近鉄大阪線
近畿日本鉄道 D 大阪線 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 大阪府、奈良県、三重県 |
起点 | 大阪上本町駅 |
終点 | 伊勢中川駅 |
駅数 | 48駅 |
路線記号 | D |
開業 | 1914年4月30日 |
全通 | 1930年12月20日 |
所有者 | 近畿日本鉄道 |
運営者 | 近畿日本鉄道 |
車両基地 | 高安検車区、同区五位堂車庫、同区名張車庫、同区青山町車庫 |
使用車両 | 車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 107.6 km |
営業キロ | 108.9 km |
軌間 | 1,435 mm (標準軌) |
線路数 | 複々線(大阪上本町 - 布施間) 複線(布施 - 伊勢中川間) |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
最大勾配 | 35.6 ‰ |
最小曲線半径 | 400 m |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | 近鉄型ATS、ATS-SP |
最高速度 | 130 km/h(一部の特急)、120 km/h(特急)、110 km/h(一般車両) |
大阪線(おおさかせん)は、近畿日本鉄道(近鉄)の鉄道路線。
概要[編集]
大阪府大阪市天王寺区の大阪上本町駅から、奈良県の奈良盆地南部、三重県の伊賀盆地南部を経由して、三重県松阪市の伊勢中川駅を結ぶ路線である。最高時速は130km/hである。
布施駅で近鉄奈良線、河内山本駅で近鉄信貴線、大和八木駅で近鉄橿原線、桜井駅でJR桜井線、伊賀神戸駅で伊賀鉄道線、伊勢中川駅で近鉄名古屋線や近鉄山田線と接続しており、堅下駅でJR柏原駅、河内国分駅でJR高井田駅、近鉄下田駅でJR香芝駅、大和高田駅でJR高田駅、川合高岡駅でJR一志駅と徒歩連絡可能である。
大阪府を起点とする関西大手私鉄の幹線・本線では唯一、地下鉄御堂筋線との接続駅がないため、難波方面へは自社の難波線、梅田・天王寺方面へは地下鉄谷町線や西日本旅客鉄道(JR西日本)の大阪環状線への乗り換えが必要となる。大阪市に乗り入れる大手私鉄の路線で地下鉄御堂筋線と直接乗り換えができない路線はほかに支線級の南海汐見橋線、阪急千里線(下新庄駅以北ではおよそ半数の運用が大阪梅田行きであり、直通列車の利用により南方・大阪梅田両駅で接続可能)も該当する(2009年3月20日に延伸される以前の阪神西大阪線(阪神なんば線)もそれに該当した。西大阪線時代は大阪市営地下鉄(当時)のどの路線とも直接乗り換えもできなかった)。
特急以外の各種別は、奈良線のそれらとは異なり難波線に乗り入れる定期運用が存在せず、阪神線との相互直通運転も実施していないため、ごく一部の団体臨時列車を除き、難波線・阪神線とは鶴橋駅・大阪上本町駅で乗り換える必要がある。鶴橋駅では奈良線の列車と接続している。大阪上本町駅や今里駅、布施駅でも乗り換え可能だが、対面乗り換えはできない。難波線に乗り入れていない理由は、難波線の線路容量に大阪線の列車が入線する余裕がないことに加え、大阪線の通勤車は特急車や奈良線を走行する通勤車とは大阪上本町駅発車時点での編成の向きとマスコンハンドルの操作方法(大阪線の通勤車は指令式、特急車と奈良線所属の通勤車は進め保ち式、シリーズ21は大阪線・奈良線所属車ともに指令式)が異なるため、協調運転が不可能であり、事故や自然災害で運用が乱れた際に増解結ができなくなったり、車両故障発生時に登坂性能不足で脱出不能となる恐れがあるためである。このため、大阪線と難波線・阪神線方面との直通運転を行う団体臨時列車には、西大寺検車区に所属するL/Cカーまたは高安検車区に所属する22600系の一部のみが限定的に使用されている。なお、2015年時点での営業運転実績は存在しないものの、阪神9000系と同社の1000系は大阪線との直通運転にも対応しており、五位堂検修車庫の一般公開時に回送列車としての乗り入れ実績が存在する。
乗務員交代は、高安駅・大和八木駅・名張駅・青山町駅・伊勢中川駅で、名阪特急は甲乙共に名古屋線の津駅で行われる。甲特急が津駅を通過していた頃は伊勢中川駅北の短絡線を通過中に車掌(担当区間外の運転士)と交代していた。
