近鉄奈良線
近畿日本鉄道 A 奈良線 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 大阪府、奈良県 |
起点 | 布施駅 |
終点 | 近鉄奈良駅 |
駅数 | 19駅 |
路線記号 | A |
開業 | 1914年4月30日 |
所有者 | 近畿日本鉄道 |
運営者 | 近畿日本鉄道 |
車両基地 | 東花園検車区、西大寺検車区 |
使用車両 | 車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 26.7 km |
軌間 | 1,435 mm (標準軌) |
線路数 | 複線 |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
最大勾配 | 35.7 ‰ |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | 近鉄型ATS |
最高速度 | 105 km/h |
近鉄奈良線 (きんてつならせん) は、大阪府東大阪市の布施駅から奈良県奈良市の近鉄奈良駅までを結ぶ、近畿日本鉄道 (近鉄) の鉄道路線。
以下、特に記載のない限り駅名に 「近鉄」 がつく場合は 「近鉄」 を省略して述べる (例:近鉄奈良駅→奈良駅) 。
概要[編集]
正式には布施駅から奈良駅までの区間が 「奈良線」 と定められているが、実際の運行系統は近鉄難波線・近鉄大阪線を経由し大阪難波駅から奈良駅の区間であり、「奈良線」 の路線名もこの運行系統に合わせて用いられることが多い。
梅田への利便性や所要時間などで阪奈間輸送のライバルであるJR西日本の関西本線が優位に立っており、特定運賃を採用する一面もあるが、途中は同線とほとんど並行しておらず、また沿線人口・運転本数も近鉄奈良線の方が圧倒的に多く、関西本線が近鉄奈良線を脅かすまでには至っていない。だが、奈良 - 梅田間のほか、王寺駅で大和路線と接続する近鉄生駒線沿線や八尾・柏原といった近鉄大阪線沿線では、関西本線などへの旅客の転移が見られる。
JR西日本とは競合していると言うよりは、鶴橋駅をはじめ乗換駅で相互に協力していると言える。
競合路線[編集]
西日本旅客鉄道関西本線は天王寺駅と奈良駅との間で特定運賃を採用している。使用されている車両はJR西日本221系電車で、転換クロスシートを設置し、便所がある。一方、近畿日本鉄道奈良線はデュアルシートで便所はない。ただし、阪神三宮駅まで直通運転する。
営業キロ | 運賃 | 所要時間 | 備考 | |
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近鉄奈良線 | 32.8km | 570円 | 37分 | 大阪難波駅発 |
西日本旅客鉄道関西本線 | 27.5km | 570円 | 36分 | 天王寺駅発・特定運賃 |
沿線風景[編集]
この項目では布施駅から奈良駅に向かう下り列車を基準に述べるため、左右の表現を用いる場合もこれに則る。
布施駅から生駒駅[編集]
布施駅は上下2層式のホームになっており、奈良線は上の階の6・7番線から発車する。布施駅発車後は高架線が続き、発車して1分程度で河内永和駅に到着する。引き続き高架線を通り河内小阪駅を通る。この区間は駅間が短く、かつカーブが少ないので、天気がよければ隣の駅を見ることができる。また、河内小阪駅付近まではスピードが低い。
次の八戸ノ里駅は2面4線になっており、ここで列車の通過待ちが行われる。次の若江岩田駅の手前で左にカーブすると、右側から地下に続く道床が見える。これはかつて存在した車庫に続く線路で、現在は線路が切り離されている。 また、ここから再び高架線を走行するが、こちらは2014年までに完成したもので比較的新しい。
若江岩田駅から河内花園駅までは直線であり、河内花園駅を出ると右にカーブする。再び左にカーブすると東花園駅である。この駅は東大阪市花園ラグビー場の最寄り駅であるが故にイベントや試合が開催される日は観客などで混み合うほか、車庫が併設されているため東花園始発・終着の列車も何本か存在する。
