死刑

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死刑』(しけい)とは、罪人のを以て罪を償う刑罰である。

概要[編集]

懲役刑・禁錮刑では償いきれない罪、殺人放火などの重大な犯罪に対する刑罰として言い渡されることがある。

執行方法は様々で、

  • 絞首
  • 電気ショック
  • 薬物注射
  • 銃殺
  • 斬首
  • ガス吸引
  • 石打ち

といったものが現在は執行に利用されている。中世には罪人を猛獣に殺させる猛獣刑や、生きたまま焼かれる火刑などもあった。

日本の死刑[編集]

まず死刑が言い渡される基準が存在する。これは永山基準と呼ばれ、以下の基準を元に死刑を言い渡すか判断がされる。

  1. 犯罪の性質
  2. 犯罪の動機
  3. 犯行態様
  4. 結果の重大性
  5. 遺族の被害感情
  6. 社会的影響
  7. 犯人の年齢
  8. 前科
  9. 犯行後の情状

なお犯罪による犠牲者が一人の場合でも他の基準が死刑を言い渡すに値すると判断された場合は死刑となる場合がある。

死刑となりうる犯罪[編集]

刑法以外の法律に規定された犯罪については、規定する法律名も示した。

人の死亡を含まない犯罪[編集]

ここでは、構成要件に「『人を死亡させ』る」・「『人を殺』す」ことを含まない犯罪を列挙する。例えば、内乱は行われれば人が死亡すること間違いなしであろうが、構成要件に人を死亡させることを含まないため、以下に挙げる。

  • 内乱(首謀者のみ)
  • 外患誘致(法定刑が死刑のみ。未遂でも死刑となりうるが、情状酌量の余地があれば減刑されることもある)
  • 外患援助
  • 現住建造物等放火
  • 激発物破裂
  • 現住建造物等浸害
  • 爆発物使用(爆発物取締罰則

人の死亡を含む犯罪[編集]

執行までの手順[編集]

死刑が言い渡される場合、判決文の主文が後回しとなる。主文が後回しとなった裁判は高確率で死刑である。

死刑が確定した被告人は、死刑の執行設備がある拘置所で執行までの日々を過ごすこととなる。執行日まで拘置所で過ごすため、刑務作業は課されない。ただし房内で出来る軽作業を自ら願い出て給金を受け取ることが出来る。

死刑を宣告された死刑囚がどのような心理的変容をみせるかには違いがある。例えば東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件宮﨑勤元死刑囚は恐怖を手紙で訴えている。

光市母子殺害事件の死刑囚は2008年4月3日(当時は被告人)に報道機関の取材に応じ、「僕は死刑存置主義者ですから。終身刑も検討して欲しいと思っていますけどね。ただ判例として僕が死刑になるのは避けたい。ほかの少年少女の事件にも大きく影響するんですから」と発言した[1]

死刑判決が確定すると判決謄本と公判記録が当該死刑を求刑した検察庁に送られ、検察庁トップを通じて上申書が法務大臣へと提出される。上申書を受け取った法務省は同時に裁判に関する記録・証拠をチェックし、「死刑執行起案書」を作成、法務大臣に上申する。

審査の結果、死刑執行に問題がないと判断されると起案書が刑事局、矯正局、保護局によって決裁され、「死刑執行命令書」として大臣官房へと送られる。

執行命令書を受け取った法務大臣は自らの手で執行命令書にサインを入れる。判決確定日から執行命令の日までは6ヶ月以内と法律で定められているが、実際は上訴権回復や再審請求、法務大臣の思想信条などを理由に伸び伸びになっているのが現状である。

サインが入った執行命令書は当該死刑囚が拘置されている拘置所へと送られ、届いてから5日以内に執行される。執行当日の朝、死刑囚へ執行が知らされ午前中に終わるよう段取りが組まれる。なお死刑執行が知らされるのは死刑囚だけでなく、執行を担当する刑務官も同じである。

執行場へと連れられた死刑囚は、執行前に教誨師による最後の説法を受けることが出来、祭壇に祀られた菓子類を最期の飲食とすることができる。執行室に入った死刑囚は首にロープを掛け、手足を拘束される。準備が完了すると別室にいる刑務官が執行のスイッチを押す。すると死刑台の床が開き、首が絞まって窒息するか、地下の部屋へと落下して頚椎損傷により死亡する。落下後、立ち会っている医官によって死亡確認が行われ、遺体を搬出して終了となる。

なお執行を担当した刑務官はその時点で勤務が終了し、特別手当が直接手渡される。

海外の死刑[編集]

アメリカ[編集]