2004年3月に山田線伊勢中川駅 - 宮町駅間がワンマン化されるまでは名張駅・東青山駅 - 明星駅・宇治山田駅間の普通列車がわずかだがあり、これらの下り列車は最初から宇治山田行きであるのに対し、上り列車は伊勢中川行きとして運転され、伊勢中川駅到着後改めて東青山または名張行きとして運転されていた。このほか、明星駅発着列車とほぼ同様の理由で名張駅 - 青山町駅間の区間運転のものも設定されており、これは名張駅で快速急行や準急などに系統変更もしくは行先変更して継続運転することが多い。
2021年7月のダイヤ変更では、急行の山田線乗り入れが削減され、上本町発の午前中と16時、上本町着の日中は伊勢中川発着の線内運行が基本となった。
歴史[編集]
大阪電気軌道(大軌)によって、1927年布施〜八木(現・八木西口)間が開業。1929年には桜井まで延長した。桜井からは、当初国道166号沿いに松阪電気鉄道(後の三重交通松阪線)に連絡しつつ伊勢神宮に到達するルートで計画していたが、大和鉄道(現・近鉄田原本線)を傘下に入れ、出願していた桜井〜名張間の敷設権、伊賀鉄道(先代)を傘下に入れ、名張〜神戸間の敷設権、中勢軌道を傘下に入れ、佐田(現・榊原温泉口)〜伊勢中川間の敷設権をそれぞれ大軌系の参宮急行電鉄が手に入れた結果、布引山地を貫通するルートで1930年に伊勢中川まで完成した。
駅一覧[編集]
- 凡例
- ●:停車、|↓:通過(↓:下りのみ運転)
- 普通は各駅に停車(表中省略)。快速急行は青山町以東は下りのみ運転。準急・区間準急は名張以東で運転。
- 近鉄奈良線直通列車は当該路線記事を、特急列車は「近鉄特急」を参照のこと。
- #印の駅は列車待避可能駅
駅番号 | 駅名 | 駅間 キロ |
営業 キロ |
区間準急 | 準急 | 急行 | 快速急行 | 接続路線 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
D03 | 大阪上本町駅 | - | 0.0 | ● | ● | ● | ● | 近畿日本鉄道:A 難波線 (A03)(一部直通運転:「近鉄特急」を参照) 大阪市高速電気軌道:T 谷町線 (T25)・S 千日前線…谷町九丁目駅 (S18) |
大阪府 | 大阪市 | 天王寺区 |
D04 | 鶴橋駅 | 1.1 | 1.1 | ● | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:O 大阪環状線 (JR-O04) 大阪市高速電気軌道:S 千日前線 (S19) |
生野区 | ||
D05 | 今里駅 | 1.7 | 2.8 | | | | | | | | | ||||
D06 | 布施駅# | 1.3 | 4.1 | ● | ● | ● | | | 近畿日本鉄道:A 奈良線 (A06) | 東大阪市 | ||
D07 | 俊徳道駅 | 1.0 | 5.1 | | | | | | | | | 西日本旅客鉄道:F おおさか東線…JR俊徳道駅 (JR-F11) | |||
D08 | 長瀬駅 (近畿大学前) |
1.1 | 6.2 | | | | | | | | | ||||
D09 | 弥刀駅# | 1.2 | 7.4 | | | | | | | | | ||||
D10 | 久宝寺口駅 | 0.9 | 8.3 | | | | | | | | | 八尾市 | |||
D11 | 近鉄八尾駅 | 1.3 | 9.6 | ● | ● | | | | | ||||
D12 | 河内山本駅# | 1.5 | 11.1 | ● | ● | | | | | 近畿日本鉄道:J 信貴線 (J12) | |||
D13 | 高安駅# | 1.1 | 12.2 | ● | ● | | | | | ||||
D14 | 恩智駅 | 1.1 | 13.3 | ● | | | | | | | ||||
D15 | 法善寺駅 | 1.6 | 14.9 | ● | | | | | | | 柏原市 | |||
D16 | 堅下駅 | 0.8 | 15.7 | ● | | | | | | | 近畿日本鉄道:N 道明寺線…柏原駅 (N17)[* 1] 西日本旅客鉄道:Q 関西本線(大和路線)(JR-Q27)…柏原駅 | |||
D17 | 安堂駅 | 0.9 | 16.6 | ● | | | | | | | 近畿日本鉄道:N 道明寺線…柏原南口駅 (N16)[* 1] | |||
D18 | 河内国分駅# (関西福祉科学大学前) |
1.6 | 18.2 | ● | ● | ● | | | ||||
D19 | 大阪教育大前駅 | 1.6 | 19.8 | ● | ● | | | | | ||||
