山梨交通電車線

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山梨交通
山梨交通電車線
ボロ電
所在地山梨県
起点甲府駅前駅
終点甲斐青柳駅
駅数30→28
開業1930年5月1日
全通1932年12月27日
休止1953年9月(一部)
廃止1961年7月1日
所有者山梨交通
運営者山梨交通
路線距離20.2Km
軌間1,067mm
線路数複線(甲府駅前 - 荒川橋
単線(上石田 - 甲斐青柳)
電化方式直流600V
(架空電車線方式)

山梨交通電車線(やまなしこうつうでんしゃせん)とは、山梨交通が運行していた鉄道路線である。現在は同県で唯一の廃電車路線[注 1]となっている。通称「ボロ電[注 2]」。

概要[編集]

山梨県の最大都市である甲府から富士川のほとり、増穂を結んでいた郊外路面電車である。現在その道は「廃軌道」として一般車が走ることができる。

山梨県で唯一の路面電車であり現在県内で唯一の廃止路線となった当路線。当初は県民の足としてバスと同様親しまれていたものの第二次世界大戦の戦況悪化により休業。その後も復活しようとするものの、やはり利用状況の悪化や設備の老朽化などにより、1961年に惜しまれつつ廃線となった。現在では甲府駅南口に記念石碑が設置されており、左側の自動販売機ではオリジナル鉄印が400円で売られている[注 3]

歴史[編集]

山梨交通電車線は前身の「山梨馬車鉄道」が大きく関わっている。1901年に電車線の原型となる路線が国母経由で開業。当時は中央本線も甲府まで開通しておらず、身延線もまだ富士身延鉄道が建設しており到達していなかった。馬車鉄道線はそのような状況で開通したのでとても乗車率が良かったのだが…1903年に中央本線甲府延伸。この影響で馬車鉄道線は崖っぷちに追いやられる。また、富士身延鉄道も鰍沢までの延伸が始まっており同線は廃止の危機まで追いやられた。

そんな状況の中立て直しを図るべく、山梨馬車鉄道は甲府電気鉄道→山梨電気鉄道が設立。これが電車線の原型となった。富士身延鉄道との競合を避けて、小笠原経由で蒔き直して、1932年、ようやく全線開通。順調に会社が大きくなっていくはずなのだが…路線の特許が失効。山梨電気鉄道の社長も辞任し路線ごと数年で再度廃止される危機に陥った。

だが路線がここまでできているのに廃止にするのは問題があると考えた当時の県民。新会社の峡西電気鉄道に移管。その数年後に山梨交通に編入され、「山梨交通電車部」となった。

山梨県民の足として長らく活躍してきたが戦争の影響・利用客の車への移管などがあり利益は低迷。1961年に廃線となった。

駅一覧[編集]

  • すべての駅が山梨県内にあり、新線の駅は1961年7月1日廃止。旧線は駅ごとのため各駅で紹介する。

1961年(新線)[編集]

駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
接続路線 備考 所在地
甲府駅前駅 - 0.0 国鉄:甲府駅(徒歩2分ほど)
中央本線身延線
サボ(行先表示)では「甲府」と表示されることが多かった。 甲府市
警察署前駅 0.6 0.6 旧線の郵便局前駅と入れ替わる形で開業
相生町駅 0.5 1.1
泉町駅 0.2 1.3
第二高校前駅 0.3 1.6 第二高校は現在の甲府西高のこと
寿町駅 0.2 1.8
荒川橋駅 0.3 2.1 橋の上にある少し変わった駅であった。
併用軌道/専用軌道変更地点
ここから甲府駅前寄りは併用軌道、甲斐青柳寄りは専用軌道
上石田駅 0.4 2.5
貢川駅 0.7 3.2
徳行駅 0.8 4.0
榎駅 1.5 5.5 中巨摩郡 竜王町
(現甲斐市
玉幡駅 0.9 6.4 読みはたまはた。一部の機器では予測変換で出てこない。
農林高校前駅 0.7 7.1
今諏訪駅 1.4 8.5 南アルプス市 白根町
西野駅 1.2 9.7
在家塚駅 1.3 11.0
甲斐飯野駅 0.5 11.5
倉庫町駅 0.8 12.3
桃園駅 0.6 12.9 櫛形町
巨摩高校前駅 1.2 14.1
小笠原駅 0.7 14.8
小笠原下町駅 0.5 15.3
甲斐大井駅 0.3 15.6 甲西町
古市場駅 1.0 16.6
芹沢駅 0.5 17.1
長沢新町駅 1.5 18.6
長沢駅 1.0 19.6 増穂町
(現富士川町
甲斐青柳駅 0.6 20.2

