回生ブレーキ

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回生ブレーキとは、電気による駆動力として用いる電動機について、逆に発電機として運用してブレーキ力を得つつ電力回生も行う制動機構のこと。自動車鉄道車両などで広く用いられている。

概要[編集]

モーターから電力の供給を切り離し、発電機として駆動時の惰性で回転運動させて運用し、その際の起電力が抵抗となってブレーキ力を得て、更に発生した電力を回生する制動機構のことである。
電力回生の方法としては、自動車やハイブリッド気動車では、発電させることで蓄電池へ充電させる方法、電気機関車電車については、発電で発生した電力を架線に戻す方法が採られている。

自動車[編集]

主にハイブリッド車電気自動車で使用される機構であり、純ガソリンエンジン車などで用いられることはほとんどない。ハイブリッドや電気自動車は既に駆動用のモータが存在しているため、これらを回生ブレーキとして使用し、ハイブリッドシステムの充電をすることができる。回生ブレーキで得られる発電量はバッテリーへの影響を勘案して抑え気味である。しかし、それでも十分な制動力を発揮しており、ハイブリッド車のブレーキパッド交換サイクルは一般的な自動車と比べて長いものになっている。これはブレーキシステムも回生ブレーキを前提としたシステムになっていることも大きい。

モータースポーツでも取り入れられており、F1においてはKERSというシステムに用いられている。電気式KERSは回生ブレーキとほぼ同じ構造であり、2013年まで利用されていた。その後、KERSはERSに進化し、排気からの熱エネルギー回収装置も採用されている。従来の運動エネルギーの回生はMGU-K、排気からの回生はMGU-Hと名付けられた。これらの回生装置は蓄えられたエネルギーを駆動輪でアシストできるもので、一周当たりの使用制限があるものの、KERSはボタンによりドライバーが任意でエネルギーを放出し、オーバーテイク等に利用されていた。ERSは制御プログラムにより動作するため能動的な仕様はできない。しかし、レース全体にわたってエネルギーの回収とアシストがされるため、省燃費性[注 1]と速さの向上につながっているとされる。

鉄道車両[編集]

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電気機関車[編集]

太平洋戦争前にも設置した車両はあるが、本格的なものとして奥羽本線福島駅米沢駅直流電化区間で運転されていた運輸省EF15形電気機関車が下り勾配で焼きばめ式の車輪が弛緩する事案が続出したために回生ブレーキに改造した国鉄EF16形電気機関車を投入した。この電気機関車は後に上越線にも投入された。

電車[編集]

現在は、省エネルギーの観点から回生ブレーキが採用されているが、思想自体は昭和戦前からあり、勾配区間で車輪の弛緩を抑えるために採用されたものである。日本国有鉄道では国鉄201系電車で採用され、サイリスタの採用も含めて「省エネ電車」と呼ばれた。
通常の走行では架線よりモーターの電位は低いが、発電機として使用する時は架線より高い電位とすることで、架線に電力を回生することができる。
一方、回生した電力を後続車等が活用しないと回生失効状態となり、南海高野線の末端区間のように、電力回生を吸収する設備を設けて、列車本数に関わらず回生ブレーキ装備車が運行できる工夫をした線区もある。

更に言ってしまうと、交流電化では回生ブレーキを使用すると力率が変化し電力会社からペナルティを受ける可能性があり、JR九州では783系以降、PWMコンバータが実用化された815系・885系まで採用を取りやめていた。

気動車・機関車[編集]

ハイブリッド気動車・機関車は、上記のハイブリッド車同様、モーターで動輪を駆動し、制動時はモーターによる起電力でエネルギーを生成し、起動用電力として蓄電して活用する。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 再給油が禁止されている場合、燃料切れはリタイアに直結するため燃費は需要な要素である