D20 | 関屋駅 | 2.2 | 22.0 | ● | ● | | | | | 奈良県 | 香芝市 | ||
D21 | 二上駅 | 2.1 | 24.1 | ● | ● | | | | | ||||
D22 | 近鉄下田駅 | 1.6 | 25.7 | ● | ● | | | | | ||||
D23 | 五位堂駅# (真美が丘ニュータウン前) |
1.4 | 27.1 | ● | ● | ● | ● | ||||
D24 | 築山駅 | 1.7 | 28.8 | ● | ● | | | | | 大和高田市 | |||
D25 | 大和高田駅 | 1.1 | 29.9 | ● | ● | ● | ● | ||||
D26 | 松塚駅 | 1.9 | 31.8 | ● | ● | | | | | ||||
D27 | 真菅駅 | 1.0 | 32.8 | ● | ● | | | | | 橿原市 | |||
D39 | 大和八木駅# | 2.0 | 34.8 | ● | ● | ● | ● | 近畿日本鉄道:B 橿原線 (B39) | |||
D40 | 耳成駅 | 2.1 | 36.9 | ● | ● | | | | | ||||
D41 | 大福駅 | 1.3 | 38.2 | ● | ● | | | | | 桜井市 | |||
D42 | 桜井駅 | 1.6 | 39.8 | ● | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:U 桜井線(万葉まほろば線) | |||
D43 | 大和朝倉駅# | 2.1 | 41.9 | ● | ● | ● | | | ||||
D44 | 長谷寺駅 | 3.7 | 45.6 | ● | ● | ● | | | ||||
D45 | 榛原駅# | 4.5 | 50.1 | ● | ● | ● | ● | 宇陀市 | |||
D46 | 室生口大野駅 | 7.1 | 57.2 | ● | ● | ● | ● | ||||
D47 | 三本松駅 | 2.5 | 59.7 | ● | ● | ● | | | ||||
D48 | 赤目口駅 | 4.3 | 64.0 | ● | ● | ● | ● | 三重県 | 名張市 | ||
D49 | 名張駅# | 3.2 | 67.2 | ● | ● | ● | ● | ||||
D50 | 桔梗が丘駅 | 2.8 | 70.0 | ● | ● | ||||||
D51 | 美旗駅 | 3.1 | 73.1 | ● | ● | ||||||
D52 | 伊賀神戸駅 | 2.4 | 75.5 | ● | ● | 伊賀鉄道:■伊賀線 | 伊賀市 | ||||
D53 | 青山町駅# | 2.4 | 77.9 | ● | ● | ||||||
D54 | 伊賀上津駅 | 2.7 | 80.6 | ● | ↓ | ||||||
D55 | 西青山駅 | 3.2 | 83.8 | ● | ↓ | ||||||
D56 | 東青山駅# | 7.7 | 91.5 | ● | ↓ | 津市 | |||||
D57 | 榊原温泉口駅 | 3.9 [* 2] |
95.4 | ● | ● | ||||||
D58 | 大三駅 | 2.2 | 97.6 | | | ↓ | ||||||
D59 | 伊勢石橋駅 | 4.0 | 101.6 | | | ↓ | ||||||
D60 | 川合高岡駅 | 2.8 | 104.4 | | | ↓ | ||||||
D61 | 伊勢中川駅# | 4.5 | 108.9 | ● | ● | 近畿日本鉄道:E 名古屋線 (E61)(特急のみ同駅ホームを通らず中川短絡線経由で近鉄名古屋駅まで直通運転)・M 山田線 (M61)(普通が松阪駅、急行・快速急行がM 鳥羽線鳥羽駅、特急がM 志摩線賢島駅まで直通運転) | 松阪市 |
車両[編集]
名古屋線車両の乗り入れ(後述)以外の通勤車には以下のものが使用される。特記事項がない限りは高安検車区に所属する。
33‰の連続急勾配を持つなど、路線条件としては幹線系統で最も過酷なため、所属する一般車の全車が抑速ブレーキ付きで、200馬力(150kW)以上の主電動機出力を確保している。
- 2両編成
- 大阪線全線で使用され、トイレ付4両編成車と併結して鳥羽線鳥羽駅まで乗り入れることもある。信貴線でも使用される。
- 2410系 - 18本が該当。うち1本は伊勢志摩お魚図鑑専用車両。
