平岩弓枝
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平岩 弓枝(ひらいわ ゆみえ、昭和7年(1932年)3月15日 - 令和5年(2023年)6月10日)は、日本の小説家、脚本家。
プロフィール[編集]
略歴[編集]
渋谷区立富谷小学校、福井高等女学校(現在の福井県立藤島高等学校)、日本女子大学附属高等学校を経て、日本女子大学国文科卒業。既婚者で長女あり。
主は代表作は『鏨師』、『女の顔』、『御宿かわせみ』、『花影の花』(1990年)、『西遊記』、『ありがとう』、『肝っ玉かあさん』、『女と味噌汁』、『下町の女』、『新・平家物語』など。
東京府の代々木八幡宮の宮司の長女として生まれ、幼い頃から古典芸能に親しむ。大学卒業後、作家の戸川幸夫に師事し、後に長谷川伸主宰の研究会「新鷹会」に参加した。
昭和34年(1959年)、『鏨師』で直木賞を受賞して注目を集め、小説のほか脚本、戯曲などで道を究める芸人や職人、市井の人々の生き方を描く大衆文学作家として数々のヒット作を生んだ。
『御宿かわせみ』シリーズは昭和48年(1973年)から描き続けた代表作で、テレビドラマ化されている。累計発行部数は1800万部を超えている。
その他にも多くの作品を手掛け、ドラマの脚本家としても活躍。また菊田一夫演劇大賞など多くの賞を受賞している。昭和62年(1987年)に田辺聖子と共に女性で初めての直木賞選考委員になり、平成22年(2010年)まで務めている。
令和5年(2023年)6月9日午前4時頃、間質性肺炎のため、東京都内の病院で死去した。91歳没。葬儀は近親者で行われた。
著作リスト[編集]
小説[編集]
- 『鏨師』新小説社、1959年 のち文春文庫
- 『美女誕生』角川書店 1960年
- 『その道は行き止り』東京文芸社 1961年 のち「女の足音」中公文庫
- 『黒い扇』東京文芸社 1961年 のち角川文庫
- 『アキとマキの愛の交換日記』正続 集英社 1966年-1967年 のち文庫コバルト
- 『若い真珠』集英社 1966年 のち文庫コバルト、文春文庫
- 『旅路』第1-3部 東京文芸社 1967年-1968年(NHK朝の連続テレビ小説『旅路』原作)のち角川文庫
- 『信号は青』集英社(コバルト・ブックス)1967年 のち文庫コバルト
- 『海とみさきの青春』集英社(コバルト・ブックス)1967年 のち文庫コバルト
- 『女と味噌汁』現文社(シスター・ブックス)1967年 のち集英社文庫
- 『赤絵獅子』人物往来社(歴史小説選書)1967年
- 『華やかな魔獣』集英社(コンパクト・ブックス)1967年 のち文庫
- 『がんばれ良比古ちゃん』主婦と生活社 1968年
- 『おんなみち』講談社 1969年 のち文庫
- 『十二年目の初恋』東京文芸社 1969年
- 『花房一平捕物夜話』東京文芸社 1969年
- 『若い海峡』集英社(コバルト・ブックス)1969年 のち文庫コバルト、文春文庫
- 『女の顔』文藝春秋 1970年 のち文庫
- 『日野富子』読売新聞社 1971年
- 『藍の季節』文藝春秋、1971年 のち文庫
- 『親なし子なし』毎日新聞社 1971年
- 『肝っ玉かあさん』文藝春秋 1971年 のち文庫(テレビドラマ原作)
- 『かまくら三国志』文藝春秋 1972年 のち文庫
- 『花嫁の日』講談社 1972年 のち文庫
- 『下町の女』文藝春秋 1972年 のち文庫
- 『花のながれ』文藝春秋 1972年 のち文庫
- 『彩の女』文藝春秋 1973年 のち文庫
- 『あした天気に』文藝春秋 1973年-1974年 のち文庫
- 『夜の桜』東京文芸社 1973年
- 『湯の宿の女』東京文芸社 1974年 のち角川文庫
- 『女の気持』中央公論社 1974年 のち文庫
- 御宿かわせみシリーズ
- 『御宿かわせみ』毎日新聞社 1974年 のち文春文庫
- 『江戸の子守唄』毎日新聞社 1975年 同
- 『水郷から来た女』毎日新聞社、1977年 同
