芸備線の歴史
ナビゲーションに移動
検索に移動
芸備線の歴史(げいびせんのれきし)とは、備中神代駅から広島駅に至る芸備線の建設の経緯である。
名称[編集]
路線名は備後国経由で安芸国と備中国とを結ぶことから名付けられた。起点は広島駅ではなく、備中神代駅であり、列車番号も甲立・広島方面が奇数となっている。
概要[編集]
「陰陽連絡路線#芸備線・木次線ルート」も参照
かつては、広島県下や岡山県備北の都市間連絡、周遊指定地帝釈峡への連絡、木次線と共に陰陽連絡線としての使命を担ったが、国道182号、国道314号、国道183号、国道54号の整備や中国自動車道の開通と、それに伴う幹線バスや高速バスの躍進により、急行列車が1980年代後半に縮減してやがて全廃し、塩町駅以東で列車本数も削減された。
1977年10月時点では急行列車が3往復、普通列車が7往復運転され、東城駅から周遊指定地帝釈峡の神竜湖への中国バスは7往復運転されていたが[1]、2022年現在は備中神代駅と備後落合駅の区間は一日3往復の普通列車しかない。
路線データ(1968年10月1日)[編集]
他線との連絡[編集]
駅売店[編集]
かつては備後落合駅で立ち食いそばが営業しており、おでんも煮込まれ、駅弁も販売されていたが、利用客の減少により1990年11月1日に廃業した。
沿革[編集]
- 1915年:芸備鉄道により、広島~三次(現・西三次駅)間が開業。
- 1923年:備後庄原まで延伸
- 1930年:備中神代〜東城間が国鉄三神線として開業
- 1933年:備後十日市(現・三次駅[注 1])~備後庄原間が庄原線として国有化
- 1935年:備後落合まで国鉄庄原線が延伸
- 1935年:小奴可まで国鉄三神線が延伸
- 1936年:小奴可〜備後落合間延伸で、備後十日市~備中神代間の三神線が全通
- 1937年:備後十日市以西を国有化し、芸備線に改称
- 1983年:全線CTC化
- 1987年4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道の鉄道路線となる。
沿線状況[編集]
起点の備中神代駅は、西川と神代川の分岐地点である。
周遊指定地[編集]
優等列車[編集]
- 急行「たいしゃく」、「ひば」、「みよし」
- 運行区間:岡山-新見-備後落合-備後庄原-三次-広島
- 沿革
- 1962年、準急「たいしゃく」を新設。
- 1966年、急行に格上げ。
- 1967年、新見以西で「ひば」増発
- 1968年、急行「ひば」を「たいしゃく」に編入
- 1972年、岡山発着列車を新見-広島間に短縮、伯備線への乗り入れを廃止。
- 1980年、全列車、急行区間を備後落合(下り1本のみ備後庄原)-広島間に短縮。
- 1985年、1往復を新見-広島間の急行「みよし」(三次以東各駅停車)を立替新設。
- 1991年、全列車、備後落合-広島間に短縮。
- 2002年、全列車、三次-広島間に短縮、愛称名が「みよし」に統一される。
- 2007年、快速に格下げされ、廃止。
- 急行「ちどり」、「いなば」
- 運行区間:鳥取-米子-松江-宍道-備後落合-広島
- 沿革
- 急行「しらぎり」、「ちどり」、「やまのゆ」
- 運行区間:米子・津山-新見-広島
- 沿革
- 1962年、準急「しらぎり」として開設。ちどりと異なり、伯備線経由であったが、広島~米子間の所要時間は短縮された。
- 1966年、急行に格上げ。
- 1968年、急行「ちどり」に編入される。
- 1972年、伯備線経由「ちどり」廃止。姫新線乗り入れの「やまのゆ」新設
- 1980年、「やまのゆ」廃止
ダイヤ変遷[編集]
1964年10月1日ダイヤ改正[編集]
準急[編集]
以下の各種類が運行していた。
- いなば: 広島-備後落合-鳥取(一日1往復)
- ちどり: [岩国→]広島-備後落合-米子(一日2往復)
- しらぎり: 広島-備後落合-新見-米子(一日1往復)
- たいしゃく: 広島-備後落合-新見-岡山(一日1往復。西行は昼行ちどりに併結)
停車駅は次の通り。
- 標準停車駅:広島・三次・塩町・備後庄原・備後西城・備後落合・道後山・東城・新見
- 列車毎の、標準停車駅との差異
列車 西行 東行 いなば 甲立・吉田口停車 塩町通過 ちどり(夜行) 塩町通過 塩町通過 ちどり(昼行) 神杉・吉田口・志和口停車 吉田口・甲立停車 しらぎり 甲立・向原・狩留家停車 向原・甲立停車 たいしゃく 神杉・吉田口・志和口停車 志和口・吉田口停車
普通[編集]
広島近郊を含むほぼ全線で、2-3時間間隔での運行であった。なお白木山駅に限り、客車普通は全て通過し、一日3.5往復の気動車のみが停車していた。
1968年10月1日ダイヤ改正[編集]
全線運転の列車は急行列車が2往復、普通列車は下り2往復、上り3往復であった。
営業キロ | 駅設備 | 駅名/列車番号 | 615D | 811D | 863D | 827 |
---|---|---|---|---|---|---|
0.0 | 洗弁電 | 新見駅発 | … | 0630 | 1300 | 1510 |
6.4 | 備中神代駅発 | … | ↓ | 1315 | 1529 | |
