国鉄183系電車
所属事業者 | 国鉄後に 東日本旅客鉄道 西日本旅客鉄道(485系より) |
製造年 | 1972年 |
廃車/改造年 | 183系:2015年廃車 189系:2019年廃車 |
主な走行路線 | 中央本線 信越本線 東海道線 福知山線 |
所属車両 センター | 長野 大宮 東京(田町) 京都 |
両数 | 353両(183) 155両(189) |
電源方式 | 直流 |
制御装置 | CS15系制御器 |
保安装置 | ATC-5(183-0・1500系) ATC-6(183-1500系2両) ATS-SN ATS-P |
塗装 | 国鉄特急色 あさま色 あずさ特別色 JR西日本特急色 |
備考 | JR西日本車はJR西日本183系電車も参照。 |
国鉄183系・189系電車とは、日本国有鉄道が設計した特急型電車である。
概要[編集]
主に関東甲信越の特急運用に入り、特急「あずさ」や「かいじ」、「あさま」などは長らく当形式が運用していた。かいじに関しては新設時からE257系が登場するまで活躍していたことになる。
なお、本稿では横軽協調運行対応の189系、関西地区で使用された485系改造の183系、設計のみされた187系電車についても取り扱う。
- 183系(東日本)
181系電車の置き換え用・総武快速線の東京駅地下開業に関する特急運行用として、1972年に登場。食堂車は製造されなかった。先頭車両は国鉄583系電車と同じ貫通式である。登場当時は「2ドア食堂車なしの特急電車」というのは特急形としてどうなのかなどと議論されていたが、後に様々な線区で活躍。185系電車とともに直流特急形電車の代表と考えてもいいかもしれない。
主な運用として、特急「あずさ」・「かいじ」・「とき」・「しおさい」・「さざなみ」、急行「アルプス」などがある。このうち、「あずさ」・「かいじ」・「とき」に関しては寒冷地を走行するため485系1000番台の耐寒設備のもととなるようなしっかりとした耐寒設備が導入された。また、中央本線の狭小トンネル対策として屋根上の前照灯が485系と違い廃止となっている。現在では解体され、形式消滅となっている。
- 183系(西日本)
北近畿ビッグXネットワークの一貫として電化開業した福知山線の特急「きのさき」や「まいづる」、「北近畿(現:こうのとり)」に使用された。
こちらの183系は485系からの改造だったため、ドアは片開き1扉・前照灯が3つなどといった従来の183系とは異なる形状となっている。また、特急「しらさぎ」などに使われていた485系から改造されたため、同形式初のクモハやクロ・クロハが登場している。後に287系・289系に置き換えられ引退した。
詳細は「JR西日本183系電車」を参照
- 189系
信越本線で運行されていた特急「あさま」や「そよかぜ」といった碓氷峠を越える列車は181・183系での運行では8両のみしか走行できないという制約があり、先行して碓氷峠補機のEF63協調運転対応を施した交直流型の489系で増発されていた。これに、編成増によるさらなる輸送力増強に向けて開発されたのが189系電車である。従来直流型系列と違い碓氷峠補機のEF63協調運転対応を施したため最大12両での運行が可能となった。後に碓氷峠は廃止され、お役御免となった189系は中央本線特急あずさやかいじ、快速妙高などの運用に回った。
現在では保存車が数両、長野総合車両センターに元N102編成が解体待ちとなっている。だが、この車籍は消されており、事実上の廃形式となっている。N102保存計画があるとかないとか…
- 187系
上記の189系電車を更に改良しようと国鉄が限られた予算の中頑張って計画したのだが…
詳細は「国鉄187系電車」を参照
番台区分・運用[編集]
183系[編集]
初期型(0番台)[編集]
1972年に登場。総武快速線の東京駅地下ホーム開業に伴い新設された房総半島の特急「さざなみ」、「わかしお」用として登場。国鉄直流特急車としては初の方向幕を使用した車両となる。また、中央線特急「あずさ」の南小谷発着の便にも使用され、後の千葉発着あずさの基礎を作った。
1975年の房総地区の電化区間が拡大したあとは特急「しおさい」など多くの房総半島の特急にも使用された。後に一部は6連化され特急「かいじ」増発便や「臨時特急ウイング踊り子(成田 - 伊豆急下田間)」にも使用された。
晩年には6+3の9両編成や前面幕がLEDに改造された編成など、様々なバリエーションがあった。
後期型(1000番台)[編集]
