新しい元号は、令和であります。
- 菅義偉官房長官(当時)
令和(れいわ、Reiwa)とは、日本における248番目の元号である。平成の次の元号にあたる。外務省が公表している英語での趣旨表記は「Beautiful Harmony」(後述)。
2019年(平成31年)4月30日に第125代天皇明仁が退位したため、平成から元号が変わることになった。日本の古典から元号がとられたのは初めてである。令和元年は2019年5月1日より始まる。一世一元の制により、第126第天皇徳仁が即位されている間はこの元号が使用される。
元号に「令」が使用されたのはこれが初めてである。中国の元号にも「令」を使用した例はない。「和」に関しては19回目に当たる[1]。
制定過程[編集]
元号制定手続きは昭和54年10月22日の「元号制定手続きについて」に記載されている[2]。
事前準備として政府内で極秘に複数名の専門家に候補を委嘱した。その中から6候補を選定し、平成31年(2019年)4月1日、「元号に関する懇談会」を9時30分から40分間開催し、各識者の意見を聴取した。全員が賛成したのは「令和」だけだったとされている[3]。
その後、衆参両院の正副議長への意見聴取が午前10時20分から約20分間行われ、閣議決定後に天皇明仁・皇太子徳仁親王へ宮内庁を経由して報告され、改元の政令に天皇の御署名を済ませた後に、菅義偉内閣官房長官によって午前11時40分に平成に変わる新しい元号が発表された。
なお6候補のうち「令和」以外は「英弘」「広至」「万和」「万保」「久化」が候補だったことが判明した[4]。
日本古典由来は「令和」「英弘」、漢籍由来は「万和」「万保」「久化」、両方に由来があるのは「広至」であり、他にも中国古典に正式委嘱し「和貴」「万和」「光風」等の候補があったという。[2]
考案者[編集]
令和の考案者は公表しない方針であるが、文化勲章受章者で日本古典が専門の中西進(大阪女子大学名誉教授)とみられていると報道された[5]。
しかし中西進名誉教授は、4月14日、高志の国文学館(富山市)の解説会で、考案したのは私ではないと明言した[6]。
中西以外には宇野茂彦(中央大学名誉教授)、石川忠久(大学長)などが挙げられている。
英語の趣旨説明[編集]
外務省は、「令和」の意味を外国に伝える際、「Beautiful Harmony=美しい調和」という趣旨と説明するよう在外公館に指示した。英国BBCが「order and harmony」と報道したことに反応したものである[7]。
選定手続き[編集]
考案者の選定については「元号選定手続」が定められている。
- 総理大臣は、高い識見を有する者を選び、次の元号にふさわしい候補名の考案を委嘱する。
- 委嘱する考案者の数は若干名とする。
- 総理大臣は、各考案者に対し、おおよそ2ないし5の候補名の提出を求める。
- 考案者は、候補名の提出にあたり、各候補名の意味、典拠(出典)などの説明を付する。
的場順三・内閣内政審議室長(当時)は、「日本学士院」の会員が条件であるとした。現在133人がいるが、学者仲間から一目置かれる存在であることで、文化勲章があれば、文句がないとする[8]。なお「平成」を考案したのは、山本達郎(東洋史学者。東京大学名誉教授)とされている。日本学士院会員で文化功労者顕彰。文化勲章受章のため、条件に当てはまる。
出典は万葉集第五巻である[9]。(伝)大伴旅人の歌序を用いた。序文によれば730年(天平2年)、正月の宴として大宰府の帥老の家に32名が集まり、和やかな宴会を催し、梅の花を鑑賞し、蘭の香りを楽しみながら、梅花を題材に32首の歌を詠んだ。岩波版校注によると、帥老はここでは太宰帥の大伴旅人の謙称ではないかとする[10]。大伴旅人は当時66歳であった。
万葉集/第五巻 梅花歌卅二首
天平二年正月十三日、萃于帥老之宅、申宴會也。于時、初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
意味は天平2年正月、帥老の家に集まり宴会を催した。時は初春のよき日、気は穏やかで風は和やかである。梅は鏡台の前の白粉の様に咲き、蘭は香袋のように香っている[11]。
典拠についての指摘[編集]
一部の漢学者から、中国の詩文集「文選」(張衡『帰田賦』)の中にある「仲春令月、時和気清」の句から影響を受けているのではとの指摘が出ているが、これは当然のことで、当時は中国の文学に接し、それを踏まえて創作する事が教養人であるという時代であった。著作権もない時代なので、ことさら目くじらを立てることではない。
更に中西進名誉教授は、中国では令月は二月の意味で用いられたが、万葉集「初春令月、気淑風和」では正月に使用されているので、文脈が異なると指摘した。阿辻哲次名誉教授は「令」は令嬢に使われるように、「良い」「素晴らしい」、世の中を平和にさせるという意味であるとした[12]。