10.3 | 坂根駅発 | … | 急行 | 1321 | 1542 | |
12.9 | 市岡駅発 | … | たいしゃく | 1327 | 1548 | |
16.4 | 矢神駅発 | 急行 | 1号 | 1333 | 1555 | |
20.0 | 野馳駅発 | ① | ↓ | 1342 | 1601 | |
25.2 | 東城駅発 | ちどり4号 | 0700 | 1350 | 1612 | |
31.7 | 備後八幡駅発 | 指 | ↓ | 1401 | 1627 | |
35.4 | 内名駅発 | 米子駅発 | ↓ | 1408 | 1636 | |
40.0 | 小奴可駅発 | (2240) | ↓ | 1417 | 1646 | |
44.2 | 道後山駅 | 木次線経由 | 0728 | 1427 | 1658 | |
51.0 | 弁電 | 備後落合駅着 | 0219 | 0737 | 1437 | 1708 |
- | - | 備後落合駅発 | 0223 | 0740 | 1456 | 1714 |
56.6 | 比婆山駅発 | ↓ | ↓ | 1504 | 1723 | |
59.6 | 備後西城駅発 | 0243 | 0754 | 1512 | 1729 | |
63.8 | 平子駅発 | ↓ | ↓ | 1517 | 1735 | |
68.7 | 高駅発 | ↓ | ↓ | 1527 | 1742 | |
74.9 | 備後庄原駅発 | 0305 | 0815 | 1536 | 1752 | |
76.9 | 備後三日市駅発 | ↓ | ↓ | 1539 | 1756 | |
78.6 | 七塚駅発 | ↓ | ↓ | 1542 | 1800 | |
81.6 | 山ノ内駅発 | ↓ | ↓ | 1546 | 1810 | |
86.5 | 下和知駅発 | ↓ | ↓ | 1553 | 1817 | |
89.6 | 塩町駅着 | ↓ | 0832 | 1557 | 1823 | |
- | 塩町駅発 | ↓ | 0833 | 1558 | 1824 | |
91.1 | 神杉駅発 | ↓ | ↓ | 1605 | 1832 | |
94.4 | 八次駅発 | ↓ | ↓ | 1610 | 1837 | |
96.7 | 洗弁 | 三次駅着 | 0341 | 0841 | 1614 | 1841 |
- | - | 三次駅発 | 0350 | 0846 | 1621 | 1853 |
98.3 | 西三次駅発 | ↓ | ↓ | 1624 | 1857 | |
106.0 | 志和地駅発 | ↓ | ↓ | 1634 | 1908 | |
108.6 | 上川立駅発 | ↓ | ↓ | 1638 | 1913 | |
112.9 | 甲立駅発 | ↓ | 0904 | 1646 | 1919 | |
116.3 | 吉田口駅発 | ↓ | ↓ | 1652 | 1924 | |
122.5 | 向原駅発 | ↓ | 0914 | 1659 | 1932 | |
128.4 | 井原市駅発 | ↓ | ↓ | 1706 | 1940 | |
132.4 | 志和口駅 | ↓ | 0925 | 1714 | 1946 | |
135.9 | 上三田駅発 | ↓ | ↓ | 1720 | 1951 | |
140.4 | 中三田駅発 | ↓ | ↓ | 1731 | 1957 | |
142.7 | 白木山駅 | ↓ | ↓ | 1735 | ↓ | |
144.9 | 狩留家駅発 | ↓ | ↓ | 1738 | 2004 | |
147.1 | 上深川駅発 | ↓ | ↓ | 1742 | 2008 | |
149.9 | 中深川駅 | ↓ | ↓ | 1746 | 2012 | |
151.3 | 下深川駅発 | ↓ | ↓ | 1749 | 2016 | |
153.2 | 玖村駅発 | ↓ | ↓ | 1753 | 2019 | |
155.7 | 安芸矢口駅発 | ↓ | ↓ | 1758 | 2024 | |
158.5 | 戸坂駅発 | ↓ | ↓ | 1803 | 2029 | |
163.5 | 矢賀駅発 | ↓ | ↓ | 1811 | 2036 | |
165.5 | 洗弁電赤+ | 広島駅着 | 0500 | 1000 | 1816 | 2040 |
その他[編集]
- 国鉄終焉時、広島県は岡山、山口両県と違い在来枝線区の定期昼行特急の無い県だった[注 3]が、分民化後のTSEことJR四国2000系気動車による振り子気動車特急成功を受け、一時、芸備線に2000系が貸し出されて、広島~備後庄原間で振り子特急新設を検討する動きがあった。
- 沿線の高陽ニュータウンは1974年から分譲を開始。国鉄中国地方自動車局はこの動きに呼応して、自動車線の雲芸南線の支線開設や増発を行うが、芸備線の動きは鈍く、約10年後に細々増発が行われたのみだった。
脚注[編集]
- 注
- 出典
参考文献[編集]
- 『時刻表復刻版1968年10月号』JTBパブリッシング2021年11月1日発行。