式上場。
- 2002年(平成14年)7月、愛知県小牧市に研究施設を開設
- 2008年(平成20年)10月、日本車輌製造株式会社を連結子会社化。
- 2014年(平成26年)10月、国土交通大臣が中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その1)を認可。
- 2016年1月27日、リニア新幹線・品川駅工事に着工[5]。
- 2016年(平成28年)11月、鉄道・運輸機構に対して、中央新幹線の建設のため総額3兆円(予定)の財政投融資を活用した長期借入を申請。
- 2016年12月19日、リニア新幹線「三大難所」(南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅)の最後の一つ「名古屋駅」に着工[6]。
保有路線[編集]
詳細は各記事を参照。
東海道新幹線[編集]
- 東京駅~新大阪駅を結ぶ。新大阪から山陽新幹線に直通して最遠で博多駅まで至るものも多い(東海道山陽新幹線)。「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」の3種類の種別があり、最速の「のぞみ」なら静岡県内は全通過する。「こだま」は各駅停車だが、発車しては通過待ちを繰り返しているため、そんなに速くないのに「ひかり」と特急料金が同額でコスパが悪いとされている……。「ひかり」は前2者の中間的ポジション。
- 世界でも屈指の大都市、大阪と東京をわずか2本の線で結んでいるため、輸送量を限界まで高めている。それでもパンク状態。
東海道本線[編集]
- 「東海道本線」といえば東京駅~神戸駅間だが、このうちJR東海が管轄しているのは熱海駅~米原駅の区間。また、途中大垣駅から美濃赤坂駅に至る支線がある。 愛知・静岡県境の二川〜新所原間で事業管轄が二分され、豊橋〜大垣間は国鉄時代と雲泥の差があるくらい路線として充実しているが、静岡県側はとかく18きっぱーに酷評される区間である。ちなみにJR東日本211系利用ユーザーからするとふかふか過ぎて苦痛ではないという意見も。
でも実際トイレ無いのはきつい。本数多いし313系との併結もあるからまぁ…って感じもあるけど
中央本線[編集]
- 「中央本線」といえば東京駅~名古屋駅間だが、このうちJR東海が管轄しているのは塩尻駅以西。東西の区別を強調するとき、塩尻駅以東(JR東日本区間)を「中央東線」と呼ぶのに対して「中央西線」と呼ぶこともある。中津川駅を境に大きく運用が分かれ、以南はわりかしたくさんの列車が運行されているのに対して、人口が希薄な南木曽以北は普通列車が2時間に1本程度しか運行されていない。沿線には馬籠宿、寝覚の床、恵那峡などで有名な木曽地域があり、観光路線としての利用も目立つ。将来的に名古屋~中津川間の列車は315系に統一される。しかも全列車オールロングシートに。ε=ε=ε=(●`Д´)ノフザケンナ(笑)
関西本線[編集]
- 名古屋駅~JR難波駅を結ぶ関西本線のうち、名古屋駅~亀山駅の区間を管轄。ちなみに、亀山駅はJR東海と他のJRとの境界駅のなかで唯一JR東海が管理している駅。草津線と共に、東海道本線を短絡するJRルートを形成するが、複線区間は飛び飛びで、名古屋〜弥富間は政令市近郊ながら完全複線化されていない。
紀勢本線[編集]
- 亀山駅~和歌山市駅を結ぶ紀勢本線のうち、亀山駅~新宮駅の区間を管轄。快速「みえ」運行開始後は、亀山〜津間が枝線化している。津駅、松阪駅は近鉄接続駅で両駅間で近鉄名古屋線と競合。両駅間は紀勢線の本数が著しく少ないが、短絡するJRの方が運賃が安い。
御殿場線[編集]
- 国府津駅~沼津駅を、御殿場駅、山北駅を経由して結ぶ。もともと熱海駅-函南駅間のトンネルが完成する以前の東海道本線の正規ルートであった区間で、国鉄時代は静岡鉄道管理局管内だったため、全区間JR東海所属となった。小田急線経由の特急「ふじさん」が運行されているように松田駅を介して、松田以西から小田急線に乗り換える客も多い。