中国で炎上しているという報道は、上記の文選と同じ理由であり、中国語に日本語由来の単語が沢山あると同じ理屈で、取るに足りない出来事といえる[13]。
3年前に予言し的中させた人がいる、との報道は後講釈である[14]。地震を10年前に予言したということと同じである。
政府関係者は、国書は漢籍から取ってきた表現ばかりなので、取るのは難しいが、それほど気にすることはないと政府関係者は言う。萬葉集の該当部分は、中国の古典を参考にしているが、オリジナルそのままではない、と語る[15][8]。
それまでは「万葉かな」は当て字のようなものであるため、元号には採用しにくいと言われていた。たとえば春は「波流」と書かれる。今回は、漢文で書かれた序文から取られたので、その難しさをクリアしている。
新元号の聖地[編集]
新元号の聖地とされたのは大宰府政庁跡(太宰府市)にある坂本八幡宮である。大宰府政庁跡東側大宰府展示館に「梅花の宴」を人形で再現するジオラマがある[16]。また万葉集にちなんだ万葉文化館(奈良県明日香村)、富山県高岡市の高岡市万葉歴史館も人気を集めている[17]。
元号の意味[編集]
「元号法#異論等」も参照
興膳宏京都大学名誉教授は元号は空間を支配するシンボル、時間を支配するシンボルだから、日本国憲法と合わないのではないか、と語る[8]。
中国文学の専門家は、統治構造や君主制度を最初に作ったのは中国で、紀元前200年ごろから始まった『漢』は、長期安定し、統治のあり方の基本となった。それゆえ、元号は、古典『漢籍』から取っていると説明する[8]。
令和を予言した人[編集]
令和が発表された2019年4月1日に、令和を予言するTwitter上の投稿が見つかり、ネット上で話題となった。そのツイートは2016年7月13日にしゃんによりツイートされたもので、内容は「明治大正昭和平成令和 違和感ないね!」というものであった[18]。[19]
出来事[編集]
関連項目[編集]
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注1:前の数字は番号。南北朝時代の「南」は南朝、「北」は北朝の元号を指す。慣例に従い南朝を正統とする。 注2:後の数字は元年と末年。源氏政権の「寿永」は元年でなく使用開始年を記し、「正平」は南北統一の年と再分裂の年、「観応」は復活の年、「明徳」は統一の年も記す。 |
飛鳥時代 |
1 大化 645 - 650 - 2 白雉 650 - 655 - 3 朱鳥 686 - 687 - 4 大宝 701 - 704 - 5 慶雲 704 - 708 - 6 和銅 708 - |
奈良時代 |
6 和銅 - 715 - 7 霊亀 715 - 717 - 8 養老 717 - 724 - 9 神亀 724 - 729 - 10 天平 729 - 749
16 宝亀 770 - 781 - 17 天応 781 - 782 - 18 延暦 782 - |
平安時代 |
延暦 - 806 - 19 大同 806 - 810 - 20 弘仁 810 - 824 - 21 天長 824 - 834 - 22 承和 834 - 848 - 23 嘉祥 848 - 851 - 24 仁寿 851 - 854 - 25 斉衡 854 - 857 - 26 天安 857 - 859 - 27 貞観 859 - 877 - 28 元慶 877 - 885 - 29 仁和 885 - 889 - 30 寛平 889 - 898 - 31 昌泰 898 - 901 - 32 延喜 901 - 923 - 33 延長 923 - 931 - 34 承平 931 - 938 - 35 天慶 938 - 947 - 36 天暦 947 - 957 - 37 天徳 957 - 961 - 38 応和 961 - 964 - 39 康保 964 - 968 - 40 安和 968 - 970 - 41 天禄 970 - 973 - 42 天延 973 - 976 - 43 貞元 976 - 978 - 44 天元 978 - 983 - 45 永観 983 - 985 - 46 寛和 985 - 987 - 47 永延 987 - 989 - 48 永祚 989 - 990 - 49 正暦 990 - 995 - 50 長徳 995 - 999 - 51 長保 999 - 1004 - 52 寛弘 1004 - 1012 - 53 長和 1012 - 1017 - 54 寛仁 1017 - 1021 - 55 治安 1021 - 1024 - 56 万寿 1024 - 1028 - 57 長元 1028 - 1037 - 58 長暦 1037 - 1040 - 59 長久 1040 - 1044 - 60 寛徳 1044 - 1046 - 61 永承 1046 - 1053 - 62 天喜 1053 - 1058 - 63 康平 1058 - 1065 - 64 治暦 1065 - 1069 - 65 延久 1069 - 1074 - 66 承保 1074 - 1077 - 67 承暦 1077 - 1081 - 68 永保 1081 - 1084 - 69 応徳 1084 - 1087 - 70 寛治 1087 - 1094 - 71 嘉保 1094 - 1096 - 72 永長 1096 - 1097 - 73 承徳 1097 - 1099 - 74 康和 1099 - 1104 - 75 長治 1104 - 1106 - 76 嘉承 1106 - 1108 - 77 天仁 1108 - 1110 - 78 天永 1110 - 1113 - 79 永久 1113 - 1118 - 80 元永 1118 - 1120 - 81 保安 1120 - 1124 - 82 天治 1124 - 1126 - 83 大治 1126 - 1131 - 84 天承 1131 - 1132 - 85 長承 1132 - 1135 - 86 保延 1135 - 1141 - 87 永治 1141 - 1142 - 88 康治 1142 - 1144 - 89 天養 1144 - 1145 - 90 久安 1145 - 1151 - 91 仁平 1151 - 1154 - 92 久寿 1154 - 1156 - 93 保元 1156 - 1159 - 94 平治 1159 - 1160 - 95 永暦 1160 - 1161 - 96 応保 1161 - 1163 - 97 長寛 1163 - 1165 - 98 永万 1165 - 1166 - 99 仁安 1166 - 1169 - 100 嘉応 1169 - 1171 - 101 承安 1171 - 1175 - 102 安元 1175 - 1177 - 103 治承 1177 - 1181
平氏政権 |
104 養和 1181 - 1182 - 105 寿永 1182 - 1185 |
源氏政権 |
治承 - 1183 - 寿永 1183 - 1184 - 106 元暦 1184 - | |
鎌倉時代 |
元暦 - 1185 - 107 文治 1185 - 1190 - 108 建久 1190 - 1199 - 109 正治 1199 - 1201 - 110 建仁 1201 - 1204 - 111 元久 1204 - 1206 - 112 建永 1206 - 1207 - 113 承元 1207 - 1211 - 114 建暦 1211 - 1213 - 115 建保 1213 - 1219 - 116 承久 1219 - 1222 - 117 貞応 1222 - 1224 - 118 元仁 1224 - 1225 - 119 嘉禄 1225 - 1227 - 120 安貞 1227 - 1229 - 121 寛喜 1229 - 1232 - 122 貞永 1232 - 1233 - 123 天福 1233 - 1234 - 124 文暦 1234 - 1235 - 125 嘉禎 1235 - 1238 - 126 暦仁 1238 - 1239- 127 延応 1239 - 1240 - 128 仁治 1240 - 1243 - 129 寛元 1243 - 1247 - 130 宝治 1247 - 1249 - 131 建長 1249 - 1256 - 132 康元 1256 - 1257 - 133 正嘉 1257 - 1259 - 134 正元 1259 - 1260 - 135 文応 1260 - 1261 - 136 弘長 1261 - 1264 - 137 文永 1264 - 1275 - 138 建治 1275 - 1278 - 139 弘安 1278 - 1288 - 140 正応 1288 - 1293 - 141 永仁 1293 - 1299 - 142 正安 1299 - 1302 - 143 乾元 1302 - 1303 - 144 嘉元 1303 - 1306 - 145 徳治 1306 - 1308 - 146 延慶 1308 - 1311 - 147 応長 1311 - 1312 - 148 正和 1312 - 1317 - 149 文保 1317 - 1319 - 150 元応 1319 - 1321 - 151 元亨 1321 - 1324 - 152 正中 1324 - 1326 - 153 嘉暦 1326 - 1329 - 154 元徳 1329 - 1331
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南北朝時代 |
元弘 - 1334 - 156 建武 1334 - 1336
南朝 |
157(南2) 延元 1336 - 1340 - 158(南3) 興国 1340 - 1346 - 159(南4) 正平 1346 - |