- 『山茶花は見た』毎日新聞社、1977年 同
- 『幽霊殺し』文藝春秋、1982年 のち文庫
- 『狐の嫁入り』文藝春秋、1983年 同
- 『酸漿は殺しの口笛』文藝春秋、1986年 同
- 『白萩屋敷の月』文藝春秋、1986年 同
- 『一両二分の女』文藝春秋、1987年 同
- 『閻魔まいり』文藝春秋、1988年 同
- 『二十六夜待の殺人』文藝春秋、1988年 同
- 『夜鴉おきん』文藝春秋、1989年 同
- 『鬼の面』文藝春秋、1989年 同
- 『神かくし』文藝春秋、1990年 同
- 『恋文心中』文藝春秋、1990年 同
- 『八丁堀の湯屋』文藝春秋、1991年 同
- 『雨月』文藝春秋、1992年 同
- 『秘曲』文藝春秋、1993年 同
- 『かくれんぼ』文藝春秋、1994年 同
- 『お吉の茶碗』文藝春秋、1995年 同
- 『犬張子の謎』文藝春秋、1996年 同
- 『清姫おりょう』文藝春秋、1996年 同
- 『源太郎の初恋』文藝春秋、1997年 同
- 『春の高瀬舟』文藝春秋、1998年 同
- 『宝船まつり』文藝春秋、1999年 同
- 『長助の女房』文藝春秋、1999年 同
- 『横浜慕情』文藝春秋、2000年 同
- 『佐助の牡丹』文藝春秋、2001年 同
- 『初春弁財船』文藝春秋、2001年 同
- 『鬼女の花摘み』文藝春秋、2002年 同
- 『江戸の精霊流し』文藝春秋、2003年 同
- 『十三歳の仲人』文藝春秋、2004年 同
- 『小判商人』文藝春秋、2005年 同
- 『浮かれ黄蝶』文藝春秋、2006年 同
- 『新・御宿かわせみ』文藝春秋 2008年 同
- 『華族夫人の忘れもの 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2008年 同
- 『花世の立春 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2010年 同
- 『蘭陵王の恋 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2013年 同
- 『千春の婚礼 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2015年 同
- 『お伊勢まいり 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2016年 同
- 『青い服の女 新・御宿かわせみ』文藝春秋 2017年 同
- 『へんこつ』文藝春秋 1975年 のち文庫(曲亭馬琴が主役)
- 『この町の人』文藝春秋 1975年 のち集英社文庫(テレビドラマ原作)
- 『女の四季』東京文芸社 1975年 のち角川文庫
- 『花天女』中央公論社 1975年 のち文庫
- 『ハサウェイ殺人事件』東京文芸社 1975年 のち集英社文庫(短編集)
- 『密通』東京文芸社 1975年 のち角川文庫
- 『女ぶり』文芸社 1976年
- 『女の旅』文藝春秋 1976年 のち文庫
- 『結婚のとき』講談社 1976年 のち文庫
- 『絵島の恋』東京文芸社 1977年
- 『女の河』文藝春秋 1977年(テレビドラマ原作)新装版 上下 2013年
- 『小さくとも命の花は』文藝春秋 1977年 のち文庫
- 『やきもの師』東京文芸社 1977年 のち集英社文庫
- 『五月の女』文藝春秋 1977年 のち文庫
- 『女の家庭』主婦の友社 1978年 のち文春文庫
- 『風子(ふうこ)』新潮社 1978年 のち文庫(テレビドラマ原作)
- 『結婚の四季』講談社 1978年 のち文庫
- 『火の航跡』朝日新聞社 1978年 のち文春文庫
- 『日蔭の女』文藝春秋 1978年 のち文庫
- 『呪いの家 花房一平シリーズ』東京文芸社 1978年 「釣女」「女櫛」集英社文庫
- 『女の幸福』文藝春秋 1978年 のち文庫
- 『日本のおんな』新潮社 1979年 のち文庫