アメリカ合衆国では、1976年に死刑制度が復活して以降、執行数は1999年の98人をピークに減少傾向にあり、2014年においては35人と半数以下まで激減。死刑の代わりに終身刑を選択するケースが増えている。法律上死刑がある全ての州が毎年必ず死刑を執行しているわけではなく、州別・年度別の死刑執行数は著しい差があり、2014年度には法律上死刑があった32州・連邦・軍隊のうち、アリゾナ、フロリダ、ジョージア、ミズーリ、オハイオ、オクラホマ、テキサスの7州で死刑が執行され、25州・連邦・軍隊では死刑囚は存在するが死刑は執行されなかった。

軍法では1962年以後死刑の執行はなく、ニューハンプシャー州カンザス州は、連邦最高裁が死刑は違憲と判決した1972年(連邦最高裁は1976年に合憲と判決を変更し1977年から執行が再開された)以後の執行は無い。「薬物による死刑執行が激痛を与える可能性があり、残酷で異常な刑罰を禁じた憲法違反の疑いがある」として訴えた件について、連邦最高裁が2007年9月に審理することを決めてから、2008年4月に合憲判決を出すまで全米で執行が停止していた。

アメリカでは逮捕を第一に考える日本と違い、犯罪者が少しでも抵抗するような場合(特に銃器を警官に向けた場合)、その場で射殺されることが多いので、死刑で殺される人数以外にも、殺されている犯罪者の数が非常に多いことには注意する必要がある。

中国[編集]

中華人民共和国では、「犯罪抑止の為の威嚇」の手段として公開処刑が行われ、この時の映像が配信されていた。この時の映像のひとつにデイリーチャイナ紙のインターネットサイト[2]では、銃殺による10人の女性の同時公開処刑の画像を掲載している。これによれば、多くの市民が見物する中、後頭部を武装警察官が至近距離から81式自動小銃で射撃するもので、死刑囚の頭部は射撃の衝撃で吹き飛ばされ顔面は崩れ、その裂け目から流れ出た血で衣服は赤く染まっていた。このような残虐な様相のため、世界の多くの人権擁護団体から中国政府に対し公開処刑とともに死刑の執行方法に強い非難を集めている。

中国の場合は、賄賂授受・麻薬密売・売春及び性犯罪など被害者が死亡しない犯罪などでも死刑判決が下されたこともある。また死刑を犯罪撲滅に対する最大の効果があると司法当局が確信しているため、死刑の適用が多用されている。例えば2001年に中国国内で犯罪に対する『厳打』キャンペーンが行われ、暴力による刑事事件だけでなく「株式相場の混乱」といった経済事件まで死刑判決が下され、合せて2960人に死刑判決が下され4月から7月までに1781人に対し死刑が執行された。このように中央からのキャンペーンで地方が暴走することもあり、例えば四川省の検察当局は「迅速な逮捕、迅速な裁判、迅速な結果」の結果、6日間に19000人以上が逮捕され、裁判所も証拠調べを充分に行わずに裁判を行った。そのため結果的に誤判が大量に発生したと見られ冤罪による死刑も多く行われたと言われている。また、このようなノルマを課した犯罪撲滅キャンペーンの結果、現場レベルでは自白を引き出すために暴力的な尋問と拷問が行われ、結果として重大な人権侵害が行われているとの指摘もなされている。

問題点として、中国において三権分立が成り立っておらず、法治主義ではなく役人等の意向が強く反映されている人治主義である点が指摘されている。そのため、死刑を宣告するにしても司法機関において近代的刑事訴訟手続が要求する法手続きが充分整備されていないとの指摘がある。

また死刑囚からの組織的な臓器移植が行われている。これは死刑の執行をされた囚人から臓器提供がされていると他国で批判された問題に対して中国政府高官が認めている。この死刑囚からの臓器移植は中国においては「罪を犯した事に対するせめてもの罪滅ぼし」との儒教的思想による発想からきていると言われているが、行刑関係者が医療関係者から死刑囚の臓器提供の見返りに金銭を受け取っている事も明らかになっている。例えば台北時報2001年8月3日付けの記事によれば、江西省南昌で5月に処刑された男性の遺体が、腎臓移植のために死刑判決を出し死刑執行命令を出した地元裁判所によって地元の病院に販売され、遺族は裁判所から彼の遺骨を返す通知すら受けていないという。このように裁判所によって「移植ありき」の死刑執行の疑いがあり、移植患者にとって都合が良い(休みが取れる旧正月など)時期に大量に処刑されていると批判されている。そのため、2006年には臓器売買禁止法を施行した。だが、未だに臓器売買が行われていることがBBCの取材により明らかになっている。