1973年冬の豪雪を契機に、当時181系で運行されていた特急「とき」の老朽故障による運休が頻発し、その対策で当時開発途上だった189系から横軽対策を外した格好で上越線特急に投入された。183系といえば当番台というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
当初、ときの置き換え用として投入され、後に北関東の特急「白根」や東海道線特急「あまぎ(現:踊り子)」で使用されていた157系を置き換えた。
特急ときが新幹線列車になり、上越線から撤退した当番台は多くが長野や幕張に転属し、急行「水郷」などの房総急行の両国発着の特急への格上げ(非貫通型のA-A対応が解禁されて以降は東京駅にも乗り入れ)や中央本線「あずさ」の増発に用いられた。また、長野鉄道管理局は急行「天竜」の格上げ投入も検討したが、急曲線の多い飯田線で特急運行ができず、篠ノ井線で「しなの」より鈍足になるためボツになっている。
晩年は豊田・大宮・長野の各車両センターで波動用として後述の189系との混結・共通運用が組まれるようになったが、「白根」や「踊り子」は185系電車に置き換えられている。
189系[編集]
181系電車では最大8連に制限された碓氷峠越えの12連対応用として1975年に登場。クハ-0番台が長野・直江津方となりEF63非連結側、クハ-500番台上野・高崎側となりEF63連結側となる。
信越本線特急「あさま」だけでなく、中央東線「あずさ」にも183系0番台と共に使用された。
投入当初は特急あさまの他、特急あずさも受け持っていたが、先述の特急とき廃止に伴う183系1000番台転属による担当列車変更により特急あずさは全列車が183系となった時期があり、この転属と信越本線昼行急行全廃に伴う特急あさま増発が行われた。さらに昭和61年11月ダイヤ改正からは夜行急行「妙高」にも使用された。
碓氷峠廃止後は特急あずさへの運用へ充当。E257系が登場し置き換えられた後は波動用となったほか、定期運用として快速妙高や長野地区の「おはようライナー」の運用にも充当した。
また、碓氷峠特有の高出力発電機を積んだグリーン車、100番台が登場した。MG(210KVA)を床下に搭載し、万が一のときに備えていた。
改造車[編集]
特筆なきものは183系・189系どちらにも存在していた車両。
国鉄・JR東日本[編集]
- 先頭車化改造
国鉄時代、北陸で余った485・489系の付随車を改造し登場したグループ。183系が16両、189系が4両ずつそれぞれ改造された。
従来の183系と違い客扱い扉にステップ跡がある。
- 1500番台(183系)
上越線特急「とき」廃止により余剰となったクハ8両を東京駅地下ホームに対応させた番台。8両が改造された。
後に地下ホームで使われていた保安装置を同じものを使っている横浜線直通臨時特急、「はまかいじ」の運用も行っている。
- 500番台(189系)
485系余剰モハ8両を改造。機器、車体等を全て更新してしまったため、新造車との見分けはほぼつかない。
なお、このような改造は後のジョイフルトレイン華や宴の改造時にも適用された方法となる。
- 50番台(189系)
485系余剰付随優等車を改造し登場したグループとなり、3両が改造された。
こちらは車体に関しては何も改造されていないため、外観は485系のままとなっている。後にサハ481-300(特急「ひたち」で使用)に全車再改造となった。
- 1000番台(189系)
183系から改造されたグループ。かなりの両数が改造を受けた。
運用は189系の他の車両と同じものが組まれている。
JR西日本[編集]
- 183系(200・700・800)
先述の通り、北近畿ビッグXネットワークによる改造を受けた車両。485系改造のため従来の183系とは大きく異なる。
番台としては「200・700・800」のそれぞれの番台が存在。なお、485系との混結が可能のため、阪神淡路大震災の際は特急「雷鳥」で使用されていたモハユニットを借り入れ8両で走行した実績がある。
詳細は「JR西日本183系電車」を参照
近い世代の車両[編集]
- 国鉄165系電車 - 急行用
- 国鉄169系電車 - 急行用、横軽対応
- 国鉄113系電車 - 近郊用
- 国鉄485系電車・国鉄489系電車 - 交直両用特急用。489系は横軽対応
関連事項[編集]
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