身延線[編集]
- 富士駅~甲府駅を結ぶ。旧富士身延鉄道の路線。南部の富士駅~西富士宮駅の区間は地方交通線なのに国鉄時代に複線電化されたレア区間で、最盛期は某団体関連の臨時列車が多く運行された。
- また、身延駅までの臨時列車も多数運用。お正月臨時列車や日蓮宗関連の臨時列車が多かった。これにより。EF58+12系などと言ったレア車も運用についた。
飯田線[編集]
- 豊橋駅~辰野駅を結ぶ。ダム建設で東側に付け替えられた佐久間〜大嵐間以外は、私鉄により建設されたためJR線にしては駅間が極端に短いのが特徴。全体では4つの私鉄が連なっていたらしい……。国鉄買収前から豊橋〜豊川間が複線化されているが、単独の複線区間は実質小坂井〜豊川間である。
武豊線[編集]
高山本線[編集]
- 岐阜駅から美濃太田、下呂、高山、飛騨古川、猪谷を経て富山駅に至る全区間非電化の路線。猪谷駅以南がJR東海の管轄。通勤客より通学客や観光客が多い。特急「ひだ」が走る。「本線」とついているのに地方交通線。
太多線[編集]
参宮線[編集]
- 多気駅~鳥羽駅を結ぶ、参拝するための路線。紀勢線とともに近鉄と競合するが、近鉄接続駅の伊勢市駅、鳥羽駅以外はJRの単独区間。名古屋から伊勢神宮へのアクセスは、ぶっちゃけ1時間あたりの本数が多い近鉄が便利。一方、名古屋〜伊勢市間の快速の運賃は付加料金の必要な近鉄特急より安い。伊勢市〜鳥羽間は、赤福の会長が廃止を提唱していた区間で、地交線にも関わらずJRの方が運賃が安い。
名松線[編集]
- 名張・榛原経由で松阪と桜井や吉野を結ぼうとしたが、名張到達を近鉄に先を越されたのか伊勢奥津駅で挫折した。地域は沿線のリゾート施設で売り出しに躍起だが、採算性が乏しく、甲子園出場実績もある家城駅近くの白山高校の通学生が一志駅以西で目立つだけの路線である。
- 結局、儲からない部分だけ残って赤字路線となった詐欺路線。2009年10月に家城駅~伊勢奥津駅間が台風による水害被災で運休し、バス代行が続きJR東海も復旧するそぶりをみせず廃止も危惧されたが、沿線の支援により2016年3月にまさに奇跡的に復活を遂げた。
- 他のJRが輸送密度1000未満の路線を2022年頃に公表する中、担当者の話によればこの路線のみ輸送密度が1000未満とのことである。なお、地上設備の関係でこれ以上の増発が困難なのもかなりの難点である。
保有車両[編集]
2022年3月現在、以下の形式が所属。なお、211系0番台全廃以降はJR6社の中で初めて国鉄型を全廃した会社となっている。
新幹線[編集]
通勤型車両[編集]
- 211系 - 既に0番台は全廃されており、残存するのは5000・6000番台のみ。残る編成も全て2025年までに315系に置き換えられる予定。
- 213系 - 2025年までに315系に置き換えられる。
- 311系 - 2025年までに315系に置き換えられる。
- 313系
- 315系 - 2022年から導入が開始された新型車両。
- キハ11
- キハ25
- キハ75
特急用車両[編集]
事業用車[編集]
過去の車両[編集]
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新幹線[編集]
在来線[編集]
- クモハ12 (2002年廃車)
- 103系 (1999年全廃)
- 113系 (2007年全廃)
- 115系 (2008年全廃)
- 117系 (2014年全廃)
- 119系 (2013年全廃)
- 123系 (2007年全廃)
- 165系 (2008年全廃)
- 371系 (2014年全廃)
- 381系 (2008年全廃)
- キハ30 (1989年全廃)
- キハ40・47・48 (2016年全廃)
- キハ28・58 (2008年全廃)
- キハ65 (2001年全廃)
- キハ80 (2008年全廃)
- キハ85 (2023年全廃)
- クモヤ90 (2001年全廃)
- 国鉄145系電車 (2008年全廃)
