JR東日本E235系電車
E235系は、JR東日本の通勤及び近郊電車。
概要[編集]
JR東日本が開発し2015年にデビューした、E233系直継の後継車両である。既存の旧型車両(E217系、E231系)を置き換える為に2015年から投入された。
特徴[編集]
見た目はかなり無機質なもので、鉄道ファンの間からはスマートフォンや電子レンジなどと呼ばれている[注 1]。当初は蔑称だったが、運行開始後は各路線のE235系が「○○レンジ」と呼び分けられるなど、事実上の愛称として親しまれている。
車内でのデジタルサイネーション方式[注 2]で、広告を全て映像化することを試みたが、広告制作会社の紙媒体の広告廃止反対[注 3]に遭い、結局中吊り広告だけ存続することとなった[注 4]。
導入路線[編集]
山手線 (0番台)[編集]
一部の鉄道ファンからは、山手線の略称「ヤテ」を冠した「ヤテレンジ」の愛称で親しまれている。2015年から運行開始。11両編成である。しかし運用開始初日にトラブルが発生しそのまま離脱。原因は「INTEROS」にトラブルがあったからである。その後改良と試運転を繰り返し、2016年4月から運転を再開した。その後従来車両であるE231系500番台を置き換えるため増備が続き、2020年1月には全車両がE235系に統一された。ホームドアがある関係上、ラインカラーが縦に巻かれている。そのため、ドアを開けた状態では車両側面においてラインカラーが占める面積が極めて少なくなる。
10号車については、従来車E231系のうち経年が浅くドア配置の特殊なE231系4600番台を改造し、E235系4600番台に改番の上組み込んでいる。これによりSustina工法の新造車と従来工法の車両が混在することとなり、雨どいの形状の差異などが目立ってしまっている。なお、改造には種車となるE231系を離脱させる必要があり、そのままでは山手線の編成数が不足してしまうため、それを補う目的でSustina工法で新造された10号車も存在する(前述の通りドア配置が特殊なため500番台として区分)。
なお、置き換え過渡期にはE235系がどの運用についているかJR東日本公式アプリで確認できた。
横須賀・総武快速線 (1000番台)[編集]
一部の鉄道ファンからは、横須賀線の略称「スカ」を冠した「スカレンジ」の愛称で親しまれている。従来車であるE217系を置き換えるために2020年度に運行開始した。基本編成の11両編成(うち2両は2階建てグリーン車)と付属編成の4両編成の2種類がある。トイレがついている。また、基本編成には停電時に駅間で停車した際にも自力で走行できるようバッテリーが搭載されている。混雑緩和の為、オールロングシートになっており、先代E217系にある直角ボックスシートが廃止された。(このため一部の鉄道ファンからは評判が悪い)またホームドアの問題がないせいか、ラインカラーが他の車両と同じく横に巻かれている。車内のトレインチャンネルの画面は25インチあり、見るとかなり大きく感じる。余談だが、付属編成のJ-11編成各車両の車両番号の下四桁が1111であり、一部の鉄道ファンに人気である[要出典][注 5]。
F-14編成・J-14編成以降では信号炎管の廃止や、一部ドア塗装省略、手すり形状・ドアボタン形状の変更、網棚の旧式化などの徹底したコストカットが図られている。また、2023年度製造分のJ-22、F-25編成からは所属表記(車端に書かれている「横クラ」)やグリーン車のカーペットも省かれている。このほかクリアテールの編成や、電連設備の差異など近年の新系列電車としては形態差が豊富なのも特筆すべき点であると言えよう。
初期に製造された編成では、将来の連結位置変更を見込んでか両方のクハに電気連結器を装備していたが、2023年秋頃より順次撤去が進んでいる。
2000番台はどこに導入されるのか?[編集]
最近になってE235系2000番台の投入先について鉄道ファンの間で議論が高まっている。そこで、本ページでもいくつか考えられる可能性を上げていく。京浜東北線説ははっきり中止とみなしここでは扱わない。
導入時期であるが、1000番台の製造が終了し、既に導入が示唆されている鶴見線用E131系1000番台の導入が一段落した2025年度以降になると思われる。