東花園駅を過ぎ、線路のアップダウンを繰り返して瓢箪山駅に到着。こちらはホームがある線路が通過線を挟む構造となっている。踏切を過ぎ左にカーブしながら若干登っていく。そして右カーブの途中に枚岡駅がある。この区間は地形の関係上カーブが多い。次の額田駅も奈良寄りが右カーブにかかっている構造となっている。再び左右にカーブし石切駅に到着する。石切駅も右カーブ上にホームがある構造となっている。その上2面4線で、通過待ちが行われる。
石切駅を出ると右にカーブし、新生駒トンネルを抜けると奈良県に入り、左から近鉄けいはんな線が見えると生駒駅に到着する。
生駒駅から奈良駅[編集]
生駒駅を出ると左にカーブし、斜面を少し下る。けいはんな線と分かれて再び下り、カーブすると東生駒駅に到着する。東生駒駅でけいはんな線と線路がつながっているが、これは東生駒にけいはんな線の車両基地があり、大規模な検査や修繕工事を近鉄の他の工場で行う際に回送させるためである。
東生駒駅を出て左にカーブするとトンネルがある。再び左にカーブすると富雄駅である。この後は直線区間が続き、斜面を登ると学園前駅である。学園前駅を出ると若干のアップダウンを経て右にカーブし菖蒲池駅である。菖蒲池駅を出ると直線が続き、右にカーブすると大和西大寺駅に到着する。大和西大寺駅は国内屈指の、多方向への平面交差がある駅で知られている。奈良方面へは直進する。
大和西大寺駅を発車して真っ直ぐ進むと右側に平城京跡が見える。そして左にカーブし直線区間の後に右にカーブし、新大宮駅に到着する。新大宮駅を出ると右にカーブし、地下トンネルに入る。その後しばらく進み、終点の奈良駅に到着する。
旅客案内[編集]
奈良線は4扉の近鉄車と3扉の阪神車が混在して運用されているため、ホームに設置されている発車標のうち、LCD式とLED式のものには乗車位置が表示されている。近鉄線内では、近鉄車および京都市交車で運転される列車は○印、阪神車で運転される列車は△印であるが、阪神線内では近鉄車は△印、阪神車は○印(同じく阪神線に乗り入れる山陽車も含む)となっている(つまり両社とも、自社車両=○印、他社車両=△印)。なお大和西大寺駅の大阪難波方面行きホームでは、快速急行とそれ以外の種別の列車との乗車位置を分けるために、快速急行の乗車位置を赤色と「快」で案内している。
快速急行の列車種別の色は、近鉄線内では赤(快速 急行 、急行の字は縦書き。本節の写真参照)、阪神線内では水色(前面は 快速急行 。側面は 快急 )としている。またシリーズ21以外の車両の方向幕に使用されている阪神線内用快速急行幕は阪神に合わせた丸ゴシックが使用されている。また、阪神1000系・9000系のLED式の行先表示器は近鉄線内では前面が赤地に白文字の「快速急行」で、横は赤地に白文字の「快急」となっている。いずれも大阪難波駅 - 桜川駅間を走行中に表示を切り替える。
2016年3月27日から車掌のタブレット端末(パナソニック製TOUGHPAD FZ-B2[1])の操作による車内自動放送が開始された。なお、当路線内を運行する阪神の車両(1000系、9000系)や京都市営地下鉄の車両はタブレット端末の接続には対応していないため、従来通り車掌による肉声案内が行われたが、2017年4月から自動放送が流れるようになった(阪神車両は順次、タブレット接続端子取り付け工事を実施しており、施工済み編成から車内自動放送を実施している。但し、烏丸線10系の近鉄区間の車内自動放送はタブレット端末ではなく、烏丸線区間と同じ音声合成内部のICメモリーを更新して再生使用している)。
沿革[編集]
史上最大の「踏切」[編集]
本路線の奈良市内の油阪駅 - 近鉄奈良駅間には、「幅」が約800mの「踏切」が、1964年から1969年まで存在した。おそらく日本の鉄道史上最大・最長の「踏切」と見られる。「油阪駅」は国鉄線を乗り越える築堤上に設けられ、南方約400mのところに国鉄奈良駅があった。新大宮駅は同駅の代替として、市街区間地下化の際に新たに設置されたものである。
