北尾光司

北尾 光司（きたお こうじ、1963年8月12日 - 2019年2月10日）は、三重県津市出身の元大相撲力士・元総合格闘家・元スポーツ冒険家・武道家、元プロレスラー、タレント。大相撲横綱時代（第60代横綱）の四股名は双羽黒 光司（ふたはぐろ こうじ）。

略歴

相撲界において

三重県津市出身で、中学校卒業と同時に立浪部屋に入門し、昭和54年（1979年）3月の1979年春場所で初土俵を踏み、昭和59年（1984年）の1984年春場所で新十両を果たし、同年の1984年秋場所で新入幕を果たす。昭和60年（1985年）に1985年九州場所後、昭和61年（1986年）の1986年初場所から大関となり、同年の9月の名古屋場所、つまり1986年秋場所から第60代横綱に昇進する。当時としては昭和時代以降では史上4位のスピード記録であった（22歳11ヶ月）。なお、当時は千代の富士の次に角界を引っ張る存在として期待を寄せられていたという。優勝経験の無い北尾が2場所連続で優勝争いを演じたというだけで、鏡山審判部長に命じて、北尾を高く評価していた当時の春日野理事長が強引に横綱にしてしまったという。

横綱としては8場所を務めたが、昭和62年（1987年）12月27日に師匠の6代立浪親方（安念山治。元関脇の安念山）とちゃんこの味付けをめぐって大喧嘩し、仲裁に入った親方夫人を突き飛ばして部屋を飛び出した。激怒した親方は相撲協会に対して廃業届を提出し、4日後の12月31日、つまり大晦日に臨時理事会が開かれて双羽黒光司の廃業が決議された。
通算成績は348勝184敗24休。優勝次点は7回、三賞は7回で、優勝経験は無い。明治42年（1909年）に優勝制度が導入されて以降、唯一、優勝経験の無い横綱となった。
この事件をきっかけにして、横綱昇進は慎重な見方をされ、日馬富士公平まで大関での連続優勝が求められるようになった。大関で連続優勝に準ずる成績での昇進が復活するのは鶴竜力三郎の昇進からで、以降も最低1回の幕内最高優勝が求められるようになった。

プロレスラー、総合格闘家として

相撲界から離れた後、スポーツ冒険家を名乗って第2の人生をスタートさせる。アメリカ冒険旅行などタレントとして2年ほど活動を続けた後、平成2年（1990年）2月10日に新日本プロレスの東京ドーム大会でプロレスラーとしてデビューした。バンバンビガロとのデビュー戦にギロチンドロップで勝利して華々しい船出を飾るも、新日本プロレスでは単調な試合運びに目の肥えたファンからブーイングを浴びせられるなど、人気は低迷した。しかも現場監督を務めていた長州力に暴言を吐いたことからおよそ5ヶ月で契約解除を言い渡された。さらに天龍源一郎のSWS、WARでも平成3年（1991年）4月のジョン・テンタ戦で反則負けとなった後に「八百長野郎」などと暴言を吐くなどのトラブルを起こして再度解雇され、プロレス界で居場所を無くしてしまった。

プロレスラーの後は総合格闘家に転身する。UWFインターナショナルや初期のPRIDEなどで試合を行なった。だが、ほとんど実績を上げられず、平成10年（1998年）に現役引退を表明する。同年10月のPRIDE4で引退セレモニーを行ない、総合格闘家としても終了した。結局、才能を持ちながらそれを開花させることがどの世界でもできずに終わってしまった。

その後

平成15年（2003年）9月、自身が相撲界にいた時の親方である安念山は既に代替わりしていた立浪部屋を16年ぶりに訪れ、部屋のアドバイザーに就任する。その際には「名門立浪復活の手助けをしたい」と意気込みを語った。当時の親方である旭豊勝照によると「交流はその時の一瞬で、その後は連絡を取っていなかったから、最近の様子は知らなかった」と語ったという。

平成25年（2013年）から闘病生活を開始する。そして平成31年（2019年）2月10日午前7時30分に慢性腎不全のため、千葉県内の病院で死去した。55歳没。

北尾の生前の遺志により、2月13日に通夜、2月14日に告別式が家族葬で行なわれたという。その死去は3月29日に妻により発表された。

人物像

• 小錦、北勝海と同じ昭和38年（1963年）生まれであったことから、「花のサンパチ組」と呼ばれた。
• 前記の3人の中では最も早く昇進し、恵まれた才能と体格（199センチ、151キロ）と相撲センスに恵まれていたが、余りある才能に対して器量、度量が付いていってないタイプだった。
• 横綱推挙前、相撲家元の吉田司家が自己破産したため、相撲協会が自前で横綱免許を授与した最初の横綱となった。
• 抜群の素質を生かせなかった「大きな子供」だったという。付け人に空気銃を撃ったり、サバイバルナイフの収集を趣味としていて、よく部屋で自慢げにジャーナリストは見せられたという。
• 生涯経験したどこのスポーツ団体においてもトラブルを起こして結局、居場所を無くしているが、師匠の元安念山の6代立浪親方も当代親方への継承の際にトラブルを起こしたことから、師匠の資質にも問題があったとの見方がある。

著書

• 『しゃべるぞ!』 徳間書店 1988年3月 ISBN 419553643X
• 『北尾光司の相撲界言い捨て御免』 大陸書房 1989年2月 ISBN 4803318999

声優

• 『サンダー/怒りの復讐』マーク・グレゴリー 1989年1月20日、日本テレビ「金曜ロードショー」

同時代の主な好敵手

• 横綱 千代の富士 - 6勝8敗、決定戦2敗
• 横綱 北勝海 - 9勝8敗
• 横綱 大乃国 - 8勝9敗
• 大関（後に横綱） 旭富士 - 12勝6敗
• 大関 若嶋津 - 7勝7敗
• 大関 小錦 - 9勝9敗、不戦1敗含む

脚注

注釈

出典

外部リンク

• PRIDE 選手データ - Internet Archive
• バウトレビュー 選手データ
• SHERDOG 選手データ
• 第六十代横綱 双羽黒 光司 - goo 大相撲

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