旧線・その他廃止駅[編集]

  • 旧線は甲府駅前 - 警察署前の区間となっている。それ以外は新線と変わりない。また、路線開業前に廃止になった駅も存在する。
  • 全駅甲府市内に所在していた。
駅名 駅間
営業キロ
累計
営業キロ
廃止
甲府駅前駅 - 0.0 1961年7月
県会議事堂前駅 0.2 0.2 1953年9月
県庁前駅 0.3 0.5 1953年9月
郵便局前駅 0.1 0.6 1933年12月
警察署前駅 0.6 0.6 1961年7月
錦町駅 0.1? 0.7? 1933年3月
裁判所前駅 0.1? 0.8? 1950年?
県病院前駅 0.1? 0.9? 1933年3月
相生町駅 0.2? 1.1 1961年7月
至泉町・上石田・甲斐青柳

[編集]

  1. 馬車軌道まで含めると、富士吉田 - 須走 - 御殿場間の廃路線がある。
  2. ボロ電の愛称は「車両は新しいのに駅舎とか古い…」や「国鉄と比較するとどうしても簡素になってしまう」などといった点から来ていると言われている。
  3. 余談だが、この鉄印はガラス瓶に入っているのだが季節によって温度が変わるため瓶の温度がよく変化している。山梨交通は「あったかい?鉄印」などとして売っている。


営業中
公営

函館市函館市電) | 東京都都電荒川線)) | 熊本市熊本市電) | 鹿児島市鹿児島市電

第3セクター等

札幌市交通事業振興公社札幌市電) | 宇都宮ライトレール宇都宮芳賀ライトレール線) | 万葉線高岡軌道線) | とさでん交通伊野線桟橋線後免線

民営

東急電鉄世田谷線) | 富山地方鉄道富山軌道線富山港線) | 豊橋鉄道(豊鉄市内線(東田本線)) | 福井鉄道福武線) | 京阪電気鉄道大津線京津線石山坂本線)) | 京福電気鉄道嵐電嵐山本線北野線)) | 阪堺電気軌道阪堺線上町線) | 岡山電気軌道東山本線清輝橋線) | 広島電鉄市内線) | 伊予鉄道松山市内線長崎電気軌道

廃止
公営

秋田市 | 仙台市 | 川崎市 | 横浜市 | 名古屋市 | 京都市 | 大阪市 | 神戸市 | 呉市 | 北九州市

民営

旭川市街軌道 | 旭川電気軌道東川線東旭川線) | 札幌温泉電気軌道 | 登別温泉軌道 | 大沼電鉄 | 花巻電鉄 | 松島電車 | 仙南交通秋保線) | 福島交通飯坂東線) | 塩原電車 | 茨城交通水浜線) | 吾妻軌道 | 東武鉄道高崎線・前橋線・伊香保線日光軌道線) | 本庄電気軌道 | 常南電気鉄道 | 西武鉄道大宮線) | 成宗電気軌道 | 東京急行電鉄(玉川線・砧線) | 武蔵中央電気鉄道 | 海岸電気軌道 | 箱根登山鉄道小田原市内線) | 新潟交通電車線) | 山梨交通電車線) | 松本電気鉄道浅間線) | 上田温泉電軌青木線西丸子線) | 伊豆箱根鉄道軌道線) | 静岡鉄道清水市内線静岡市内線秋葉線) | 豊橋鉄道(柳生橋支線) | 名古屋鉄道岡崎市内線起線美濃町線岐阜市内線田神線) | 岩村電気軌道 | 富山地方鉄道(宮下線・東部線・山室線射水線) | 加越能鉄道伏木線) | 北陸鉄道金沢市内線金石線松金線) | 桑名電軌 | 三重交通神都線) | 南海電気鉄道平野線大浜支線和歌山軌道線) | 京阪神急行電鉄北野線) | 阪神電気鉄道北大阪線国道線・甲子園線) | 播電鉄道 | 岡山電気軌道(番町線) | 米子電車軌道 | 岩国電気軌道 | 山陽電気軌道 | 松山電気軌道伊予鉄道電気 | 土佐電気鉄道新地線) | 高松琴平電気鉄道市内線) | 琴平参宮電鉄 | 西日本鉄道北九州線福岡市内線大牟田市内線福島線) | 門司築港 | 筑後軌道 | 佐賀電気軌道 | 肥前電気鉄道 | 大分交通別大線) | 沖縄電気

関連項目

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軌道法に拠る路線のみ。印は一部区間が別路線として現存、印は廃止後ほぼ同区間に別路線が開業。