- 『午後の恋人』文藝春秋 1979年 のち文庫
- 『わたしは椿姫』講談社 1979年 のち文庫(短編集)
- 『他人の花は赤い』文藝春秋 1979年 のち文庫
- 『女のそろばん』読売新聞社 1979年 のち集英社文庫
- 『風の墓標』新潮社 1979年 のち文庫
- 『江戸の娘』東京文芸社 1979年 のち角川文庫
- 『女たちの家』文藝春秋 1980年 のち文庫
- 『女たちの海峡』文藝春秋 1981年 のち文庫
- 『天の花地の星 日本のおんな』新潮社 1981年 のち文庫
- 『花の影』文藝春秋 1981年 のち文庫
- 『花祭』講談社 1981年 のち文庫
- 『結婚飛行』集英社 1981年 のち文庫
- 『色のない地図』文藝春秋 1981年 のち文庫
- 『風祭』角川書店 1983年 のち文庫
- 『花ホテル』新潮社 1983年 のち文庫
- 『湖水祭』サンケイ出版 1983年 のち文春文庫
- 『橋の上の霜』新潮社 1984年 のち文庫
- 『祝婚歌』文藝春秋 1985年 のち文庫
- 『青の伝説』講談社 1985年 のち文庫
- 『白い序章』中央公論社 1985年 のち文庫
- 『青の回帰』講談社 1985年 のち文庫
- 『女の暦』東京文芸社 1986
- 『紅梅館おとせ』東京文芸社 1986年
- 『青の背信』講談社 1986年 のち文庫
- 『葡萄街道の殺人』角川書店 1986年 のち文庫
- 『三味線お千代』東京文芸社 1986年
- 『ありがとう』東京文芸社 1986年
- 『青い華火』東京文芸社 1987年
- 『ちっちゃなかみさん』角川文庫 1987年
- 『秋色』文藝春秋 1987年 のち文庫
- 『ふたりで探偵』新潮社 1987年 のち文庫
- 『平岩弓枝自選長篇全集』全15巻 文藝春秋 1987年-1989年
- 『パナマ運河の殺人』角川書店 1988年 のち文庫
- 『春の砂漠』文藝春秋 1988年 のち文庫
- 『火宅の女-春日局』角川書店 1988年 のち文庫
- 『芸能社会』読売新聞社 1989年 のち文春文庫
- はやぶさ新八シリーズ
- 『はやぶさ新八御用帳』講談社、のち文庫
- 『大奥の恋人』1989年
- 『江戸の海賊』1989年
- 『又右衛門の女房』1991年
- 『鬼勘の娘』1992年
- 『御守殿おたき』1993年
- 『春月の雛』1994年
- 『寒椿の寺』1996年
- 『春怨根津権現』1997年
- 『王子稲荷の女』1998年
- 『幽霊屋敷の女』1999年
- 『はやぶさ新八御用旅』講談社、のち文庫
- 『東海道五十三次』2001年
- 『中仙道六十九次』2002年
- 『日光例幣使道の殺人』2004年
- 『北前船の事件』2006年
- 『はやぶさ新八御用帳』講談社、のち文庫
- 『犬のいる窓』毎日新聞社 1990年 のち文春文庫
- 『千姫様』角川書店 1990年 のち文庫
- 『花影の花 大石内蔵助の妻』新潮社 1990年 のち文庫
- 『嵯峨御絵巻』角川書店 1992年
- 『絹の道』文藝春秋 1993年 のち文庫
- 『お夏清十郎』新潮社 1993年 のち文庫
- 『五人女捕物くらべ』講談社 1994年 のち文庫
- 『セイロン亭の謎』中央公論社 1994年 のち新潮文庫
- 『水鳥の関』文藝春秋、1996年 のち文庫
- 『風よヴェトナム』新潮社 1998年 のち文庫
- 『幸福の船』新潮社 1998年 のち文庫
- 『妖怪』文藝春秋 1999年 「鳥居耀蔵」文庫
- 『平安妖異伝』新潮社 2000年 のち文庫
- 『獅子の座 足利義満伝』中央公論新社 2000年 のち文春文庫
- 『魚の棲む城』新潮社 2002年 のち文庫
- 『うらしま 復刊』 (復刊・日本の名作絵本)新井勝利 絵、岩崎書店 2002年
- 『道長の冒険 平安妖異伝』新潮社 2004年 のち文庫
- 『聖徳太子の密使』新潮社 2009年 のち文庫
- 『ベトナムの桜』毎日新聞出版 2015年
映画脚本[編集]