新疆ウイグル自治区では政治的理由で死刑判決が中国国内で唯一行われている。2001年10月に新疆ウイグル自治区ホタンでの公判大会で少数民族の人物が「武器窃盗」および「国家破壊活動」で有罪となり死刑宣告された直後に「自動的」に処刑された。そのためウイグル人東トルキスタン分離主義者ないしテロリストを区別せずに処刑していると言われ、特に「アメリカ同時多発テロ」以降、イスラム教徒による政治活動も「テロリズム」として処罰していると言われている。また正式な死刑ではないが、主にチベットや東トルキスタン、また民主化活動家や法輪功信者に対して行われる拷問による獄死や、農民運動活動家に対する虐待死が起こっている。これらは、地方政府の役人が中央政府の方針を無視し、自己保身のために地元警察を使って自分達にとって不都合な者を殺害しているからだと言われている。当然これらの行為は裁判を経ていないため違法であるが、実態は不明である。その為、公表されている数字よりも死刑執行者ははるかに多いとする指摘もある。また、死刑執行数が多すぎるため、かえって社会に動揺が広がっているとの指摘がある。[3]

香港の富豪が誘拐され身代金を奪取された事件では、死刑制度のない香港ではなく広東省の刑事当局に告訴したため、富豪の生命が奪われたわけではないが犯行グループが死刑になった。また日本で起きた福岡一家4人殺害事件被疑者3名のうち2名が中国へ逃亡し裁判にかけられた際には、主犯は死刑になったが、従犯に対しては、主犯の潜伏先を自白した「捜査協力」と「自首」を認定し無期懲役に減刑された。従犯とはいえ、4人もの殺害実行に直接関与したにもかかわらず司法取引的な減刑を行なったことは、中国の刑事裁判の量刑の相場から著しく外れるものであるとして、日本側の一部や、中国国内の司法関係者から指摘された。この事件のように心神耗弱や情状酌量すべき事情が無いにも拘らず直接関与した者が死刑にならなかったのは中国国内では前例が少ない。そのため明確な判断基準が無く政治的・恣意的判決が日常的に行われている可能性が強いとの指摘もある。

2007年には賄賂を受け取った高官が死刑に処され、麻薬を中国から持ち出そうとした日本人2名に死刑判決が下されている。

中国政府は北京オリンピックを控え、国際世論、特に死刑制度を廃止している欧州諸国からの批判をかわす為、2007年以降は公開処刑は行わないことを発表した。また、フランスサルコジ大統領が2007年11月に中国訪問した際、胡錦濤国家主席に「完全な廃止は求めないが、執行停止に向けた動きを強めてほしい」とに注文したことに対し、胡は「死刑適用のケースを減らしたい」と回答したが具体的な数字についてはふれていない[4]

また、司法制度改革として、従来死刑執行命令を出す権限を持っていた地方の高級法院(日本では高等裁判所に相当)から権限を取り上げ、中央の最高法院(最高裁判所)で死刑判決が妥当に出されたかかどうか「審査」したうえで、死刑執行を決めるとしている。なお、中国の刑事裁判は二審制であり、死刑判決を下すのも執行命令を出すのも司法官僚である。

ベトナム[編集]

死刑執行率が高い国と知られており、殺人だけでなく、麻薬関連などでも死刑が執行された事例がある。実際の執行数は、日本よりも高いという。

中東諸国[編集]

中東のイスラム教国では、死刑執行数が多い。インドネシアのように銃殺刑が法定刑であるが、イランサウジアラビアではコーランの教えにある斬首刑や石打刑が行われている。イスラム教徒同士では禁じられている誘拐も異教徒に対しては横行している。このイスラム主義的色彩の色濃いイランでは死刑の執行が多い。死刑囚の大部分はテロ関連だという。斬首刑が執行された事例もある。

サウジアラビアでは厳重な報道管制を敷いており死刑制度の実態については明らかではないが、人口当たりの死刑執行数は世界最多である。また死刑囚の大半はサウジアラビアに来た出稼ぎの外国人労働者であるとも言われている。また名誉の殺人は罰せられないため私刑が横行している上、神に対する冒涜を行った異教徒を殺すことは名誉の殺人であるとの判例があり、テロリスト輸出国になった原因だと指摘する意見もある。実際にアメリカ同時多発テロを引き起こしたテロ組織「アルカイーダ」の上層構成員の出身地はサウジアラビアである。彼らはアメリカに与するものに対するテロを「ジハード」と自己正当化しているほか、イスラム教では自殺を禁忌されているにもかかわらず自爆テロすら正当化している。ゆえに死刑の存在が犯罪の抑止にならず、歪んだ解釈でむしろ助長してさえいる。なお殺人であってもコーランに被害者遺族が許した場合には死刑の執行が免除されるとある。そのためサウジアラビア人同士の場合、金銭による示談で死刑を免れているといわれている

脚注[編集]

  1. 母子殺害元少年の「理解不能」発言 「死刑制度認める、でも死刑になりたくない」 J-CASTニュース 2008年4月22日閲覧。
  2. 引用したホームページであるが、残虐性のひどい衝撃的かつグロテスクなものであるため、直接リンクすることは自粛します。
  3. 朝日新聞2007年2月25日
  4. 朝日新聞』2007年11月27日。

関連項目[編集]