この800mほどの区間は元々路面電車同様併用軌道区間で小型・中型車両のみが走行していたが、1964年から大型車両を運行するにあたり、併用軌道扱いのままでは大型車走行の認可を得られないことから、「一般鉄道路線の新設軌道区間で『800mの踏切』を通過する」という拡大解釈(見解)で大型車の乗り入れを実現していたものである。1969年にこの区間が地下線化されたことで「踏切」は廃止された。
運行系統[編集]
特急 (近鉄特急)[編集]
奈良線では、大阪難波・上本町と奈良を結ぶ阪奈特急が運行されている。運行距離が短いため、主に通勤輸送に特化している。また、運行時間も大阪難波駅から奈良駅までは35分程度で、同区間の快速急行や急行とは10分程度の差しかない。
阪奈特急は、平日は下りが夕刻から夜にかけて、上りは朝10時台までと夕刻から夜にかけての時間帯に運行されている運行間隔は下りが30分程度、上りは1時間程度である。なお、下りは終電に近づくと間隔が短くなるのが特徴である。土休日は、下りが昼以降に1時間程度の間隔で、上りは終日1時間程度の間隔で運行されている。
車両は4両編成の汎用特急車両がメインだが、一部において6両編成の23000系電車 「伊勢志摩ライナー」 や21000系・21020系電車 「アーバンライナー」 、80000系電車 「ひのとり」 が用いられることがある。これは大和西大寺駅に車両基地がある関係上、大阪難波駅への送り込みを兼ねているためである。そのため一部において大和西大寺駅発着の列車がある。
また、一往復は近鉄奈良駅で折り返して京都線と直通する、19200系電車を使用する観光特急「あをによし」である。
- 停車駅
- 大阪難波駅 - 大阪上本町駅 - 鶴橋駅 - 生駒駅 - 学園前駅 - 大和西大寺駅 - 奈良駅
- 太字は始発駅・終着駅。
この節はまだ執筆途中です。加筆、訂正して下さる協力者を募集中!
駅一覧[編集]
- 凡例
- ●:停車、|:通過、▲:高校ラグビー開催時臨時停車、※:近畿大学附属小学校・幼稚園平日の開校日に下りのみ臨時停車
- 普通列車は各駅に停車するため省略。
- 特急列車については特急列車記事を参照のこと。
- #印の駅は列車待避可能駅
路線名 | 駅番号 | 駅名 | 駅間 キロ |
布施 からの 営業 キロ |
区間準急 | 準急 | 急行 | 快速急行 | 接続路線 | 所在地 | |
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直通運転区間 | 大阪難波駅から ○普通・区間準急・準急…阪神なんば線尼崎駅まで ○快速急行…基本的には阪神本線神戸三宮駅まで | ||||||||||
難波線 | A01 | 大阪難波駅 おおさかなんば |
- | 6.1 | ● | ● | ● | ● | 阪神電気鉄道:阪神なんば線(HS 41・直通運転あり) 大阪市高速電気軌道:御堂筋線 (M20)・四つ橋線 (Y15)・千日前線 (S16)…難波駅 南海電気鉄道:南海本線・高野線 (NK 01)…難波駅 西日本旅客鉄道:Q 関西本線(大和路線)(JR-Q17)…JR難波駅 |
大阪府 | 大阪市 中央区 |
A02 | 近鉄日本橋駅 きんてつにっぽんばし |
0.8 | 5.3 | ● | ● | ● | ● | 大阪市高速電気軌道:堺筋線 (K17)・千日前線 (S17)…日本橋駅 | |||
A03 | 大阪上本町駅 (近鉄百貨店前) おおさかうえほんまち |
1.2 | 4.1 | ● | ● | ● | ● | 大阪市高速電気軌道:谷町線 (T25)・千日前線 (S18)…谷町九丁目駅 | 大阪市 天王寺区 | ||
大阪線 | |||||||||||
A04 | 鶴橋駅 つるはし |
1.1 | 3.0 | ● | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:O 大阪環状線(JR-O04) 大阪市高速電気軌道:千日前線 (S19) |
大阪市 生野区 | ||
A05 | 今里駅 いまざと |
1.7 | 1.3 | | | | | | | | | ||||
A06 | 布施駅# ふせ |
1.3 | 0.0 | ● | ● | ● | | | 近畿日本鉄道:D 大阪線 (D06) | 東大阪市 | ||
