日本国憲法

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日本国憲法(にほんこくけんぽう)は1947年に施行された日本憲法である。

概要[編集]

前文と計103条の条文が明文化された成文憲法であり、改正条件が厳しい硬性憲法であることが特徴である。また、「天皇は国政に関する機能を有しない」とされている象徴天皇制を取っていること、三権分立を明確に位置付けていること、交戦権の否認と戦力の放棄という形で平和主義を謳っていること、基本的人権を尊重するとしていることなどが戦前の明治憲法と異なる特徴である。

一方で上諭や議会の構成(二院制)などに明治憲法との連続性を残している部分も見られる。

日本国憲法の改正には衆議院参議院の両院で総議員の3分の2以上の賛成によって国会が憲法改正を発議した上、国民投票で過半数の賛成を必要とする厳しい条件がある。このためもあり、施行されてから70年にわたり改正は1度もなされていない。

成立[編集]

第二次世界大戦に敗北した日本が占領軍であるGHQの指示を受けて大日本帝国憲法を改正して成立させたものである。当初日本政府は民主的な政治体制を復活させるにあたって憲法改正は最小限で十分だと考えていた。そのため政府の憲法問題調査委員会で作成された改正草案[1]はほとんど帝国憲法と変わらないものだった。しかし中途半端な改正がイギリスソ連などの他の連合国の反発を招き、これらの国が憲法の再改正と天皇制廃止を要求してくる可能性をGHQが懸念したため[2]、反発を招かない「完璧な」憲法にするためにGHQが独自に改正案を作ることとなった。作成に当たっては民間で高野岩三郎らが研究していた憲法研究会の案を参考にGHQ内部で試案を7日間で仕上げ、日本政府に提示した。日本政府では急進的な改正案に反発する声もあったが、結局天皇制維持のためにやむを得ずこの案をベースに改正案を作り替えた。

その後、帝国議会で審議が行われ、修正された上で1946年10月6日貴族院で、10月7日衆議院で可決されて成立し、11月3日に公布され、翌1947年5月3日に施行された。現在5月3日は憲法記念日として祝日になっている。

条文[編集]

日本国憲法の三大原理に「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つが挙げられている。

国民主権[編集]

前文 ...ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。...[3]

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。[4]

日本国憲法には国民主権を明確に定めた条文は存在せず、前文および第一条を根拠とする解釈が通例である。この解釈をもって国政に関する決定権が国民にあるとする根拠になっている。一方明治憲法では日本国憲法とは大きく異なり、天皇主権が明確にされていた。

基本的人権の尊重[編集]

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。[5]

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。[6]

第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。[7]

第11条は人権尊重の原則を掲げたもので、12条以下に具体的な人権に関する規定が定められている。第11条は第97条にも類似の規定がある。明治憲法下では臣民(国民)の権利に「法律の留保」という比較的幅の広い制限が掛けられていたが、現行憲法では削除され、新たに「公共の福祉」という概念が設けられた。これは人権相互の衝突の場合のみ人権の制限を認める条項と解釈されている。

平和主義[編集]

前文 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。[8]

第9条 1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。[9]

日本国憲法の平和主義に関する条文は前文と第9条から構成されている。前文では「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と謳い、第9条では戦争の放棄(第1項)、戦力の不保持(第2項前段)と交戦権の否認(第2項後段)が定められている。9条の条文は世界情勢に応じて幾度か解釈が変更されているが現在は「9条は戦争を放棄しているが自衛のための戦争までは放棄していない」という解釈になっている。これは9条2項の初めの「前項の目的を達するため」の字句を解釈したものである。つまり「前項の目的(国際紛争を解決する手段としての戦争の放棄)を達するために戦力を放棄するのであり、自衛のための戦力まで放棄するわけではない」ということである。この字句は帝国議会における改正議論の中で行われたいわゆる芦田修正によって挿入されたものである。

各章概要[編集]

  • 第1章 天皇 - 天皇の位置づけと機能について言及している。
  • 第2章 戦争の放棄 - 戦争の放棄と戦力の不保持を定めている。
  • 第3章 国民の権利及び義務 - 30条にわたって社会権生存権を軸とした国民の義務と権利について言及している。
  • 第4章 国会 - 国会の権限を規定している。
  • 第5章 内閣 - 国務大臣文民規定(第66条)など内閣について定めている。
  • 第6章 司法 - 最高裁判所や裁判官の独立について定めている。
  • 第7章 財政 - 国家財政の規範が規定されている。
  • 第8章 地方自治 - 地方公共団体についての規定。
  • 第9章 改正 - 改正要件について言及している。
  • 第10章 最高法規 - 憲法があらゆる法律に優越していることが宣言されている。
  • 第11章 補則 - 施行日などの細則

注釈[編集]

関連項目[編集]