※プレスリリースなどの公式発表があったら「よみもの」などに移動してください(まあ早くても2024年初頭まではないと思われるが)。
東海道線・宇都宮線・高崎線説[編集]
詳細は「JR東日本E231系電車1000番台#今後の動向」を参照
詳細は「JR東日本E233系電車3000番台#今後について」を参照
- 可能性★★★☆
- 更新時期を迎えるE233系3000番台を置き換えるため少数投入、E233系は地方転用[注 6]。1-2年くらいのブランクを経て大量投入、老朽化が進むE231系1000番台を一気に置き換え、廃車。
- 上野東京ライン系統では2020年代に入っても液晶が投入されておらず、他路線に比べて見劣りしている[注 7]。そこで、E235系導入によってE231系とE233系をまとめて駆逐するという案。1700両以上を製造することとなるため、下手をすれば10年以上の歳月がかかるかもしれない。なお、詳細については上記リンクでも触れているので参照。
常磐線説[編集]
- 可能性★★★☆
- ホームドア設置及びJR羽田空港アクセス線開業に合わせてE231系置き換え用に増備
- 導入両数を比較的抑えられるので、現実的な案の一つである。ホームドア設置の際、E531系と先頭車のドア位置が合わせられるというメリットがある。しかし、運用は依然として分けられるというデメリットは以前として残されることになる。また、グリーン車を組み込む場合は上記東海道高崎系統と共通運用化してしまうという方法も可能である。
- なお、労組資料によるとE231系松戸車は当初「将来的な転用を見据え、一部サハ車の機器更新を見送る方針」がとられていたそうだが、2017年頃に全車更新、経年まで使い倒す方向に転換されたようで、転用される可能性は低いと思われる。
横浜線説[編集]
- 可能性★☆☆☆
- 鎌倉車両センター内の通勤型・近郊型をE235系に統一すべく投入→E233系を武蔵野線に転出させ、6連に短縮した209系の残党全数と8連のままのE231系の一部を改造(場合によれば編成短縮も実施)し房総地区に転出させる[注 8]→同地区の209系を玉突きし、不足分をE131系で賄うことで209系0番台由来の車両とサハ209全廃。
- 横浜線が「ボツになった」とははっきり書かれておらず、京浜東北線同様、横浜線のE233系はATO化が進んでおり、更に房総地区でのATO運転や8連ワンマンは極めて不適切な一方、武蔵野線の209系で長編成ワンマンをやるかと言われると微妙なため、横浜線に入れる場合はこれしかない。また、E233系に1両も廃車が出ずに済む[注 9]、上記常磐線と比較しても導入両数を抑えられる[注 10]というメリットもある。なお、209系を優先的に転用する場合、武蔵野線にE231系17本・E233系28本が混在する中途半端な置き換えで終わってしまう。
- さらには、(仮に地方転用する場合)E231系と209系に2度も大規模転属工事を施行する羽目になり、著しくコスパが悪い。
- 追記(2023-11-02):横浜線橋本駅1番線で乗降促進メロディが使用され、発車メロディが廃止されたことから、横浜線のワンマン化はE233系で行われ、E235系が投入される可能性はほぼ無いだろう。
中央・総武線説[編集]
- 可能性★★★★
- 登場から20年強経過したE231系を置き換えるために投入するという説。
- 2023年12月、25-30年を目処に中央・総武線でワンマン運転を開始する方針が判明した。この頃には既存のE231系が車齢30年近くに達しており、改造を行うのは非効率極まりないため新型車両を導入する可能性が大幅に高まっている。
中央快速線説[編集]
- 可能性★☆☆☆
- 中央線のE233系0番台を置き換えるという説である。しかし、現状E233系はグリーン車組み込み工事の最中であり、置き換えてしまうのは勿体無いという意見もある。グリーン車をE235系に転用するという考察も上がっているが、E233系(ティムス)とE235系(インテロス)では列車情報管理システムが異なるため、これを改造する激ムズ工事をしなければならない(実際、E231-4600の改造工事もかなり苦戦したようだ。)。
武蔵野線説[編集]
- 可能性★★★☆
- 武蔵野線のE231系・209系を置き換え→廃車?
