近鉄12200系電車
近鉄12200系電車(きんてつ12200けいでんしゃ)とは、1969年に登場した、近畿日本鉄道に在籍している特急型電車である。
概要[編集]
スナックカーの愛称をもち、50年以上にわたり近鉄の顔として愛されてきたが、既に定期運用はなく、2021年11月20日にラストランが行われ完全に引退となった。
登場の経緯[編集]
名阪特急には10100系や10400系などの大型車が先行して導入されていたが、2250系などの旧型車も大量に残っており、これらについても置き換えるためと、東海道新幹線への対抗のため1967年に12000系が登場した。その増備車および、大阪万国博覧会や鳥羽線建設に向けての輸送力増強のために1969年に本系列が登場した。
その後、1976年までに56編成168両が製造され、近鉄特急の最大勢力を誇った。
構造[編集]
車体や機器は12000系に準じ、21m級の大型車体に180kW主電動機&抵抗制御の組み合わせだが、側面方向幕が設置されていたり、電気連結器が設置されたりなどの改良が図られている。
なお、この機器構成は1990年登場の20000系にまで引き継がれていく、近鉄特急の標準規格となった。
また、車内にはスナックコーナーが設置され、そのスペースは12000系よりも広かったが、増備の途中で廃止され、後に設置車についても撤去工事が行われた。
増備の変遷[編集]
当初は2両固定編成のみの投入となり、後に中間車が加わる形となった。
スナックコーナーの廃止は1969年12月の12221F以降となった。また、中間車の竣工は1971年以降となった。最初の落成はモ12050形51-53およびサ12150形151-153となったが、これはすでに12200系の50本目が既に落成していたためである。逆に12000系は2連20本で増備が終了していたため、こちらの空番号を活用することになった。
しかし、54と55のユニットの落成後は40番台、30番台、さらには20番台へと転落していくようになった。結果としてモ12020とサ12120に形式変更が行われ、29番ユニット、30番ユニットが製造されたところで増備は完了した。この間に編成組替が行われ、下2桁が揃えられているが、12249Fと12250Fは29番と30番をそれぞれ組み込み6連となったほか、製造年が4両とも一致しているのは12256Fのみとなった。
1977年以降には10100系の置き換えも進められたが、その際に増備した12257-59Fは意匠その他が異なったが故、監督官庁から指摘を受けて12400系に形式変更された。
これをもって8年間にわたる増備は終了した。
その後の動向[編集]
登場直後の小改造[編集]
1977年の時点でスナックコーナーの営業が終了していたので、スナックコーナーの撤去工事が行われたが、最初の3本に対してはコンパートメント設置で対応した。しかしこれでは車内販売基地がなくなることから、以降の改造は扉の移設を伴った形となり、1982年から1983年までに既に事故廃車となった12202Fを除く全車に対して行われた。
この他、電気連結器をもたない10100系が全廃されると不要になったジャンパ線の撤去も行われている。アダプター箱についてはスカートの設置台も兼ねており、最後まで撤去はなされなかった。
A更新[編集]
1985年以降は車体更新工事が行われ、前面方向幕の設置や内装の更新などがメニューに入っていた。途中から21000系に準じた内装に変更されたが、1996年までに全車が完了した。
120km/h対応化[編集]
1988年より特急の120km/h化が行われるための対応工事が行われた。主にブレーキの増圧や抵抗器容量の増大化がメニューに入っていた。
以降の編成替え[編集]
12231Fと12232Fの更新工事は先頭車、中間車で時期が離れたためサービスに格差ができ、中間車のみ12251Fと12256Fに組み込まれて2連2本と6連2本になった。
B更新[編集]
1996年になると高経年の特急車は順次廃車が進められたが、特急利用者も減少していたため、車両新造は抑える方針となり、代わりに更に更新をして40年運用を続けることになった。結果、後期更新車の一部に対してB更新が行われ、2002年に一旦打ち切られるものの、2006年から再開され、2008年までにNS33(12233F)以降のほぼ全車に対して行われた。なお、後述の車両整理が一段落した2005年以降にも初期更新車は一部が残留し、該当編成にもモケットの張り替えなどが行われた。
廃車[編集]
同期の18400系や先輩の12000系が次々と消えていく中で2000年まで、1971年に事故廃車された12202Fを除き廃車は出なかったが、B更新未施工の初期更新車から廃車が開始され、この他、6連を4連化する過程で余剰中間車6両が廃車された。また、15200系への改造も行われるようになった。
その後、2013年までに初期更新車は全廃。後期車についても15200系や15400系への改造が行われた他は不死身のように生きながらえると思われてきたが、新塗装化や喫煙コーナー設置の対象から外れ、2020年5月よりひのとり導入に伴う玉突きで本格的な廃車が開始され、2021年2月をもって定期運用を離脱。ラストランについては8月の予定が延期され、2021年11月20日になってようやく行われた。
この間に19200系への改造も1本に対して行われるが、それ以外は廃車搬出も進み、2023年2月のN53編成廃車をもって、原型の12200系は廃系列となった。
あをによし改造[編集]
12000系から数えて約55年もの長期にわたり親しまれてきた近鉄特急の原型顔は2021年のラストラン、および2023年の全廃をもってその歴史に幕を閉じたが、観光特急「あをによし」に改造された19200系1本(12256編成、4両編成)で、近鉄京阪特急復活という新たな話題も引っ提げて、2022年4月29日に運行を開始した。
余談[編集]
本系列をベースにして製造された車両に11400系のク11520形があるが、1997年の11400系淘汰により行き場を失い車齢28年でいち早く全廃された。