北朝 |
建武 - 1338 - 北2 暦応 1338 - 1342 - 北3 康永 1342 - 1345 - 北4 貞和 1345 - 1350
観応 - 1351 |
正平 1351 - 1352
南朝 |
正平 - 1370 - 160(南5) 建徳 1370 - 1372 - 161(南6) 文中 1372 - 1375 - 162(南7) 天授 1375 - 1381 - 163(南8) 弘和 1381 - 1384 - 164(南9) 元中 1384 - 1392 |
北朝 |
観応 1352 - 北6 文和 1352 - 1356 - 北7 延文 1356 - 1361 - 北8 康安 1361 - 1362 - 北9 貞治 1362 - 1368 - 北10 応安 1368 - 1375 - 北11 永和 1375 - 1379 - 北12 康暦 1379 - 1381 - 北13 永徳 1381 - 1384 - 北14 至徳 1384 - 1387 - 北15 嘉慶 1387 - 1389 - 北16 康応 1389 - 1390 - 北17 明徳 1390 - 1392 | |
室町時代 |
165 明徳1392 - 1394 - 166 応永 1394 - 1428 - 167 正長 1428 - 1429
室町幕府 |
168 永享 1429 - |
鎌倉府 |
正長 - 1431 |
永享 - 1441 - 169 嘉吉 1441 - 1444 - 170 文安 1444 - 1449 - 171 宝徳 1449 - 1452 - 172 享徳 1452 - 1455
室町幕府 |
173 康正 1455 - 1457 - 174 長禄 1457 - 1460 - 175 寛正 {{{text}}} - 1466 - 176 文正 1466 - 1467 - 177 応仁 1467 - 1469 - 178 文明 1469 - |
古河府 |
享徳 - 1478 |
文明 - 1487 - 179 長享 1487 - 1489 - 180 延徳 1489 - 1492 - 181 明応 1492 - 1501 - 182 文亀 1501 - 1504 - 183 永正 1504 - 1521 - 184 大永 1521 - 1528 - 185 享禄 1528 - 1532 - 186 天文 1532 - 1555 - 187 弘治 1555 - 1558 - 188 永禄 1558 - 1570 - 189 元亀 1570 - 1573 |
安土桃山時代 |
190 天正 1573 - 1592 - 191 文禄 1592 - 1596 - 192 慶長 1596 - |
江戸時代 |
慶長 - 1615 - 193 元和 1615 - 1624 - 194 寛永 1624 - 1644 - 195 正保 1644 - 1648 - 196 慶安 1648 - 1652 - 197 承応 1652 - 1655 - 198 明暦 1655 - 1658 - 199 万治 1658 - 1661 - 200 寛文 1661 - 1673 - 201 延宝 1673 - 1681 - 202 天和 1681 - 1684 - 203 貞享 1684 - 1688 - 204 元禄 1688 - 1704 - 205 宝永 1704 - 1711 - 206 正徳 1711 - 1716 - 207 享保 1716 - 1736 - 208 元文 1736 - 1741 - 209 寛保 1741 - 1744 - 210 延享 1744 - 1748 - 211 寛延 1748 - 1751 - 212 宝暦 1751 - 1764 - 213 明和 1764 - 1772 - 214 安永 1772 - 1781 - 215 天明 1781 - 1789 - 216 寛政 1789 - 1801 - 217 享和 1801 - 1804 - 218 文化 1804 - 1818 - 219 文政 1818 - 1830 - 220 天保 1830 - 1844 - 221 弘化 1844 - 1848 - 222 嘉永 1848 - 1854 - 223 安政 1854 - 1860 - 224 万延 1860 - 1861 - 225 文久 1861 - 1864 - 226 元治 1864 - 1865 - 227 慶応 1865 - 1868 |
近現代 |
228 明治 1868 - 1912 - 229 大正 1912 - 1926 - 230 昭和 1926 - 1989 - 231 平成 1989 - 2019 - 232 令和 2019 - | 一覧・カテゴリ:日本の元号 |
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