- クモヤ193系50番台 (1995年廃車)
- 12系 (2007年全廃)
- 14系 (2005年全廃)
- DD51
- EF64 (2009年全廃)
- EF65 (2007年全廃)
導入予定車両[編集]
- 385系 (2026年度試作車登場予定)
その他[編集]
- 2006年以降、JRグループでは唯一ジョイフルトレインを保有していない。
- トレイン117をジョイフルトレインと扱っている人も少なからず存在するが、これを含めても2014年に全滅している。
- 車両が基本的に統一され、全車両の車両番号掲示に唯一国鉄時代と同じものを使用。先述のように2022年にいわゆる国鉄型車両が消滅している (211系0番台2編成が引退。)。なお、車両の画一性を「面白みがない」と評価する趣味の人もいる。
- 駅名標に国鉄伝統のスミ丸ゴシックを使用するなどしているため、JRで最も国鉄らしい会社とも言われる。但し、過激な労働組合など国鉄の悪い部分は一切排除されている。
- 名古屋財界五摂家の名鉄を全盛期再現不可能にさせるほど、有利な競争を繰り広げ、愛環の岡崎付近の共用状態はすぐ解決させたのに、豊橋付近の名J共有の解決に消極的だったり、民鉄地盤エリアに東静岡駅を設けたことで、地場既存民鉄との協調性が悪いと見られる。
- また、首都圏方面は、小田急との協調姿勢が見られる一方、新幹線品川駅設置で関係が険悪化したJR東日本に対し、御殿場線相模金子駅以南で輸送実態と合わないTOICA基調にするといった嫌がらせを行っている。
- 身延線 芝川 - 金手間、飯田線三河一宮 - 宮木間[注 2]、美濃赤坂支線 荒尾、美濃赤坂両駅、中央西線 落合川以北、高山本線 古井以北、紀勢・参宮線全区間でICカード対応駅がない[注 3]。
- 発足以来、長年にわたり一部の鉄道模型や新幹線関連の鉄道グッズを除いて商品化の許諾を一切行わない方針を取っていたが、柘植氏の就任以降は段階的に許諾を拡大している。
- 2025年に311系以前の車両が全廃となるが、これに伴いJR四国に続きJRで2番目に、管内の全電車がVVVF車の会社となる。また、JR四国では2019年の抵抗制御全廃後も8000系に回生ブレーキがないため、2014年の117系全廃以降は保有するすべての電車が回生ブレーキ付きとなった。
主な傘下企業[編集]
- ジェイアール東海バス
- JR東海交通事業(2024年9月社名変更。旧・東海交通事業)
- JR東海リテイリング・プラス(2023年10月に東海キヨスクとジェイアール東海パッセンジャーズが合併して創立)
- 日本車輌製造
- ジェイアール東海フードサービス
- ジェイアール東海物流
関連項目[編集]
- JRグループ各社
- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 東海旅客鉄道(JR東海)
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)
- 四国旅客鉄道(JR四国)
- 九州旅客鉄道(JR九州)
- 日本貨物鉄道(JR貨物)
- 鉄道総合技術研究所(JR総研)
- 鉄道情報システム(JRシステム)
脚注[編集]
注釈[編集]
参考文献[編集]
- ↑ 【日本一最低最悪な鉄道会社】「JR東海」の悪いところや苦情を言いたいだけ言おう!
- ↑ JR東海vs.静岡県、「因縁の15年バトル」の行方
- ↑ 東海道新幹線のグリーン車は「ワクワク感がない」 鉄オタ・石破茂氏、JR東海に思う「非日常感のなさ」
- ↑ JR東海/リニア本線着工/南アルプストンネル山梨工区、土かぶり1千米超の難工事建設工業新聞、2015年12月21日
- ↑ リニア品川駅、27日から本格着工日本経済新聞、2016年1月19日
- ↑ 最後の「三大難所」に本格着工乗り物ニュース、2016.12.19
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