農業
農業 (のうぎょう)とは、有用な植物を育てて収穫する第一次産業である。
概要[編集]
文明社会において食糧の生産という最も基礎的で重要な産業である。農産物の出来高は人類の生存に大きく寄与し、その価格は世界経済に大きな影響を与える。また、病虫害や寒冷に強い品種改良のための研究や農業用の機械、化学肥料や農薬の開発、販売といった、工業や商業に関わる産業にも大きな影響を与える。
沿革[編集]
先史時代[編集]
人類が狩猟、採集の時代から大きく前進した出来事である。獲物や野草を獲れずに手ぶらで帰らずにすみ、人口が増えても飢えに悩まされずにすむことになった。余剰の収穫物は他の部族との交易で様々なものを手に入れられるようになり、文明の登場に至った。当初の農業は焼畑農業で、野生の有用な植物の種を蒔いた原始的なものであった。また、突然変異によって生まれた作物を育てることによって、収穫量が増えることもあった。生産力の差によって貧富の差が生まれた。
詳細は「アワ」を参照
詳細は「ライムギ」を参照
文明の誕生と古代国家[編集]
農業生産のために農機具を製作、修理をする専門家が登場した。文字の発明によって次のことが可能になった。
- 太陽や月の満ち欠け、星座から暦が作られるようになった。
- 畑や灌漑を作るための測量が行われるようになった。
- 余剰生産物は倉庫に保管したり、売却して他の有用物と交換するなどして利益を上げた。
- 外敵から身を守るため、武装農民から専門に軍事に従事する軍隊を組織させて、これを動かす国家が誕生した。
以上のことは、農業共同体に所属しなければ生存がままならない、乾燥帯で始まった。特に、降水がなくても水を得られたり、灌漑ができる大河のほとりで発展した。 また、農業技術は周辺に伝播していった。このとき、農業開始時に親となる共同体からの食糧供給に依存する側面があるため、交易の対価となるできる物品の有無で伝播速度が異なった例もある。
中世[編集]
モンゴル軍の世界征服活動をはじめとする世界各地で戦乱が相次ぎ、農業は大きな痛手を被った。一方、農業の改良が行われていった。
近世[編集]
大航海時代によって得られたアメリカ大陸由来のサツマイモ、ジャガイモは恐慌作物は飢饉に備えられたが、一旦病気が発生すると全滅して飢饉が起きた。イギリスの支配下でアイルランドのように多数の餓死者が出たところもあった(アイルランドの人口は未だに回復しきっていない)。江戸時代の日本も例外ではなく、大塩平八郎の乱が発生した。
19世紀[編集]
地球人口の大半は農民だったが、産業革命などにより都市生活者が増加し、しだいに農民の割合は減っていく。 鉄道の発達によって農産物を生産地から消費地まで大量に高速で輸送することができるようになった。
20世紀[編集]
化学肥料や農薬の発明によって農作物の収穫量が飛躍的に増加した(ハーバー・ボッシュ法など)。農業技術者の育成のために大学に農学部が設置された。貧富の差の矛盾から社会主義思想が広がり、ロシア革命に繋がった。農民(だけ)ではなく工場労働者の支持を得たソ連は、農業国だったロシアを(かなりの犠牲を払いながらも)工業国化させた。第一次世界大戦、第二次世界大戦では敵国の通商破壊による農産物の輸入の途絶、農民の徴兵による労働力不足によって食糧不足となり、配給制度の登場、食糧増産といった食糧増産団体が登場した。
20世紀後半には、緑の革命と呼ばれる躍進もあったが、その搾取的側面は批判された。緑の革命に続いて、乳製品の白の革命や肉製品のピンクの革命が起きた。