- 2430系 - 4本が該当。
- 1220系・1253系・1254系 - 9本が該当。
- 1420系 - 1本のみ。
- 1422系・1430系・1435系・1436系・1437系 - 16本が該当。
- 9020系 - 1本のみ。
- 3両編成
- 大阪線では2本併結の6両で、青山町以西にて運転されるが、名古屋線内で車両不足が発生すると単独で名古屋線に貸し出されることも多い。現在は2430系の2本のみの存在である。
- 4両編成・トイレ付
- 主に単独あるいは他編成併結の4 - 10連を組み全線で使用され、山田線、鳥羽線にも乗り入れる。
- 4両編成・トイレなし
- 主に単独あるいは他編成併結の4 - 10連を組み、青山町以西で運用される。
- 2410系・2430系・1810系 - 純然たる2430系編成が2本、1810系組み込み編成が2本、2410系組み込みが2本の合計6本が存在。
- 2800系 - 11本が該当。
- 1400系 - 3本が該当。
- 8810系 - 1本のみ奈良線から転属。
- 9200系 - 元奈良線車両で、4本中3本が大阪線に転属してきた。
- 1620系 - 5本が該当。
- 6両編成
- 主に単独あるいは他編成併結の6 - 10連を組み、トイレなしは青山町以西で使用される。トイレ付は全線で使用され、山田線、鳥羽線にも乗り入れる。
- 名古屋線車両
早朝・夜間には、以下の名古屋線所属の車両が大阪線の一部列車にも使用されている。全て片側4扉車両となっている。
- 1400系:トイレ付き
- 1200系:2410系・2430系との混結編成、トイレ付き
- 1233系・1253系
- 1430系
- 2410系・2430系:1200系に組み込まれたク2590形とモ2450形
- 2610系:L/Cカー仕様・トイレ付き
- 2800系:4両編成はトイレ付き、2両編成も増結編成として入線
- 5800系:L/Cカー・トイレ付き、4両編成の5812Fが入線
特筆される点として、大阪線所属の通勤車両は2410系など1960年代後半から1970年代前半にかけて製造された車両の大半が2017年4月時点でも健在である。これは、平均駅間距離が長く、急勾配区間を多く抱える路線である関係上、回生ブレーキによる省エネ効果があまり期待出来ないためで、大阪線では2003年に5820系5852F・9020系9051Fが投入されて以降は一般車両の新製投入は行われておらず、奈良・京都線系統から8810系・9200系の一部を転属させる形で賄われており(8810系は1980年代後半にも一時的に8826Fが大阪線にて使用された実績があった)、大阪線では3両編成車の単独運用が無くなったことから、2編成併結の6両編成による運用分を除いて余剰となった2430系・2800系3両編成の一部が名古屋線に転出、2430系の一部はワンマン改造を行って2444系となっている。
なお、現在編成全車が名古屋線の所属となっている2000系・2050系は当初は大阪線の所属となっていた。これら2形式は1480系・2470系、2400系・2410系・2430系の冷房改造工事・車体更新工事などに伴う車両不足を補うために新製冷房車として大阪線に投入されたもので、工事の進捗に伴って順次名古屋線へ転属していった。
競合路線[編集]
大阪 - 三重県中勢地域間連絡では運賃、所要時間ともに圧倒的に近鉄大阪線が有利である。また、近接競合区間のうち堅下 - 近鉄下田 - 桜井間、川合高岡 - 松阪間も共に近鉄が圧倒的に優勢である。一方、難波 - 堅下間は、近鉄が鶴橋乗換必至のため、JR大和路線にもやや分がある。
運賃計算キロ | 運賃 | 所要時間 | 備考 | |
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近畿日本鉄道 | 117.3km | 1590円 | 1時間56分 | 快速急行・大阪上本町駅から |
東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 | 156.8km | 2640円 | 3時間47分 | 快速+普通・JR難波駅から |
参考文献[編集]
- 『鉄道ピクトリアル727号』電気車研究会2003年1月20日発行。
- 『JTB小さな時刻表2021年秋号』JTBパブリッシング2021年10月1日発行。
- 『時刻表復刻版1968年10月号』JTBパブリッシング2021年11月1日初版発行。
脚注[編集]
近畿日本鉄道 (近鉄) の路線 |