サステナ車両
サステナ車両(さすてなしゃりょう)は、西武鉄道が導入する他社の中古鉄道車両に対する呼称である。
概要[編集]
初出は2022年5月12日に発表された2022年3月期の決算資料からである。その資料によれば保有車両数の適正数と共に新造車両の限らず環境負荷の少ないサステナ車両の導入を進め、省エネ化や固定費削減を前倒しで進めていくとしている。
この車両を導入することによって、メンテナンスの効率化、使用電力の削減、車両リサイクルによるサステナビリティの貢献といった効果が期待されるそうだ[注 1]。
もうここまで読んで色々と察している人も多いと思われるが、要は他社の中古車を導入するということである。このことをサステナ車両と言い換え、響きを良くしているのである。確かに持続可能(サステナブル)な行動とはいえるのだが。
このことが発表された瞬間SNS上などでは、まさかあの大手私鉄である西武さんが中古車を導入というような驚きの声が上がった[注 2]。もっとも、西武鉄道は太平洋戦争後間もなく、運輸省~日本国有鉄道から旧型国電を大量に購入しているが。また、背景にはコロナの影響があるのではないのかという声も上がった。
路線・車両条件[編集]
上記決算資料によると無塗装車体、VVVFインバーター制御車両などの他社からの譲受車両のことをサステナ車両と定義しているようであり、導入する車両はこのような条件が揃っている車両だと考えられる。
導入路線としては発表当初は池袋線や新宿線にも導入するのではないのかとか色々言われていたが、後の報道で枝線に導入することが判明した[1]。
このことから導入路線は多摩川線、秩父線[注 3]、国分寺線、狭山線[注 4]、西武園線なのではないかと推測することができる[注 5]。よって、サステナ車両による置き換え対象は2000系の4連の一部と6連、および新101系・4000系の残存4連と推定される。
なお、孤立路線の多摩川線はJR車の中古車を導入して、検査をJRに委託することによって、3ヶ月に1回行われている甲種輸送の手間を省くのではないかという声が上がっている。
導入時期は資料にある2022年度末の全車両数の中にサステナ車両の数が入っていないことから、早くても2023年度以降だと考えられていた。2023年度の設備投資計画にサステナ車両の導入が挙げられたため、2023年度からの導入であることはほぼ確定となった[2]。また、2030年度内に西武線内の自社車両をVVVF車に統一する方針を示したため、それ以降にサステナ車両が導入される可能性は大幅に下がると考えられる。
2022年10月5日。西武はJR東日本と鉄道分野で連携する覚書を交わした[3]。このことからJR東日本関係の車両がサステナ車両として譲渡されるのではないかという説が出てきている。次いで2023年1月13日には多摩川線に2030年までの無線式閉塞のCBTCの導入が発表された。これによりCBTC対応に手間がかかる車両はサステナ車両として譲受されないか、多摩川線以外で運用開始後数年で後継車に代替される可能性がある[注 6]。
結果[編集]
2023年9月26日サステナ車両の授受が発表されたが、選ばれた車両は東急9000系電車[注 7]と塗装車のため確実に対象外に思われた小田急8000形電車[注 8]の2形式が合わせて100両譲渡されることが報告され、8000形の8261Fを皮切りに譲渡が始まった。無塗装車を推進していたはずなのに白いアイボリーの車輌を導入する西武鉄道
なお、どのように編成組替・機器更新・塗色変更等を行うかは要注目であり、東急9000系が日立GTOや5両のままで運用されるのも想像に難くない。
ちょうど1年後の2024年9月26日には元小田急8000形の形式が8000系になると発表され、塗装は30000系に準じたものとなった。黄色じゃなかったんかい。
外部リンク[編集]
- 2022年3月期 決算実績概況および「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗-該当ページは47枚目。
- 西武が導入する「サステナ車両」とは?-鉄道チャンネル。
- 西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄「サステナ車両」を授受 各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります-西武鉄道。
脚注[編集]
- 注
- ↑ なおこれらはSDGsの大目標の7,12,13番に当たる。
- ↑ 大手私鉄が中古車を購入するのは2012年の南海3000系電車(泉北高速鉄道より購入)以来となる。さらにその昔の第一次オイルショック時、東急から3ドアの旧型車を名鉄が購入して3880系として運用していた時期もあった。
- ↑ 池袋線の飯能 - 吾野間も含まれるはず。
- ↑ ただし、狭山線の閑散期は2両で十分という声もあり、30000系2連の玉突き転用で事足りる可能性がある。
- ↑ なお多摩湖線は中古車とはいえ2020年にVVVF車への置き換えが行われているが、塗装車のため、サステナ車両が導入されるかどうかは論点となる。また、国分寺線はホームドアが設置されていることから20mの4ドアという条件がついてくる。
- ↑ もっとも、都営大江戸線ではCBTC対応困難な車両に対し、車端部を1箇所機器室に変更して対応機器を設置している。
- ↑ 9020系も含まれる。
- ↑ 1000形は更新からの年数が、2000形と3000形は経年自体が浅く、小田急側が手放す気ゼロなため対象外となった可能性が高い。
- 出典
- ↑ 西武鉄道の「黄色い電車」減少へ…無塗装の中古車両を調達しコスト削減-読売新聞。2022年5月27日閲覧。
- ↑ 西武鉄道 2023年度 鉄道事業設備投資計画 2023年5月11日閲覧。
- ↑ 西武鉄道とJR東日本、鉄道技術分野で連携-日本経済新聞 2022年10月12日閲覧。