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(ふね) とは水上、もしくは水中を航行する交通機関である。

名称[編集]

法規(日本国の商法684条)では「船舶」と記載される。同条一項は「本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノヲ謂フ」とされている。一般には大きいものは「船」で数え方は「隻」、小さいものは「舟」で数え方は「艘」である。軍用の場合は大型のものは「艦」、小さいものは「艇」である。英語でも大きい「ship」と小さい「boat」に分けられる。

船体[編集]

軍艦であれば船体は狭く、高速を出せるようにし、商船であれば、乗客や貨物を多く乗せられるよう、船体は広くなる傾向にある。重心を高くすると不安定になるので船体を大きくしすぎることは望ましくない。船体の材料は19世紀までは木材であったが、現在は大型船はほとんどが鋼製で、磁気を帯びるのが望ましくない掃海艇が木造のほか、小型船は強化プラスチックで作られている。

推進機[編集]

艪や櫂を人力で操作させて動かしていたが、帆を使うようになった。帆船の時代が長く続いたが、19世紀に入ると蒸気機関の発明により機帆船が登場し、やがて帆装を廃止した汽船が登場した。20世紀に入ると蒸気タービンが使用されるようになり、さらにディーゼルエンジンが使用されるようになった。第二次世界大戦後には原子力船が登場した。一方、小型船には焼玉機関が使われたほか、帆船や機帆船も長期間にわたって使用された。モーターボートにはガソリンエンジンが使用された。

発電機[編集]

照明クレーンレーダー、兵器の駆動といった様々な目的のために船には大容量の発電機が備え付けられて発電ができるようになっている。ある町が停電になったとき、たまたま停泊していた巡洋艦から電力輸送を受けて停電から回復したという話がある。

船員[編集]

船員」、「航海士」も参照

大学商船系学部、水産系専攻科商船高等専門学校で職員[注 1]を養成する。また、海上技術学校で部員を養成する。かつては高等商船学校で士官格の船員の養成を行っていた。

法規[編集]

商法、船舶法船員法に詳しく記載されている。船舶には船長が配置される。船長には積荷に対する責任を持つ。船長の命令は絶対で、乗組員や乗客は船長の命令に従わなければならない。総トン数20トン以上の船舶は登記が必要である(686条)。船員のうち、部員は上司の命令に従い、職員は当直勤務を行う。(日本国の商法684条~851条)

歴史[編集]

船の誕生[編集]

人類は河川湖沼を渡る際は、他の動物と同様に泳いでいたが、丸太を抱えて泳ぐと浮力によって泳ぎやすくなることに気がついた。やがて丸太は加工され、いくつかの丸太をロープで縛ると、大型の丸太をくりぬくくりぶねに進化した。これによって体を冷やさずに河川や湖沼を渡ることができるようになり、を渡ることができるようになり、漁業ができるようになったほか、商品を積んで商業ができるようになった。船が大きくなるにつれて方向を変えるための舵が設置され、頑丈にするため、竜骨を中心に部材を接合する構造船が登場した。

古代[編集]

日中は太陽、夜間は恒星の位置によって自らの居場所がわかるようになり、天体観測の向上によって地方航路から遠洋航路に発展した。

中世[編集]

中国で羅針盤が発明され、遠隔地の航海が実現した。イスラム世界では地中海貿易を発展させ、このために帆装も充実し、船が高速で帆走できるようになった。

近世[編集]

ヨーロッパ諸国で大型船が登場した。大西洋横断が可能になり、これまで曖昧だった軍艦商船が区別されるようになったが、武装商船も活躍した。軍艦には多くの大砲が設置されるようになった。

詳細は「近世イギリス海軍の食生活」を参照

詳細は「大航海時代」を参照

詳細は「帆走軍艦」を参照

19世紀[編集]

蒸気機関の発明により機帆船が登場した。当初は帆走が主体であったが、やがて蒸気機関が主体となり、遂には帆装が撤去される船が登場した。船の構造も木造から鉄板貼り、鉄製、さらに鋼製となった。

20世紀前半[編集]

蒸気タービンの登場により、船の高速化が実現した。また、ドレッドノートの登場により、従来の戦艦が建造中のものも含めて旧式化し、各国で建艦競争が始まった。潜水艦の登場もこの頃からだった。通信機の設置も始まった。第一次世界大戦後、航空母艦が登場した。海軍軍縮条約により各国の建艦競争が止まり、「海軍休日」が実現した。

特徴[編集]

長所[編集]

海上・水上を通行することができる。重量物を低燃費で運搬することができる。大量輸送にも対応可。そのため、大型貨物の輸送では船が主流である。

短所[編集]

陸上を通行することができない。軽量物を運搬する時は、逆に燃費が高くなる。また、陸上交通と比べてスピードが遅い。

少量輸送に向かないので、隣接する島の相互間の輸送は、橋がかけられると多くが車・バスに代替されて廃止となった。また、陸路より船の方が圧倒的にショートカットできて所要時間が短い場合でも旅客輸送は経営が苦しく、淡路島-関西空港便など多くの路線が廃止に追い込まれた。

関連項目[編集]

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  1. 海軍では士官に相当した。

参考サイト[編集]

船員の仕事|日本内航海運組合総連合会