山梨県

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山梨県(やまなしけん)は、中部地方東部に位置する日本都道府県である。旧国名は甲斐国という。

県旗

概要[編集]

県庁所在地は甲府市。面積は4,465.27km²[1]関東地方中部地方首都圏に属する。なお、ここの基準はとても曖昧で、県民アンケートで関東と中部どちらに属していると思いますか?というものでも、ほぼ半分ぐらいに分かれた。
地理教育での分類上は中部地方だが、政府の地方支分部局は全て広域関東圏の管轄に属し、JR東日本管理支社は八王子、電気通信は東京電力NTT東日本、ガスは東京ガス高校野球のブロックは関東、コンクール等のブロックは南関東など関東との繋がりが深い。
一方、中部地方らしさを出しているのは、静岡県東部に進出している富士急行中日本高速道路など少ない。

山梨県は山の多さと神秘性から「日本のネパール」と言われることも。

地理[編集]

北は八ヶ岳中信高原と秩父多摩の山地、南は富士山、西は南アルプスと高山に囲まれている。東京都神奈川県静岡県長野県埼玉県に接している。太平洋にも日本海にも面していない「海無し県」の一つである[2]

県の周囲は2000メートルから3000メートル級の山々に囲まれた山国である。山梨県は西側の国中地方と、東側の郡内地方に大別され、郡内地方は昔の都留郡南都留郡北都留郡)と大月市都留市富士吉田市の3市で山中湖に源流を発する桂川と、その支流を中心とする地方で固定されるが、国中地方はさらに甲府盆地富士川流域の河内地方(峡南)に分けられ、さらに甲府盆地を峡北・峡中に2分することがある。平野部は極めて少なく、わずかに県の中央部に位置する甲府盆地があるが、それとて面積は240平方キロメートルで、山梨県のおよそ18分の1でしかない。

山脈や盆地とともに、県内には河川や湖も多く、中でも駿河湾に注ぐ富士川は日本三大急流のひとつとして源平合戦の時代から知られている大河である。その上流は釜無川笛吹川の2つに分岐しており、板敷渓谷や御岳昇仙峡などの名勝を有している。

山梨県の南部の富士山の北麓に半円を描くように山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖の富士五湖がある。これらの湖は富士山の噴火によるせきとめ湖であり、かつてはひとつの大きな湖であったが、その後の新しい噴火と水位の低下によって現在の形になったものといわれている。

隣接都県[編集]

隣接する1都4県の境界線には高い標高を持つ山塊がある。

山梨県に隣接する都県
長野県 埼玉県
山梨県 東京都
静岡県 神奈川県

歴史[編集]

8世紀の山梨は甲斐国といい、国府・国衙の地名や国分寺があった。今の笛吹市の春日居町・御坂町・一宮町付近にあったといわれている。12世紀に入ると公家による古代国家の体制は揺らぎ、その中12世紀はじめに、甲斐国には源義清・清光の親子が入り甲斐源氏を興した。

甲斐源氏の諸氏のうち、武田氏戦国大名として最も成功した一人であり、甲府につつじケ崎館や要害城を築き、ここを拠点に上杉・北条・今川と牽制し合い、徳川織田連合と戦って天下統一を目指した[2]

武田氏滅亡後の甲斐国は、河尻秀隆(織田家臣)・浅野幸長(豊臣家臣)と支配が移り、江戸幕府の下で、甲府藩(国中)・谷村藩(郡内)が成立。特に甲府藩は徳川氏一門や譜代の柳沢氏が封ぜられたが、享保9年(1724年)には享保の改革の一環で幕府直轄地となり[2]、甲府勤番が置かれ、支配下に江戸などで懲戒された不良幕臣が配された。

慶応4年(1868年)3月に明治政府東山道総督府参謀である板垣退助の軍が甲府に入城したことにより、甲斐国の江戸幕府による天領支配は終焉した。また同時期、元新撰組組長の近藤勇の率いる甲陽鎮撫隊と明治政府の軍勢による戦いが行なわれる。これは戊辰戦争における甲斐国での唯一の戦いであり、明治政府軍の勝利に終わった。
6月に鎮撫府が設置され、甲府・市川・石和の3部代官を改め3部知県事とした。後に明治政府は鎮撫府、3部知県事を廃止し、甲斐府を設置する。明治2年(1869年)7月、甲斐府を改めて甲府県となる。明治3年(1870年)5月、田安領地が甲府県に合体する。これにより山梨県の現在の県域が成立する。明治4年(1871年)11月20日に山梨県と改名された。

1889年(明治22年)には甲府市が市制施行。戦前は奈良県徳島県高知県と共に「1県1市」の県だった。戦後の1951年(昭和26年)富士吉田市が県下2番目の市制を敷いた。

産業[編集]

海を持たないため、山梨県の産業は山地的な色彩を帯びている。そのため、養蚕などが農業の中心をなしていたが、次第に甲府盆地を中心として葡萄などが多く生産されるようになっている。
山梨県の産業を特色付けるものとして、「甲斐絹」(かいき)以来の長い伝統を持つ繊維工業、水晶や印章などの研磨工業、甲州葡萄を原料とするワイン醸造工業[注 1]などの伝統工業のほか、市川三郷町市川大門地区を中心とした和紙の生産も古い歴史を持つ産業のひとつである。