- 『青幻記 遠い日の母は美しく』1973年(成島東一郎、伊東昌輝との共同脚本)
主なドラマ脚本[編集]
- 明治の女(1963年(昭和37年)に東芝日曜劇場で放送されたTBSのテレビドラマ、原作・長谷川伸の脚本を担当)
- 女と味噌汁シリーズ(1965年(昭和39年)から1980年(昭和55年)まで東芝日曜劇場で全38話放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 肝っ玉かあさんシリーズ(1968年(昭和43年)から1972年(昭和47年)まで全3シリーズ放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- ありがとうシリーズ(1970年(昭和45年)から1975年(昭和50年)まで全4シリーズTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 下町の女シリーズ(1970年(昭和45年)から1974年(昭和49年)まで東芝日曜劇場で全8話放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 新・平家物語(1972年(昭和47年)に放送されたNHKのテレビ大河ドラマ第10作目、脚本を担当、原作は吉川英治)
- この町の人(1975年(昭和50年)で土曜ドラマ枠で放送されたNHKのテレビドラマ作目、原作・脚本を担当)放送されたNHKのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 明日がござる(1975年(昭和50年)に1年間放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本・主題歌の作詞を担当)
- 平岩弓枝ドラマシリーズ(1977年(昭和52年)から1985年(昭和60年)まで放送されたフジテレビのドラマシリーズ。原作だけでなく脚本も担当した)
随筆[編集]
- 『お宮のゆみちゃん』現文社 1967年 のち文春文庫、中公文庫
- 『旅路の旅』朝日ソノラマ 1969年 のち中公文庫
- 『女らしいということ 心を奪う魅力と知恵』大和書房 1970年 のち文庫
- 『愛するひとができたら 妻となる日の心得』大和書房 1971年
- 『女らしさの知恵 “ごめんなさい”と素直に言える心』祥伝社(ノン・ブック)1977年「女らしいということ」大和文庫
- 『わたしの万葉集』大和書房 1986年 のち新潮文庫
- 『水曜日のひとりごと』毎日新聞社 1987年 のち文春文庫
- 『女性のための外国旅行』ミリオン書房 1990年
- 『窓のむこうに』広済堂出版 1995年 のち新潮文庫
- 『極楽とんぼの飛んだ道 私の半生、私の小説』講談社 1999年 のち文庫
- 『ものは言いよう』講談社 2000年 のち文庫
- 『老いること暮らすこと』講談社 2003年 のち文庫
- 『なかなかいい生き方』講談社 2007年 のち文庫
- 『私の履歴書』日本経済新聞出版社 2008年
- 『東京暮らし江戸暮らし』講談社 2012年
- 『噓かまことか』文藝春秋 2021年
共著編[編集]
- 『花平家物語』相馬大共著 光村推古書院 1981年
- 『隣の花はなぜ赤い』伊東昌輝共著 学習研究社 1979年 「茶の間の人間学」ケイブンシャ文庫
- 『伴侶の死』(編)文藝春秋 2001年 のち文庫
- 『「御宿かわせみ」読本』(編)文春文庫 2003年
- 『「京味」の十二か月』西健一郎共著 文藝春秋 2009年
現代語訳・再話[編集]
- 『椿説弓張月』(曲亭馬琴原作)学習研究社(日本の古典ノベルス)1982年 のち文庫
- 『南総里見八犬伝』(曲亭馬琴原作)中央公論社 1993年 のち文庫
- 『太平記』(少年少女古典文学館 第14巻)講談社 1994年
- 『西遊記』(呉承恩原作)毎日新聞社 2007年 のち文春文庫
- 『椿説弓張月 私家本』新潮社 2014年 のち文庫