- 巷では最も有力とされている案の一つ。導入本数が膨大になるほか、2025年度時点でも既存車両の更新から5-8年ほどしか経過していないため、少々厳しい物がある。しかし、先述の中央・総武線と同様にE233系がやってくることは考えにくいため、E231・209系千ケヨ車が更新13年を超える2030年以降に新製投入がある可能性は捨てきれない。
房総地区説[編集]
- 可能性★☆☆☆
- 6連、8連を投入し209系を駆逐。
- E131系のみでは8両運用に対応できないと言われていることや、209系による単独4連の運用はほぼ消滅していること、更には同区内のE131系とE235系スカレンジの併結試験が目撃されたことから、209系の4・6・8連を淘汰する際にこちらを充てる可能性がある。ただし、製造数は単純に代替するにしても6連14本、8連24本の合計276両と比較的多くなる。更には、導入するにしても2000番台を名乗らず1000番台の亜種(1500番台など)になる可能性が否定できない。
- 一方で、E131系500番台が併結8連で試運転を行ったことから、房総地区の209系8連もツーマン限定でありながらE131系の併結8連での置き換えが可能と判断できるため、E235系導入の可能性が薄れたとも言える。
導入されない説[編集]
- 可能性★★☆☆
- まもなく量産先行車落成から10年が経過し、技術的・世間的にも陳腐化していることから少数の増備はあっても大量投入はされないのではないかという説。この場合は新形式E237系に移行するか、近郊タイプオンリーでの増備の際はE219系が興されるものと思われる。もっとも、E531系やE233系の増備が14 - 15年単位で続いている様子を見るとこの程度での製造終了は勿体ないという意見もある(何れにせよ30年代以降に導入されることはないだろう)。
車両番号[編集]
山手線は1号車が外回り、11号車が内回り方向。総武横須賀線は1号車が西方向、11号車が東方向。両系統が重なる品川 - 東京間で、号車の方向は統一されている。
- クハE234
- 1-50:0番台11両編成のうち1号車。山手線用、東京に配属
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち1号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1101-1128:1000番台4両編成のうち1号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- クハE235
- 1-50:0番台11両編成のうち11号車。山手線用、東京に配属
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち11号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1101-1128:1000番台4両編成のうち4号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- サロE234
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち4号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- サロE235
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち5号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- サハE234
- 1-50:0番台11両編成のうち7号車。山手線用、東京に配属
- サハE235
- 1-50:0番台11両編成のうち4号車。山手線用、東京に配属
- 501-502:0番台11両編成のうち10号車。山手線用、東京に配属
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち8号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 4601-4652:E231系からの改造車で、0番台11両編成のうち10号車。山手線用、東京に配属。4602と4604 - 4606は欠番。
- モハE234
- 1-150:0番台11両編成のうち2,5,8号車。山手線用、東京に配属
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち9号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1101-1128:1000番台4両編成のうち2号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1201-1231:1000番台11両編成のうち6号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1301-1331:1000番台11両編成のうち2号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- モハE235
- 1-150:0番台11両編成のうち3,6,9号車。山手線用、東京に配属
- 1001-1031:1000番台11両編成のうち10号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1101-1128:1000番台4両編成のうち3号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1201-1231:1000番台11両編成のうち7号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
- 1301-1331:1000番台11両編成のうち3号車。横須賀・総武線用、鎌倉に配属
近い世代の車両[編集]
- JR西日本225系電車 - JR西日本車、近郊型
- JR西日本323系電車 - JR西日本車、通勤型
- JR東日本E353系電車 - 特急用
注[編集]
- ↑ ただし、スマートフォンに関してはそう意識してデザインをしたという話がある。
- ↑ 往時の街頭テレビが現代に甦ったものと思ってよい。
- ↑ デジタルサイネージだと一画面で複数社に替わる映像広告が可能だが、紙媒体だと一社に固定されるため、スポンサーにステータスが高いと見られる側面もある。
- ↑ まあ、あの天下の山手線だからね。
- ↑ 似たような理由で近鉄12200系電車NS45編成(既廃車)のク12345も人気であった。
- ↑ E233系を地方転用せずすべて小山に集めるか、一部編成で下記常磐線のE231系を駆逐するという方法もある。
- ↑ 同様に、同じ東海道本線の名古屋地区・静岡地区にも液晶が全くついていないが、こちらは315系投入で解消する見込み。ただし、転換クロス大国の名古屋側には全く315系が来ずに終わる可能性も否定できない。
- ↑ 現在、房総地区の209系には「8両固定」の運用が存在するためE231系は8連で転用可能と判断する。
- ↑ E231系17本をすべて8連のまま転用する場合はE231系にも廃車は全く出ない。
- ↑ 常磐線の場合最低10連17本、5連19本の265両は必須だが、横浜線の場合は8連28本の224両で済む。
関連項目[編集]
- 本系列の設計思想を採り入れた車両。
- E131系 - ほぼ同一設計。
- 東急2020系電車
- 東京都交通局5500形電車
- 東京都交通局6500形電車 - 見た目が似ている。
外部リンク[編集]
JR JR東日本の鉄道車両 |