観光[編集]

山梨県は観光面では恵まれている。武田信玄という一代の英雄を産んだ土地のため、その信玄ゆかりの建築物や古跡が多く存在する。また山梨県は多くの景勝地に恵まれ、富士箱根伊豆、南アルプスなどに代表される国立公園や自然公園の数々を合わせた広さは、山梨県域のおよそ4分の1を占める。また、甲府盆地周辺には石和・湯村などの温泉が湧出し、観光名所としても名高い。

交通[編集]

道路[編集]

山梨県は観光地に恵まれている関係から、富士スバルラインに代表される有料道路などが整備されている。
さらに昭和61年(1986年)には県の中央をほぼ東西に横断する中央自動車道が開通して首都圏の結びつきが益々強くなった。
さらに、2021年には、県の南北を縦貫する中部横断自動車道が開通。富士市を迂回する身延線と違い、静岡市へ短絡することから、静岡市との繋がりも深くなりつつある。
一般道路は国道が県内各地に通じ、隣接県で唯一自動車での直接往来が不能だった埼玉県にも1998年に雁坂峠にトンネルが通じた。

バス[編集]

バス会社は国中の山梨交通(山交)と郡内の富士急行(富士急)にほぼ二分される[注 2]。山梨交通が早期から交通系ICカードに対応したため、県内はPASMO等が使える路線が多い。
なお、中央高速道路開通前から、国道20号国道139号などに新宿との幹線バス路線があり、載せ替える形で高速バスが発達した。その後、名古屋南信州関西成田空港、静岡方面への直通高速バス路線が開業したが、長野県中部方面への高速バスは無い[注 3]

鉄道[編集]

JR[編集]

1903年中央東線が甲府に通じたことで、江戸時代からの富士川水運を中心とした中部地方との結びつきが薄くなって、関東地方との結びつきが強くなった。現在も甲府駅ではほぼ30分間隔で新宿への特急列車が運行される。
1928年には、富士身延鉄道が開業。長野県の佐久鉄道[注 4]と連携した縦貫私鉄線構想もあったが、工事費が嵩んで日本有数の高額運賃私鉄となって静岡県との経済交流活発化に繋がらず、10年後鉄道省に買収され、身延線となった。
小海線は1933年に開業した。

私鉄[編集]

郡内地方に富士急行線が通じる。かつては国中地方にも山梨交通電車線が通じたが、1962年に廃線となった。

その他[編集]

後世に鉄道王と呼ばれた雨宮敬次郎根津嘉一郎 (初代)小林一三は山梨県出身である。

気候[編集]

山梨県はの気温の差が激しい。典型的な内陸性のもので、年間降水量も全国平均に比べると比較的少ない。ただしこの気候こそが甲府盆地が全国有数の果樹地帯に発展することになった大きな背景となっている。

文化[編集]

スポーツ[編集]

Jリーグチームのヴァンフォーレ甲府を抱えている。

世界遺産[編集]

メディア[編集]

地上波テレビ局は、表向きNNN系列のYBSと、JNN系列のUTYの2局のみであるが、県内のケーブルテレビの普及率は高く、ケーブルテレビを通じて、山梨県に系列局の無い関東のテレビ局の視聴者が多い。
AMラジオ局のYBSは典型的な県域局だが、唯一の県域FM局(FM FUJI)は、三つ峠山の中継局が高地にあることから、メジャーな系列を短期間で脱退し、首都圏に文化侵略をするべく独自放送を展開している。

県下の大部分で受信可能なメジャーなFMラジオ局[編集]

甲府市近郊は甲府市#報道・マスコミを参照。

郡内地方[編集]
  • interfm (MegaNet系)
  • FMFUJI(独立FM局)
  • TOKYOFM (JapanFmNetwork系)
  • J-WAVE(JAPAN FM LEAGUE系)
  • FM横浜 (独立FM局)
  • NACK5 (独立FM局)
  • bayfm (独立FM局)
南巨摩地方[編集]
  • K-MIX (JapanFMNetwork系)
  • FM-FUJI (独立FM局)

コミュニティFM[編集]

県内には「FM甲府」や「FM富士吉田」といったコミュニティFM局があり、ご当地防災無線のように地域防災情報も発信する。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 葡萄酒醸造工場は甲府市の東部、峡東地区の葡萄産地に立地し、勝沼ワイナリーは観光名所としても繁栄している。
  2. 丹波山村には西東京バス、道志村には神奈中バスが通じる。
  3. 山交が東京 - 諏訪・岡谷線の運行に関わるが、新宿方面との乗降しかできない。
  4. 小海以北のJR小海線の前身。
出典
  1. 19 山梨県PDF”. 国土地理院. 2017年1月24日確認。
  2. a b c d e やまなし県のあらまし2016”. 山梨県. 2017年1月24日確認。


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