しなの (列車)
しなのとは、日本国有鉄道及び東海旅客鉄道(JR東海)・東日本旅客鉄道(JR東日本)が運行する特別急行列車である。なお、本記事ではその他の中央西線・篠ノ井線優等列車についても記述する。
概要[編集]
中央本線(中央西線)および篠ノ井線で運行され、振子車両の383系が使用される。
2022年には長年使われてきた「ワイドビュー」の愛称が廃止となり、現在では臨時含め16往復が運行されている。
その他臨時列車として白馬駅発着の列車も存在する。
歴史[編集]
国鉄時代[編集]
国鉄時代の1953年に名古屋駅と長野駅を結ぶ不定期の準急列車として登場した。快調な運転を続け、3年後の1956年に定期列車化された。やがて急行列車に格上げされ、1968年10月1日にヨンサントオで特急列車にまで上り詰めた。1971年には昼行急行「ちくま」(後述)の格上げで東海道本線名古屋以西に乗り入れた[注 1]。
当初はキハ181系が使用されていた[注 2]が、1973年の中央西線全線電化に伴い新型振り子式電車381系が投入され、曲線通過速度の向上や電車化により所要時間が大幅に向上した。また、同年10月にはエル特急に指定されている。なお、1975年3月の新幹線博多開業前まではキハ181系と381系が共存する状態が続いていた。
1982年11月改正で、「つがいけ」と定期「きそ」1往復は「しなの」に格上げされた。
JR化後[編集]
1988年春のJRグループダイヤ改正ではパノラマ型車両に改造されたクロ381形10番台が導入され、さらに1990年代には383系が登場、1996年ダイヤ改正ではすべての定期列車が383系で統一された。なお、383系で運転される列車は「ワイドビューしなの」として区別され、381系撤退後もこの愛称が使われている。1997年に名古屋駅の発車時刻が毎時00分に統一された。
しかし、2016年改正で長年運行され、JR西日本区間に乗り入れた大阪発着便(通称:大阪しなの)が、JR東海区間の米原 - 名古屋間共々廃止された。この列車は2010年に新潟 - 青森間を直通していた「いなほ」が秋田駅で系統分割したことで最長昼行旅客列車となっていたが、僅か6年でその地位から陥落することとなった。
2018年には「しらさぎ」などと共に「エル特急」指定も解除され、先述のように2022年には「ふじかわ」などと共に「ワイドビュー」の冠称も削除された。
2026年に後継車両の385系が試作され、試験後2029年に置き換え予定である。
派生・類似列車[編集]
特急信州[編集]
2023年3月改正で臨時特急列車として登場。
「しなの」がカバーできない朝夜のビジネスや通学での往来客をターゲットに、塩尻 → 松本 - 長野間だけ切り取ったような、「おはよう(おかえり)ライナー」の進化版としての列車となっている。使用車両はE353系である。
詳細は「おはようライナー (長野)」を参照
急行赤倉[編集]
「くびき野 (列車)#歴史」も参照
1962年12月1日より運用開始した昼行急行列車。中央線・信越線経由で名古屋駅と新潟駅を結んでいた。所要時間は8時間半 - 9時間で、1973年の運行区間全電化後も全区間架線下DCの急行として知られ、電車化前は上松に特急が停車し始めても「赤倉」は通過する逆転現象も生じていた。1982年にようやく165系により電車化され、名古屋 - 長野間を通し運行する急行として、特急停車駅以外に春日井、土岐市、瑞浪、坂下、藪原といった駅にも停車し、中央西線で名古屋発着の最後の昼行急行となったが、最終的に1985年3月のダイヤ改正において、赤倉としては無くなり、松本(長野以南各駅停車) - 新潟間の急行南越後として系統分割され、松本以南は廃止され、中央西線の昼行定期急行は消滅した。
急行きそ・つがいけ[編集]
ヨン・サン・トオでの愛称統合により設定。「きそ」は長野、松本発着、「つがいけ」は大糸線内発着だった。1975年3月以降、「しなの」と共に、急行「つがいけ」、「きそ」が共存していたが、1982年特急格上げで「つがいけ」は廃止、「きそ」は昼行長野行1本(後述の「きそこま」の後身)と名古屋駅発着の夜行1往復となったが、1985年3月までに廃止された。
急行きそこま[編集]
多治見 - 長野間で長野行だけ運転された異色急行列車。1968年に急行きそに統合。電化後は中津川発に変更し、朝の木曽地方を木曽平沢までほぼ隔駅に停車して県庁長野へのアシとして運行された。1983年7月、松本以南快速化。1985年3月列車廃止。
急行ちくま[編集]
サンロクトオで登場した急行列車。東海道線・中央線経由で大阪駅と長野駅を結んでいた。1971年に「しなの」格上げで昼行定期列車が廃止され、1972年に気動車化された定期夜行列車1往復と客車季節半夜行(大阪発のみ夜行)と臨時列車が残り、定期列車は1978年に寝台車を連結した夜行客車列車となった。
1985年3月には夜行急行「きそ」が廃止され、定期列車は大阪発が繰り上げ、大阪着が繰り下がった。しかし、定期列車も1997年10月改正で383系電車化され、2003年に廃止となった。
急行くろよん[編集]
「ちくま」の定期列車に併結した大阪発のみ設定された大糸線直通の臨時急行列車が起源[注 3]。その後は167系で電車化された「ちくま」季節列車に併結相手を変え、大阪発夜行[注 4]、大阪着昼行の半夜行季節急行列車で運行していたが、晩年は「くろよん」単独で381系で運行された。
停車駅[編集]
名古屋 - 千種 - 多治見 - 中津川 - 木曽福島 - 塩尻 - 松本 - 篠ノ井 - 長野
上記の他、金山、恵那、南木曾、上松、明科、聖高原に停車する列車も一部ある。
大糸線乗り入れ時(臨時) 松本駅 - 豊科駅 - 穂高駅 - 信濃大町駅 - 神城駅 - 白馬駅
関連項目[編集]
注[編集]
甲信越/岐阜の主な列車 |
中央本線 特急停車駅 |