奈良線 | |||||||||||
A07 | 河内永和駅 かわちえいわ |
0.8 | 0.8 | | | | | | | | | 西日本旅客鉄道:F おおさか東線(JR-F10)…JR河内永和駅 | |||
A08 | 河内小阪駅 (大阪商業大学前・ 大阪樟蔭女子大学前) かわちこさか |
0.8 | 1.6 | ● | ● | | | | | ||||
A09 | 八戸ノ里駅# やえのさと |
0.8 | 2.4 | | | | | | | | | ||||
A10 | 若江岩田駅 わかえいわた |
1.7 | 4.1 | | | | | | | | | ||||
A11 | 河内花園駅 かわちはなぞの |
0.9 | 5.0 | | | | | | | | | ||||
A12 | 東花園駅# (花園ラグビー場前) ひがしはなぞの |
0.8 | 5.8 | ● | ● | ▲ | ▲ | ||||
A13 | 瓢箪山駅# ひょうたんやま |
1.4 | 7.0 | ● | | | | | | | ||||
A14 | 枚岡駅 ひらおか |
1.3 | 8.3 | ● | | | | | | | ||||
A15 | 額田駅 ぬきた |
0.7 | 9.0 | ● | | | | | | | ||||
A16 | 石切駅# いしきり |
1.1 | 10.1 | ● | ● | ● | | | ||||
A17 | 生駒駅 いこま |
4.1 | 14.2 | ● | ● | ● | ● | 近畿日本鉄道:C けいはんな線 (C27)・G 生駒線 (G17)・Y 生駒鋼索線 (Y17)…鳥居前駅 | 奈良県 | 生駒市 | |
A18 | 東生駒駅# (帝塚山大学前) ひがしいこま |
1.2 | 15.4 | ● | ● | | | | | ||||
A19 | 富雄駅 とみお |
2.3 | 17.7 | ● | ● | | | | | 奈良市 | |||
A20 | 学園前駅 (帝塚山学園前) がくえんまえ |
1.4 | 19.1 | ● | ● | ● | ● | ||||
A21 | 菖蒲池駅 あやめいけ |
1.0 | 20.1 | ● | ● | | | ※ | ||||
A26 | 大和西大寺駅# やまとさいだいじ |
2.2 | 22.3 | ● | ● | ● | ● | 近畿日本鉄道:B 京都線・B 橿原線 (B26)(一部直通運転:下記参照) | |||
A27 | 新大宮駅 しんおおみや |
2.7 | 25.0 | ● | ● | ● | ● | ||||
A28 | 近鉄奈良駅 (奈良公園前) きんてつなら |
1.7 | 26.7 | ● | ● | ● | ● | ||||
直通運転区間 | 大和西大寺駅から ○普通…京都線京都駅まで(一部のみ近鉄奈良方面と直通) ○急行…京都線京都駅・京都市営地下鉄烏丸線国際会館駅まで(近鉄奈良方面と直通) ○臨時急行…天理線天理駅まで(天理教祭事時に大阪難波方面と直通) |
新駅計画[編集]
近鉄奈良線に「瓜生堂駅」(仮称)を設置する計画がある[2][3][4]。 2018年に着工、2025年の完成を目指す大阪モノレール線との接続を考慮し、近鉄奈良線と大阪モノレールとの乗り換えができるようにする。
参考文献[編集]
- 『鉄道ピクトリアル727号』電気車研究会2003年1月20日発行。
- 『JTB小さな時刻表2021年秋号』JTBパブリッシング2021年10月1日発行。
- 『時刻表復刻版1968年10月号』JTBパブリッシング2021年11月1日初版発行。
脚注[編集]
- ↑ 近畿日本鉄道株式会社様 | 導入事例 | パソコン(法人向け) - パナソニック、2016年12月19日閲覧
- ↑ 4路線と接続、南へ延びる日本最長モノレール日経XTech、2016年07月26日
- ↑ 大阪モノレール延伸Kansai Sampo Blog
- ↑ 大阪モノレールの延伸について大阪府、2017年1月
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